いよいよ準備はできた……
これで終わる……いや、これから始まる……
私達の始まりはこれから……
フンフフフ……
誰が何をしようとこれを止められるものはもういない……
私達が全てを支配する!!
フンフフフ……
NINETEENTH
60:始まりを告げる音
「…………」
あれから、どれだけ経っただろうか……?
そう彼は思いながら、持っているP☆DAを見て日にちを確認した。
「…………」
ここへ来てから、5週目……35日。この世界に来てから37日目。
彼は心の中で思っただけで口には出さない。
独り言は好きじゃない上、他人とコミュニケーションを取るのも好きはなかった。
だから、今まで、誰とも話しかけることなく単独行動を取っていた。
今朝も彼はそうだった。
朝起きると、TCで買い置きしてある食品を勝手に持ち出して勝手に食っていた。
食品の買出しは大体当番制で代わりばんこで買いに行くことになっている。
ちなみに、前回の買出しはハナだった。
彼女はどうやら、朝飯は米派らしく、おにぎりを買いだめして食料保存庫(冷蔵庫だけど)に入れていた。
「(おにぎりか……。パンの方が好きなんだが)」
彼はオーレ地方出身だ。
周りは砂漠で、米を食べたいとなると、他の地方から輸入するということになる。
となると、必然として、簡単で手ごろに食べられるパンを口にすることになるらしい。
「(ハナの奴……パン派がいるってことを忘れて困る……)」
心の中で文句は言いつつも、主食はこれしかないので、おにぎりを頬張る。
そして、ジョウトのモーモー牧場から取り寄せた、モーモーミルクを飲んだ。
食べ終わると、先ほどまで心の中で文句を言っていた相手が現れた。
「ハルキさん。おはようございます」
ハナはいつもの笑顔でお辞儀をした。
ハルキはそれにいつも「ああ」と返すだけだ。
それでいつも彼女は部屋を後にするのだが、この日は違っていた。
ハルキの隣に正座をした。
ちょっと、不機嫌な顔を取りつつ、彼女を見る。
「どう思います?」
「……?」
「おとといのSGの手紙です」
おととい、”あなた達の基地の場所は調べさせてもらいました。数日後にあなた達を逮捕します。覚悟しなさい。by:SG”という手紙がTCの近くに置かれていたのをシラフが発見していた。
つまり、TCの本部がSGにばれてしまった。
しかも、仲間の中に裏切り者がいるのではないかと思われ、TC内の雰囲気が悪かった。
「本当に裏切り者はいるのでしょうか?」
そんな、深刻な話題にもかかわらず、彼女は笑顔を崩してはいなかった。
まるで、いつ時でも太陽の日を浴びている向日葵だ。
「…………」
どう考えても彼女が一番怪しいと考えていた。
笑顔の裏で何を考えているか……一番読めないのは彼女だとハルキは思っていた。
「(だが……そうだと、おかしい)」
もし、ハナが裏切り者だというのなら、モトキも裏切り者だとして間違いはない。
兄妹が敵味方に分かれることなんて、よほどのことがない限りはない。
さらに、もし2人とも敵だったとするなら、わざわざ自分達をTCに招き入れたい真意がつかめない。
それに兄に限っては、ライトたちの修行に付き合わされている。
万が一、ハナとモトキが敵同士だったとしたら、ハナがモトキに修行をつけさせることも、ましてや自分達をTCに入れさせることも止めるだろう。
ハルキは一通り考えるとため息をついた。
「どうしました?(ズズッ)」
彼女の手にはいつの間にか湯飲みが握られていた。
毎度のことながら、一体いつの間に淹れているのだろうか?
「……何でもない」
「気になります」
「気にするな」
そういってハルキが立ち上がったそのときだった。
ボガーンッ!!
「!?」
大きな爆発が起こった。
「どうしたのでしょう?花火でも打ち上げているのでしょうか?」
「…………」
ハルキはのんきなハナを置いて急いで爆発のあった場所へと急行した。
「ハルキ!よく来た!」
「この連中はSGよ!やっぱり攻めてきたのよ!」
ハルキがその場所に行くと、すでにテツマとカンナが侵入者と戦いを始めていた。
「ジュゴン!『吹雪』!!」
「カイリキー!『地割れ』じゃッ!!」
強力な二人の攻撃に7人とポケモンたちはあっという間に吹っ飛ばされた。
「……俺が来なくても平気か」
ガツンッ!
