ソロリ、ソロリ。
 その少女は、足音を立てないよう細心の注意を払いながら、とある部屋への侵入を目論む。

「…………」

 紺色のワンピースを身につけ、栗色のロングヘアが印象的な少女。
 透き通った瞳が、室内の様子を映し出す。
 誰もいない……。
 それを確認すると、彼女は素早くその身を部屋の中へと滑り込ませた。

「……よし」

 部屋には、モンスターボールを固定し置く為の穴が3つ空いた、特殊な机が存在した。
 そして3つの穴のうち、1つにだけモンスターボールが納められている。
 中には水色の、カメの姿をしたポケモンが入っていた。

「ふふっ、これがゼニガメね。悪いけど、頂いていくわよ」

 誰に対し話す訳でもなく、彼女はそう述べた。
 ……こうしてその日、彼女は1匹のポケモンを盗み出す事に成功したのである。

 

 

 

第2編「Starting of Blue」

 

前回までのあらすじ:
 ポケモンリーグを目指して旅する、マサラタウン出身の少年レッド。
 彼は旅の途中、ブルーという名の少女に出会う。
 泥棒や詐欺まがいの事をする彼女だったが、ふとした事をキッカケにレッドはブルーを守る事に。
 鳥ポケモンに対して過剰に怯えるブルーを見て、レッドは彼女には何かがあると考える。
 オーキド博士からゼニガメを盗んだのがブルーだと思いつつも、どうにかオーキド博士を説得し、しばらくブルーの様子を見る事にしたのであった。

 

 

 

「きゃ〜、ステキ♪ すばらいしわ」

 パチパチ拍手すると共に放たれた黄色い声は、タマムシシティの外れにある草むらから聞こえた。
 そこに立っていた少年は、突然聞こえた女の子の声に対し、頭の中に「?」を浮かべながら振り返る。

「えっと、君は?」

「あなたのポケモン、進化したわね。おめでとう」

「ん。あ、まぁ……その、ありがとう……」

 実はたった今、野生ポケモンとの戦闘により、少年のフシギダネがフシギソウに進化したのである。
 どうやら女の子はそれを見ていたらしく、彼に言い寄って来たらしい。

「それにしても、見事だったわぁ。あなた、強いポケモントレーナーなのね♪ あ、私の名前はブルー。よろしくね」

「え……あ、あぁ……どうも……。俺はレッドだ」

 女の子にこう褒められては、レッドと名乗る少年も悪い気はしない様子。
 だが、ここからがブルーの作戦だった。

「……でも、残念ねぇ」

「え?」

 不意にブルーが声のトーンを下げて言ったので、レッドは更に疑問に思う。
 ブルーの方は、そのまま言葉を続けた。

「確かに、あなたのポケモンは凄く強いみたいだけど。でも、アイテムを使えばもっと強くなれるのに……」

「アイテム?」

「そ! ポケモンを強くする為のアイテムよ。私は、それを売って家計をたててるのよ」

「へ、へぇ」

「例えば、このマックスアップとか。あぁ、こっちはプラスパワーね。他にも、色々あるけれど」

「あ、いや……ブルー。俺、あんましそういうのに興味は……」

 レッドは、いかにも遠慮しますという感じに、そう言った。
 しかしブルーは……。

「……いらないの?」

 急に目に涙をためて、上目遣いでレッドを見る。

「っっ!!」

 ドキッ。
 レッドは、自身の鼓動が唐突に高鳴るのを隠しきれなかった。
 こうなっては、もはやレッドもブルーの手の平の上で踊らされるも同然。

「い……いります……!」

「ありがとーっ! 全部まとめて、6000円よ♪」

 最後にブルーは抱きついて、レッドにトドメをさした。

 

 

 

 それから、わずか数分後。

「いやぁ、楽な相手だったわねぇ♪」

「がぅ!」

 ブルーは自分のポケモンであるカメールと一緒に、タマムシシティの町中を歩いていた。
 手に持った財布の中には、お金がたんまり入っている。
 先ほどレッドにアイテムを売りつけた際、かなりの収入を得られたようだ。

