カツン コツン

「ふうん……」

 カツン コツン

「どうしたんですKA?」

 カツン コツン

「ヒロコが負けたわね。まあ予想通りだけどね」

 カツン コツン

「その程度のことなら問題はなさそうですNE」

 カツン コツン

「これで終わりよ!」

 パキンッ!!

「っ……さすがリリスですNE」

 とても速いスピードに手も足も出なかったザンクス。
 ザンクスの後方にピンポン玉が飛んでいく……。

 てか、何で卓球!?

「娯楽といったら卓球に決まっているじゃないですKA」

 いや、そんな決まりごとなんて知らないし。

「戦況も大体はあたしの予想通りの展開になってきている。このまま行けば計画は達成できそう」

「FUFUFU……そのようですね」

「「リリス」」

 2人の男の声が聞こえると、何もなかった場所から二人の男の姿が現れた。
 ケーシィを連れているということはどこかからテレポートをしてきたらしい。
 そのケーシィはやはり不思議な石を持っていた。

「それにしても、本当にすばらしい技術ですよね。魂を吸収する石『ソウゲドの石』と空間に亀裂を入れる力を持つ石『カオスニウム』……この二つの石の発明によって我々はどの世界よりも他の世界への干渉ができるようになった」

 しみじみとノッポの男……TSUYOSHIが言う。

「だが、このソウゲドの石やカオスニウムの発明を身につけた私たちを神は消そうとした……。そんなもののために私たちを消そうなんて許しがたいな」

 マフラーの色男……アウトも言う。

「TSUYOSHI、アウト……1000エナジーが集まったのね?」

 リリスの問いに頷く二人。

「それなら、二人とも、バトルの準備をしてもらおうKA。もうすぐここへ4人のトレーナーがやってくるはずDA。そいつらを適当にあしらってきなさいYO」

「まー適当にやらせてもらうよ。ザンクス公……リリス嬢」

 気取った口調を2人に投げつけるとアウトはメガヤンマに捕まって、ザンクスやリリスが眺めていた展望から降下していった。

「…………」

「TSUYOSHI?」

「俺はちょっと疲れた。休んでからでいいですか?」

「いいんじゃない?……って言うか、もう寝てるじゃない」

 スピースピーといびきをかき始めたTSUYOSHIにツッコミを入れるリリス。
 それはさて置き、真面目な顔をしてリリスは言った。

「ザンクス。そろそろのはずよ」

「おや?もうそんな時間ですKA?」

 ラケットを卓球台に置いて、ザンクスはモンスターボールからスターミーを繰り出した。

「さて、行ってきますYO。あなたは準備していてくださいYO?」

「わかっているわよ」

 ザンクスはテレポートを使って一瞬のうちに下へと消えて行ってしまった。

「力が……手に入るのね」

 リリスはさらに上へと登る階段を進んで行ったのだった。

 

 

 

THIRTY THIRD

 

 

 