「っ!!」
軽口を叩いていたら、テツマに頭を一発殴られた。
頭を抑えるハルキにテツマは言った。
「あの七人は下っ端じゃ。何人来ようが我輩たちの敵ではない。しかし、後ろにいるあいつらは違う」
テツマの言うあいつらを見た。
どうやら4人いるようだ。
「全知全能なる神は言った……。”Boys be justice!”」
読んでいた本を閉じて、彼女はそう言った。
「それ違うやんっ!」
バチンッ!
ハリセンを持ったピンク髪の太り気味の男が、本を持っているおとなしい女性にツッコミを入れた。
「リタンさん。それを言うなら、”Boys be ambitious!”でしょう!?」
と、リタンという女性にツッコミを入れた男の名前はアボウと言った。
「でぇ、どうしますぅ?誰から、あの三人を倒しますぅ?アタチが行ってもいいですかぁ?」
爪を噛みながら、甘えた口調で話す彼女はマヌと言った。
「☆ま〜。ぼちぼち行きまひょか。とりあえず、リタンはんは本を読んでてくれな」
「そう……。マジカ。お願いします」
笑顔に星型のサングラスをかけた男、マジカにいわれると、リタンは本を開いてまた続きを読み始めた。
「☆そんな訳で、”レフトウィング”、行きまっせ〜!」
「わかりまちた!」
「OKさ!」
すると、マジカ、マヌ、アボウの3人がポケモンを出して襲い掛かってきた。
「(1対1で戦うのか)」
「ハルキ。無理はするでないぞ」
「…………」
「……行くぞ!」
すると、テツマ、カンナ、ハルキの3人はこの広い場所でそれぞれ別れて戦うことになった。
61:TC攻防戦 〜vsマジカ〜
バチバチッ!!
ミサイル針の攻撃を電圧で跳ね除ける。
すぐに攻撃の主の背後に回りこみ体当たりをし、打っ飛ばした。
「…………」
「☆な〜かな〜かやるやないか〜」
自分のポケモンが押されているというのにもかかわらず、ハルキの目の前に現れた星型サングラスの男のマジカは余裕の表情だった。
余裕とも見れるが、笑顔とも取れる。
その表情は、ハナに近いものがある。
「☆ぼちぼち行くでー!!」
体当たりを受けて、気絶したと思われたマジカの最初のポケモン、スピアーは倒れたように転がっていたが、一転してハルキに向かって針を向けて突撃してきた。
「……」
しかし、ハルキが手で指示を出すと、スピアーと対峙していたハルキのマイナンが2つのランスを尻尾で払った。
「『10万ボルト』」
針が跳ね除けられて、ガラ空きになった腹部に電撃を叩き込み、吹っ飛ばした。
スピアーは地面に叩きつけるように倒れた。
「☆へぇーやるやないの!」
次にマジカが繰り出したのはフーディン。
サイケ光線をやはりハルキに向かって撃つ。
それに対し、再び10万ボルトをマイナンは繰り出して相殺した。
「☆『サイコカッター』や!!」
超能力のカッターが連射して襲い掛かってきた。
射程距離から逃げ出すことは不可能なほどの広範囲の攻撃だ。
「『高速スピン』」
ハルキは逃げずに、カポエラーを繰り出し、エスパー状のカッターを打ち落とした。
その隙に、マイナンが横から、電光石火でフーディンを打っ飛ばした。
意外にもその攻撃はフーディンを吹っ飛ばした。
基本的にマイナンが4.2キログラム。フーディンが48キログラムとされているが、そんな体重差をも感じさせないほどフーディンが吹っ飛んだのである。
そして、フーディンは壁に撃ちつけてそのままもたれるように、地面に伏した。
「☆なら、ノクタスやー!『ニードルアーム』!!」
3匹目のノクタスが飛び上がり、両手を振り下ろす。
攻撃を受けてはまずいと判断して、ハルキたちはその場から急いで離れた。
ズガーンッ!!
