それは、もう変えられない一つの結末。
































 そこに辿りついた時には、全てが終わっていた。

 一面に広がる炎と、充満した死の臭い。

 いつか、どこかで見た風景。

 瓦礫に押し潰されて、大勢が死んだ。
 炎に焼き尽くされて、大勢が死んだ。
 必死に頑張ったのに、全員が死んだ。


 ――守ろうと思ったのに、誰一人救えなかった。

 

 

 

AntiHero

 

 

 

 気付いたときには、膝の力が抜けていた。絶望した体は、酷使させ続けた心に対して抗議するように、一瞬のうちに全身の気力を奪い去ってしまう。
 全身に装備できるだけ持ってきた武器たちも、出番に間に合わなかったことを責めるように満身創痍の身体にのしかかってくる。
 どうすればよかったのか。
 呆然と目の前を見つめる。何が足りなかったのか、何が間違っていたのか、どんなに思いを馳せても答えが見つけられない。
 胸を抉る痛みに、現実を思い知らされる。
 何一つ守れない。誰一人救えない。
 零れ落ちたものも、置き去りにしたものも、もう取り戻せない。
 気付くべきだった。叶うはずのない願い。届くはずのない理想。




 大事なものを喪って、大切なものを置き去りにしてまで、貫き続けた信念も――



 ――何の意味もなかった。







 傷ついた体も磨耗した心も――



 ――何も報われなかった。








 いつか、どこかで、心に焼きついた風景。

 そこで願った一つの奇跡は――



 ――もう二度と叶わない。






 





 だから、これが結末。必然の未来。
 流れた血潮は還らない。
 傷の痛みは決して消えない。

 ――失ったもの。
 ――零れ落ちたもの。
 ――捨て去ったもの。
 ――置き去りにしたもの。

 全ては二度と取り返せない。

 止まるべきだった。
 そうすれば、きっと―――


 ……だけど、心がそれを許さない。








 もう思い出せない、遠い記憶。
 追い続けていた姿も、交わした言葉も、既に磨耗した。
 でも、たった一つだけ覚えてる。
 いつか誓った約束。
 それだけは、たとえ、地獄に堕ちても決して忘れたりしない。









 だから……










「――――契約しよう……」



 誓いの言葉を紡ぐ。
 人の身に過ぎた理想。遠い日の約束。そして、いつか見た一つの奇跡。
 その全てを捧げ、その全てを背負い、ここに一人の英雄が誕生する。









 誰かが傷ついて欲しくないから。

 誰にも悲しんで欲しくないから。

 誰もが幸せであって欲しいから。












 もう取り返せない結末。それを二度と繰り返さないために、剣を取る。














 ……たとえ、その願いの果てに―――



















求めたものが、何一つなくても

 

[一言感想]

 まだどんな話なのかはつかめてませんが、暗いストーリーになりそうですね。
 (ここで掲載された中では)今までにないスタイルなので、楽しみです。
 主人公(?)はどうやら、自らを犠牲にすることで何かを成そうとしています。
 しかし経験上、自己犠牲により得られる力は不安定で、限界があるのを幾度も見てきました。
 逆に言うと、そこに彼(彼女かも知れないけど)が気づけるか否かも、1つのポイントになるのかも。
 第1話以降に、期待しましょう。

 

戻る