―――「ここはボクが戦います!!・・・レッドさんは逃げてください!!」―――


―――「いや、イエロー・・・お前は逃げるんだ!!」―――


―――「ここは俺とレッド先輩に任せろ!!」―――


―――「あなた・・・レッドさん・・・。・・・いやっ!!絶対に・・・イヤだ!二人だけ残して逃げるなんてボクにはできないよ!!」―――


―――「来るッ!!」―――


―――「なっ!?イエロー!?」―――


―――「きゃっ!助けて・・・」―――


―――「「イエロー!!!!」」―――

 

 

 

SECOND

 

 

 

 4:落下者


 シャカシャカシャカ・・・

 研究室の一室でヘッドホンから漏れ出す音が部屋の中に響く。
 その部屋の真ん中でソファにもたれてグラサンを額にかけた白衣の男が一名、口からだらしなくよだれをたらして寝ていた。
 右手にはポケモンの色違いのポケモンに関する資料を持っているが、左手には何かを持っていたような手の形をしていた。
 それはこの部屋の鍵であるが地面に落ちていた。

 ギィィィィ

 そんなところで部屋のドアを開く音がした。
 そして、白衣を着た女性が一歩、また一歩、彼に近寄って行った。
 そんな彼は気づかずにのんびりと寝ている。
 やがて、彼女は彼のヘッドホンを取った。

「うん・・・?」

 ヘッドホンを取られて、目をうっすらと開いたところで彼女が彼の耳に口を当てた。

「起きなさいッ――――――――!!」

 耳元で大きな声を出されたら、彼はずっこけるしかない。
 見事にソファから転げ落ちて、右手に持っていた資料を上に投げてしまった。
 だが、それを彼女はうまくキャッチした。
 資料はクリップで留めてあったためにばらけることはなかった。

「もう9時よ!!それにあんた一体どこで寝ているのよ!!」

「・・・9時?・・・朝の9時?しまった!!資料を見ながら寝てたのか!!」

「資料を見ながら寝たのは私にも経験があることだから咎めないけれど、このヘッドホンは何かしら?トキオ君?」

 ヘッドホンを取り上げて、女性はトキオを睨みつける。

「あ、そ、それは・・・最近発売した人気アイドルの『神木カナコ』・・・通称『ゴット・カーナー』の新発売した曲で・・・『カナちゃんが倒せない』というセカンドシンg・・・」

「そんなこと聞いていないわよ!!資料室に音楽を聴きながら入るというのはどういうことかと聞いているのよ?」

「あ・・・これは・・・そのー・・・」

 慌てふためくトキオ。

「ごめんなさい・・・ルーカス姉さん許してください」

「二度とこういうことは慎みなさいよ。まったくトミタ博士はトキオを甘やかすんだから!!」

 そういう彼女もこの資料部屋で・・・・・・

「ギロッ」

 何でもありません・・・(ぁ)










 ここはマングウタウンのトミタ研究所。
 ノースト地方の最大といわれる研究所である。
 そこには遺伝子レベルで主に色違いや亜種のポケモンを研究するトミタ博士。そして、2人の助手がいた。
 その助手の1人は8年前にこのマングウタウンを旅立ち、ノースト、ホウエン、ジョウトの大会を制してポケモンマスターになったといわれる少年の姉、ルーカス。
 そして、ポケモン研究者になるべく、トミタ研究所に居候しているトキオである。
 トキオは2年前のダークスターの騒動以来、この研究所に落ち着くことにした。
 それは、もともと研究者になりたかったからでもあるが、別の理由が一つあった。

「ルーカスさんが美しいから・・・」

 だそうだ。
 しかし、彼はこの2年でわかったことがある。
 美しいものには毒があるということを。





 トキオは毎日をポケモンの生態に関して勉強していた。
 しかしこれはそんなときに起きた出来事だった。










 トキオは研究所のはずれにある草原で本を読みながらP☆DAをヘッドホンにつなげてラジオを聴いていた。
 え?P☆DAでラジオが聴けないって?それは後に語るので流してください。(何)
 とりあえず、彼は休憩中で休んでいるようだった。

