彼は見た。 そして思った、デジャヴのような光景だ、と。 古井竺、O川学園小等部の1年生である。 穏やかな性格で、ノーと言えない日本人である彼は、多良葉、圭、パテットら同級生に振り回され(当人たちは本人含め、誰一人としてそんな風には思っていないが)1年悪ガキカルテットの一角を担っている。 彼は先ほどの徒競走で転んだパテットを救護テントに連れて行ったのだが、 「れーせーんせ、転んじゃったの。手当てして〜♪」 「バカか、どこ怪我してるってんだよ!」 「えーーー、すったもん、ヒザすったもーん!」 「だったらスキップで来るんじゃねえ!!!」 などという、微笑ましい(?)光景を見て、どうやら心配要らないようだと判断し、パテットをそのままに、一人で自軍まで戻って来たのだった。 と、親友(??)である圭がその姿を見つけて早速声をかけてきた。 「あー!竺どこ行ってたんだよ!もう次の競技始まってるぞ!お前も応援しろ!絶―っ対、黄色には負けないんだからな!!!」 「あー、ごめんねー圭ー。今何やってるのー?」 「パンくい競争だって。結構難しいのかもな、あのパン揺れるし、手使っちゃダメなんだって。あ!抜かれた!!がんばれーーーーー!!!!」 「どれどれ?」 そう言ってトラックに目を転じた竺は、パンを取ろうと四苦八苦する選手の姿を見た。 その時。 竺の中から湧き上がる何かがあった!! それの正体を考えるより先に、竺の身体は動き出していた・…。 そして――― 「パン食うか?」 『そこの生徒―――競技中だよーーー!!トラック入っちゃダメダメーーーー!!!!』 気が付けば、選手にパンを差し出していたと言う… っていうか竺って人間かあやしーし。 でもO川のヘッドはパンダだぜ?いんじゃねえの?などと、色んな人の秘密はうやむやなまま、十人十色にそれぞれの運動会は進む。 |
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