姿の相似と言うのは精神にまで影響を及ぼす。 感覚にシンクロをもたらすほどの、運命共同体。 それが、双子――― しかし、何事にも例外と言うのはあるもので…。 「フレッフレッあーお!がんばれがんばれあーお!」 4年生の遥・ホープは青いぽんぽんを振り回して声援を送った。 今回応援団にチアとして入っているため、自軍最前列に陣取って競技に熱いまなざしを送っている。 その先では二人三脚が行われていた。 「ああん!また転んじゃったよー!!」 思わずあげた悲鳴に、同じく最前列にいた応援団長の椎奈は苦笑した。 「あれはね、焦ると余計にダメなんだよ。声を掛け合って、何より気の合う人とやることが成功の秘訣かな?」 「そーなんですかぁ。難しいのかなぁ。」 「うん、でも、遥君と桃ちゃんだったらお友達同士だし、うまく行くかもね。」 「お友達、だからですかぁ…?」 その時遥の頭の中に、教育テレビの某番組のテーマ曲が流れた。 ♪一度会ったーら友達で、毎日会ったら兄弟だ…つまり、友達<兄弟ってこと? じゃあ、双子ならもっと… そうして視線を転じた先には、欠伸なんぞをしている工藤礼緒…双子の片割れがいた… 「れーお君!今ひまですかぁ〜?ひまだよねぇ?あのね、お願いがあるんだけど…」 キラキラ遥(ただの形容詞です。1年生ズだったらピヨピヨとか)に拝まれては、反抗期とはいえ悪になりきれない(笑)礼緒では抗えません。 「うっ…!」 そして連れて行かれた先には、木陰でひたすら絵筆を動かすもう一人の工藤、淳がいた。 「おい、遥…?」 「あのねぇ〜、椎奈先輩から聞いたんだけど〜、二人三脚って気が合ってないとダメなんだって。だから、双子ならきっと早いと思ったの。そしたらね、近くに礼緒と淳がいるし、見てみたいなって。」 「…何考えてんだよ…」 「俺今スケッチ中だから」 「えぇ〜、ダメなの〜?」 「そうか残念だな。私も見たかったんだが」 「あ、会長さん!」 「「か、会長!?」」 「見てみたいなあ。な?工藤…?」 齢12にしてすでに人を操る術を心得る会長の微笑みに逆らえる人間など、いるのだろうか?いや、いない(反語)いるわけが無い。ましてや今回の相手はW工藤である。 「「ふぁい…」」 まあ、基本的にヘタレだし?工藤の名を持つ者、ヘタレの運命から逃れることなど出来はしないのだ!!(断言) 「足ひっぱんなよ!」 「何それ、洒落のつもり?その言葉そのまま返すよ。」 「…テメェ…まあいい。行くぞ!」 「おう。」 いち。 バタ。 「テメ!何で一で右足出してんだよ!!」 「テメェこそ!!俺はいつも最初は右からなんだよ!」 「俺だって!お前左から出せよ!」 「はぁ!?そっちが左から出せばいいんじゃん!!」 「会長さぁ〜ん、双子でもダメな人はダメなんですねぇ〜?」 「うむ、そのようだな。まあ、奴らはヘタレだからな。」 「ヘタレ…?」 「そうだ。今度から奴らのことはそう呼んでやるといい。きっと喜ぶぞ。」 「はーい、分かりましたぁ〜!あ、そろそろ応援に戻らなくちゃ!」 「私も席に戻るかな。応援がんばれよ、遥。」 「はい!優勝は絶対青組みですからね!会長さ〜ん、見ててくださいねぇ〜!」 「ははは、楽しみにしていよう。」 お気に入りの子には腹黒さを微妙に隠す会長の後ろで、双子は未だに言い合っていた。 「うッせェ!このヘタレが!!」 「テメエこそ!いつも絵ばっか描きやがって!このヘタレ!!」 ・…どっちもどっち?ただ一つ言える事は、二人とも確実にヘタレって事…か? 気が合わないというより、むしろ合い過ぎた感じ?共通項ヘタレで。 …え?ああ、いい意味、いい意味!! などと誰かをごまかしつつも、なんだかんだ運動会は止まらない。 |
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