コンクリートの地面が砕けて、コンクリートが弾け跳ぶ。
小さな礫ばかりだが、それのせいでハルキとポケモンたちは怯んでしまった。
「☆『トルネイドキック』や!」
再び、跳び上がり、体を回転してキックを繰り出してくる。
まるでカー○ィーのコピー能力『トルネイド』のように回転し、右足でキックする技である。
コンクリートの礫に気をとられていたハルキはこの攻撃の対応に遅れ、回避するのはすでに不可能だった。
「カポエラー、マイナン」
カポエラーの回し蹴りで弾き返そうとするが、カポエラーは弾き飛ばされてしまった。
それでも、攻撃の方向を変えることには成功し、攻撃の隙を狙ったマイナンが、捨て身の体当たりで、打っ飛ばした。
フーディン同様に壁へ打ち付けた。
そして、ハルキはダメージを負ったカポエラーを戻し、敵のマジカを見た。
「(おかしい……)」
しかし、ハルキは違和感を感じていた。
「(以前エレキと襲った奴と比べると断然弱い……。これが奴の実力なのか?)」
ティブスに不時着した時に戦った、2人組みとハルキは比べていた。
しかし、攻撃能力にしても、防御能力にしてもハルキのポケモンの方が上回っていることは、ここまで戦ってみて明らかだった。
今、ハルキと同じフロアかつ離れた場所で戦っているカンナとテツマはマヌとアボウを圧倒していた。
「どういうことだ?お前……手加減でもしているのか?」
「☆手加減なんかしてませんで?」
「とぼけるな」
マイナンの10万ボルトがマジカに命中する。
ギャッー!!っと声を上げるマジカ。
「☆痛いなぁ〜。トレーナーを攻撃してはいけないんやでー!」
痛いとかいいながら、マジカはあっさり立ち上がる。
「☆ウチは、いつでも本気やで!」
パチンッ
マジカは指を鳴らした。
「……?『10万ボルト』」
何をするか意図が読めないため、先手必勝といわんばかりに、マイナンの10万ボルトをマジカに向けて放つ。
しかし、次の瞬間、攻撃は別のポケモンが受け止めた。
「!? (ノクタス!?倒れたんじゃないのか?)」
「☆どんどん行きまっせ〜」
「(何!?)」
サイコカッター、ミサイル針が跳んできた。
マイナンが身代わりを使い、攻撃を受け止めるが、すぐにスピアーがダブルニードルで接近し、マイナンを突き飛ばし、ダウンさせた。
「……ダウンしたんじゃなかったのか?」
「☆ダウンなんかしていませんで。倒れたフリをしてたんやで!」
倒れたと思っていたスピアー、フーディン、ノクタスはまだバトル可能だったのである。
マイナンをボールに戻す最中、スピアーとノクタスが襲い掛かる。
ノクタスの強力なニードルアームを飛び退いて、スピアーの針を紙一重で交わすと、サイケ光線がとんできた。
当たるギリギリのところで、ヌオーを繰り出し、『まもる』で攻撃を防いだ。
「☆なかなかやるやん!」
「……『高速スピン』&『トリプルキック』!!」
普段は頭のとんがりを中心にしてカポエラーは回転するのだが、途中、横に倒れることにより、突撃して行く『転がる』攻撃の如く、マジカのポケモンたちに攻撃を加えていった。
ノクタスもフーディンも、跳んでいるスピアーでさえ、この攻撃のスピードはかわすことができず、直撃した。
「(どうだ……?)」
完全に攻撃が決まり、ダウンさせる自信がある攻撃だった。
だが……
「☆このくらいでは、倒したことにはならへんで?」
「!!」
フーディンがすぐに起き上がり、カポエラーにサイコキネシスを叩き込んだ。
「くっ!」
「『ニードルアーム』や!!」
「ヌオー」
ハルキが拳をギュッと握ったのを見て、ヌオーは防御の態勢に入った。『まもる』である。
こんな接戦の場合、口では指示が遅れる場合がある。
そのときのためにハルキはあらかじめジェスチャーでの指示を作っておいたのだった。
強力なニードルアームを弾き飛ばし、フーディンを巻き込んだ。
「☆『ミサイル針』や!!」
「『マッドショット』」
一発のマッドショットがミサイル針を圧倒し、スピアーにダメージを叩き込む。
ダメージを受けたスピアーはボーリングの玉のように起き上がろうとしていたフーディンとノクタスにストライクした。
「『地震』」
フロアー全体を揺るがす地震でフーディンたちにダメージを。
そして、さらにヌオーは飛び上がった。
「『たたきつける』!!」
ノクタスを中心に地面へ叩きつけて、さらに地面が砕けた。
周りで倒れていたスピアーとフーディンにもダメージを与えて、ハルキとヌオーは一息ついた。
「…………(倒したか……?)」
