次の世代に伝えたいことは、それなりにある。
その中で、一番大事だと思うのはやっぱり女の子を大事にすることだと思う。
それは生きていて自分自身の経験を通して感じたことであり、伯父さんに言われ続けたことでもあった。
今、俺に特定の相手はいないけれど、若い頃は非常にモテたんだ。
友達や仲間や幼馴染は、俺のことを遊び人だとか軟派野郎とか罵った。
別に悪い気はしなかった。
当時はそういうことが好きで、よく女の子と遊んでいたものだった。
まぁ、基本は喫茶店でおしゃべりで、しかも相手のほうが優位に立ってた方が多かったんだけど。
でも、俺よりもモテた奴が同世代に居た。
そいつのことを考えると、俺は尊敬というか、憧れを抱いていた。
何せその男は、自分から積極的に関わろうともせずに女の子を手中に収めていたからだ。
男の俺でもわかる。
奴には、女の子を惹きつける魅力があると言うことが。
歳をとって、女の子にモテた事が非常に懐かしく思える。
俺は後悔している。
もっと自分の好きだった女の子に入れ込んであげれば良かったと。
そうすれば、俺は今と違う人生を歩んでいただろうか?
世界を破壊しようとしている組織……マイデュ・コンセルデラルミーラ。
どちらにしても奴らを倒さないことには、この破壊に満ちた世界に夜明けなんて来ない。
次の世代に伝えるために、俺は戦おう。
そして、生き残ったら、あの人に…………
「……ハレ……まさか……?」
ポツリとラグナは男性の名前を呟いた。
「ラグナ?知っているの?」
「…………。いや……絶対に人違いだ……」
オトノにそう答えてから、目の前にいる敵に向き直った。
敵はシンクロしている下っ端2人と、現在シンクロを解いている幹部2人である。
その幹部2人というのがまたクセのある2人だった。
「あれぇー?あのハレと一緒に居る3人って、エデンの言っていた始末を私たちに任せてくれた奴らだよねー?」
喫茶店のウェイトレスが着ているような服を着用した女性が、落ち着いた声ながらも子供っぽい口調で隣の幹部に聞く。
「ベリー、その通りヨ」
そして、片方の幹部の男の格好は、はっきり言って異色だった。
簡単に言えば、女性物の高そうなワンピースをぴっちりと着こなしているのである。
それに手の甲を口で押さえて、まるでお金持ちの高笑いのようなポーズを取っていた。
「そして、あのハレこそがあたしたちのターゲットなのヨ!」
「じゃあ、バニラー。さっさと片付けて、甘い物を食べに行こうよー」
「そうネ。……あなたたちー!無駄な抵抗はやめて、大人しくくたばりなサーイ!」
バニラと呼ばれた男が宣戦布告する。
「……うー……あのバニラって男……もしかして……」
オトノは顔をしかめて、ドン引きしている。
「まっ。現実的にそういう趣味の男は居るだろうけどね」
至ってレイタは、澄ました顔で敵の様子を観察していた。
「5対4じゃな。充分に行ける」
左腰の風鋼丸に手をかけるシノブ。
しかし、彼らを制したのは、ずっと黙っていた少し老けてきた男だった。
「ここは俺に任せて、君たちはカンナギタウンへ行くんだ!」
「ハレさん?」
オトノは心配そうな顔でハレを見る。
「奴らの一番の目的は俺だ。それに、ラグナ……君を絶対にカンナギタウンに行かせなくてはいけない」
「……何でだ?」
「それが、この世界を救う鍵になるから……らしい」
「世界を救う鍵……」
「詳しくは行ってから聞いてくれ」
「ねーねー!おしゃべりはその辺にしてねー!」
「下っ端たち、行きなサイ」
バニラとベリーの指示で、2人の下っ端が動いた。
どちらもすでにガーメイルとサンダースにシンクロしていて、強烈な攻撃をオトノ達に向かって放ってきた。
「させない!ソルロック、ルナトーン!『光の壁』!!」
バチッ ドガッ
10万ボルトとサイコキネシスを2匹の光の盾が防いだ。
しかし、ただ壁を張って防いだのではない。
角度をつけて、攻撃を受け流したのである。
これなら、普通に受けるよりもダメージの負担が軽くて済む。
「早く!」
