「ぱ、パチリス!!」

 炎による爆発が生じて、簡単にパチリスは吹き飛ばされる。
 ヒューッと飛んでくると、面白い具合にエレキの顔にバキッとヒットした。

「わしを窮地にまで陥らせたハナが言うんじゃからどれほどかと思ったがのう……とんだ拍子抜けじゃな」

「う、うぅ……」

 バブルはギャロップ。エレキはすでにルージュラとパチリスをダウンさせられていた。
 しかし、それでもギャロップにダメージを与えているところを見ると善戦しているでようである。

「この程度の実力じゃわしには勝てんよ!」

「え、エテボース!!」

 ギャロップの突進攻撃に慌ててエレキは次のポケモンを繰り出す。

「それとも、まだ力を隠しておるのか?」

「ち、力を隠す……?そ、そんな力僕に……」

 ふと言葉を切ってエレキはストムとの戦いを思い出していた。

「(あ、あの時……僕はどうしたんだろう?だ、大ピンチの時に何かを思ったんだ……。な、なんだっただろう?)」

 そのときギャロップの角がエテボースを捉える。
 角ドリルのようだが、一撃では倒せなかった様子。
 しかし、エテボースは苦しそうだ。

「面白くないのう」

 ふとバブルの言った言葉がエレキの頭にピンと来た。

「(お、面白くない……? ば、バトルが面白くない? そ、そうか……思い出した。ば、バトルは…………)」

 次の瞬間、エレキの何かが変わった。

「!!」

 バブルもそれを感じ取ったようで身構える。

「エテボース!!そこだよ」

 シュンッ!! ズドッ!!

「…………」

 一瞬の一撃でギャロップが倒れた。その様子を見てバブルは顔が真剣になった。

「まさか……それがお主の力なのか……?」

「オッサン!楽しもうよ!」

 エレキ対バブルの第2ラウンドが始まった。

 

 

 

THIRTY SECOND

 

 

 

 99:vsカネコウジその2


 コイりんの爆発した煙がドンドンと晴れていく。
 しかし、その前にカネコウジは行動を起こしていた。

「っ!!しまった!!」

 ユウナが気がついた時には遅かった。
 レジアイスのものよりもさらに凄まじい冷気がユウナを吹き飛ばす。
 地面を滑り、ユウナは見えない壁に頭をぶつける。

「うぅ!!……や、やったわねぇ!!」

 頭にたんこぶを作り目に涙を潤ませるユウナ。……なんかそんな彼女の可愛いシーンって初めてじゃないだろうか?

「誰が萌えるのよ!!」

 いや、そこまで言ってないって(汗)

「今度こそ!ウイりん行って!!」

 コイりんを回収した代わりにウイりんをバトルに出す。
 先ほどの吹雪の影響で、爆発の煙は完全に晴れた。
 部屋の幾つもの柱で前が見難くかったが、相手のポケモンを把握することはできた。

「グレイシア……純粋な氷タイプできたわね」

 ボウッと牽制で火炎放射を放つ。
 相手は柱の陰に隠れて、炎をかわす。

「これならどう!?『炎の渦』!!」

 今度は柱ごと巻き込んでグレイシアにダメージを与えようとする。

「さすがに分が悪いな」

「(またカードを!?)」

 カネコウジはまたカードをかざす。
 相手のカードが判別できないユウナにとって予測不能の攻撃だ。

「ラプラス!『波乗り』!!」

「っ!!(いつの間に!?)」

 グレイシアの代わりにいたのはラプラスだった。
 波を起こして炎の渦の中から消火したと思うと、そのままユウナたちに襲い掛かってきた。

「ウイりん!!」

 ザバンッ!!とウイりんとユウナが波乗りに飲み込まれた。

 ……とカネコウジは考えなかった。

「ウインディの高速移動か」

「ウイりん!『竜の怒り』!!」

「『冷凍ビーム』」

 2つの攻撃はまったくの互角。
 互いに譲ることはない。
 爆発のあと、ウイりんは煙に紛れてスパイラルショットを放っていた。

「また消火してやるぞ。『波乗り』」

「そう簡単にはいかないわ!『フレアドライブ』よ!」

 炎系最強の打撃技。しかし、その技はスパイラルショットと合わせることによってもう一段階進化する。
 先に放ったスパイラルショットに追いつき、炎の力を数倍にも引き出した。
 彼女はその技の名を『スパイラルキャノン』と名づけた。