「う〜ん・・・ナツキちゃんもグラマーで天然でいいけれど、やっぱり本命は『ゴット・カーナー』の歌だなぁ」

 ヘッドホンを取り外して、伸びをする。
 ついでに手を伸ばし、腕を伸ばし、体を倒したりとストレッチ運動をした。
 ちなみに彼は体が固かった。 

「余計なお世話だ」

 そんなこんなで彼は立ち上がって空を見る。

「うん。いい天気だ」

 と思った次の瞬間。
 トキオの顔に髪の毛がかかった。

「え?何だ・・・?ぐわっ!!」

 トキオはそれだけしか反応が出来なかった。
 無理もない。それだけ急なことだったのだ。
 ズドン!ドガン!と音を立ててトキオは潰された。
 
「・・・っつつ・・・誰だよ・・・あ゛ーーー!!」

 今の衝撃で、P☆DAにひびが入ってしまったのだ。 

「ラジオ聴けないじゃないか!!どうしてくれるんだお前!!」

 突然のしかかってきた奴をのけて、トキオは文句を言う。
 
「オイ!!何とか言ったらどうだよ!!」

 しかし、その人物は気絶しているようで反応がなかった。

「ったく・・・何だって言うんだよ・・・」

 ふと、トキオはそいつが被っている帽子が気になって取り上げた。

「麦藁帽子を被っているやつなんて珍しいな・・・・・・え゛ーーー!?」

 呆然とした。
 そう、帽子を取ったら、可愛いポニーテールが姿を現したのだ。

「こ・・・この人・・・女性!?」
 
 トキオは驚いていた。なぜなら、ポニーテールがなければ、女性だと分からなかったからだ。
 でも、これって逆に言えば、この人は女らしくないということ??

「いや、俺に聞くなよ!!それよりも・・・」

 慌てて、トキオはルーカスに知らせることにしたのだった。
















 5:イエロー・デ・トキワグローブ


「ボクはイエロー・デ・トキワグローブといいます」

「イエロー・デ・トキワグローブ・・・」

 応接間の一室。
 そこにトキオ、ルーカス、そして、落下してきた女性のイエローがそこにいた。

「え・・・?ボク?・・・もしかして、ボクっ娘!?」

「そんなことどうでもいいからね」

 どこからか取り出したのかルーカスがかなづちでトキオを軽く小突いた。
 まともにそれが入ってトキオはあっけなく気絶した。

「トキオから空から落ちてきたと聞いたけど、あなた一体どこから来たの?」

「それは・・・・・・よく分からないんです」

「どういうこと?覚えていないの?」

「どうやってここに来たかが分からないんです」

「つまり、そのとき何があったかが分からないということね・・・」

 ルーカスはため息をついた。

「ジュンサーさんに届けた方がいいかしら・・・?」

「ジュンサーさんって誰です?」

「え?」

 ルーカスはイエローを見た。

「ジュンサーさんは全国各地どこにでもいる同じ顔をした婦警さんよ!?」

「全国各地・・・いいえ。ボクの知っているトキワシティにそのような人はいません。いえ、トキワシティだけじゃありません。どこの街を行ってもそのような人はいません」

 ルーカスはピトッとイエローの頭に手を置いた。

「・・・熱はないわね・・・でもどういうこと・・・?」

「まさか!!」

 突如、かなづちで殴られたトキオが復活した。

「別の世界から来た人なんじゃないの!?」

「・・・トキオ、あんた一体何を言い出すの?熱でもあるんじゃない?」

「いや、まじめに言ってるんだよ!そのままの意味さ!前にカレンに聞いたんだが・・・」

 説明は不要だと思うけど一応:カレンはトキオの妹である。
 現在は実家のオーレ地方のアゲトビレッジでまったりとした日々を過ごしているはずである。

「・・・2年前、ダークスターと戦ったときに別世界の人間とバトルしたことがあるって。そいつらは凄まじい力を持った連中だったって。確か、『リュウヤ』と『ナポロン』とかいったな。『リュウヤ』は確かに俺も一度だけ戦ったことあるけど、とてつもない強さの奴だった」

