4話「砂原の韋駄天」
1#:「世界の車○から」
シンオウ地方の南部一帯に広がるモリエ砂漠。
極寒の北の大地であるシンオウにおいて、当然のことながら雪や雨は降らず、連日の日中気温は40度以上ということが日常。
ここには地面タイプのポケモンが多く生息し、個人での移動が危険とされている。
そんな砂漠の中を、この地域の各所に点在するオアシスを結び、シンオウ地方北東部の街、オービタウンへと通じている。
豪華寝台特急『デザート・ウィンディ号』はその中をまさに鋼鉄のウィンディの如く疾走していた。
そして・・・・・、
この特急でも特に人気の先頭車両『1等客車』は全て個室で、一流ホテル並みのサービスが味わえるまさに夢の空間なのである。
その広いスイートルームを・・・・一人で暇を持て余す少年が一人。 そうショウ=スカイマークである
「スイレンとフェザーは臨時の機関士と乗務員になっちゃったし、一人じゃやることも少ないしなあ・・・」
常日頃、彼の側には必ずスイレンが付き添い、行動は二人でという事であったため、いざ一人になってしまうとどう時間を使って良いのかが分らなくなってしまうのだった。
が、そんな事は彼の手持ちがカバーするのだった
(ふむ、レトロで優雅な旅になりそうだ。ショウ君も今はゆっくりと列車の旅を満喫するといい)
彼の相棒であるバロン(デリバード)は、すっかりボールから出てきて、どっから持ち込んだか知らないが黒きタキシードを着こなしている。これでパイプでも口に咥えていたら立派な紳士だろう。
「それはそうだけどさ。室内にずーっと居るんじゃ僕は病室に居るのと変わらない感じがするから・・・」
(・・・・・それでは、少し列車内を移動して、この車内の色々な場所を巡るとしよう。こういった特急列車にはそれなりの拘りがある。そういったものを見るのも紳士のたしなみだ、色々な乗客と話をするのも面白い)
バロンの提案にショウはというと
「他の客車の人達かぁ・・・どんな人が乗っているんだろう?」
「ぶ〜いっ♪」
そして、メアリィもまたショウにじゃれ付くと、ショウの右肩の上に乗る、新たなる出会いを予感し、ショウは個室のドアを開けた____。
ショウが動き始めた時。その頃・・・・10号車『3等客車』の個室では。
「だぁ〜〜何でこの俺様が、3等客車なわけよ!?」
目付きの悪い、茶髪の少年、ハヤブサは舌打ちをしながら乱暴に質素な作りのベットに寝そべった。
「ダイムラーの野郎・・・・俺様にこんな扱いをした屈辱は後で倍返しにしてやるからな、そして・・・あのショウとか言うガキンチョ・・・今度はこの前のようには行かないぜ。覚悟しやがれ!!」
などと勝手に気合を入れているのであった。 だが
「オラァ!!!?少しうるせぇぞ!!」
ドガッ!!と壁の向こうから殴りつける音と共に罵声が聞こえてきた
「ヒィ!!?俺様何もしてないですって!!?」
”車内での迷惑行為はおやめください”
等とタイミングの良い案内放送の中、ハヤブサは3等客車のつくりの悪さに舌打ちをするのだった。
そして6号車の『2等客車』・・・・ここはそれなりにしっかりとした部屋になっており、普通に列車の旅を楽しめる部屋である。
ここの個室には誰が居るかというと・・・・・
「ま、ハヤブサには悪いが、俺も列車の旅は・・・・素敵な女性との出会いの場にしたいもんな」
そんな軽い口調の男、ダイムラー=ボーイングは、「モテる男の必勝法」なる本を開いていたが。やがて興味がなくなったのか手早く閉じる
「それしても、ミグぴぃもリーダーなのに華奢だよなぁ・・・・運転ミスで木にぶつかって被った雪が災いで風邪引くとはねぇ・・・」
そう、ハリアーはあの時の木への激突が原因で風邪を引いていた(ぁ)
「ま、その辺が女の子らしいんだけどさ・・・・・さてと、乗務員の娘も可愛いし、食堂車かロビーカーにでも繰り出すかぁ」
ちなみに最初彼はハヤブサについていくことに反対だった。理由は「何でむさい野郎2人で豪華列車に乗らなきゃならないんだ?」である。
しかしその時の一人の人間が、スイレンの写真をどういうわけか入手していた。それを見るなり彼は
「うぉぉ!!?俺好みの美しいお姉さんw」
などとノってしまい。あっさり列車にのる事に賛同してしまった。
「待っててくれよ〜〜スイレンちゃん♪」
明らかに怪しいテンションで、ダイムラーは部屋を出た。
彼にとっては、女性に会うことが最優先事項なのだろうか?