さすがのラッシュで少し息を切らすヌオー。
しかし、ぼやぼやしている暇はなかった。
スピアーが、ノクタスが、そして、フーディンまでもが立ち上がったのである。
「っ……」
「☆どや?ウチらの生命力は。攻撃力や防御力が高い奴が勝つんやない。最後まで生き残っていた奴が勝つんや!すなわち、倒れなければ負けることはないんやで?」
「……それなら、倒れるまで叩くだけだ。ヌオー」
全く倒れる気配のない3匹に、ハルキはヌオー一匹で挑んで行く。
一方のカンナとテツマの方はどちらも後1匹に追い詰めていた。
「あらーマズイでちゅ。アタチ後一匹でちゅ……」
「ミーも後一匹。これは、ピンチでーす」
背中合わせにマヌとアボウはカンナとテツマに対峙していた。
「あまり強くないわね。あなた達、自分たち3人のことを”レフトウィング”って呼んでいたけど、一体なんなのかしら?」
「おちえてほちいでちゅか?」
「教えなくても、無理矢理にでも聞きだすわよ」
カンナはパートナーであるパルシェンを繰り出した。
「そういうことじゃ。SGが不穏な動きをしていることは知っているんじゃからな!」
テツマも自分のパートナーであるリングマを繰り出した。
「いいでしょう。2つほど教えてあげましょう。まず、1つ。”レフトウィング”とは、チーム名のこと。ミーたちはマジカをリーダーとして3人で一チームとして活動しているのでーす」
「なるほど……”レフトウィング”……つまり、”左翼”というわけね」
「そのとーりです。そして、もう一つは、そのチームが7つ存在し、ある法則にしたがって強さが増していくということでーす」
「ある法則……?」
「その法則については教えられませんが、ミーたちの強さは、チームの中から5番目でーす」
「5番目……それならたいしたことは……」
「本当にそう思いますかー?」
「え?」
「まー、ここまでミーたちがやられているのだから弱いと思われるのは当たり前ですが、それぞれのチームのリーダーは桁違いの強さでーす。例えばマジカ、そして、そこにいるリタンさんとでは、全く次元が違いまーす」
「つまり、そこにいるおなごもチームのリーダーというわけじゃな?」
テツマが本を読んでいる女性、リタンを見ていった。
「(つまり……我輩たちの中で一番強い奴らと戦っておるのはハルキか!?)」
テツマはハルキのほうを見た。
ハルキがヌオーを繰り出して、攻撃を繰り出しているが、相手は攻撃を受けているのにもかかわらず、倒れようとはしなかった。
「そういうことになりまーす。それでは、おしゃべりはこれまでにして、そろそろ切り札を出させてもらいまーす」
「「!?」」
アボウとマヌはそれぞれ、最後のモンスターボールを繰り出した。
テツマとカンナは出てきたポケモンの名前を呼んだ。
「レジアイスじゃと!?」
「レジロック!?」
「さぁー行きなさい!」 「行くのでちゅ!!」
「はぁ、はぁ……ヌオー。『まもる』」
ドドドドドーンッ!!!!
ヌオーと3匹のせめぎあいはまだ続いていた。
ハルキと同じくヌオーは息を切らしていた。
しかし、ヌオーはまだ一度もまともなダメージを受けてはいない。
攻撃をあてながらもかわし、時には防御で攻撃を跳ね除けていた。
「はぁ、はぁ…… (あいつの攻撃能力、防御能力はそれほど高くは無い。だが……回復しているわけでもないのに何度攻撃しても起き上がってくる。あいつの売りは並外れた打たれ強さにあるということか……)」
「☆どーやら、息があがってきたようやな!どや、うちのこの打たれ強さ!ストムはんの猛烈なツッコミを受け続けたら、自然と身についたんやで!」
「(ツッコミでどうなるもんじゃないだろ)」
「☆しっかし、あんさんもやりますな!ここまで一撃も攻撃を受けずに、連続で攻撃をうちらに与えるんやから!」
喋っている隙をハルキは、逃さなかった。マジカに悟られず、腰につけていたあるポケモンのモンスターボールを開いていた。
「『濁流』」
ズバッシャーンッ!
「☆うわっ!ひどっ!服が汚れてしまうやん!」
「攻撃が駄目ならこいつでどうだ!」
「☆どうや!って言われても、このくらいの攻撃では倒れへんで!」
「そろそろ、おしゃべりにつき合わされるのは飽きた。おしゃべりな奴は嫌いなんでな」
ん?おしゃべりな奴は嫌い?
ということは、トキオのこと嫌いということになるぞ(何)
「☆そんなら、そろそろウチが勝って終わりにさせてもらうで!フーディン、ノクタス、スピアー!!」
バキッ!! バキッ!! バチンッ!!