「つまり、イエローさんも別の世界から来たんじゃないかということ?」

「その可能性が高いんじゃないかということさ」

 イエローは2人の話をキョトンと聞いていた。

「イエローさん・・・何か身元の分かるものとかポケモンとか持っていません?」

「ポケモンなら・・・」

 イエローは腰につけてあったサイドバックを外して見せた。
 そこにはモンスターボールがセットされていた。

「あれっ?このモンスターボールは中身が透けて見える?」

「つまり・・・この世界とボールの造りが全く違うみたいだね」

 トキオは自分の持っていたモンスターボールと照らし合わせてみた。
 自分のボールは中身が見えないようになっていたが、イエローのモンスターボールははっきりと識別できるようになっていた。
 中身はお花を頭につけた可愛いピカチュウにドードリオ、オムスター、ゴローニャ、バタフリー、ラッタである。

「あっ・・・」

 ふと、イエローが手を入れた懐から一枚の写真がひらひらと舞って地面に落ちた。
 ルーカスはその写真を拾い上げる。

「え?・・・イエローさんって子持ちだったの!?」

「はい。息子の写真です。今探しているんです」

「『今探している?』」

「行方不明になってしまったんです」

「一体どうして・・・?」

「分からないんです・・・。丁度1歳になったころでした。そのときにふと姿を消したのです」

「まさか・・・」

「誘拐!?」

 ルーカスとトキオは顔を合わせた。

「ボクもそう思って、警察に届け出たり、みんなで探したりするようにしました。でも、見つかりませんでした」

「だから・・・探しているんだ・・・」

 ルーカスが写真をイエローに返そうとすると、横からトキオが割って入ってその写真をとった。

「で・・・その子の名前はなんて言うの?」

「名前はエース。エース・デ・トキワグローブです」

「エースって・・・あのエース・・・?」

「え?トキオさん知っているんですか?」

「いや・・・違うか・・・」

「何よ!トキオ!びっくりさせないでよ!」

「(だって・・・おかしいじゃないか・・・。こんなことあるはずない・・・)」

 トキオは少し考えてから、イエローに例の写真を返した。

「この写真って、一体いつの写真ですか?正確に何年前の写真ですか?」

「この写真はエースが1歳になったときの写真なの。だから・・・10年前の・・・え?・・・あれ?11年前・・・?14年?・・・うっ・・・」

「イエローさん!?」

 イエローは突然頭を抱えて倒れた。そして、気持ち悪そうに口を抑えていた。

「とりあえず、こっちに!!」

 ルーカスは急いでイエローを連れて行った。どこに行ったかはいうまでもなし。

「・・・・・・不可解な点はあるけれど、一応ライトには連絡を入れておこうか・・・」















 6:襲撃者&???


「トキオ・・・何やってたの?」

「一応、ライトちゃんに連絡取っていた。彼女、エースを探していたから。手がかりがあれば連絡するという口実で連絡先を教えてもらったから約束は果たさないとな」

「ふーん」

「でも、出なかったから、メッセージだけを残した」

「・・・で、例のエースとの連絡は?」

「エースの連絡先はわからない」

「女の子の連絡先は把握しているくせに」

 ルーカスが皮肉る。

「そんなこといったって、知っていても同じだと思うぜ。ヒロトと同じさ」

「・・・そうか・・・」

 ヒロト・・・ルーカスの弟である。2年前の事件から、ルーカスは彼に連絡を取ろうとしたが、彼は通信手段を持たずにどこかへと消えていってしまったのだ。
 ヒロトと同じとはエースもまた自ら行方をくらましたから連絡がこちらから取れないということを示すのである。

「イエローさんは?」

「今、私の部屋で休ませているわ・・・あ、トキオ、入っちゃダメよ」

「ギクッ!・・・イヤだなー!そんなことするはずないじゃないですか!!(汗)」

「その”ギクッ”と大量の汗と下心は何かしら?」

「下心なんて持っていないですよ!!ただ興味があるだけ・・・あ」

 バキバキバキ!!
 一撃必殺!!トキオは倒れた!!