 ラプラスの波乗りは強力だったが、ウイりんのその攻撃はそれを遥かに上回った。
 波乗りをぶち抜いて、その先にいるラプラスに大激突した。

「(……なんて技だ)」

 カネコウジも驚きを隠せない。
 ラプラスを一撃で倒されることなんて、今まで一度もなかったことだったから余計に驚いたのだと言う。

 しかしカネコウジは冷静だった。

「ふむ。どうやらその技は体力の消費が激しいようじゃな」

「…………」

 ウイりんの息が上がっているのを見れば誰だってわかることだろう。

「(確かに今のウイりんの体力じゃ、全開だった状態だとしても2回しか撃てない。2回目の攻撃で必ずバテてしまう。使いどころが難しい技だわ)」

 それでもユウナは再び繰り出してきたグレイシアをウイりんとぶつけた。

「『炎の渦』!!」

「どうやら、技の威力も落ちているようだな。『吹雪』!!」

「!!」

 炎の渦が圧倒的な冷気によって押しのけられる。

「そのまま吹き飛ばせ」

「っ!!ウイりん!『フレアドライブ』よ!!」

 自分達に向けられる強烈な吹雪に対抗するため、こっちも出せる限り威力の高い技で対抗する。

「(うぅ……)」

 ウイりんの側に居れば、炎の力で吹雪の力を軽減させることができる。
 しかし、ユウナはウイりんにぶつかるように指示を出した。
 そうなれば、自分が吹雪の的になるとわかっていた。
 彼女はそれに耐えるつもりでいたのだが、寒さのせいで体の機能が鈍ってくる。

「(気をしっかりと……)」

 でも、足が言うことを利かず、膝がガクッと折れる。手が悴む。頭が真っ白になっていく。

「(ウイりん……)」

 気を失いかけた時、吹雪が止んだ。
 ウイりんがグレイシアを吹っ飛ばしたのだ。
 ユウナは顔を上げて宙に居るグレイシアへと追撃の指示を飛ばす。

「だい…もんじ…」

 しかし、指示を飛ばす前にウイりんは攻撃を放っていた。
 絶好のチャンスを逃すウイりんではなかった。

「(カードを……)」

 慌ててカネコウジはカードを引くが、引いたカードを見て、カネコウジは顔をしかめる。

 その間に大文字がグレイシアに当たって消滅。
 ウイりんはユウナの元へとすぐに戻って、炎で暖める。

「あ…りがと…う…ウイりん……」

 ガウッとウイりんはにっこりと吼える。

「……仕方がない。私の最後の切り札を見せよう」

 カネコウジは一枚のカードをかざす。

「うっ!!眩しい!!」

 一瞬、凄まじい光が放たれる。
 そして、光が収まった時にユウナが見たのは、凍り付けになっているウイりんだった。

「っ!?一瞬にして!?」

 驚いてばかりも居られない。
 相手のポケモンをいち早く察知して、ユウナも最後のポケモンを繰り出す。

「フリーザーとポリゴン2……どうやら勝負はあったようだな」

「…………」

「さっきレジアイスと戦わせた時、ポリゴン2は麻痺をしたはずだ。それに、もしそのポリゴン2の最強の技が『トライアタック・ファイヤー』だとしたら、私のフリーザーには絶対勝てない。君もわかっているんじゃないのか?」

 図星だった。ユウナには全てそれがわかっていた。
 このままでは勝てないということを。
 しかし、彼女は諦めてなかった。むしろ、クスッと笑っていた。

「何がおかしいのかな?」

「確かに”このまま”のポリりんで”普通に”戦っていたら、私に勝ち目はないわ」

「……?」

 ユウナは左手にI☆NAを固定装備して、ポリりんと一緒に相手に向き直った。

「私の戦い方……見せてあげるわ」










 100:vsバブル


 二匹の猿が激突している。
 方や炎を纏いながら拳主体の接近戦攻撃を仕掛けるゴウカザル。方や2本の長い手の様な尻尾を武器に戦うエテボース。
 スピードはゴウカザルが上。技のキレはエテボースが上。そして、トレーナーの指示は的確で互角の戦いを繰り広げていた。

「ゴウカザル!」

「エテボース!」

 凄まじいスピードで2匹が交錯する。
 マッハパンチと炎のパンチを組み合わせたスピード&パワーの技を放ったゴウカザル。
 一方、ぶつかる前にスピードスターで牽制してからダブルアタックを叩き込もうとしたエテボース。

 ドスンッ!