「☆なっ!?」
ハルキはニヤリと笑った。
ノクタスがフーディンにニードルアームを。
フーディンがスピアーにサイコキネシスを。
スピアーがノクタスにダブルニードルをそれぞれ同士討ちさせたのである。
「☆なんやて!?一体何をしはったんや!?」
「悪いが説明は無しだ。俺は喋るのが嫌いなんでな。ブラッキー。『シャインボール』」
いつの間にか、ハルキの隣にはブラッキーがいた。
光り輝く、球体を打ち出し、3匹を外へと吹っ飛ばした。
「(外へ吹き飛ばせば、いくら打たれ強くても関係ないだろう。それにこの攻撃で倒れたと思うしな)」
「☆ブラッキーかぁー。出したのに気付かなかったなぁ〜。そうかー同士討ちしたのは、混乱したせいやったのかー。でも次はそうはいかへんで?」
そう言って、今度はデリバードとコロトックを繰り出してきた。
「ブラッキー、『手助け』。エーフィ」
エーフィを繰り出し、ブラッキーに援護させる。
そして、強力なサイコキネシスを2匹に叩き込んだ。
「☆やるやないか」
攻撃は確かに決まった。しかし、ダウンさせるまでに至らない。
「……やっぱりな」
今度は予想していたようで、あまり驚きは無かった。
「お前のポケモンは、並の攻撃ではびくともしないようだ」
「☆おっと、勘違いしてもらって困るのは、効いてないわけではないんやで?ただ、うちらのポケモンは打たれ強いってことやん!それより、今度はさっきのように混乱なんてせこい真似はさせへんでぇ!」
「…………」
「☆デリバード!コロトック!」
コロトックが接近し、シザークロスでブラッキーを攻撃、デリバードは冷凍ビームでエーフィを攻撃した。
「ブラッキー」
ハルキが指示を出すと、ブラッキーはエーフィを庇った。
エーフィの攻撃を代わりに受けたのである。
その代わり、エーフィは力を溜めていた。
「☆ははーん。瞑想で力を溜めて、一気にうちへ攻撃しようという魂胆やな?」
「…………」
「☆そんなら、そのエーフィを狙って、壁になっているブラッキーを倒すだけや!」
デリバードとコロトックはエーフィへの集中攻撃へ切り替えた。
しかし、ブラッキーは必死になってエーフィを庇う。
「☆なんや〜ブラッキーは攻撃せいへんのか?」
攻撃を受け続けるブラッキー。
その間にも必死でエーフィは力を溜め続ける。
「(コロトックとデリバード……その二匹の攻撃だけで、俺のブラッキーは倒せない)」
まもる、影分身、身代わりなど……多彩な技を駆使して、エーフィのことを守るブラッキー。
一応、『怪しい光』を繰り出したりするのだが、先ほどの攻撃を受けてか警戒されてしまっていた。
「(”彼女”はエーフィのことが好きだから。そう……俺が必死であいつのことを守るのと同じように……。俺とブラッキーは似たもの同士なんだ。だから、エーフィを傷つけさせることなんてブラッキーはしない)」
しかし、ブラッキーはさすがにふらふらになってきた。
「☆これで終わりや!!」
コロトックがシザークロス、デリバードが吹雪を繰り出した。
ブラッキーに向かっていく。
「俺の勝ちだ」
エーフィがブラッキーの前に立った。
サイコキネシスを発動する。
コロトックが打っ飛ぶ。吹雪が吹き飛ぶ。デリバードが自らの吹雪に吹き飛ばされる。
エーフィは後ろを振り向き、ブラッキーへ駆け寄る。
ブラッキーは心配するエーフィにそっぽを向いた。
そんな姿を見て、エーフィはにこりと微笑んでいた。
その和やかな(?)2匹の様子をハルキは見ておらず、吹っ飛ばしたデリバードたちやマジカを見ていた。
「☆強力やな!」
「当たり前だ。限界まで引き出した攻撃だからな」
「☆これで倒れなかったらショックやろうな〜」
「…………」
マジカはパチンと指を鳴らした。
それと同時に、コロトックとデリバードは立ち上がる。
「☆残念やったなぁ〜。行くんや」
