―――正直、あの時なにがあったのかはよく解らなかった。

―――だけど一つだけ言えることは、私もまだまだ強くなれるということ。

―――この場所で起きた出来事は、今後大幅に伸びる事になる私自身の成長。

―――その切欠になったのかもしれない…。





 ロケット団を退けた事で、ラプラスの身の安全も保護された。
 残る問題は、このポケモンをどうするかという事。
 その結論は………?

「ナギサ、そのラプラスは貴女に譲るわ」

「え…?」

「貴女に助けられた貸しよ。それに免じて、ここは引くわ」

「でも、何だか悪いわ」

「気にしないで。私が未熟なのが原因だったんだから」

「うん、だけどこのラプラス、私達の事警戒して…」

 と思って、ナギサはラプラスの方を振り向く。
 しかし、そのラプラスはナギサ達に対して警戒しているような素振りは全く見せない。
 逆に、ナギサの元に擦り寄ってきた。

「どうやらそのラプラス、私達がさっきのR団とは違うって事を解ってるみたいね」

「え…?」

「元々ラプラスは、人の言葉を理解するくらい知能が高いって言われてるポケモンなの。だったら、その人が悪い奴なのかどうかを判断するくらい、出来てもおかしくないんじゃない?」

「そう…なのかな?でも、アンリが良いって言うならこの子は貰っていくわね」

 そう言うと、ナギサはモンスターボールを放った。
 そのラプラスは、特に抵抗するわけでもなくあっさりとボールの中に納まった。

「これから、よろしくね」

 ナギサはそういって、ボールの中のラプラスに語り掛けた。
 彼女に、新しい仲間が出来た瞬間だった。












 それと、ほぼ同時刻。
 同じく繋がりの洞窟。
 入り口付近の舗装された道を、一人の少年がヒワダタウン方面へ通っていった。
 出口の方から零れてくる明りでその身なりがはっきり見て取れた。
 茶色い髪の毛に青い瞳をした少年。
 ……マサシだった。
 彼が背負っているリュックの片隅に、キラキラと輝くバッジが一つ、飾られていた。






チャレンジ・オブ・マスターズ   ジョウト篇
第6話
襲来 新たなる敵






 ヨシノシティでの騒動から、1週間が経過した現在。
 マサシはヨシノシティを北上してキキョウシティに到着。
 そこでジムバッジをゲットして、次なる目的地を目指して南下している旅の途中だった。

「ふう、流石にジムリーダーって所か…。キキョウジムのジムリーダー、強敵だった…」

 マサシの口ぶりから察するに、そのジム戦、相当苦戦を強いられた様子が伺えた。

「(今のままじゃ、いずれこの地方のトレーナー達のレベルに追い付いていけなくなる…。旅に出る前に幾つかの新技を考えてはいたが、あれを完成させる必要が出てくるか…)」

 そんな事を考えながら、彼は洞窟から一番近くの町に足を運んだ。
 即ち、先程までナギサが滞在していた森林の合間に存在する小さな町、ヒワダタウン。

「この町にもジムがあるんだったな。けど、それは2〜3日後にして暫く久々に特訓でもするか」

 当面での予定を大まかに決め、最初にポケモンセンターへと足を運ぼうとしたマサシ。
 だが…。




















 今さっき彼が通り抜けた繋がりの洞窟。
 その出入り口より遥か上方。
 山の頂付近から彼の姿を見下ろす3人組の存在が居た。

「ライナ、あの茶髪の少年が今回の標的で間違いないんだな?」

 紫色の髪の毛を肩まで伸ばしている美形の男性が、隣に座っている黄色の髪の毛の少女に話しかける。

「うん♪ あの子で間違いないよ♪」

 ライナと呼ばれたその少女は、やたらと明るい口調で返す。

「ミハラタウンのヨシキでしたよね?彼は」

「フヅカタウンのマサシだよ!一体それ誰なの?」

 もう一人の物静かな雰囲気を漂わせる、空色の髪の毛の少年。
 彼の発言を、即座に訂正したライナ。

「あれ、そうでしたっけ?」

「そんな事は如何でも良い。俺達の仕事は、マスターリーグ挑戦への権利を得た者、或いはその可能性を持つ者を片っ端から潰す事。奴は、相当の実力を以ってしてトーホクのリーグを優勝した実力者だ。片田舎のリーグ制覇者だからといって油断するなよ。ライナ、ハムロ」