 102:仕組まれた罠


―――「――――――!!」―――

「(……?誰だ?)」

―――「――――ゃん!!」―――

「(誰かが呼んでいる……?」

―――「おに――ゃん!!」―――

「(確かこの声は……)」

―――「お兄ちゃん!!」―――

「(そうだ。ジョカ……俺の妹……。俺はこんなところで倒れるわけには行かない……!!)」





「サテ、この気絶したエースを生贄の間に運ぶとしようかネ」

 スティーブは気絶したと思われるエースに一歩、また一歩近づいていく。
 しかし、彼は完全に油断していた。
 そのせいでエースに対する攻撃の初動が遅れてしまった。

 エースは特に何かをしたような仕草を見せなかった。
 それにもかかわらず、バクフーンが飛び出して、スティーブの隣にいたジバコイルを炎の一撃で倒してしまったのだ。

「!?」

 驚いてエースを見るとピクリと彼は身体を動かし始める。

「マイクロウェーブを直接受けてまだ戦えるというのか!?」

「……俺は……」

 エースは地面に手をついてゆっくりと立ち上がる。

「妹を助けるためにここに来たんだ。……ここで倒れている場合じゃない」

 スティーブはエースの様子をうかがった後、一枚のカードを手にした。

「ふーん。そのバクフーンは体力がもう半分も残されていないようだネ。そして、それ以外のシャワーズ、ハクリュー、バンギラス、クロバット、メタグロスは戦闘不能……」

 スティーブの使用した『ポケモン図鑑』というカードが燃え尽きる。

「つまり、そのバクフーンを倒せば終わりという事ネ!」

 スティーブがカードをかざすと、出てきたのはライコウだった。

「お前に俺のバクフーンは倒せない」

「おこがましいネ!ライコウ!『電磁砲』ネ!!」

 球体で密度の高い電気エネルギーを打ち出すとバクフーンに向かって一直線に飛んでいった。

「バクフーン」

 強力な火炎放射がライコウの攻撃を押し返そうとする。

「その程度の攻撃で……」

 だんだんと、電磁砲が押していく。

「勝てると思うナ!!」

「!?」

 電磁砲が火炎放射に飲み込まれながらも、押し返してしまった。
 バクフーンはいち早くそれに察知して火炎放射をやめて何とか攻撃をかわした。
 しかし、もうライコウはすぐそばにまで迫っていた。

「『サンダーロード』」

 電気を纏った超タックル。一直線だが音速級のスピードにバクフーンはかわすすべもない。

 ズドガンッ!!

「ナニ!?」

「……」

 しかし、ライコウの攻撃を何とか跳ね飛ばした。

「こっちの『バーストフレイム』が間に合ったようだな」

「切り札の技は互角ということネ?それなら……」

 スティーブは再びプラスパワーを繰り出した。

「これでどうネ!?同じ切り札同士ならこっちの方が威力が高いネ!終わりにするネ!!」

「…………それで俺に勝てたと思ったか?」

 エースはバクフーンを一旦ボールに戻して精神を集中し始めた。

「ナニ?いったい何をしている?」

 スティーブはまったく気付いていなかった。
 エースのバクフーンの力がドンドン増大していることに。

 そして、結果は証明する。

「バクフーン、『バーストフレイム』」

 ライコウの最大の一撃をバクフーンが圧倒的な力で押しのけてしまった。

「ヌワッ!!」

 ライコウはスティーブにのしかかるように飛ばされた。

「……」

「ユーの勝利……認めないネ!!ライコウ!!『電磁砲』!!」

「一つ言い忘れてた」

「……?」

「今の俺のバクフーンの切り札は一つじゃない。バクフーン、『ネオ・ブラストバーン』」

 それほど大きな炎ではなかった。とてもじゃないけど、ライコウの電磁砲を相殺するような、まして圧倒するような威力の炎には見えなかった。
 だが、その攻撃はライコウに当たった瞬間にブラストバーン以上の破壊力を持った炎に変わった。

「ばかナッ!!」

 炎の中、ライコウとスティーブの持っていたカードは一瞬にして消え去ったのだった。
 そして、バタッとスティーブは気絶した。

「……だいぶ時間がかかったな……。急いでいかなくては……。でも、ポケモンたちを回復してやらないと……」

 少しの時間だが、エースはその場に休んで体力を回復させた。
 スティーブ戦で自身も傷を負っていることもあって、その回復も兼ねてだった。





 そして、エースは南東の生贄の間にやってきた。
 
「これは……」

 キラキラと光を反射する水晶壁のようなものに目を奪われた。

「まさか……この中に……?」

 すると、すぐにエースは発見した。

「ジョカ!?」

 急いで水晶壁に駆け寄ろうと走るエース。

「今助けてやるからな」

 走って走って近づくエース。しかし、ふと違和感を感じた。

「……?なんだこの感じ……本当にジョカはここにいるのか?」

「FUFUFU……ようやく来ましたNE」

「だれd……ぐっっ!!」

 振り向いた瞬間にオオスバメの電光石火がエースの腹に入った。
 そしてそのまま水晶壁にエースを押し付けるようにオオスバメは飛んでいった。

「その水晶壁はホログラムを使った偽者ですYO。君の探している妹のジョカは北の生贄の間でここにはいませんYO。全ては君をこの水晶壁に入れるための罠だったのですYO」

「なっ……んだと」

 ドスンッ!!