ハレは真剣な目でオトノ達に目配せをする。
そして、“奴”がいち早く動いた。
「なっ!?てめぇ!?」
ラグナの腕を引っ張り、奴はすたこらさっさと逃げ出したのである。
「ちょっ……レイタ!」
慌ててオトノも2人の男を追いかけていく。
「…………」
シノブはハレを見る。
相変わらずハレは行けと目で合図をしている。
それを見て、少しためらいながらも、シノブは3人を追いかけていった。
「ねーねー。バニラー。あの4人が逃げちゃったよー?追いかけなくてもいいのー?」
「追いかけたいなら追いかけてもいいワヨ。あたしが居れば、この男は倒せるしネ」
「そーお?じゃあ、あっちの連中を倒してくるー。サンダースのキミぃ、私と一緒に来るのよー」
サンダースにシンクロしている下っ端は頷いて、ベリーの後ろについていく。
「させるか!『サイコキネシス』!」
ルナトーンのエスパー攻撃。
だがしかし、攻撃は阻まれた。
一匹のガーメイルが間に入ったのである。
「くっ!」
『バニラ様。ここは僕にやらせてくれよ!チャンスをくれ!』
「う〜ん。まーいいワ。やって見なサイ。あなたみたいなチャレンジ精神のある男の子は好きヨ」
『ど、どうも……』
下っ端のガーメイルはちょっと背筋がブルッとしたようだが、気を取り直してハレに向かい直った。
「……っ!」
「放せよ、てめぇ!」
ラグナは強引にレイタの手を振りほどいた。
「あのハレって奴を何で見捨てたんだ!」
「ふうん。君はそんなことを気にしているんだ」
「“そんなこと”だと?」
「“そんなこと”だよ。目的を達成するためには、為すべき事をしっかりやらなくてはならない。
あの男……ハレは言った。カンナギタウンの近くでお前のことを待っている奴に会わせると」
「ああ……言っていた」
「マイコンと戦う前に会わせなくちゃいけないと言っていた。つまり、マイコンに勝つためには絶対必要なことなんだと俺は悟った。
俺はマイコンに確実に勝つためなら、どんな犠牲も受け入れる。君にその覚悟はないのか?」
「覚悟とかは別の問題だ。ハレを見捨てることとは話がちげぇ!」
「いや、違わない。あの場で戦っていたら、おそらくこっちが消耗して、誰かは絶対にやられていた。そう考えると無駄な戦いは現実的に控えるのが当然の戦略ってヤツだ」
「てめぇっ!!!!」
「やめて!ラグナっ!」
ラグナは拳を振り上げるが、レイタの顔の一歩手前で止まった。
オトノが荒く息を吐いて、戸惑っている。
「レイタも止めて。お願いだからケンカをしないでよ……」
「…………」
ラグナはため息をついて拳を引っ込める。
「別にケンカなんてしてないさ。俺は現実を言ったまでのことだよ」
「…………」
オトノは複雑な心境でラグナを見た。
「俺は戻る。ハレの奴を見捨ててなんて置けないからな!聞きてぇこともあるし!」
「……ラグナ……」
「君はバカだな。せっかく逃がしてもらったのに、ハレの行為を無にする気だね」
「なんとでも言いやがれ」
来た道を引き返そうとするラグナ。
『『10万ボルト』!!』
「「「!?」」」
3人に向かって、強烈な電撃攻撃が襲い掛かってきた。
現れたのは、一匹のサンダースだ。
「追っ手だね。どうやら、ハレは全員を抑えることができなかったようだ」
「ちっ、てめぇがあの場から離脱しようとしなければ、こんなことにはならなかったんだよ!」
「そうかな?……まぁ、そういうことにしておこう」
モンスターボールを構えるラグナとレイタ。
「……あれ?そういえば、シノブがいない……?」
「何?……言われてみれば、あいつはどこへ行った!?」
「あれー?ここに居るのは3人だけー?」
サンダースから遅れてやってきたのはウェイトレスの格好をした女だ。
「幹部のベリーだね」
「ちっ、次から次へと……」
「ラグナ、レイタ……戦うしかないよ!」
オトノもモンスターボールを構える。
「そうだね」
レイタが頷くと、ラグナはもう一度舌打ちをして、相手を睨んだ。
そして、幹部ベリーとの戦いがはじまる……
『『虫のさざめき』!!』
「かわすぞ!」