そしてそこから一つ部屋を挟んで、もう一つの個室
「やっと、ここの列車の切符が取れたわね。本当は1等客車の切符が取りたかったけど、流石に無理だったかしら・・・」
青い髪に青のTシャツとGパン、統一した服装とは違う黒い(ゴツイ)サングラスをしている少女は。大分冒険に慣れている様であった
「シンオウにも確か伝説の鳥ポケモンが居るって話を聞いたから、早く会えると良いなあ・・・・ホウオウに、そのためにも情報収集ね」
それだけいうと少女もまた、部屋を後にした。
2#:ウェイトレスな彼女
ショウは自分の部屋を後にすると、まずはスイレン・フェザーと食事をとることにしていたので、隣の車両である食堂車に向かう事にした。すると、
「とにかく食堂車に行かないt・・・うわっ!!」
どさ!!!
いきなり人にぶつかってしまったのだ。
「あ、すいません」
「いいや、こちらこそ悪かったね」
その男は長身で、黒い髪をしている。
「あれ・・・・?(この人何処かで会った事があるような・・・)」
「どうしたんだい?食堂車に行きたいんだろう?」
「あ・・・・はい、」
「隣の客車だ。それじゃ良い旅を」
青年は好意的な笑みを浮かべてショウの隣の個室に入っていった
「・・・・・何だか不思議な人だったなあ」
(確かに、懐かしい雰囲気を感じさせる人でしたな、さてとショウ君、私達も行くとしましょう)
〜食堂車〜
「おっ、ショウ!!こっちだ・・・・・早く来いって」
中に入るなり、フェザーが声をかけてきた。
「あ、フェザー!!もう仕事のほうは良いの?」
ショウは約束してたとはいえ、忙しい仕事を放り出してきて良いのかと、少し心配でいた
「気にするな。それに大方石炭の火力は充分なところまでいったからな、正規の機関士の人が後はやってくれる。だからこれからは一緒に行動できると思うぜ」
「そうなんだ・・・それじゃ色々と、この先の街の事とか教えてほしいな」
「OK、そういうと思って、色々と情報は手に入れてある。・・・・とその前に、少し腹ごなしをするとしようか」
「ははは・・・・フェザー、今日は働き詰めだったからね」
「そういうこと、腹が減っては戦ができぬって・・・昔の人も言ったもんだな・・・さて、人を呼ぶとしよう〜〜すいませ〜〜ん、」
「は〜〜い、今行きま〜す♪」
フェザーが声をかけると、ウェイトレスの女性が駆け寄ってきた。
「注文ですね、かしこまりました」
「え〜〜っとそれじゃ僕・・・・って、・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」
「どうしたんだショウ・・・って君は!!?スイレン!!」
「ありゃー、やっぱりばれちゃったか・・・」
そう、たまたま声をかけたウェイトレスがスイレンだった。黒と白の清楚なイメージの配色に可愛らしさを強調するフリルのついたデザインのメイドにも似たその制服は、彼女のイメージにピッタリと来る。
「へぇ、驚いたな、凄く似合ってるよ。スイレン」
「ちょっと、フェザー、・・・・お世辞はやめてちょうだいって♪」
スイレンは恥ずかしいながらも少し嬉しく思ってるのだろうか、すこし頬を染めている
「(・・・・スイレン・・・可愛いなぁ・・・)」
ショウもまた赤くなりながら、ぼーっとしてしまう
バチーン!!!