 どっちかが圧倒的に強いわけでも弱いわけでもない。この戦いはひたすらに互角だった。
 バブルが倒れたゴウカザルを戻して、次のポケモンを繰り出す

「くっ……行くんじゃ!ポワルン!!」

「戻って!……行ってムウマージ!」

 バブルの次のポケモンを見て、ゴーストタイプに交換するエレキ。

「『シャドーボール』だよ!!」

 黒い球体を放つ。
 ポワルンはその攻撃をかわした。

「……(ほう……タイプチェンジさせない気か)」

 バブル自身、シャドーボールが現在ノーマルタイプ状態のポワルンに効果がないことは知っていた。
 しかし、天候を変えてタイプチェンジした場合だと、シャドーボールのダメージが等倍で効き目がある。
 タイプチェンジをしたときにどうやってシャドーボールをかわすか、シュミレーションをしていたようだ。

「『シャドーボール』」

「ムウマージっ!!」

 ポワルンがムウマージの攻撃をかわしてすぐ背後から攻撃を撃ってきた。
 だけど、ムウマージは後ろも見ずに攻撃をかわした。エレキを信頼して、指示だけでかわしたようだ。
 とは言うものの、タイミング的にはギリギリで、エレキの指示が一歩でも遅ければ、攻撃はヒットしていたに違いない。

「もう2発お見舞いしてやるんじゃ!」

「相殺して!!」

 同時に二発のシャドーボールと、念動力(サイコキネシス)。
 サイコキネシスとぶつかると、2つのシャドーボールは爆発して、爆発を生み出した。
 そこから、2人の出す指示のタイミングはほぼ同じだった。

「『にほんばれ』……そして『ウェザーボール』じゃ!!」 「『シャドーボール』だよ」

 両者共に煙で互いの姿は見えない。
 しかし、その先にお互いがいることはわかる。
 その先にいることを前提に、強力な攻撃を解き放った。

 どちらの威力も高いものだったが、明らかに片方のレベルが勝っていた。

「ムウマージ!!」

 業火球がシャドーボールどころか、ムウマージまで飲み込んでしまった。
 それほどまでにポワルンの攻撃力は高かった。

「そう来なくっちゃ!!『シャドーボール』だよ!!」

 しかし、エレキは物怖じをしない。
 もう一度同じ技で勝負する。

「無駄じゃよ。『ウェザーボール』」

 ムウマージの体力がもう瀕死寸前だということは見て取れた。
 そして、このエレキの反撃がシャドーボールをオトリにして接近し、『いたみわけ』を繰り出したとしても別に驚きもしなかった。
 代わりに、いたみわけを繰り出した時にウェザーボールを直接ぶつければいいだけの話だったから。

「ムウマージ!戻って!!」

 エレキの考えはいたみわけを発動させてから、ボールに一旦戻すという作戦を実践した。
 だが、バブルにその考えが見抜かれていたわけで、ウェザーボールがヒットして、ダウンしてから戻すという形になってしまった。