「あの手でいけば、大体の男はコロっといっちゃうんだから。大体、考えが甘いのよねぇ〜。この私と釣り合うような男なんて、そうそうこの世の中にはいないんだから」

「……こら〜!!」

「え?」

 後ろから、どこかで聞き覚えのある声が聞こえて来る。
 振り返ると、怒ったレッドがこちらに走って来るではないか。

「見つけたぞ、ブルー。さっきのアイテム使ってみたけど、全部ガラクタじゃないか。金返せ!」

「やばっ。もうバレちゃったみたい……。カメちゃん!」

 すぐさまブルーは、隣を歩くカメールを呼ぶ。
 幸い、すぐそばには川が流れていた。
 ブルーはカメールを川へ飛び込ませ、そのまま自分も背に乗りカメールを泳がせた。

「あぁっ!!」

「ごめんなさい、レッド。バイバ〜イ♪」

 カメールの水上を泳ぐ速さは、人の走るそれに比べれば圧倒的だ。
 ブルーはハンカチをひらひらと上下させ、余裕な態度でレッドの前から去って行く。
 ところが……ボヨ〜ンッ!

「きゃっ!?」

 カメールがいきなり、壁に激突する。
 否、それは壁ではなく、超巨大なポケモンの腹だ。

「こ、この子は……カビゴン!?」

 ブルーとカメールは激突した衝撃で、陸上に跳ね飛ばされていた。
 前方にカビゴンが立ちはだかり、すぐにレッドも駆けつける。
 これでは逃げようがない。

「そいつは、俺のポケモンだ。さぁブルー、よくも騙してくれたな!」

「クッ! カメちゃん、バブル光線よ!」

 やむを得ず、ブルーはレッドめがけて攻撃を開始。
 だがこれもヒットせず、レッドはいつの間にかカビゴンの肩の上にいた。

「なっ!?」

「へへ、悪いな。でも、トレーナーバッジ2つも持っている俺に戦いを挑もうなんて、ちょっと身の程知らずだぜ」

「(トレーナーバッジ……!?)」

 カントー地方には、凄腕のポケモントレーナーであるジムリーダーが8人いる。
 そのジムリーダーに実力を認められると与えられるのが、このトレーナーバッジなのだ。
 これを2つも持っているとなると、レッドはそれ相応の実力者である事を意味する。

「(真っ向勝負じゃ勝ち目なしね。でも……)」

 窮地に立たされても、プラスに物事を思考できるのがブルーの長所。
 彼女はすぐに、作戦を変更する。

「(よし、これだわ)」

 ブルーは、そのまま走って逃げ去ろうとする。
 いや、そう見せかける。

「くっ!」

 追い詰められたような仕草で、ブルーは逃げだした。
 しかし、これこそブルーの作戦だ。

「(こうして逃げるように見せれば、必ずそれを阻止してくるわ。けど、それが私の作戦。何しろ貴重なトレーナーバッジ……あれは、どんなお金にも変えられない代物だもの。やられたふりをして、奪い取ってみせるわ!)」

「逃がすか! お仕置きしなけりゃ分からないようなら……ゴン、メガトンパンチだ!」

 案の定、レッドはブルーの足止めにかかった。
 メガトンパンチで地面を割り、それにブルーを巻き込ませて逃走を食い止める。

「きゃっ!(えっ、ウソ!? ちょっと、いくらなんでも威力でかすぎ……)」

 少々の誤算が発生したのは、ブルーの想定外だったらしい。
 しかし、作戦に支障はない。

「(とにかく悲鳴をあげて、気絶したふりを……!)いやぁぁぁん!」

 こうして地面の割れ目に落ちたブルーは、そのまま倒れて目をつぶる。
 もちろん気絶したふりをするだけで、実際には意識はあるようだ。
 そこへレッドがやってきて、倒れているブルーに近づいてきた。