「全く・・・こんなときに余計な体力使わせるんじゃないわよ!ただでさえトミタ博士が学会の発表で不在で忙しいのに!!」

 イエローが訪問したことは余計なことじゃないらしい。
 余談だが、トミタ博士は学会の発表で一週間は戻ってこないらしい。





 そして、3日が過ぎた。(早ッ)





 ピンポーン!!

「誰かしら?」

 ルーカスは返事をして研究所のドアを開いた。
 すると、そこにはとっても身長が高い男が立っていたのだ。
 大体、2メートル・・・いや、それ以上あった。

「ここに・・・”イエロー・デ・トキワグローブ”はいますか?」

「(な・・・何こいつ・・・?)」

 ルーカスはその男の声を聞いて寒気がした。
 そしてルーカスの直感が告げた。
 こいつにイエローを会わせてはいけないと。

「イエローなんて知りませんよ。お引取りください」

 男はルーカスを見下ろした。まるで目で射殺すかのように。

「ふわぁ・・・ルーカス姉さん・・・だれ?こんな朝早くから・・・・・・ってデカッ!!」

 トキオのその男の第一印象だった。いや、そのままである。
 トキオの身長は一応179センチあった。しかし、その男はそれ以上あるのだ。無理もない。

「あなたに聞きましょう。”イエロー・デ・トキワグローブ”はいますか?」

 ルーカスは首を振っているが・・・

「あ、お前、イエローの知り合いなのか?イエローならいるぞ?」

「そうか・・・」

 男はにやっと笑った。

「あがらしてもらうぞ!!」

「待ちなさい!!」

 ルーカスは男の腰を掴んで引き止めた。

「トキオのバカッ!!素性も知らない男に情報やるんじゃないわよ!!」

「ごめん!!」

「邪魔をするなら容赦はしないぞ!!」

「え!?」

「うわっ!!」

 ルーカスとトキオは何かの風を受けて吹っ飛ばされてルーカスは外の庭にトキオは部屋の壁に吹っ飛ばされた。

「まさか・・・そいつの拳圧か!?」

 男の出したポケモンは、豚ザルポケモンと呼ばれるオコリザルだ。
 
「イエローを連れて行かせていただく」

「そんなことさせねぇ!!『サイコキネシス』!!」

 トキオはハイパーボールからポケモンを繰り出して、男とオコリザルを庭へと吹っ飛ばした。
 しかし、奴らは何の同様もなく着地。ダメージはそれほどないようだ。

「ラティオスか・・・。一介の研究員がまさかそれほどのポケモンを持っているとはな」

「これでも、俺は名の知られたポケモントレーナーなんだ!行けッ!!もう一回『サイコキネシス』だ!!」

「フォオー!!」

 強力な超能力を起こして衝撃波を繰り出した。

「その程度なのか?」

「何!?」

 ジャンプしてかわすとオコリザルの上からの拳圧がラティオスに炸裂した。

「ラティオス!?」

「いくら伝説のポケモンを繰り出そうが、トレーナーがそのレベルでは話にならない」

「うるさい!!『竜の波動』!!」

「無駄ですよ」

 簡単に攻撃をかわされて、今度は後ろを取られた。

「そう何度も引っかかるかよ!!『ドラゴンクロー』!!」
 
 バキッ!!