マジカは攻撃のパターンを変えようとはしない。
ただ、コロトックはシザークロスを叩き込むために接近し、デリバードは氷系の技を繰り出す。
だが……
「ブラッキー。エーフィ。『手助け』……『スピードスター』!!」
マジカのポケモンの攻撃を寄せ付けない。
スピードスターを繰り出して、2匹を吹っ飛ばす。
「☆まだまだやでー!」
「エーフィ!決めろ」
ブラッキーの手助けを受けて、最大級のエネルギーを放出する。
エネルギーの密度は例えるなら、デオキシスのサイコブーストクラス……いや、それ以上はある。
「☆ギャバ〜ッ!」
攻撃はマジカをも巻き込み、壁を突き抜けて、外へと放出した。
「……(やったか……?)」
外から太陽の光が入る。
しかし、そのことを気にせず、ハルキは警戒する。
「☆な……なかなか効いたでぇ……」
マジカが崩れた壁の瓦礫の中から這い出てきた。
さすがにダメージを負っているようでふらふらとしていた。
デリバードやコロトックも耐えている。
「☆……やけど、まだ、倒れへんで……!?」
バタッ バタッ
だが、倒れた。
デリバードとコロトックが力尽きた。
「☆な、なんやてぇ?一体……?」
「残り一匹だな」
そう言って、ダメージを負って戦うのが辛そうなブラッキーを戻した。
エーフィ1匹で戦うことにしたようだ。
「☆……わからへんけど、どうやら、予想以上にそのエーフィが強かったようやな。せなら、コイツで片ぁ着けさせてもらうで!」
「(あいつ……ブラッキーの『どくどく』を受けたのに気付かなかったようだな)エーフィ……後は任せた。『サイコキネシス』!!」
先ほどと同じ……いや、ブラッキーの支援がない分威力が低いが……強力なサイコキネシスを打ち出した。
だが、最後の1匹はその攻撃を弾いた。
「……!!」
鋼鉄のそのボディはとてつもない高度をほこる。
「……レジスチル……伝説のポケモンか……」
マジカの最後のポケモンは、純粋な鋼タイプのレジスチルだった。
「ジュゴン!パルシェン!」
「リングマ!『ギガインパクト・バースト』じゃ!!」
ズドドドドドーンッ!!
ズドゴォーーーンッ!!
パルシェンとジュゴンの合成技、『氷のミサイル針』とリングマのギガインパクトを一転集中して打ち出す最強の技が炸裂した。
カンナもテツマもその最後のレジアイスとレジロックに何匹かやられてしまったが、最終的には2匹とも倒すことができた。
「負けちゃいまちた……」
「ミーたちは戦えませーん!リタンさん!後はお願いしまーす!!」
2人は回収して逃げようとするところ、テツマが二人の服の襟首を掴んで捕らえた。
「待つんじゃ。何故お前達は、レジアイスとレジロックを持っているんじゃ!?」
「それは、ゲットしたからデース」
「そうでちゅ」
「貴様ら、今、伝説のポケモンをゲットすることを禁止されていることを知らんのか!?いや、知っているはずじゃ!『希少ポケモン保護法』といい、伝説または幻と謂れのあるポケモンは捕獲してはならぬことをポケモン協会が取り決めたんじゃからな!!」
「どちらにしてもあなた達をこのまま逃がすわけにはいかないわ。そして、そこのあなたもかかってきなさい!」
カンナが本を読んでいるリタンに向かって、バトルするように言った。
彼女はパタンと本を閉じると、おもむろにボールを取って言った。
「全知全能なる神は言った……。『どーんと来い』」
一体どんな神が言ったか想像できるだろうか?(ぁ)
一方のテツマは、2人を捕まえておこうと考えていた。
「テツマの旦那。朝っぱなからずいぶん賑やかだな!」
「……おおっ!シラフか!」
ここでTCのメンバーの一員であるシラフが到着した。
「だいぶ、疲れているみたいだけど大丈夫か?歳なんじゃねぇ?」
「バカなことを言う出ない!我輩はまだまだ現役じゃ!!」
「そうかい。そうかい」
メキッ!!