「やれやれ。とにかく金は返してもらうぞ。まぁ、そのうち目を覚ますだろう」

 レッドは彼女の財布から、先ほど支払った分だけのお金を抜き取ると、ブルーを残してその場を後にする。
 だが、この時すでに、ブルーの作戦は完了済だった。

「……ふふふっ」

 ニヤリと笑みを浮かべるブルー。
 その手には、レッドから奪い去った2つのトレーナーバッジが握られていた。
 もちろんレッドは、全く気付いていないだろう。

 冷静に考えると、凄い技術である。
 奪い去ったのはもちろん、レッドがお金を取り戻すべくブルーに近づいた一瞬の間しかありえない。
 その間の、わずかにレッドの注意がそれた瞬間を狙い、気付かれないよう奪い去ったのである。
 しかも実は意識がある事にさえ、レッドは気付いていない。
 目を閉じ、気絶を装ったままで、ブルーは大胆かつ的確なスリ行為を見事に達成したのであった。

「やれやれ、一時はどうなるかと思ったけど。こうして貴重な品を手に入れられたんだから、結果オーライよね」

 美しく煌くトレーナーバッジを眺めながら、ブルーはうっとりしつつ呟いたという。

 

 

 

 このようなブルーの大胆かつ見事な手口は、これに留まらない。
 彼女が連れたカメールも、元々はオーキド博士の研究所から盗んだポケモンなのだ。
 ブルーの技術は、はっきり言って大人顔負けの精度を誇っていた。
 そして、ついにはとある組織からとんでもない物まで盗み出す。

「…………。オッケー、気付かれてない」

 ロケット団という悪の組織である連中の、秘密基地内にまで潜入したブルー。
 彼女が忍び込んだ先で発見したのは、『ミュウ 生態・行動記録データ』と書かれた1枚のディスクだ。

「ふふふっ、やったぁ。これさえあれば、あの幻のポケモン、ミュウちゃんが私の物に!」

 こうしてブルーは、組織から1つの重要データディスクを盗む事に成功。
 しかしこれが、思いもよらぬ展開へと進む事になろうとは……今のブルーは知る由もない。

 

 

 

 後日。
 ブルーはカメールと共に、タマムシシティ内で露店を開いていた。
 しかし、これがまたサッパリ売れない。

「なかなか客も来ないわね、カメちゃん?」

「ぐわ〜おっ」

 ところが、そんな彼女へ。
 いきなり真横から、声をかける者がいた。

「よぉ、ブルー。何やってんだ?」

「きゃあっ!? なっ、なななっ……レッド!?」

 相手は、先日ブルーが騙した相手だった。
 それは普通に考えれば報復されてもおかしくない訳だし、当然ブルーもそれを警戒する。
 しかし、どうやらレッドにその気はないらしい。

「またまがい物売ってるのかよ。人が来ないの、その為なんじゃねぇか?」

「か、関係ないでしょ! 以前、私に『騙された』クセに」

「結局お金を取り戻されたのはどこの誰だったっけ〜?」

「けど私だって、タダで転んでる訳じゃないわよ?」

「……? あ゛ぁ゛ッ! お前それ、俺のグレーバッジとブルーバッジじゃねぇか」

 などと、2人はたわいもない(?)会話をしばしする事になる。

「そういう事してなきゃ、結構かわいいと思うんだけどな……」

「な゛っ!? 何よ、突然!!」

 そのレッドの言葉は、完全にブルーの予想を超えたものだった。
 自分から相手に言わせるよう仕向けたなら、別にどうという事でもない。
 だがこの時、レッドは自らブルーに対して言ってきたのだ。

「(……馬鹿みたい。なんで私、こいつとこんな話してるんだろ)」

 レッドは、決して友達でも仲間でもない。
 ブルーがそのような感情を持つのは、至極当然の事だった。

 だが……それからしばらく後、事態は急変する。

「あ、いらっしゃ……っっ!!? や、やっばぁ……」

 ブルーは客が来たかと思い、最初に売る側としての挨拶をした。
 だが、やって来たのは客ではない。
 彼女がミュウのデータディスクを盗んだ相手である組織、ロケット団だった。