 エースは抵抗できなかった。
 オオスバメのそのままの攻撃ですっぽりと水晶壁の中へと入れられてしまった。

「(くそっ……)」

「FUFUFU……これで準備は整いましたNE。さあ、リリス。はじめましょうKA」

 そして、世界の存亡を書けた戦いが、今はじまろうとしていた。










 103:禁忌発動


 ラハブの新境地、塔の最上階。
 また、その最上階への入り口を『亜空の入り口』とリリスやザンクスは呼んでいた。

 リリスはその亜空の入り口へと足を踏み入れて、ずんずんと先へと進んでいく。
 進むといっても地面なんか歪んだりして先が見えない状態だし、左右上下、何がなんだかわからない状態だった。

 よーするに、どんな空間だか僕自身も説明できないということだ(駄)

「(かつて、亜空を切り取り、全世界を我が物にしようとした者が存在した。しかし、それを神を見過ごしておくわけには行かなかった)」

 数分歩いた後、リリスは足を止めて見上げた。

「(”神”と”こいつ”の戦いは一週間にも及び、最終的には神が封印することで、戦いは決着がついた。そう。こいつは神と互角に渡り合えた唯一の存在…………)」

 リリスはエネルギーが溜まっているソウゲドの石を首からぶら下げて、ザンクスの合図がくるのを待った。
 さほど時間はかからなかった。多分一分くらい。すると、6つの光の柱がリリスの言う”こいつ”を囲みこんでいった。

「意外と早かったわね。さあ……あたしが力を貸してあげるわ。一緒に神を倒しましょう……”禁忌”と呼ばれた存在よ」

 そして、リリスは6つの光の中へと入っていった……。





「ウフフ……あんたはどうするのかしら?アタシたちを放っといてその二人を助けるのかしら?それとも、アタシたちを見殺しにするのかしら?」

「……わ、私は……」

 ヒロコの投げかけに答えを導き出せないオトハはずっと考え込んでいた。
 その時間、30分ほど(ェ)

「私には……どちらも見過ごすことなんてできません……」

「あんたは甘いわ。本当に人を救うとき、必ず誰かが犠牲になると言うものなのよ!」

「…………」

「…………あんたみたいな苦労も知らない小娘にわかるわけがないでしょうけど!!」

「(……思い出してみれば、そうでした。ヒロトさんだってヒカリさんを救おうとして犠牲になろうとした……。それなら私もどちらかを選ばなくてはいけないということなのでしょうか……?)」