 オコリザルの拳とラティオスの攻撃が激突した。そして、お互い吹っ飛んだ。
 しかし、オコリザルの方が体制の立て直しが早かった。
 ラティオスが吹っ飛ぶ衝撃から開放されたとき、オコリザルの拳がラティオスの目に写った。そして、顔面を殴られて気絶させられた。

「ラティオス!!」

「少しはやるようだけど、この程度だな」

「くっ・・・ルーカス姉さん!!」

 トキオはルーカスの様子を見たが、最初の攻撃で吹っ飛ばされて気絶させられていた。

「(ちっ!ルーカスさんの手助けは期待できない・・・)まだだ!!エアームド!ジュゴン!」

 エアーカッターと冷凍ビームを同時に放った。

「無駄だ」

 攻撃は巧みなフットワークで簡単にかわされて、接近されて今度は2匹同時に拳圧で吹っ飛ばされた。

「くっ!!まだだ!!」




















「ごめんくださーい!!」

 トキオがノッポな男と戦っているころ、1人の女性が裏口から呼びかけていた。
 彼女の服装はピンクのカーディガンを着て、白いロングスカートを履いていた。髪型は色が黒でお尻の辺りまでの長さがあるロングヘアだ。そしてその先端を少し大きめなゴムで束ねていた。

「あら?ここ・・・チャイムがないと思ったら裏口でした・・・」

 おっとりとした口調で、1人でボケる。
 もしかしてわざとやっていないか?

「そんなことありませんよぅ・・・ええと、表口はこちらでしたね・・・」

 知っていたということはやっぱりわざとじゃ(汗)
 そんなこんなで、彼女は白いロングスカートがはためかないほどゆっくりとした遅さで表へと回って行った。




















「ガルーラ!!ヘルガー!!」

 わずか5分でトキオの残りのポケモンは一体になってしまった。

「つ・・・強い・・・強すぎる・・・」

「強い・・・?違うな。お前が弱いんだよ」

「何だと!?」

「現に俺は一度もこいつに技を出させていません」

「え?」

「こいつが放ったのはただのパンチだ」

「・・・嘘だろ・・・ただのパンチが『真空波』レベル・・・いや、それ以上だと!?」

 『真空波』は格闘系タイプの先制攻撃の技である。
 それは拳に乗せて打ち出す技であり、遠距離系としての役割も十分あった。

「残りはその手に持っているポケモンだけみたいだな・・・。敵わないとわかっていてもやる気か?」

「くっ・・・」

 トキオは唇をかんだ。
 最後のポケモンは切り札のサンダースだ。
 簡単には負けないとは思っていた。しかし、同時に相手のポケモンを全滅させるだけの力は持っていないと分かっていた。
 技も出してない上に、まだ未知のポケモンが少なくても5匹いるのだ。

「おとなしくイエローに会わせてください。そうすれば、何の危害も加えないのですよ」

「(奴はそういうけど・・・・・・イエローさんを連れて行かせるわけには行かない・・・!!)」

 トキオは覚悟を決めて振りかぶった。

「やる気か・・・」

「行け!!サンダーs」

「トキオさん!!ようやく見つけましたー」

 ズゴーー!!

 トキオは予想外の言葉にずっこけた。

「あれ?バトル中でしたか・・・」

 やわらかくおっとりとした特徴のある声、または側にいる人を和ませるような優しい声で状況を把握しようとする。
 その女性は先ほどまで間違えて裏口から入ろうとした女性だ。
 
「お・・・オトハさん・・・なぜここに!?」

「何故って・・・理由もなく来てはいけないんですか・・・?」

「い、いえ!そういうわけでは!!」

 あたふたとトキオは言う。

「オイ・・・お前は何だ?」

「私・・・ですか?」

 オトハは手をそろえて丁寧にお辞儀をする。

「踊り子のオトハです。よろしくお願いします」

「いや、オトハさん!!のんびりと自己紹介している場合じゃないから!!」

 あらかじめ紹介しよう。
 彼女も2年前のロケット団との戦いに参加していた。踊り子姉妹の姉である。

「お前も邪魔をする気ですか?」

「邪魔って?」

 右手を後ろに回して左手を掴んだ体制で首をかしげて聞き返す。
 この体勢はオトハの癖らしい。でもこの癖のおかげで背がきっちりと伸びてキレイに見えて、スリムな腰と大きな胸が強調されるようだ。