「へっへっ。やっと見つけたぜ、小娘」

 当然、ロケット団の目的はミュウのデータディスクを取り戻す事。
 ブルーは試しにとぼけてみたりもしたが、やはり通じなかった。

「(ま、まずいわね……どうにかしなきゃ。せっかく手に入れたミュウちゃんゲットの手がかりを、そう易々と返す訳にもいかないものね)」

 ブルーにも作戦はあった。
 いざという時、逃げ道確保の為に予め準備していた事があったのである。
 一方レッドも敵の存在に気づき、話をしている様子。
 タイミングを図るには、絶好の機会だった。

「(よ〜し、これなら)」

 今この場にいる、誰もが予想もしていないだろう。
 彼女が立っている位置の、後ろに存在する壁。
 それが実は、ブルーのポケモンであるメタモンの変身によって作られた、見せかけの壁である事に。

「今よ、メタちゃん!」

 ブルーの合図と共に、メタモンは変身を解いた。

「なっ!?」

 レッドもロケット団も、不測の事態に唖然とした様子。
 ブルーはすばやくメタモンをボールに戻すと、駆け足で後ろにできた逃げ道から逃走を試みる。

「何をしてる! 早く追いかけろ!」

 もちろんロケット団も、すぐに後を追いかけて来た。

「はぁっ……はぁっ……(どうにか、逃げ切らないと)」

「ちっ、小娘のクセに足の速い。おい、そこのお前は基地に戻って応援を呼んでこい。俺達はその間に、こいつを行き止まりにまで追い詰める」

「(!? やっばぁ……)」

 やはり、人数的に不利なところがあった。
 それでもブルーは随分と上手く逃げ続けたのだが……。

 

 

 

 ……やがてブルーは、文字通り崖っぷちにまで追い詰められた。
 応援も呼ばれ、ロケット団員の数は更に膨れ上がっている。
 真っ向勝負をするには、あまりに多勢に無勢だ。

「(困ったわね……。ぷりりで空を飛んで逃げるにしても、フワフワとしか飛べないから簡単に撃墜されちゃう)」

「ククク、もう逃げられないぜ。観念するんだな」

「(……上等じゃないの! それなら、私だって!)」

 ブルーはデータディスクを取り出すと、カメールへパスする。
 カメールはそのディスクを、そのまま口に入れて飲み込んでしまった。

「んなっ!?」

 ロケット団員は、ブルーの想像しなかった手段に驚く。

「これで、本気で戦えないわよね。下手に衝撃を与えたら、ディスクが壊れちゃうもの」

「な、何て事を……。とにかく、ディスクを壊さぬよう手加減しながら攻撃だ」

「あ〜ら、手加減したままで私に勝てるかしら? カメちゃん、バブル光線!」

 確かに、ロケット団のポケモン達じゃ途端に動きが鈍くなった。
 ディスクを無事に取り戻さねば意味がないため、徹底的に攻撃する訳にもいかない。

「くそっ、小癪な真似を!」

 だが、その後がよくなかった。
 ロケット団のポケモンの1匹がカメールの腹部に攻撃すると、むせて咳込んでしまったのだ。

「がうッ!? ぐっ……けほ!」

「……あ゛」

 咳と同時に、ディスクは外に出てしまった。

「よし。これならもう、手加減する必要はない! やれ」

「やばっ、選手交た……」

 すかさずポケモンチェンジをしようとするブルー。
 だが……バシっ!