ガーメイルの強烈な虫系の技を何とか回避するハレとポケモンたち。
「(相性が悪い……。アレにあたったら、イチコロだ……。何とか突破口を……)」
『隙有り!』
「しまっ!!」
後ろに回り込んでいたガーメイル。
そこから放たれるサイケ光線をハレは避けられなかった。
ソルロックもルナトーンも反応が遅れて、ハレは直撃を浴びることになった。
だが、直撃はしなかった。
『っ!!』
ガーメイルが後ろの殺気に気づいて、攻撃を中断させられたのである。
その殺気から放たれる一太刀をかわして、何とかガーメイルはそいつと間合いを取った。
「君は……!」
「女侍ネ?」
刀を抜いた侍はハレの前に立った。
「何で一緒に逃げなかったんだ!?」
「助けてくださった貴殿を置いて逃げるなど、あたいにとって死と等しき行為。だから、あたいは貴殿を手助けする!」
「面白いことになったワネ!とりあえず、ガーメイルのあんたはあのシノブを倒しなサイ。そして……」
バニラはモンスターボールとシンクロパスを取った。
「あたしがハレをやるワ」
『は、はい。喰らえ……『虫のさざめき』!!』
シノブに向かって、虫系の必殺攻撃を放ってくるガーメイル。
「くっ!!」
その風に、対応できず、吹き飛ばされたシノブ。
ゴロゴロと地面を転がって、木に激突した。
『止めだ!『エアスラッシュ』!!』
羽根を羽ばたいて、いくつかの空気の刃を飛ばした。
「その程度では……やられない!」
刀で地面を突いて、咄嗟に横っ飛びをして攻撃を回避する。
そして、シノブもシンクロパスを取り出した。
『貴様程度……10秒で片付けてやる』
カモネギとシンクロしたシノブは、ネギをしっかりと握った。
『それはどうかな!?『エアスラッシュ』!!』
『『真空波・一閃』!!』
『『10万ボルト』!!』
サンダースにシンクロした下っ端が、電撃を放つ。
威力は相当研ぎ澄まされていて、まともに相殺をしようとしたら、次の連続攻撃が決まるだろう。
……と、“奴”は読んでいた。
『逃げるなッ!!』
そして、“奴”を追ってサンダースは電気攻撃をガンガン撃っていく。
しかし、攻撃はなかなか当たらない。
『なら、『電光石火』!!』
素早く地面を蹴って、奴に飛びつく体当たりを繰り出した。
速度、方向……共に申し分なく、確実に命中すると思っていた。
「そう来たか」
“奴”は振り向いて、手をかざした。
『(何を……?)』
バチッ!
電光石火が奴に入った。
しかし……
『つぅっ!!弾かれただと!?』
弾き飛ばされ、地面に転がるサンダース。
意外な展開に、驚くしかない。
「っ!!」
とはいえ、奴もまったくダメージを受けていないわけではなかった。
右手のグローブを取って、ブンブンと振っていた。
「……まー、このくらい離れれば、幹部のベリーの邪魔はないだろう。でも、想定外なのは、君が相当の実力者ってことだね」
『(ワザと俺を孤立させるために……!?)』
グーパッと手を確認して、グローブを嵌めると、奴は腕を組んだ。
「並の相手だったら、こっちのダメージは全くないのに。君は幹部候補かな?」
『幹部候補……そう言われたのは初めてだな!』
サンダースはくしゅっと笑った。
『幹部になる最低限の条件は、シンクロできるポケモンが3匹以上であること。俺の場合、このサンダースは幹部と張り合うほどの力があるが……それだけだ……』
「なるほど……。シンクロできるポケモンの数が少ないということだね」
『とにかく……俺はお前を倒す!』
サンダースは背中の毛を立てて構える。
『ミサイル針』のようだ。
「その前に、俺の名前を名乗っておこうか?」
『何を……?』
青いトンガリ帽子を取って投げ、青い法衣を脱ぐと、女性みたいな長い赤い髪が露になる。
そして、モンスターボールとシンクロパスをそれぞれの手に持った。
「俺の名前は波動の家系の末裔……そして、ファウンスの守り手の末裔……レイタだ」
『波動……ファウンス……!?』
サンダースはハッとした。
『まさか……お前……!!』
シュッ!!