「うわっ!!・・・いたたた・・・」
「ショウ、どうしたんだ?顔真っ赤だぞ?」
少しニヤリとしたフェザーがそこには居た、額がひりひりと痛い・・・・、恐らくデコピンでもされたんだろう
「フェザー〜〜〜〜!!」
ショウはフェザーを睨む。
「はははっ、ぼーっとしてたし、口が開きっぱなしで真っ赤だぞ?」
フェザーは意地の悪い笑顔で状況を面白がっている
「そ、そんな間抜けな顔してないよ!!?」
(・・・・・だらしないとこ見えちゃったかな〜〜)
否定はしたものの、自覚はあったらしい。
「あら、ショウもそんな歳になったのね〜〜、でもその様子じゃ女の子とデートなんか出来ないぞ?」
今度はスイレンにまでからかわれてしまったショウ。
「うぅ〜〜酷いなぁ・・・みんな」
「まあまあ、たちの悪い冗談はこのくらいにしておいて、二人の今後の予定について聞かせてくれ、俺も出来る限りのことは協力するぜ」
フェザーの一言の後、3人は今後の予定を組み立てるのであった。
3#:紳士のたしなみ(?)
「というわけでだ、二人はこの後北東を目指して行きたい?そういうことだな」
テーブルの上にシンオウのマップを広げたフェザーは。二人がこの後行くべき道を模索していた。
「うん、そうなんだ」
「北東の方に確か、ハクタイシティってあるじゃない?ほら、あそこはシンオウ有数の繁華街だから。あの辺りまでにジムを巡りながら北上していくのが理想的ね」
「なるほど、ハクタイに目標だな。だとするとこの列車の終着駅、オービタウンがいいね。あの町からは北東方面に伸びる道が発展している。ジムのある街をまわるなら、そういうルートの方が良い。ただまわり道にはなるぞ?」
「いや、それで良いんだよフェザー、僕はバッジを集めるのと、もっと外の世界を知るのが目的なんだ、もっともっと僕が知らない世界を知りたい。いろんな人と出会いたいから」
ショウは、病室からようやく自由になり、自分で行動する事がたまらなく幸せだった。自分の足で歩いて目的地に行く事は、彼にとっては新鮮な刺激なのだから
「じゃ、オービタウンで。今度の目的地は決まったわね?」
スイレンの一言で全員の意思が決まりかけたその時だった・・・・・・。
「やった〜〜♪これでチェックメイト!!!」
元気な少女の声が3人の座るイスの後方から聞こえたのだった。
その少女は黒き騎士(ナイト)の駒を動かすと、そう宣言していたのだった
「いやぁ〜〜強いねぇ?お嬢さん」
そして白き駒を動かす男の方は、負けたはずなのに。なにやら得意げに笑っている
「あなたももう少し強くないと、面白くないわね♪私はこういう遊び好きだし」
「ふぅ〜〜〜でもなぁ?チェスには便利なルールがあるの知らないか?」
急に男がちっちっち・・・・と指を振る
「何よ?もうチェックメイトなんだから、あなたの負けでしょ?」
「ところがそーじゃないんだなあ、よっと」
男はそう言ってキングを全く離れた城兵(ルーク)と位置を取り替えた。
「えっ!!?」
「これが知る人ぞ知る。キャスリングってルールなんだな〜〜。というわけで形勢逆転♪」
「そ、そんな〜〜ずるいじゃない!!」
あまりに便利過ぎるルールに、理不尽だと少女は机をダンッ!!と叩く
「ずるいって言ったってこれがルールだろ?」
そしてその後、このルールの効果で、少女の攻めをかわした男が勝ったのだが・・・・・
ガタ・・・・・ガタガタガタッ!!
(・・・・・・不愉快・・ですね)
突如ショウの持つモンスターボールが揺れ動くと、そんな声が中から聞こえてきた
「バ・・・バロン?」
ボールの中から伝わる相棒の只ならぬ気迫(?)にショウは冷や汗を流す
(本来キャスリングというルールは、チェックメイト後に使用するのは反則です。ですがあの男は・・・・無知かそれを行った、充分に反則と呼べるレベルです)
「そ・・・・そうなんだじゃ、あれ・・・反則して勝ったってことになるね?」
ぽつ・・・・っと言ったその言葉が・・・相手に届いたらしい。
「へ・・・・・?イカサマなの?」
その言葉にまず少女が反応し______。
「そ、そんなわけねーよ?俺はこう習ったぜ?」
(いずれにしても反則は反則です。ましてやご婦人に対してイカサマなど言語道断!!)