 丁度そのときだった。
 6本の光の柱が塔へ昇って行ったのは。

 オトハとヒロコは同時にそれを見上げた。

「今のは一体……?」

「ウフフ……とうとう目覚めるのね。リリスと禁忌が融合した最強の存在が……」

「え?」

「これで神は倒したも当然!そして、すべての世界はアタシたちのものになるのよ」

「……そんな……。そんな目的のためにジョカちゃんやナミネちゃんを……」

 オトハは自然と拳を握り締める。

「力があれば行使したくなる。リリスはそういう女よ。……止めたいの?止めたいならあの塔の頂上まで行けばいいわ。そうは言っても、どうすることもできないでしょうけど」

 ヒロコの言葉に返事をせず、オトハは走り出す。

「(生贄にされた者たちを助けるには、リリスという人を倒すしかありませんね……。行きましょう!頂上へ!!)」





「わしのこの楽器はポケモンの攻撃能力を最大にまで引き上げることができるのじゃ。……この一撃で決まるのう」

「ワニノコ!こっちも最大パワーで行くよ!!」

 エレキとバブル。
 リリスが禁忌と共に覚醒した時、彼らはまったく事態に気付いていなかった。

 ただ、エレキのワニノコとバブルのバクフーンの最大の技が大激突をしていて、それどころではなかったと言えよう。





「……っ!? あれはっ!?」

 螺旋の階段の窓からリュウヤも6つの光の柱を目撃していた。

「まさか……ヒロトたち……間に合わなかったというのか……?もしくは負けてしまったのか……?」

 彼に不安が頭をよぎる。

「しかも、アイツが本当に復活するとなると大変なことになる……急いでいかないと!!」





「っ!?スズりん!?」

 2体の同時攻撃を受けて、スズりんは打っ飛ばされてダウンした。

「…………」

 ユウナは相手の顔をじっと見た。そして、一言言った。

「あなた、ヒロトじゃないわね」

「…………」

「そして、ジョカを誘拐したのはあなたね」

 すると、ヒロト……いや、ヒロトと瓜二つの男は冷笑を浮かべた。

「クククッ……」

「でもどういうこと?何であなたがライチュウとキノガッサを?どちらもヒロトのポケモンとまったく同じじゃない!!」

「同じ?それは大きな間違いだな」

 男は言う。

「ヒロトよりこの俺……トロイの方が強い!」

 ライチュウとキノガッサが同時に襲い掛かる。

「ウイりん!『大文字』!!」

 強力な炎がキノガッサに直撃する。

「効かないな」

 まるで平気な顔をしてキノガッサはマッハパンチをウイりんに叩き込む。

「くっ!『高速移動』」

「遅いな」

「なっ!?」

 ウイりんの高速移動がトロイのライチュウの通常スピードとほぼ同じだったのだ。

「『エレキテール』」

 電気を纏った尻尾がウイりんを軽く吹っ飛ばす。

「……まさか……どうして?ヒロトのオリジナル技まで……」

「ユザム、『波動弾』」

 拳にエネルギーを溜めて一気に打つそれは、ルカリオの波動弾そのものだ。
 しかし、微妙に違いがあるとすれば、波動弾の色が微妙に緑色をしていたことだろうか。

「ウイりん!『スパイラルショット』!!」

 ウイりんの必殺技を突き抜けて、ユザム……キノガッサの波動弾がウイりんに命中する。

「(っ!?大きなダメージを受けているけど何とか耐えている……。どうやら、この波動弾は草属性のものね)」

 ウイりんの様子をうかがいながら、I☆NAで技を確認する。

「なかなかしぶといな。それならこれでどうだ?ノイ、『マルチ10万ボルト』!!」

 10本の10万ボルトの帯が一斉にユウナとウイりんに襲い掛かる。

「(なっ!?それは確かヒロトのライチュウの最強の……)ウイりん!!『スパイラルショット』で防御!!」

 いつもより円周を長くして範囲を広めた炎が10万ボルトを阻もうとする。
 しかし……

「ノイ……1:1だ」

 5本の電撃をスパイラルショットの相殺に当てた。
 そして、残りの五本はノイがまるでムチのように操り、スパイラルショットの攻撃範囲の外をくねって避けるように動いた。

「ぐっ……うっ!!」

 バチバチバチッ!!!!