「キマワリ!『ソーラービーム』!!」

「『ウェザーボール』じゃ」

 バブルは草系最大クラスの技にも怯まずにウェザーボールでいとも簡単に相殺した。

「(特性『サンパワー』で威力が上がっているはずなのに!?)」

 サンパワーは体力を攻撃に還元することにより攻撃能力を上げる諸刃の剣だ。
 しかし、それにもかかわらずポワルンの攻撃を相殺しかできなかった。

「楽しいのう。しかし、お主がまさか奴の生まれ変わりとは思っていなかった」

「…………?」

 バブルの言葉に首を傾げる。

「そして、なおもここの者達と戦うためにここにいる……不憫なことじゃ」

「どういう意味?」

「…………。そんなことよりわしは特殊な力でお主等の未来を見ることが出来る。その未来を現実に見ることがわしの務め。お主等の仲間の未来はすでにお見通しじゃ」

「未来?」

「ユウナは吹っ飛んで鉄の壁に頭を強く殴打して死亡。ラグナは大量出血で倒れてそのまま……。ヒロトは爆発に巻き込まれてそのまま消滅……。エースは……」

「そんな未来……ありえるもんか」

「……このまま行けばいずれそうなる。どうだ、わしと一緒にそれを見に行かないか?」

「キマワリ!!」

「無駄じゃ。『ウェザーボール』」

 ソーラービームとウェザーボールが互いに押し合う。

「攻撃してきたということはこれが返事じゃな。仕方がないのう。お主にはがっかりさせられたわい」

「キマワリ!」

「…………!!」

 エレキの一声でソーラービームがウェザーボールを遥かに上回る威力で圧倒した。
 そして、そのままの勢いでポワルンを倒してしまった。

「僕は信じない!……もし、それがオッサンが未来で実際に見るものなのだとしたら、僕がオッサンを倒せばいいんだ!」

「ふぉっふぉっふぉ……そう来たか……じゃが、そうやすやすとやられんぞ」

 ポワルンが倒れて、今度はプテラを繰り出す。

「『葉っぱカッター』!!」

「そんなのわけないわい!『岩石封じ』!!」

 空中を浮遊するプテラに攻撃が当たらなかった。
 単に相手のスピードが高いだけでなく、こちらのスピードが遅いからもあるだろう。
 そして、キマワリにダメージを与えながら周囲を岩で囲って動きを制限した。

「『破壊光線』じゃ」

「『ソーラービーム』!!」

 周囲が岩に囲まれていて、戻すことも困難な今、これがエレキにできる最善の策だった。
 しかし、それはギリギリの決断だった。

「(そろそろ『にほんばれ』の効果が消える……)」

 破壊光線を見たとき、サンパワーの力を持ったソーラービームでないと相殺できないことをエレキは確信していた。
 その効果が弱まっている今、ギリギリで相殺ができるかエレキには自信がなかった。

 そして、エレキの予測どおり、にほんばれの効果が弱まるに連れて徐々に押されて行った。
 最終的に、強大な爆発と共にキマワリは吹っ飛ばされた。

 気絶したキマワリを見て、プテラがそのままエレキに襲い掛かる。

「頼むよ、ワニノコ!」

 水鉄砲の狙い撃ちでプテラにダメージを与える。
 相手は残像を作るほどのスピードで動いていたにもかかわらず、それが無意味に思えるほど正確に攻撃を命中させて押し返した。
 そしてプテラは不時着する。

「そのワニノコ……只者じゃないのう」

「ワニノコ!『ドラゴンクロー』!!」

 プテラが火炎放射で牽制するけど、まるで当たらない。
 ワニノコの動くスピードが先ほどのプテラの空中を移動するのと近いものを髣髴させる。

 ズガッ!!

 プテラの顎にワニノコの強烈な攻撃が入った。
 小さき体のどこにそのような力が眠っているのだろうか?……そう思わずにはいられないほど、プテラを遠くまで吹っ飛ばした。いや、吹っ飛ばしかけた。

「転回して『破壊光線』じゃ」

 吹っ飛んだ状態からくるりと立て直して、高速移動でワニノコの後ろを取った。

「(速い!?)」

 即座に襲い掛かる光線にワニノコは避ける時間がなかった。
 だが……

「それなら、『ばかぢから』だよ!!」

 避けられないと悟るや、自身の限界を超える力を生み出すエネルギーをそのまま破壊光線にぶつけた。
 ばかぢからのエネルギーは、破壊光線のエネルギーを拡散させた。

「何じゃと!?」

「『水鉄砲』!!」

 破壊光線の反動の隙を狙って、強力な攻撃がプテラに命中する。
 エレキは水鉄砲と指示を飛ばしているが、ハイドロポンプといわれてもおかしくない威力のものだった。

「ほう……それなら最後のポケモンを見せてやるわい。バクフーン!!」

「ワニノコ!『水鉄砲』!!」

 水鉄砲がバクフーンを掠める。

「(当たらない!?)」

 当たらないわけではなく、ギリギリでかわしているのだが……

「バクフーン。『螺旋炎』」

 火炎車と火炎放射をあわせたドリルのような極大の炎がエレキとワニノコに襲い掛かる。

 ……あれ?この技、スパイラルショットに似てない?(ェ)

