速さを競う競技と言うのは燃える。 それが代表者ともなれば早さも相当、盛り上がりも相当。 おまけに全学年から出るのだから、ハイライトにはもってこいなのです――― 運動会のラストは縦割りリレーである。 毎年最高に盛り上がるこの競技は得点も高く、毎度のように逆転劇が起ったりする。 特に今年は三つの組が僅差で、これに勝利を収めた組が優勝すると言うこともあり、その上バランスよく足の速い生徒が配置されてしまったので、どこが勝つのかまったく見当もつかないのだ。 会場はまさしく興奮の坩堝にあった。 普段は冷静な人たちでさえ、その影響を受けていた。 「去年はこれであんたに抜かれたからね、今年は負けないわよ。」 「去年は運が良かったんだよ。でも、今年も負けないよ。相田君もがんばろうね。」 「望むところだ!初めて出るけど、二人とも俺の運動神経は知ってるだろ?」 「あら、言うじゃない。ま、誰が勝っても恨みっこ無しと言うことで。」 「がんばりましょう。」 「「ええ。」」 「6年生はあの目立つ3人か。見てきた限りだと、3人とも早そうだが。」 「ええ、実力はかなり均衡しています。同時スタートでは誰が勝つのか私にもわかりません。」 「3人に渡るまでが勝負と言ったところか。6年生以外はどうなんだ?」 「青だったら遥ですね。見た目はあんなですが、相当早い。黄色は多良葉。1年生にあるまじきスピードです。赤は突出した生徒がいない分、個々のレベルが高い。はっきり言って、蓋を開けてみるまではなんとも…」 「なかなか面白い勝負になりそうだな。」 「それだけは保証できますよ。」 「楽しみだ。」 「まったく。」 そして――― 『早い早い早い!!赤青黄、それぞれ一歩も譲りません!赤組団長林檎・ホープ、青組団長錦木椎奈、放送部のエース相田貴行!!3者ほぼ横一線のまま最終カーブを曲がりましたあ!!!そしてその先に待つのは・…!!』 「相田君、後は任せて!!」 「先生!!」 『各組の代表教師たちだあーー!!!』 「…おい。」 「何です、学長」 「教師も出るのか?」 「もちろん。私が勝負は分からないと言ったのは、これも含めてのことです。」 「しかし、確か黄色は体育教師だろう?」 「ええ。けれど、分からないのですよ、実際。まあ、ご覧いただければ分かりますよ。」 『黄組、体育教師諏訪禄が飛び出したーーー!!』 「待ちなさい禄!!あんた、あたしに勝ったらどうなるか分かってんでしょうね!?」 「せ、星華さん!!でもこれは真剣勝負だから…!!」 「とまらない気ね!?…禄、勝たせてくれたらデートしてあげる。ディズ○ーシーよ!!」 「ええ!?ディズ○ーシー!?」(それって、アレじゃん!デートの定番じゃん!夢と魔法の王国でロマンチックデート!!!!!) 「よし!今のうち!」 「星華…本当はそんなことするつもりないだろう?」 「ち、まだしおんがいたわね!!あんたフェミニストならあたしを先に行かせなさいよ!!」 「それとこれとは別物さ…!」 「禄!しおんを先に行かせないで!!」 「はい!星華さん!!しおん君ごめん!!ぼくの幸せのために犠牲になって!!」 「禄…勝負とは非情なものさ…じゃ!」 「だめーーーー!!!」 『えー、なんだかごちゃごちゃしてまいりました…。先生方〜〜〜〜、今競技中なんですよ〜〜〜〜〜?』 「…こういうこと、か」 「こういう事なのです。しかし、最悪の形で出ましたね。」 「そうだな。」 「せっかく「生徒たちががんばったのに…!(怒)」」 「さ、寒い…おれはもうだめだ…!」 「バカやろう!!寝るな!寝たら死ぬぞー!!」 本部テントでは会長と学長の怒りブリザードが吹き荒れ、それに巻き込まれた生徒が2名、被害を受けたとか受けないとか…。 やっぱボーナスカットですか? トップを怒らすと怖いんだよ!!特にここO川では…!! でも、ま、自業自得か? 最後に躓いたけど、運動会は集計を残すばかり。 |
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