 何の影響も受けなかったその5本の10万ボルトがユウナとウイりんに命中した。
 ユウナを庇ったウイりんだったが、それでも庇いきれたのは4本まで。
 ユウナは残りの1本を受けてしまった。

「……っ……ウイりん……」

 地面に這いつくばるユウナと力なく倒れるウイりん。

「さて、次は……ん?」

 止めを刺そうとユウナに近づこうとした時、トロイは目の前の変化に気がついた。

「ついに始まるか……」

「……?」

 ユウナも光に気がついて、トロイの視線にあるものを見る。
 そこにあるのは、ナミネがいる輝く水晶体。

「復活の時か……」

 その水晶体からギューンッとてっぺんの見えない塔に向かって光が飛んでいった。

「これで俺たちの野望は果たされる。……実際言うと俺にはあんまり関係ないことだが……」

「どう…言う…意味よ?」

 尋ねるユウナ。しかし。トロイは答えなかった。

「さて、そろそろあんたを」

「……『始末する』なんて言わせない!」

 ユウナは立ち上がってポリりんを繰り出した。

「……言っておくが、手加減はしないぜ?」





「…………」

「うげぇ……」

「ラグナ……」

「うっぷ……」

「俺たちは……」

「ぐぶぅ……」

「確か、六角形の角を目指して居たんだよな?」

「……ぜぃぜぃ……」

「ここ……どこだ?」

「俺が……知るか!!げぇ……」

 さて、ユウナやエースたちが必死に戦っているというのにラグナとヒロトは何をやっていたかというと……特性の『乗り物酔い』と『方向音痴』をユニゾン発動させていた。(ぁ)

 レイン(ラプラス)で海を渡って、フライト(フライゴン)で飛んで、6角形の頂点を目指していたのだが、”何故か”そのど真ん中に来てしまったのだという。
 ヒロトの方向音痴の幸いは、何とかリュウヤから聞いていた場所に出たというところだろうか。

「この高い塔は聞き覚えがあるんだけど……まさか、ここが塔か?」

 空にまで続く塔をヒロトは見上げる。

「頂上が見えない……いったいどこまで続いているんだ?」

「……うぅ……」

 一方のラグナは下を向いていた。

「大丈夫か?」

「これが…だいじょう…ぶに…見えるか?」

「見えないな(汗)」

 果てしなく乗り物に弱いラグナであった。

「……ナミネやジョカを助けないといけないのに、ここからどの方角へ行けばいいんだ?……おい、ラグナ」

「うぅ……」

「本当に駄目だな、こりゃ」

 ヤレヤレと額に頭を当てる。
 彼らが6つの光を目にしたのはそのときだった。

 東西南北から計6つの光の帯が塔の頂上へ向かって、飛んで行った。

「今のは何だ!?ラグナ、見たか?」

「…………」

「……見てるはずないよな(汗) しかし……いったい今のは……」

「知りたいか?少年達」

「!?」

 ヒロトはいち早く気付いて背後を振り向いて空を見上げた。
 そこにはメガヤンマの手にぶら下がっている、マフラーをした色男の姿があった。

「お前は誰だ!?」

「私の名前はアウト。エグザイルの一人だ」

「敵か!」

 ヒロトはモンスターボールを構える。しかし、アウトの方はすました顔で言った。

「そんなことより、さっき何が起きたか知りたくないのか?少年」

「……教えてくれるのなら教えて欲しいな。本当のことをな」

「私は嘘は言わないさ。イカサマは嫌いなんでね。さっきのあの光は6人の特殊なエネルギーさ」

「特殊なエネルギー?」

「アレを”禁忌”と主であるリリス、そして、その6つの力と1000エナジーを融合することで最強最大の存在が生まれるのだよ」

「……つまりその力を使って、神を倒すというのか……」

「恐らくそれだけには留まらないだろうな」

「……?」

「ゆくゆくは全ての世界を飛び移り、支配する気だろうね」

「なんだと……?(まさか……リュウヤの言っていたことが本当だったなんて……) お前たち……まさかそのためにジョカとナミネの命を……」

「命を……? 少年は何か勘違いをしているな」

「……?」

「別に特殊なエネルギーを盗られたからと言って死ぬわけじゃない。まー100%無事というわけでもないけど」

「……っ!!」

「そして、禁忌はまもなく復活する。残念だが、君達は私の手でここに葬ってあげよう」

「そんな事させるか!!シオン!!『電撃波』!!」

 メガヤンマで浮いているアウトに向かって、鋭い電撃が飛んでいく。
 ヒロトが指示を出した時はまだ余裕を見せていたアウトだったが、シオンが技を出すモーションを見たときに顔を変えた。

