運動会と言えば、がんばる我が子の晴れ姿を見ようと、親御さん達も張り切るイベントではありますが、こちらの親御さんは、少し違う張り切り方をなさったようで… 「みんながんばってくださいませね、私特製ジュースを作ってまいりましたの!これを飲めば百人力ですわ!」 にっこりと水筒を差し出したのは、ホープ家四番目の子供といわれる母、未だに万年少女の要・ホープである。 そして、心なしかその水筒から不穏な空気を感じ取った(長年の経験の賜物。馴れって怖いね)のは、その夫であるライガ・ホープである。 「ちょっとまて要、それには何が入っているんだ?」 恐る恐る聞いた言葉に、要は朗らかに答えた。 「えっと、XXXXと、――――と、p―――――と、×××ですわ!」 「全部危険薬物だーーーー!!!!」 と、早業で水筒を奪い取り、その場で中身を捨ててしまいました。 実に懸命な判断と言えましょう。 しかし、世間で正しかろうと、相手は要さんなのです。 「ひどいですわ!子供たちのためを思って、がんばって作りましたのにぃー!!」 目に一杯涙をためて抗議をされては、もともと妻に甘いアメリカンのこと、すぐに謝りモードです。 「あ、いや、何ていうか、むしろ身体に良くないし、な!?分かるだろ?」 その情けない姿を見て、林檎は額に青筋を浮かべました。 「オロオロしない、父(怒)まあ見ててよ母さん。それに頼んなくたって大丈夫だって事、しっかり証明してあげるわ」 「「林檎」ちゃん・・・」 堂々と言い放つその姿に、周囲の乙女ゲージが急沸したのはいつものこと。 やたら回りから「きゅん!」なんて音がしちゃうのも、いつものこと。 だから林檎は気にしません。 小学生なのに…罪な人! そして… 『早い早い!赤組林檎・ホープ選手、ぶっちぎりの一位で今ゴールイン!!』 「ふう、まあ当然ね。さて、母さん見ててくれたかしら?これで納得してくれるといいんだけど…」 どうやら、危険薬物を飲むのが嫌でがんばったようです。それもそうか。 と、そのとき毎度おなじみの林檎副会長様ファンクラブの皆々様の黄色い声が聞こえてまいりました。 皆様林檎の勇姿にまたもやメラ☆ズキュン!されてしまったようです。 いつもより声援が大きいような…いつもより人が多いような… 『きゃー!林檎先輩ステキーーーーー!!!!』 「きゃー、林檎ちゃん素敵――――!!」 「きゃー、お姉ちゃんすてきーーー!!」 そこには、小学生に混じって自分に声援を送る母と弟の姿があったのでした。 そしてなにより問題は… 「母さん…遥・…何で違和感無いんだよ…」 ってことでしょうね、やっぱり。 あの日のときめきに胸焦がしつつ、運動会は続く。 |
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