「実は・・・」

 トキオは事の顛末を分かりやすくオトハに説明した。

「そうなんですか・・・。それじゃ、私がトキオさんの代わりにあの人とバトルしますか?」

「・・・え!?何でそうなるの!?オトハさんじゃあの人には・・・」

「面白い・・・オコリザル!!やれ!!」

 先ほどと同じく、オコリザルは拳圧をオトハに向けて飛ばした。

「危ない!!」

 トキオはそういうが、オトハは動じなかった。
 その攻撃は当たらなかったのだ。

「まさか・・・当たらないのを分かっていたのか・・・」

「当たらない攻撃をよけるなんてことはしません」

「そうか・・・面白い・・・少なくても、そこの白衣の男よりはやりそうだな」

「え゛」

 トキオの意思にかかわらず選手交代となった。(爆)

「次は当てますよ!!」

 再び、オコリザルは拳圧を放った。
 オトハはボールを持って構えた。
 拳圧がオトハに向かっていった。しかし、勢いよくボールから飛び出してきたポケモンによってそれはかき消された。
 そして、そのままオコリザルにぶつかっていった。いや、ぶつかる瞬間なんて見えなかった。まさに一瞬だ。
 そのままオコリザルをぶっ飛ばした。

「な・・・何が起きたんだ!?」

「・・・マリルの『アクアジェット』か・・・」

 男がポケモンを見てつぶやいた。

「正確には『アクアジェット』のスピードと『捨て身タックル』の威力を合わせた技です。技の名前はまだありません」

「まさか・・・オコリザルを一撃で倒すだけの力があるとはな・・・正直びっくりした」

 と、男は言うがオコリザルは起き上がった。そして、気合を最大限にまで高めた上に怒りも最大限にまで高めていた。

「『こらえる』・・・『きあいだめ』・・・そして、特性の『怒りのツボ』ですね。急所狙いで一撃で倒したつもりでしたが・・・うまくいきませんでしたね」

「ふっ!やれ!!」

「マリル!!」

 両者、電光石火級のスピードでぶつかっていった。そして、両者ダウンした。

「やるな・・・」

「あなたこそ・・・」

「少しお前を侮っていた。そして、お前の強さに敬意を示してお前を倒す名前を教えよう。俺の名前は『TSUYOSHI』!」

「ツヨシさんですね」

「違う!!決して、ツヨシでも、つよしでもないからな!ローマ字でTSUYOSHIだからな!」

「いや、そこは俺たちには関係のない説明だろ(汗)」

 トキオたちに関係なくても、俺が関係あるのだ。(ぁ)