『……え?』
サンダースは目を疑った。
シンクロをした瞬間、レイタの姿を見失ったのである。
『後ろだ。『はっけい』!!』
ブォンッ!!
掌底を打ち込まれた。
しかし、ただの掌低ではなく、攻撃と同時に爆発した。
その威力でサンダースを後方へと吹っ飛ばした。
『(ルカリオか!? ……っ……早い……。『神速』か!?)』
チラッと見えたルカリオの姿を、サンダースは確認した。
しかし、もう一度見たときは、レイタがシンクロを解いていたのが見えた。
『(何を!?まあいい……)『ミサイル針』!!』
ずっと力を溜めていたミサイル針を全弾発射した。
雨のように降り注ぐ針がレイタに襲い掛かる。
「避けるまでもないね。現実的に」
さっきとは別のモンスターボールを取り出すレイタ。
そして、サンダースのミサイル針をそのポケモンとシンクロして、打ち落としていく。
『あのポケモンは……!!』
骨を装備したそのポケモンは、ガラガラだった。
ミサイル針をいとも簡単に、打ち落としきった。
そして、ガラガラは骨を上に伸ばすように持ち上げてフッと息をつく。
『これでフィニッシュだ。『骨ブーメラン』!!』
『させるか……『電磁浮遊』!!』
骨をビュンと投げつけるガラガラ。
しかし、自身の電気の力で浮き上がって骨をかわした。
『(そういえば、奴らが襲ってきた時、全員浮かんでいたな……)でも、もうすぐ君は動けなくなる』
『……なに?……うっ……体が……!?』
いきなり、体が変調を訴え始め、徐々に高度が下がっていくサンダース。
『ビリビリと……感覚が……いったい……』
『最初の攻撃を受けたのが、君の敗因だよ』
そして、ガラガラはジャンプしてサンダースを捉えた。
『(最初……?まさか、『はっけい』のせいか!?)』
『『ボーンインパクト』!!』
ガギッとサンダースの背中に骨が当たると、そのまま振り下ろして、地面へと叩き落した。
『ガハッ!!』
その一撃で、サンダースはダウンして、シンクロが強制解除された。
「まずまず。……さて、ラグナとオトノの様子でも見に行くか」
シンクロを解いたレイタは、サンダースを放っといて、走って戻って行ったのだった。
「(これで……決まるか……!?)」
汗を掻き、ぜぇぜぇと荒い息をしているのは、ハレだった。
先ほど、ルナトーンが『にほんばれ』を放ち、バニラの攻撃の隙を狙って、オーバーヒートを仕掛けたのである。
防御を固めて、コンボを整えるハレの戦法は、昔から隙がなく、幾度となく相手を破ってきた。
「(しかし、まだ油断はできないな……。でも、決まって欲しいんだが……)」
相手はマイコンの幹部。
自身が戦ってきた中でも、最強の相手であることをハレは自覚していた。
このコンボにつなげるまでに、光の壁やリフレクターなど、補助系の技を幾度となく使用して、ここまで持ってきたのである。
そして、防御を徹底していてさえ、ルナトーンとソルロックはもうすでにボロボロなのである。
『あらぁ、この程度ォー?』
「うわっ!!」
オーバーヒートの技の炎の半分が、どういう原理か、返って来た。
ハレはソルロックと一緒に炎の色をした輝く光に撃ちのめされそうになるが、ソルロックが前に立ち、ハレにダメージを負うことを防いだ。
しかし、自分自身は、致命傷を負って地面に落ちてしまった。
「まだ倒れないのか……!?ルナトーン、『サイコウェーブ』!!」
『遅いワヨ!!』
ズドーンッ!!