バロンの怒りは頂点に達していた
「とにかくさ、ズルは良くないよ、ズルは」
「・・・・君は?」 そこに少女が話しかける
「ああ、僕はショウ、・・・・今はとりあえずズルをしたのが方っておけなくて、ちょっと注意してみただけなんだけどね」
「私はアイスよ・・・・よろしくショウ君♪」
「俺、知らなかったぜそんなルール、それとも俺と喧嘩売る気?野朗に喧嘩売られてもなぁ〜〜。だりぃんだよな、つーわけ退散」
男は興味無しとばかりに退散しようとするが。フェザーが退路をふさぐ
「女の子相手にズルなんてせこい真似した上に、逃げる気か?お前それでも男か?」
「最低ね・・・・・・女性として意見を言わせて貰おうかしら?」
そこにスイレンも加わる・・・・が。
「!!?・・・・・すすす・・・・・・・すすっ!!?」
「・・・・・すす?」
「スイレンちゃ〜〜〜ん♪」
男・・・・・ダイムラーは急にスイレンに近寄り抱きつこうとするが
「きゃっ!!!?」
「話をきいてなかったのか?とにかく彼女に謝ったらどうだ?」
フェザーがそう言ってモンスターボールに手をかけようとした瞬間・・・・・
「あーっ!!お前ら!!」
後ろから騒がしい声が聞こえたかと思うと、そこにはあの男・・・・・・ハヤブサが居た
「・・・・・あんたはハヤブサっ!!?」
スイレンも思わぬ人物の登場に驚く。
「あー、確かステルスソケットの・・・?」
「「ステルスソケットではない!!ステルスコメットだ!!」」
「ショウ君・・・・この人達は?」
やがてポカンとしてるアイスがショウに話しかけた
「うーん、よくわからないけど、言いがかりつけて来る、変な暴走族?」
「かぁ〜〜〜〜っ!!むっかつくガキんちょだな!!この俺様をそんな眼で見るとは愚民以下の存在だな!!もういい、ダイムラー・・・俺様がこいつらを」
「だー、るせぇって・・・俺はスイレンちゃんとお近づきになりたいだけなのに・・・・」
そのままハヤブサは頭に血が上ったままダイムラーとなにやら揉め事になってしまう。
「・・・・・・ショウ、スイレン一つ言ってもいいか?」
「「・・・・なに(かしら)?フェザー」」
「苦労するな・・・・・」
「「あはは・・・・・あまり言わないで欲しいよ(わ)」」
二人も苦笑するしか無かった
「取り合えずだ!!俺様を二度もコケにした落とし前つけてもらうぞ!!!」
「スイレンちゃん〜〜俺と勝負して勝ったらデートし貰うよ♪」
「なんでそうなるのよ!!」
心ここにあらずのハヤブサはそんな感じでナンパに走るので、スイレンは否定しているのだが
「そ、そんな事・・・僕が反対だよ!!!」
ショウもまた、怒りを露にする。
「とにかくだ・・・・今日のところはお前達も下がれ。どうしても納得しないのなら、明日またバトルではっきりさせれば良い?君達もトレーナーなんだろ」
が、そこにフェザーの仲裁が入り、事は落ち着き始める
「そうだな。俺様たちの力をみせてやるぜ。明日」
「スイレンちゃん〜〜デートの約束したからねぇ〜〜〜」
「明日の昼。中継駅に停車した時、暫く停車した時に決着をつけよう」
「わかったぜ、兄ちゃん・・・俺様に恐れをなすなよ?」
「・・・・大丈夫さ、逃げる気も負ける気もさらさらないからな」
不敵な笑いをお互いに浮かべると、ハヤブサ達は去っていった。
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そして4人での会話が続き、やがて
「ショウ君・・・・とりあえず今日はありがとう」
「うん・・・アイスも・・・・また会えると良いね。」
お互いに病弱だった過去。あるポケモンをおきかけていることを話して、ショウとアイスは旅の中での新しい出会いを楽しんだのだった。
続く
[一言感想]
チェスのルールはそれとなく知ってますが、『王の入城(キャスリング)』の目的がいまいち不明(ぇ)。
ポーンを全く動かさずに行えば、王の周囲を駒で囲めむような形にできるのは分かりますけどね。
どっちにしろ、僕は将棋もチェスも得意ではない(駄)。得意はオセロ(ぁ)。
にしても、相変わらずスイレンは色んな衣装をお披露目してくれます(何)。
ショウが意識するのも当然だと思います。
津波さんのWWより、アイスが登場しました。
そういえばショウとは、病弱主人公同士でしたね。