「がっ……」
シラフの問いに答えたところだった。
腹にオニドリルのくちばしがめり込む。
その鋭利さに貫通しそうなほどの痛みが走った。
その痛さにうずくまり、膝をつく。
一体、何が起こったのか、彼には理解が出来ない。
「やっぱ年なんだよ。テツマの旦那はもうお払い箱なんだよ!!」
「な……シラフ……まさか……お前……」
「敵と味方の区別も出来ないお前はもうおしまいだ。そして、この組織、TCは崩壊するんだよ!」
シラフはオニドリルを戻した。
「まさか……すべて……お前が……」
「ああ、そうさ!すべて俺の仕業だ!SGに反対する組織を見せしめに、そして、一網打尽にするために俺が一躍買ったんだよ!」
せせら笑うシラフ。
「テツマさん!」
その様子を見たカンナは、テツマに近づこうとする。
が……
「余所見……禁物。『唸れ。殲熱の虎』」
「!!」
業火の虎が現れ、パルシェンを炎上させた。
炎に焼かれ、パルシェンは火傷と深手を負った。
「ぐっ……よくも我輩たちを騙したな……」
「気づかない方が悪いんだよ!まぁ、気付かないようにしていたんだから当たり前だしな!」
テツマがハッサムを繰り出すのを見て、シラフもボールを構える。
「やろうっていうのか?」
「シラフ……お前、我輩がTCの中で最強ということを忘れたのか?そして、お前は我輩に一度も勝ったことがない。無駄な抵抗はやめるんじゃ!」
ハッサムのハサミがシラフの体を捕らえようとした。
「TC最強がオッサンだって?バカじゃないのか?」
ズドンッ!!
「!!」
ハッサムが火傷を負い、テツマの方に吹っ飛ばされて戻ってきた。
「俺は力を隠していたんだよ。つまり、TCで一番強いのはカンナでも、ましてや、隠居のお前でもない。この俺だ!!」
拳に炎を纏ったワカシャモが気合十分にシャドーボクシングをしていた。
「まぁ俺はTCではないから、お前がナンバー1だろうけどなッ!!だが、お前じゃ俺には勝てないッ!!もし、そんなケガをしていなかったとしてもなッ!!」
ハルキは全くテツマとカンナたちの状況に気付いていなかった。
そして、カンナはマヌを倒したのはいいが、連戦でリタンとバトルをして劣勢状態。
リーダーのテツマはケガをして、さらにシラフの裏切りまで発覚。
状況は最悪だった。
その一方で、TC内に残っているはずのハナはどうしていたかというと……。
「誰かたすけてください(ズズッ)」
お茶を飲みながら、SGの雑魚7人に追われていた。
お茶飲んでいるために余裕あるのかないのか、いまいちわからない(ぁ)
そうしているうちに、ハナは出入り口まで来てしまった。
「来たね」
「来ましたね」
出入り口に待ち構えていた2人の男。
その二人がハナを捕まえようと飛び掛った。
が……
「やめてください」
バッ! バシャーッ……
「「へ?」」
「あ……やってしましました」
「ヌワッ!!」
「アッチィッ!!」
ハナが湯飲みを放してしまい、湯飲みとお茶がそれぞれ男に命中したのである。
それに怯んだ隙に、二人を抜き去り、ハナは無事に、TCのアジトの外に抜け出したのである。
「何とかタッチダウンできました……」
いや、どこのアメフトだよ!しかもルール違反しているし(ぁ)
とか、何とかハナがのんびりしていられるのも今のうちだった。
7人の雑魚が追いついてきたのである。
”追い詰めたわよ!”
”しっかし、この子可愛いなー”
”ああ、ちっこくて、大人しそうで、汚れを知らない無垢な女の子って感じだな!”
”こんな女の子をもてあs(メキッ)”
”何へんな妄想してんのよ!今は、TCのメンバーを全員捕らえるんでしょ!”
”そうだ。あの、テツマというリーダーと元四天王のカンナはリタンさんやマジカさんに任せるとして、俺たちはそのほかの雑魚を捕らえるんだ”
”ふわぁ……早く帰って寝たい”
……てな感じでそんな7人の雑魚が話していた。
「オイ、お前ら……」
「ここはおいら達に任せな!」
”イセンさん!ユグノさん!”
イセンとユグノ。
この二人は一応、リタンのチームのメンバーである。
一応、そこにいる7人の雑魚よりは強い。
「失礼な!」
「一応ってなんだよ!」
文句を言うなら、ハナに勝ってから言って欲しいですね。(しれっ)
「いいだろう!」
「勝ってやるさ!」
「私……戦いたくないです」
戦わなければならない状況で、ハナはそういう。
しかし、避けては通れない。
それでも、彼女の願いは叶うことになる。
ズドドドドンッ!!!!
「ぐわっ!!」
「のわっ!!」
”どわわわわっ!!!!”