「行くぞ・・・」

「どうぞ・・・」

 TSUYOSHIが次のポケモンを繰り出す。シザリガーだ。
 しかし次の瞬間・・・

「『フラッシュ』!!」

 一瞬の光が全てを包み込んだ。光が消えた一瞬でシザリガーは倒されていた。

「なっ!?」

「い、一瞬!?」

「さぁ、次は何ですか?」

 オトハの隣にはのんびりと浮かんでいるバルビードの姿があった。

「どうやら、本当に本気で行かないといけないらしいな・・・ドクケイル!!」

「もう一度『フラッシュ』!!」

「同じ手はくわない!!」

 フラッシュが終わったとき、ダウンしていたのはバルビードだった。

「どうです!?」

「もう次の手はうってあります!!」

「右・・・?左・・・?後ろか!?」

 いや、TSUYOSHIの読みは全て外れていた。攻撃は地面からだったのだ。地面から出てきたマッスグマがドクケイルを噛み付いてそのまま叩きつけたのだ。

「次ッ!!ハンテール!!『アクアテール』!!」

「マッスグマ!!」

 よける指示を出す。しかし、かわすことが出来なく、あっけなくマッスグマはダウンしてしまった。

「・・・ドクケイルの『痺れ粉』を受けていたのね・・・」

「よく分かったな」

「状況判断はバトルで常識です」

「そうか・・・うん?日差しが・・・」

「『ソーラービーム』!!」

 ハンテールに苦手属性の攻撃・・・草タイプの攻撃が命中して一撃で倒れてしまった。

「・・・まさか、あのマッスグマ・・・『あなをほる』攻撃に入る前に『にほんばれ』を発動させていたな・・・」

「ふふ・・・ちなみにマッスグマを出したのはバルビードの最初のフラッシュのときです」

「なかなか、攻撃を組み立てているな・・・だが!『ミサイル針』!!」

 速攻でハリーセンを繰り出した。しかし、オトハの草ポケモン、ロズレイドが針を全て手の花でなぎ払った。

「もう一度・・・『ソーラー・・・」

「させない!!『大爆発』!!」

 ロズレイドの目の前にまで来て大爆発を決めた。そう、ミサイル針を打ちながら接近していたのだ。

「・・・残り一匹ですね」

「・・・ふっ・・・」

 2人はボールを構える。

「(な、何だよこの二人の戦いは・・・ありえないほどの早さ・・・ありえないほどの強さじゃないか・・・)」

 トキオはただただ唖然としていた。

「あなたはよくやった。しかしこいつで終わりです」

 最後に繰り出したのは、体全体が丸っこく、ピンク色で長い舌を持ったポケモン、ベロベルトだった。

「それはやってみないとわかりませんよ」

 にこっと笑って、オトハが出したのは卵を抱えたポケモン、ラッキー。そして、出てからすぐに、卵をジャグリングして、連続で放り投げていった。連続の卵爆弾である。
 ベロベルトは目をカッとして、その攻撃を受けた。
 卵はどんどん爆発していき、ベロベルトを爆煙で包み込んだ。
 しかし、爆煙はすぐに吹き飛んだ。体を回転させて全てを受けたのである。

「そんな攻撃は効かない」

「やりますね」

「ベロベルト!やれッ!!」

 ドリルのように回転し、突進のように突撃してきた。
 ラッキーはそれを受け止めようとして弾き飛ばされた。その攻撃はオトハにまで飛んできた。
 しかし、その場からジャンプして飛ぶように離れて攻撃を余裕でかわした。
 さらにボールをかざしてラッキーを戻した。

「この攻撃をかわすとは・・・」

「私はかわすことだけがとりえですから。それにしても強いですね」

「当たり前です。手持ちの中で最強のポケモンですから」

「それなら、私も手持ちの中で最強のポケモンを出します」

 最後のボールを取り出すと、中から出てきたのはシャムネコポケモンのペルシアンだった。
 そして、すぐに消えた。

「!!(速い!だが・・・)」

 『猫騙し』を繰り出すペルシアン。しかし、ベロベルトは回転して、攻撃を弾き返した。

「!!(防がれちゃった!?)」

「『メガトンパンチ』!!」

 ペルシアンは攻撃を弾き返されながらも、着地して体勢を立て直した。だが、もうそこにはベロベルトの攻撃が迫っていた。

「決まりだ!!」

「(いえ、これならかわせます)」

 オトハの思ったとおり、ペルシアンは飛び上がり、持ち前の柔軟性を生かして攻撃をかわした。まるでムーンサルトのようにしなやかだ。
 そして、後ろ足で着地して、脚をバネのようにしてベロベルトの隙を狙って勢いよく切り裂いた。
 ベロベルトとすれ違いになり、ズサーッと前足で着地した。だが、ペルシアンとオトハはまだベロベルトから目を離さない。