「全てはあの人の為…だもんね♪」

「しかし疑問です。あれ程の力量がありながら、何故このような事をする必要があるのでしょう?」

「用心深いんだよ♪ あの人、自分が目標を達成するためには、0.00000000000001%の不安要素も残したくないんだって♪」

「その為に編成されたのが俺達を含んだ数チーム。他の奴らは、既に何人ものトレーナーを潰しているという。俺達も、そろそろ本格的に動くぞ」

「しかし、嘆かわしいですね、あのマサキという少年」

「マサシだよ!♪ もう、ハムロは物覚え悪すぎるよ…(汗)」

「それは失礼。…ところでダムラ、計画はあるのですか?」

 この3人のリーダー格と思われる男、ダムラ。
 彼は暫く沈黙を守り通した後…。



 ふと、呟いた。

「この中の一人が相手するだけで十分だろう。いくら1大会を優勝したとはいえ、ヨハロのトレーナーである俺達に勝てる奴なんて、いる筈無いんだからな」

「じゃあ、私が行くよ♪ あの程度なら、私一人でも軽く蹴散らせるし♪ ダムラとハムロは、遠くで傍観してればいいよ♪」

「…まあいい。行って来い」

「は〜い♪」

 最後まで明るい口調で通したライナ。
 彼女は早速マサシの後を追うべく、その場所から地上へ向けて飛び降りていった。






 …それから、しばらくして。

「ハムロ。ライナの奴はこの高さから飛び降りて行ったが、無事なのか?」

「…さあ(汗)」

 この二人に、一縷の不安が過ぎった。



 …そして、その不安は的中した。


「足が…、痛い…」

 案の定、彼女は其処から動く事が出来なくなり…。
 結果、マサシを見失ってしまったのだった(爆)。










 時は過ぎ…。
 夕暮れの時間帯。
 周りが森に囲まれているため、夕暮れ時に日の光は殆ど町中を照らさない。
 早い時間帯から、町の景色は闇に支配されていった。




 ポケモンセンターの一室。
 マサシは、部屋の中で何やら色々と文章や絵が描かれたノートに目を通していた。

「(新しい技のイメージは、いくつか浮かんでいるとは言ったものの、実戦で試した事は無い。明日、特訓目的で試してみるか…)」

 と、そんな時だった。
 不意に、マサシの部屋の扉が開く。
 …つか、鍵掛けて無かったかよ!?

「あれ?この部屋…」

 ドアの向こうから現れたのは、黄色い髪の毛の少女だった。

「他の宿泊客か?ここは、俺の部屋だが」

「あ、やっぱりそうなんだ♪間違えちゃった♪」

 と、その少女は明るい口調でマサシに言葉を返す。

「次から間違えないように気をつけろよ。じゃあ…」

「うん♪ でも、間違ってたわけじゃないんだけど♪」

「? どういう意味… っ!!」

 咄嗟にマサシは横へ転げ跳ぶ。
 黄色髪の少女・ライナの横には、いつの間にかジュペッタが姿を見せていた。
 そしてそのジュペッタが容赦なくマサシに『シャドーボール』を発射してきた。

 そしてその漆黒の球は、そのまま部屋の壁をぶち抜いた(オイ)。


 ズドォォォォッ!!


「いきなり、何を…!」

「御免ね♪これ、私の仕事だから♪」

「俺を襲撃するのが仕事…だと!?まさかお前、『終焉の道標<エクストレーム>』の手先か!」

「『終焉の道標<エクストレーム>』…?何それ」

「!? 違うのか…!?」

「ま、どうでもいいけど♪ジュペッタ、やっちゃえ!!♪」

「クッ…!」

 ジュペッタが攻撃を仕掛ける前に、マサシはポケモンセンターの外に飛び出す。
 そして出来るだけ、建物の多い町中から離れていく。
 それでも敵はお構い無しに攻撃を仕掛けてくる。
 しかし、マサシもただ逃げ続けているわけではない。
 途中、何度も何度も振り返り様に反撃をしている。

「エレキブル、『10まんボルト』!!」

 マサシの指示を受けて、後方に電撃を発射するのだが…。

「甘い甘い♪」

 ジュペッタは難なくその電撃を弾いてしまう。

「くそ…」

「それと、こっちばっかり注意向けてたら駄・目♪」

「ぐはあっ!?」

 突然だった。
 背後からいきなり攻撃を受けた。
 マサシが後ろを振り返ると、真っ黒い腕のようなものが地面から生えていた。
 否、『それ』はジュペッタの影から伸びていた。