ハナ以外の全員に凄まじい怒涛の攻撃が命中した。
その凄まじい攻撃は空からだった。
彼女が上を見上げると、3匹のドラゴンポケモンを見ることが出来た。
カイリュー、リザードン、フライゴン。
その3匹は、ゆっくりとハナの近くで降り立った。
「ハナ。大丈夫?」
チェックのシャツにタイトスカートの女の子がハナを心配して駆け寄る。
「一網打尽アルね」
倒れた数人の雑魚を見て鉢巻をした少女がつぶやく。
「弱い」
ドラゴンの刺青の男がキッパリという。
「…………(気絶中)」
「オイ……大丈夫か?着いたぞ……」
緑髪の少年が黒髪のツンツンの男を揺する。
「アクアさん、リュウヤさん、ヒロトさん。おかえりなさい。ところで、そちらの2人は誰ですか?」
「エアーとラグナ……。こっちの気絶している男が心強い味方よ」
アクアが説明した。
ところで今の状況は?とアクアが聞き、ハナが簡単に状況を説明した。
「それなら、中に入らないと!!ハナ。みんな!行きましょう!」
「ちょっと待って下さい。(ズズッ)」
さっき投げ捨てたのとは別の湯飲みのお茶を飲んでいるハナ。
「私にいい考えがあります」
相変わらずの笑顔のハナはにっこりとそう微笑んだのだった。
to be continued
キャラデータ
マジカ(25歳)……とってもうるさい男。左翼のリーダー。
13話の説明では『笑顔を絶やさず、クラスの中には必ずいそうなふざけてクラスの注目をかって人気になるようなタイプの男』……と。
ポケモンはゴキブリ並みにしつこい。
それは本人に影響されているのは言うまでもなし。
敵側にいたが、結構いい奴じゃないかと思いますよ?
ボイスイメージは、GBのドリフ(ェ)
手持ち……フーディン(♂) ノクタス(♂) スピアー(♂) デリバード(♂) コロトック(♂) レジアイス
リタン(29歳)……とても大人しい女。テールのリーダー。
13話の説明では『大人しく、クラスの中には必ずいそうな休み時間に本を読んでいるタイプの女性』……と。
ポケモンに特徴はないが、彼女の使うオリジナル技はどれも動物を形作る技を放つ。
そして、彼女自身は神を信じているらしい。
彼女もいい人なんだけどね。
ボイスイメージは、時を巻き戻すエクソシスト(誰)
手持ち……ブーバーン(♀) ルージュラ(♀) サンドパン(♂) トゲチック(♀) ライチュウ(♂)
オリジナル技
マジカ
『トルネイドキック』……ノクタスの技。早い話が回転キック。
リタン
『唸れ。殲熱の虎』……ブーバーンの技。凄まじく温度の高い炎が虎を形作り、遅いかかる技。
ハルキ
『シャインボール』……ブラッキーの技。光属性または電気属性の技。
シャドーボールと対となる技だが、威力は高くハルキのポケモンの中でも主力の技である。
アトガキ
いよいよ、TCとSGの最終決戦が始まります。
まずは、ハルキ対マジカ。
ハルキのバトル描写ってTS(カレンが主人公のストーリー)もWWSでもあまりなかったから、書いてて新鮮です。
さて、ここで一応説明します。アボウの言った7つのチームのこと。
7つのチームの名前は下の通りです。
ヘッド(頭) ライトアーム(右腕) レフトアーム(左腕)
ライトウィング(右翼) レフトウィング(左翼) バディ(体) テール(尻尾)
強さの序列は大体大事な部分って相場が決まっているはずなのですが、ちょっと失敗してしまいました(ェ)
そんな訳で、上の挙げた順が強さになっています。
一応、チームとして今んとこ出てきたのは、テールのリタン、イセン、ユグノとレフトウィングのマジカ、アボウ、マヌの6人。
ちなみに、イセンとユグノはリュウヤたちに瞬殺されました。ご確認ください(爆)
ライトウィング以上の戦いは省略しないでお伝えすると思います。はい。
そんな訳で、次回はあの二人がタッグを組む!?です。
[一言感想]
冒頭の言葉は、物語のラスボス?
それとも、HIROさん?(ぇ)
TCとSGの戦いは、これからも更に激化していきそうですね。
そういえばハルキの戦いは今まで少なかったかも知れないので、その意味でも今回のハルキの活躍はよかったです。
っていうか、敵も強かったし。えらいタフだったし(ぁ)。
やっぱり、強敵との戦いは燃えますね。
裏切り者はシラフだった……ということは、ハルキが感じたハナの笑みの不気味さは、何だったのでしょうか?
そして乱入してきたヒロト達といい、次回も目が離せません!(何)