「(当たる!?)」

 電撃波が当たる一瞬、メガヤンマは上昇し、アウトは手を離して地上に降りようとした。
 そのアウトの一瞬の状況判断で電撃波がアウトの左手を擦るのみという結果に押しとどめることになった。

「やれ!ハッサム!」

 地面に着地してから、すぐにハッサムが飛び出してきて、シザークロスでシオンを襲う。
 シオンもパンチ系の攻撃をハッサムの攻撃をかわしながら打っていく。
 だが、スピードは今のところ互角で、両者の攻撃はまったく当たらなかった。

「ハッサム、『スタンブレード』」

「(かわせない!)シオン!『エレキテール』!!」

 ズドガンッ!!

 避けられないと悟り、身体を捻って電気の尻尾で攻撃を弾き返す。

「っ!?やるな〜少年!まさか、尻尾で私のハッサムのこの攻撃が弾き飛ばされるとは思わなかったよ」

「…………」

「これならどうだ!?『ロストセフィティ』!!」

 何かしらのオーラを纏ったハッサムが突っ込んでくる。

「来る……シオン!!」

 頷いて構えるシオンだったが、動きが止まった。

「シオン!?……どうした!?」

 苦しそうに痺れを見せるシオン。

「(マヒ状態!?いったいいつ……?)」

 そうしている間にも、ハッサムの連続攻撃が襲い掛かる。

「(まずっ!!)」

 シオンに攻撃が当たるのは確定的だった。

 ズガキンッ!!

 そう、”この男”の乱入がなければの話だが。

「……!!」

「……ラグナ?」

「ったく、俺を差し置いてヒロトと戦うなんて……舐められたもんだぜ!」

 ハッサムをクチートの欺きの口でバットのように打っ飛ばしてラグナがヒロトの前に、クチートがシオンの前に立つ。

「差し置いて……というが、お前はさっきまで乗り物酔いで死んでただろ?」

「それでも許せねぇんだよ!! ……てめぇ、アウトって言ったな!?俺と戦いやがれ!」

 ビシッとアウトに指を差して言う。ちなみにクチートもラグナの真似をした。

「……どうやら、なかなか楽しめそうだな。2人でかかってきなよ。少年達」

「てめぇなんて、俺一人で充分だ!ヒロトの出る幕はねぇ!」

 そして、ラグナはヒロトに言った。

「俺がこいつと戦う。てめぇはこの塔を登ってその”キンキ”とかやらを打っ倒して来い!!」

「ラグナ……」

 ヒロトは頷いて、塔へ向かって走って行く。

「ほぅ……まさに『井の中の蛙、大海を知らず』とはこのことだな」

「…………」

「『世の中で抗えず、大会を彷徨う』じゃなかったっけ?」

 2人から少し遠くの場所でヒロトの一言が虚しく響く。
 ラグナとアウトは無視して続けた。(ぁ)

「まーいいだろう。少年、一人でかかってきな。相手になってやるよ」

「俺の名前はラグナ。少年じゃねぇ!そして、かかってくるのは俺じゃねぇ。てめぇだっ!!」

 クチートとハッサムがにらみ合い、一気に差を詰める。

「クチート!『アイアンヘッド』!!」

「ハッサム!『メタルクロー』!!」

 ラグナとアウト……激突す。





「FUFUFU……うまく行ったようですNE」

 南東の生贄の間。
 ザンクスはエースを罠にはめて、水晶壁の中に閉じ込めることに成功していた。
 そして、6つの力が解放された今、リリスは禁忌と融合し、最強の存在になっているに違いないと。

「さて、戻ってリュウヤを待とうかNA」

 スターミーを繰り出してテレポートをしようとした瞬間だった。

 バリーーーーーーーーンッ!!