「っ!!」

 極大の炎がエレキたちを巻き込んで爆発した。
 しかし、その爆発の中からエレキが飛び出してきた。

「エテボース!!」

 エレキの右手にはダメージをギリギリ逃れたワニノコが、左手にはエテボースの空のモンスターボールがあった。
 そして、エテボースは瞬時にバクフーンの後ろに回りこんでいた。
 ダブルアタックを叩き込もうとする。

 しかし、バクフーンの背中の炎が爆発して、エテボースを吹っ飛ばす。
 バクフーンの噴火だ。体力が有り余っているほど威力が高いその技は、エテボースの体力をどん底にまで減らす。

「『ダブルアタック』!!」

「『炎のパンチ』じゃ!!」

 一つの尻尾で炎のパンチを止めると、もう一本の尻尾でバクフーンの顔を殴りつける。

「『火炎放射』じゃ!」

「『高速移動』だよ!!」

 殴られてもすぐにエテボースを見据えて、攻撃を放つ。
 だが、エテボースのスピードに命中させるのは並大抵のことではない。

「『わるだくみ』!!そして『スピードスター』!!」

「『電光石火』じゃ!!」

 知恵を上げてから繰り出される、星々たちはバクフーンの体力を少しずつ削っていく。
 しかし、ダメージを受けながらも、バクフーンは接近する。

「エテボース!!」

「『火炎車』じゃ」

 さらに炎を纏いながらぶつかりに行く。

「何じゃと!?」

 しかし、次の瞬間、エテボースとワニノコが入れ替わった。

「そして『水鉄砲』!!」

 最初に見せたハイドロポンプ級の水鉄砲……いや、それ以上の水流がバクフーンを押し飛ばした。

「……なるほど……『バトンタッチ』で能力上昇を受け継いだわけじゃな」

「次の攻撃で決めるよ!!」

「ほう……それならこっちにも考えがあるわい」

 バブルは背中に背負っていた楽器を抱える。そして、音を掻き鳴らし始めた。

「いったい何を?」

「わしのこの楽器『ヒートランプ』はポケモンの攻撃能力を最大にまで引き上げることができるのじゃ。……この一撃で決まるのう」

「ワニノコ!こっちも最大パワーで行くよ!!」

 対峙するワニノコとバクフーン。
 すると、そのとき、遠くから光の柱みたいなものが6本浮かんで塔に向かって伸びていった。
 そのことに2人は気付かなかったが、それと同じタイミングで2つの攻撃が激突した。










 バタッ

「はぁ…はぁ……なかなかやりおるわい」

 倒れたエレキを見てバブルはそう呟く。

 攻撃内容はワニノコのハイドロポンプとバクフーンの螺旋炎の激突だった。
 バクフーンの螺旋炎はホエルオー3匹くらいを軽く飲み込むくらいのでかさだった。
 一方、ワニノコのハイドロポンプはその攻撃の中心を軽く貫通させたものだった。

 ハイドロポンプはバクフーンに命中して、その余波がバブルにも及んでいたし、螺旋炎はハイドロポンプで消火できる範囲を軽く超えていたためにエレキとワニノコを巻き込んで気絶させてしまった。