「あの攻撃を耐えるとは思いませんでした」

「この程度の攻撃ではやられない・・・んっ!?」

 しかし、TSUYOSHIのセリフの後、ベロベルトはよろけて、膝をついた。

「どうやら、意外にも効いているな・・・。勢いをプラスした切り裂くだと思ったのですが・・・」

「いいえ・・・そのとおりですよ」

「(通常技だけでこの威力とは・・・思ったよりもこの女とペルシアンは強いらしい・・・。あの技を使うか・・・)ベロベルト・・・例の技です」

「ベローン!!」

 ベロベルトは右手を後ろに左手を前に出して、前かがみになった。

「・・・(突進系の技かしら・・・?)」

「『ジャイロドリラー』!!」

 回転をし始めたかと思うと、ベロベルトは地面へと潜っていった。

「ペルシアン!警戒して!」

「無駄です」

 ペルシアンは突き上げられるように吹っ飛んでいった。

「終わったな。後はそのまま地面に叩きつけて擦り付けるだけだ」

「そんなことはないですよ♪」

「何ィ!?」

 オトハは自身があった。この攻撃をかわすことが出来ると。
 その証拠にペルシアンはそのドリル攻撃から飛び上がり、攻撃をかわして、ベロベルトのさらに上空にいた。

「なっ!?まともに攻撃を受けたはずなのに・・・。何故ダメージがないのですか!?」

「月舞踊・・・『流漂』です。ペルシアン!次の攻撃です!!」

「っ!!これは!?」

 ペルシアンの手からでてきたのは、太陽のエネルギーの光線・・・ソーラービームだ。

「『猫の手』か!!??だが、その程度の攻撃では倒せん!!」

 ベロベルトの必殺技、ジャイロドリラーはソーラービームをも拡散してしまった。
 だが、その攻撃の威力は衰えていた。
 次の攻撃で決め技にするには十分だった。

「これで決めます・・・『キャット・ザ・ムーンサルト』!!

 ベロベルトに噛み付いたかと思うと、体をグンと捻ってグルングルンと縦回転に回っていった。
 そして、最終的にはベロベルトを地面へとたたきつけた。

「っ!!ベロベルト!!」

 ベロベルトは戦闘不能になった。

「はい、私の勝ちです♪」

「・・・仕方がない。ここは立ち去るとしましょう。しかし、次に来るときはこうはいきませんよ!!」

 すると、TSUYOSHIは、ベロベルトを戻して立ち去っていった。

「いや、もう来なくていい」

 トキオはTSUYOSHIの後姿にそう言った。
 そしてオトハはペルシアンを戻して一息ついた。

「すげーよ!!オトハさん!!あなたってこんなに強かったんですね!?」

 今までただ見ているだけだったトキオが驚いて言う。

「あんな強い奴に勝っちまうなんて・・・」

「いいえ・・・」

「え?」

「あの人はまだ力を隠しています」

「う、嘘だろ!?何でそんなことが分かるんだ!?」

「だって、さっきあの人言ったじゃないですかー。”手持ちの中で最強のポケモン”だって。つまり、ベロベルト級以上のポケモンがまだ控えているということです」

「そ・・・そんな・・・あれ以上の実力なんて・・・」

「ええと・・・それよりもなんでしたっけ?」

「え?」

「私・・・何のためにここへきたのでしょう?」

「は・・・?」

 オトハはすっかりここに来た目的忘れていたのだった。(ぁ)










 to be continued










 アトガキ

 はい、今回は前回出てきたキャラが出て来ていません。
 あ、トキオは出ているか。前回電話だけの出番だったけど。(笑)

 今回は落下者やら襲撃者やら来客者やら、トキオサイドの話でした。
 しかし、今回主役だったはずのトキオが最後の最後にオトハにとられています。(爆)
 WWSでは、唯一、負け無しの無敵キャラオトハ。このDOCでも発揮されるのか!?(ぁ)

 ちなみに次回の話ですが・・・誰を主点に書くか混迷中。
 まぁ、とりあえず、ルーカス姉さんに尻に引かれているトキオには今後注目です。

 

[一言感想]

 オトハ、可愛い……(ぁ)。
 そんでもって、強いですね。
 前回に引き続き、突然現れた敵は強大でしたが、どうにか退けることができました。
 オトハには、これからも頑張ってもらうことになりそうです。
 そしてトキオも、次はもうちょっと頑張ってほしいです(ぇ)。

 

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