「……!!?」

 ブルーの腰に装着されていたモンスターボールが、敵の攻撃に弾き飛ばされた。

「ははっ、ユンゲラーの念力だ。ポケモンを繰り出させはしないぞ」

「そ、そんな……」

「俺達をおちょくった報いだな。観念しろ!」

 さすがに、絶体絶命だった。
 ブルーの頭の回転と相手を騙す技術は、確かに優れたスキルだったに違いない。
 でも、今度こそ……。

「(やられるっ!?)」

「おい、ブルー!」

「……!」

 そこへ、またしてもあの声が聞こえてきた。
 毎度毎度、突然な声と共に現れる少年……レッドである。

「え、レッド?」

 思いもしなかった助っ人の登場に、ブルーは驚く。
 それでもこれは、彼女に与えられたチャンス。

「(た、助かったぁ。よ〜し、こうなったらレッドに頑張ってもらうわよ!)」

 これならいける。
 ブルーはそう確信した。

「何にしても、あのロケット団員達を全滅させるぞ。ブルーも、戦えるよな?」

「オッケー♪」

「ぐぬぬ……ナメたガキ共だ。オニドリル、痛めつけてやれ!」

 だが、救いが来たと思ったのは、ほんのひと時に過ぎなかった。
 この瞬間、ブルーの世界が脆くも崩壊し始める。

「なっ!? と……鳥っ……!?」

「ん? ブルー、どうした?」

 レッドの声も、もはや耳には届かない。

「あっ……あぁっっ……!!」

「おい、ブルー! 一体、どうしたんだよ?」

「いやっ……いやあああっっ!!」

 忌まわしい過去の記憶が蘇り、ブルーの精神を蝕んでゆく。
 鳥……その存在は、ブルーにとってトラウマなのである。
 こうなるともはや、どうする事もできない。
 ブルーは誰かに抱きしめられた気がしたが、平静を保てない中でそれを認識する事は不可能。

 ……こうして、ブルーの意識は途絶えてしまった。

 

 

 

「……ん?」

 目が覚めると、すでに日が暮れかけていた。

「気がついたか?」

「……レッド」

 意識を取り戻し、すぐ声をかけたのが彼だった。
 ロケット団の姿はもう、1人も見当たらない。
 ブルーの横では、心配そうに彼女を見つめる、手持ちポケモン一同の姿がある。

「みんな……。心配かけさせちゃってごめんね。もう大丈夫よ」

 カメール達に、ブルーはゆっくりした口調で話した。
 ポケモン達は彼女にとって、何よりもかけがえのない大切な仲間だ。
 自分を気にかけてくれた事が、ブルーは嬉しかった。

「平気そうか?」

「うん。レッドもその……あ、ありがと」

「いや……それよりもさ」

 ブルーがもう大丈夫だと分かったレッドは、別の話題を切り出す。

「え?」

「お前のカメールさ。もしかして……オーキド博士の研究所から盗んだ、ゼニガメだったりするのか?」

「!!?」

 どうしてそれを!?
 ……という気持ちが、もろに表情に表れてしまった。
 もちろんレッドにとっても、それは一目瞭然。
 いきなり指摘された事に、ブルーは冷静な態度をするのが完全に遅れてしまった。

「ち、違うわよ! 何言ってるの」

 それでもブルーは、慌てて否定する。
 はっきり言って、罪を指摘されるのには慣れている。
 だが、今となってはカメールは自分の大切なパートナーなのだ。
 もしも自分が犯人だとバレれば、万全ではない今のブルーから、レッドがカメールを強引に奪うのは簡単な事。
 それが、何よりも恐ろしかった。

「……ふ〜ん」

 だがレッドは、意外な程あっさり聞き入れた。
 これにはブルーも「あれ?」っと、きょとんとした顔になる。

「……じゃあ、これから言うのは独り言だ。無視してくれ」

「え……?」

「オーキド博士な。盗まれたゼニガメを育てるのは、そいつに任せるってよ。まぁポケモン自身も決して悪い育て方はされてないみたいだし、無理に取り戻さない方がポケモンにとっても幸せなんじゃないか……ってな」

「……!」

 もちろんブルーにとっては、この上ない話である。
 それ以上に、あまりに意外な事過ぎて信じられなかった。

「レッドが……頼んでくれたの?」

「…………。だから、独り言って言っただろ?」

「レッド……」

 理由はよく分からない。
 だが彼女は、カメールと一緒にいる事を正式に認められたのだ。

 ……その時ブルーには、ある不思議な感情が芽生え始めていた。

 

 続く

 

 レブルストーリーの2話目です。
 前回と合わせて読むと分かりますが、実はあちこちリンクしています。

 今後もレッド中心とブルー中心の、それぞれのストーリーで分けて書いていき、所々でつながってるようになる作品にしていこうかと考えてます。
 後は原作を意識したストーリーになったり、完全にオリジナルなストーリーになったり、というような点にも注目して頂ければと思います。

 最終的にはオリジナルが強い展開へとなっていくと思われます。

 

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