「引き分け……じゃ……な……」

 バブルはヒートランプを落として、そのままドサッと地面へと倒れた。

 一陣の風が吹く。
 その場所に残ったのは焼け付く熱い風と燃え尽きた木と地面だけで、エレキとバブルは何もないその場所でただ動かずじっと倒れていたのだった。










 101:アドバンス・フォルムチェンジ


「君の戦い方を見せるだと?」

 ユウナの言葉を聞いてフンッと鼻で笑うカネコウジ。

「今までのは君の戦い方ではなかったと言うのかな?」

「……行くわよ!ポリりん!『トライアタック・ファイヤー』!!」

 カネコウジの問いには答えず、炎属性のトライアングルの攻撃をフリーザーに向けて飛ばす。

「フリーザー。『フリーズドライ』」

 ドライアイスのような冷気をぶつけて、あっけなくポリりんの攻撃を相殺してしまった。

「その程度の攻撃じゃ、フリーザーは倒せんよ。『吹雪』&『プラスパワー』」

 カードをかざすと、今までにない一番の吹雪がこの空間を凍結していく。

 この吹雪は実は、DOC12話でサカキやサトシのミュウに放った攻撃と同じだった。
 だが、今回はサポートのカードの力も加味されていて、威力は格段に上がっていた。

「部屋全体を凍り付けにして終わりだ。君の戦い方と言うものはこの程度だったとはな」

 恐らく凍り付けになっているだろうユウナに向かってそう言い放つカネコウジ。

「……あら?これで終わったと思っているの?」

「!?」

 冷気が立ち込める白い霧の中でユウナの声が響く。
 やがて、その冷気が晴れていくと、まったく攻撃の影響を受けていないユウナとポリりんの姿があった。

「な……なんだ?そのポリゴンの姿は……?」

 吹雪を防いだこともカネコウジにとってショックだったのだが、それ以上にびっくりしたのがポリりんの姿だった。
 ポリゴン2ともポリゴンZとも、ましてやポリゴンとも違う形になっているポリりんがそこに存在していたのだ。

 そのポリりんの様子とは、全体的に体が大きくなっていて、表面が鋼に近い強固な体になっていたのである。
 つまり、その体で吹雪を楽に防いだと思われる。

「そっちが来ないなら、次はこっちから行くわよ」

 ユウナはI☆NAを操作して、何かを放ってポリりんにぶつけた。
 すると、みるみるうちにポリりんの姿が変化していった。

「ポリりん!そこから『トライアタック・ファイヤー』!!」

「何をしようと同じだ!!『吹雪』!!」

 しかし、先ほどとは根本的に違うものがあった。

「なっ!?吹雪で押し切れない!?」

 威力、大きさ、エネルギー密度……どれをとってもポリゴン2のとき以上の威力を持っていた。
 しかし、それでも2つの攻撃は互角のままだった。

「うぬぬ……!!フリーザー!この程度の攻撃……押し切ってみろ!!」

 10秒くらい経っただろうか?
 そのくらいの時間を費やしてようやくフリーザーはトライアタックを押し返した。

「クスッ。こっちは次の準備完了よ!『トライアタック・ファイヤー』!!」

「なにッ!?」

 ポリりんのトライアタックは一発だけを出すタイプでサイケ光線や冷凍ビームのように出し続けることのない単発式の攻撃である。
 フリーザーの吹雪は出し続ける放出式。
 つまり、単発式と放出式の攻撃が互角の状態でぶつかり続けると言うことはどういうことか?
 そう。単発式のほうは放出式の技を続けている間、別の行動を取れるのである。

 ユウナはその時間、ある技をポリりんに指示をしていた。
 そして、その間はフリーザーが吹雪で一撃目を押し返すまでずっと待機させていた。
 2撃目のインパクトを強めるために。

「バカなっ!?」

 吹雪の攻撃をまったくもろともせずに、炎属性のトライアタックがフリーザーにクリーンヒットした。

「いったい何を……」

「別に対した事してないわ。あなたのフリーザーが一撃目のトライアタックを吹雪で押し返している間に、『自己再生』で回復して『テクスチャー』で炎属性に転換させただけよ」

「それだけじゃない。いったいポリゴンに何をしたんだ?」

「ポリりんに情報を送ってあげただけよ」

「情報だと?」

「ポリゴンの進化方法は『アップグレード』の情報を与えること。ポリゴンZへの進化方法は『あやしいパッチ』の情報を与えること。その2つの共通点はどちらも特定のアイテムから情報を譲与されることにより進化するものだったわ。私は今あやしいパッチの情報を与えることでポリりんをポリゴンZにフォルムチェンジさせたの」

「ポリゴンのフォルムチェンジだと……?」

「そして、私は考えた。もしかしたらその2つのアイテム以外にもポリゴンを進化や変化させる情報が存在するのかもしれないと。私は答えを求めて2年間研究し続けた。その答えがさっきのM(メタル)フォルムとこれよ!!」

 ユウナは再びI☆NAを構えて、情報をポリりんへと送った。
 すると今度はポリゴンZの状態から、ぐんぐんと横に翼のようなものを形作っていった。
 体全体の軽量化……しかし、その中でも一部だけ強化されているのが翼だった。

「W(ウィング)フォルム!!」

「……そんなのこけおどしだ!!フリーザー!『フリーズドライ』!!」

 ガキンッ!!