激しい音を立ててルナトーンは吹っ飛ばされた。
そして、木にぶつけられて、あっという間にダウンしてしまった。
『『メタルバースト』に『アイアンヘッド』ヨ。あたしの攻防はどうカシラ?痺れてくれたカシラ?』
くすくすと笑うのは、ボスゴドラだ。
もちろん、ボスゴドラとシンクロしているのは、女っぽい幹部の男、バニラである。
「くっ……」
ハレは新たに腰につけているモンスターボールを取り出す。
ネンドールだ。
「『だいちのちから』!!」
地面を刺激し、一直線に押し上げるような振動がボスゴドラへと向かっていく。
『あらーそんなの無駄ヨ』
対するボスゴドラは、息を吸い込んで力を溜めたかと思うと、拳で地面を叩いた。
すると、ネンドールの『だいちのちから』と似たような振動が生じた。
当然ぶつかる二つの振動。
「うわっ!!」
技の威力で負けた敗者は、攻撃をまともに受けて吹っ飛ばされた。
すぐに起き上がろうとするが、ボスゴドラはすぐ目の前にまで迫っている。
しかし、ネンドールはダメージを受けなかったために、ハレを守ろうと、間に入った。
『原始の力』を発動させた。
『邪魔ヨ』
メタルクロー系の攻撃が一閃。
ネンドールはその一撃に耐え切れずに、近くの木に激突してダウンした。
『シンクロしていないあんたたちが、あたしに勝てるわけないじゃないノヨ』
「くっ……」
ハレはボールに手をかける。
『抵抗は辞めなさいって言ってるノ。わからないのカシラ!!』
ふらふらの状態でボールを持っているハレにメタルクローを一撃。
情け容赦のない一撃だった。
「あ……う……」
服は引き裂かれ、体は爪の跡が残り、地面は彼の血で染まっていた。
残りのボールが地面に散らばる。
ボスゴドラはそれらを一つ一つ潰していった。
『これでモンスターボールは壊したから、もう戦えないワヨ。ハレ……こうなると憐れな最後ネ』
クスクスとボスゴドラは笑う。
『オーレ地方で2人の英雄の子供として生まれるものの、女と付き合うのが趣味だったあんたは、たいしたトレーナーにはならなかっタ。
でも、勉強はできたみたいで、考古学を専攻し、その知識を生かして遺跡発掘のため世界を回ってイタ』
「ぐ……な……ぜ……俺の……こと……を……」
『『知っているの?』って言いたいのカシラ?そんなの当たり前じゃないノ。こっちには、『英知の情報通』が居るノヨ?
そうネ、あたしはあんたが知らないことも知っているノヨ?』
「……う……?」
『例えば……あんたの本当の父親……カシラ?』
「ほん……とうの……父……親……? 俺の……父親……は……………」
ハレは自分の父親の名前を小さく告げた。
しかし、ふっ、とボスゴドラは鼻で笑った。
『やっぱりネ。何も知らないようネ』
と言うと、今度は腹を抱えてボスゴドラは笑い始めた。
ハレは困惑した顔をしようとするが、ダメージが大きくて顔を歪める事しかできなかった。
『ふふっ、まぁイイワ。このまま、何も知らずにくたばりなサイ!!』
「(……く……いったい奴は何を知っているんだ?俺はこのまま死ぬわけには……!!)」
ボスゴドラの爪はハレに向かって非情にも振り下ろされた…………
……俺は……俺は……何も伝えられないのか……? 奴は何を……知って…い…た……ん……だ…………?
第35話 遮られる日差し 終わり
彼女は立ち上がることの意味を知る。
第36話へ続く。
[アットの一言感想]
ところで冒頭部分は、結局のところ誰の何?←
人情派と現実派(?)というのは、たびたび衝突することがあるのは物語の定番ですが、今回もそんな話でした。
最後にハレがピンチですが、ここで護れなければシノブが舞い戻った意味がないと思います(ぇ)。