 何かが砕け散る音がした。

「な!?何ですKA!」

 慌てて振り向くと、息を切らしたエースがそこにいた。
 彼を閉じ込めていた水晶壁はあっけなくバラバラに砕けてしまっていた。

「バカNA!!内側から破ることなど出来ないはずDA!まして、あの状態からポケモンを出すことなDO……」

 水晶壁を破ったのはどうやら、エースのバクフーン。最大の一撃『ネオ・ブラストバーン』があったからこそだろう。

「よくも……やってくれたな」

「…………」

「覚悟しろ」

「君の相手をしている暇はないんだYO」

「……逃げるな」

 エースが出ているのにもかかわらず、ザンクスはスターミーのテレポートでこの場を去ろうとする。
 しかし、エースはザンクスの足を掴んでテレポートに便乗して行った。

 そして、この場には誰もいなくなったのだった。 










 戦いが終わったこの荒れ果てた地に2人の少年と男が倒れていた。
 やがて、片方の男が身体を起こそうと地面に手をついた。

「……どうやら……随分気絶しておったようじゃのぅ……」

 ふらふらとよろめきながら、男……バブルは立ち上がった。
 倒れたバクフーンを回収しながら、対戦相手のエレキを見て呟く。

「まさか……こやつが”神の生まれ変わり”じゃったなんて……びっくりじゃ。……まあいい。楽しませてもらった。このままわしは奴らの最後を見届けに……」

「……いいえ。あなたはここで終わりです」

「……何!?」

 ドシュッ!!

 刹那の一閃。

「お主は……」

 それ以上言葉が出ずに、バブルは地面に倒れた。
 彼女は攻撃の主……リーフィアを戻すと倒れているエレキに近づいた。

「エレキさん……あなたのお陰で、私は力をまったく使わずにバブルを捕まえることが出来ました。感謝いたします」

 にこっと彼女は自分の膝にエレキの頭を乗せた。
 あ、つまり、膝枕(何)

「さて、残りは一人ですね……(ズズッ)」

 彼女はペットボトルのお茶を一口啜っていたという。










 to be continued










 オリジナル技

 スティーブ
 『サンダーロード』……ライコウの技。電気の道を作って走り去る大技。威力はボルテッカーよりも高いかも。

 エース
 『ネオ・ブラストバーン』……バクフーンの技。オーバーヒート3発分を凄まじいほど凝縮して放つ炎。当たった時の威力は果てしなく高い。

 ヒロト
 『エレキテール』……ライチュウの技。アイアンテールの電気バージョン。しかし、電気が付加されているから切断力がアップしているんじゃないかと思ったり。





 アトガキ


 キャラ紹介は調整のためおやすみです。

 なんと言っても今回はいよいよリリスが動き出すといったところでしょうか。
 でも、やっぱりヒロト&ラグナの方が注目かなぁ?
 この2人のコンビは書いてて楽しいかも。

 そして戦いは後半戦に突入。まだまだ続きます。

 

[一言感想]

 先生! 同時に動いてる場面が多過ぎて難しいです!(蹴)
 むしろヒロトとラグナ、何やってんだー!!(ぁ)
 ええと、エースが蘇って(?)スティーブ撃破、そしてザンクスの元に到達したようです。
 ユウナは偽ヒロトとの対決に臨み、倒れていたエレキは……えぇっ、ハナが横取り!!?(爆)
 地味に、エレキ×ハナのフラグとかあるのかなぁ。
 ちなみに悪役で印象が強いのがザンクス1人というのが気がかりですが(殴)、悪役としての活躍もそれはそれで見物ですね。

 

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