「なっ!?」

 ポリりんの翼があっけなく、フリーザーの攻撃を防いでしまった。

「これで決めるわ。ポリりん、『ウィングブレード』!!」

 地面を蹴って空を掠めながら跳ぶポリりん。
 スピードはそれほど速くはなかった。

「それならこれでどうだ?『氷の息』!!」

「!!」

 吹雪だけでも凄まじい威力だったのにもかかわらず、その氷の息は遥かにそれを凌いでいた。

「コレが本当の最大の技だ」

「そう……それなら良かったわ。それ以上の技はないとわかったのだからね」

「なっ!?」

 氷の息からポリりんが飛び出した。

「何故だ!?あらゆるポケモンを一撃で倒せるはずなのに!?ましてやそのポリゴンは飛行タイプのはず!?」

「あら、目先の姿にとらわれ過ぎたわね。現在のポリりんのタイプはテクスチャーをしたときから変わってないわよ」

「なんだと!?と言うことは……今は……」

 ズドンッ!!!!

 最大の一撃がフリーザーにヒットしたのだった。










「何故だ……レジアイスの『アイスリフレクト』でマヒ状態になっているはずなのに何故動けた……?」

 フリーザーが倒れると、カネコウジの持っていたカードは全て燃え尽きてしまった。
 その中でカネコウジは疑問に思っていたことをぶつけた。

「そんなの簡単なことよ。フォルムチェンジの際にマヒ状態が解けたのよ」

「くっ……まさか私が君のような娘に負けるとはな……」

「私からも一つ聞いていいかしら?」

「なんだ?」

「何故私の手持ちポケモンを知ることができたのかしら?」

「……カードの力……と答えておこう」

「……そう」

 ユウナは北西をへと目を向けた。

「君はどうしてもあのリュウヤの手助けをしようというのだな?」

「そうよ」

「私たちがどんな目にあおうとも……か?」

 ユウナは少しの間黙って…………いなかった。

「そうよ」

 即答だった。(爆)

「私たちはまったく悪くない。悪いのは私たちの世界を滅ぼした神だ!そのために、私たちは神を倒さなければならない!他の世界を私たちの世界のような目にあわせないために……」

「……言っていることはわからなくもないわ」

 「でも」とユウナは繋げる。

「私の任務はリュウヤの手助けでナミネとジョカを助けること。私は神がどうとか、そんなものに関わる気はないわ。それに私は世界全てとかそんなものは守れなくても、身の回りだけでも守れる人になりたいの……」

 ふと、ユウナの胸にズキッと来るものがあった。

 よみがえる過去の記憶……

 破壊される研究所……

 肌に感じる炎の温度……

 炎の中で倒れる家族達……

 気がつけば、ユウナは膝をついて顔面蒼白の顔をしていた。

「(もう……あんなことにはなりたくない……。私は強くなるの……。周りの人を守れる強さが欲しいの……)」

「まあいい。君がこの先行くと言うのなら、私は止めることができまい。もう戦う力はないからな」

「行くわよ!!」

 カッと顔を上げてカネコウジに怒鳴ると走ってユウナは行ってしまった。

「(だが、この先に待っている相手に君は絶対敵わない。私と闘ったことによる影響もあるが、それ以前に…………。まあいい。どっちにしろ、作戦の成功は確実だ)」

 北西へと走り去るユウナをカネコウジはただ眺めているだけだった。










「……時間を浪費したわね……」

 カネコウジを倒して、急いで北西へと向かっていた。
 カネコウジと戦っていた柱のフロアはすでに抜けて、草むらのある庭園を抜けて、ユウナは北西の頂点のフロアへもう一息のところへやってきた。

「次がリュウヤの言っていた生贄の間だけど……。また誰かが居るかもしれない……。万全の状況を整えなくちゃ」

 ユウナは肩にかけていた軽量のリュックから元気の塊と回復の薬をポケモンたちに与えた。
 しかし、持っている道具だけでは全てのポケモンを完全に回復するに至らなかった。

「(これで何とかなるはず……)」

 扉に手を掛けて、慎重に扉を開いていった。

「(何かある……)」

 扉の周囲に誰もいないことを確認して、扉を閉めてその”何か”を見た。
 透き通るような大きな結晶体がそこに存在していた。

「これは……どこかで見たことあるかもしれない」

 気になって遠くからI☆NAのセンサーで検索してみる。すると十秒も時間がかからずして検索結果が出た。

「……クリスタル……スイクンの水晶壁と同じ性質を持ったものね。でも、厳密にはスイクンが張った訳じゃなさそうね。スイクンとはまた別のもので作られたようね。もしくはポケモンとは関係していないかも」

 最初のカネコウジのときみたいに襲われることを警戒して辺りを確認しながら、近づいていく。

「ん?」

 ある程度近づいた時、ユウナは気付いた。

「(この中に誰かいる……)」

 目を凝らすと、人の影が見える。黒いワンピースのドレスに長い黒い髪の女の子……いや女性だった。
 ユウナはひと時その姿に魅了された。

「(すごい綺麗……)」

 黒いワンピース風のドレスを着こなして、真っ黒で長い髪は凛とした清らかさを醸し出している。
 顔立ちが整っていて、すごく美しく、まるで女神のようだった。

「(それに……私よりあるかも……)」

 自分の胸と彼女の胸を交互に見て比べる。
 ユウナのスタイルもそれほど悪くは無いのだが、その中にいる女性のスタイルが良すぎるのである。

「(そんなことより……もしかして彼女が……)」

 ふと、リュウヤの聞いていた特徴が重なった。

「(でも、幼くて純粋ってイメージには見えないわね……。それは時が経っているからだろうけど)」

 女性……ナミネはユウナから見ると大人っぽいイメージに見えた。

「(早く助けないと……)」

 水晶壁に近づこうと一歩足を踏み入れた。

「っ!?誰!?」

 後ろから視線を感じて振り向く。

「……あ」

「大丈夫か?」

 彼の顔を見て、警戒を解いた。

「無事だったのね。ヒロト」

 エースに雑草と言われた緑髪の頭に、黄色いシャツにグレーのジーンズ。
 紛れも無くヒロトだった。

「今、ナミネを助けようとしているところよ。ヒロトも手伝ってくれない?……多分どこかでこの水晶壁のようなバリアーを張っているポケモンがいると思うんだけど……」

 ドスッ!!

 ユウナが後ろを振り向いたそのときだった。
 背中に鋭い痛みは走り、そのまま前のめりになって地面を滑っていった。

「うぅ!?」

 慌てて後ろを振り向くと、そこにはヒロトしかいなかった。

「……あなた……どういうつもり!?」

 ヒロトが繰り出しているのはライチュウ。先ほどの攻撃は恐らくパンチ系の類だろう。

「やれ!」

「くっ!!スズりん!!」

 水を纏った拳と電気を秘めた拳がぶつかって大きな衝撃を巻き起こした。










 to be continued










 キャラデータ


 エース(17歳)……シルバーとイエロー=デ=トキワグローブの間に生まれた少年。ジョカの兄。
           自分はイエローに捨てられたんだと思っていたが、SGとTCの抗争に巻き込まれるうちに真実を知った。
           非常に冷静な性格で青いバンダナをいつも身につけている。
           ヒロトのことを雑草と呼び、仲があまり良くない。
           ライトと別れることになったが、エグザイルとの決戦の前に何があったかは不明。……仲直りしたんだろうけど。

 手持ち……バクフーン(♂) クロバット(♀) ハクリュー(♂) バンギラス(♀) メタグロス シャワーズ(♂)
 控え……カビゴン(♂)





 オリジナル技


 カネコウジ
 『フリーズドライ』……フリーザーの技。ドライアイスのような攻撃……かも(ェ)
 『氷の息』……フリーザーの技。吹雪より広範囲で威力が高いらしい。最強の技らしいけど。

 ユウナ
 『ウィングブレード』……ポリりんがWフォルムとなったときだけ使える技。翼で相手を切り裂く必殺技。切れ味は抜群らしい。





 アトガキ


 戦いは徐々に進みます。
 エレキは不思議な力を使いつつも、バブルと相打ち。
 ユウナは自身の戦い方を見せつけてギリギリ勝利。
 語られていませんがユウナが23話でアルを押し切ったのも実はこの力だったりします。

 さて、次回は……倒れたエース。ヒロトに不意打ちを受けたユウナ?
 展開は一気に加速します。次回もよろしくです。

 

[一言感想]

 エレキもユウナも、だいぶ善戦してるようですね。
 エレキは相打ちで倒れてしまい、ユウナも罠なのか何なのかで危機的状況。
 そしてついに登場したナミネですが、だいぶ成長してるみたいですね。
 肉体的年齢も止まってるならまだしも、成長する状態で何年も眠ってしまってるっていうのは、かわいそうかも(苦笑)。

 

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