「この技…、『かげうち』か?くそ、油断した…」

 背後からの不意打ちを喰らって、マサシは膝を落とす。
 当然この好機を、敵は逃さない。

「ジュペッタ、『ゴーストヘッド』!!」

 ジュペッタは、全身から紫のエネルギー状の光を発しながらマサシ目掛けて突っ込んできた。

「直接攻撃…。だったら…」

 敵の攻撃を見て、マサシは身体を起こす。

「新技を試してみるか」

「何するつもり?♪」

「フローゼル」

 マサシは、手に取ったモンスターボールからフローゼルを繰り出す。
 フローゼルもマサシの意図を理解している様子で、相手を見据える。

「もう遅いわよ!♪」

「どうかな」

 マサシがそう呟いた直後。
 ライナのジュペッタが、彼女のすぐ横を吹き飛んで行った。

「え…?」

 一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻してマサシの方に振り返る。

「へぇ、驚いた♪ 今、何したの?♪」

「新技を使っただけだ。名前は、『ハイドロインパクト』」

「(『ハイドロインパクト』…。今の様子からすると、多分『アクアジェット』をパワーアップさせたような感じの技かな♪ 確かに凄いパワーだけど…)でも、ジュペッタを倒した程度で私に勝ったつもりにならないで欲しいな♪」

「そんなつもりは無い。お前、伝説の地のトレーナーだな?」

「! 正解♪ よく解ったね♪」

「今迄の戦いでのお前のポケモンの強さ、そしておまえ自身の言動・態度。兄さんの話と、一致する点が多い」

「…そう。今更隠す必要も無いわね♪ 確かに私は、貴方達が伝説の地と呼ぶマスターリーグが開催される地方、『ヨハロ』の人間だよ♪」

「だったら。尚更あの程度で勝ったつもりになんてなれないさ。どの道、あのポケモンはお前の手持ちの中では一番弱かったんだろ?」

「…そこまで読まれてるなんて思わなかったな♪ だけど、もう貴方には関係ないわ♪ 次で、終わるもん」

「…?」

「サマヨール、やっちゃえ!♪」

「さっきのジュペッタといい、このサマヨールといい…。こいつ、ゴースト使いか…」

「いきなり凄いのやっちゃうよ♪ 『霊界の光線』!!」

 サマヨールの一つ目の近くに、紫のエネルギーが集まり始める。
 更に、サマヨール自身の身体の空洞から不気味な怨念のような物もあふれ出し、そのエネルギーに混ざっていく。

「…!!(あの攻撃…、ヤバイ!!) フローゼル、戻れ」

 咄嗟にあの攻撃が危険だと判断して、マサシはフローゼルを戻した。
 それと同時に、全速力でその場を走り抜けていく。

「逃がさないよ!♪」

 相手も、サマヨールに準備させていた光線を、全力で発射。
 紫色と漆黒の混じり合ったような不気味な色の光線が、マサシの背後から迫ってくる。

「チィッ!!」

 その瞬間、マサシは何かの動作をした。
 が、彼女にとってそれは何の関係もない。
 サマヨールの攻撃をかわしきれないという事実を、疑ってもいなかったせいでもあった。

「これで、おしまい♪」


 ズドォォォォォンッ!!


 『霊界の光線』のエネルギーが、巨大な柱のように立ち上ると同時に大爆発。
 マサシは、その爆発に巻き込まれていった。






 ……少なくとも、ライナにはそう見えていた。

「あ〜あ♪ 何か随分呆気なかったなぁ♪」

「まだ終わってないさ」

「え…?」

 突如、ライナの耳にマサシの声が聴こえてきた。

「何処…?」

「フライゴン、『チャージブレス』!」

「上!?」

 その声は、確かに上空から聴こえてきた。
 そして上空には、一匹のフライゴン。
 彼は、その背の上にいた。

「間一髪…か。後少し空に逃れるのが遅かったら、やられてたな…」

 そう言いながら、マサシは先ほどの攻撃が炸裂した場所に視線を向ける。
 そこには、直径10メートル前後のクレーターが出来上がっていた。

 その間に、フライゴンが攻撃を繰り出す。
 通常よりも威力を高めた『りゅうのはどう』を発射した。
 ……え? トーホク篇でも同じようなのを出してたって?
 いや、これは全く別の技です。
 が、違いが僕にもよく解らない(爆蹴)。

「サマヨール、『霊界の光線』もう一発やっちゃえ!!♪」

「なっ…!?」

 マサシの顔が青ざめた。
 先程猛威を振るった攻撃が、再び襲い掛かってきた。
 あれ程の攻撃は容易に放つ事は出来ない。
 そう考えていたマサシにとっては、完全に不意を突かれた攻撃だった。


 ドォォォォンッ…!!


 サマヨールの発射した光線は、空中で漆黒のエネルギーが球体と化して膨張した。
 そしてそれは、汚れが水で流されていくかのごとくその形を崩し、徐々に消滅していった。
 それからしばらくして、地上に何かが落下してきた。
 先程上空を飛んでいたフライゴンと、マサシだった。
 特にフライゴンはまともに戦う事が出来ないほどのダメージを受けていた。
 あの瞬間で、マサシを咄嗟に護ろうと動いた結果だった。


 それでも、マサシ自身も全身に痛みが走り、立ち上がることすら出来ないでいた。
 服も、所々破れていたり焦げ後があったり、見るからにボロボロだった。

「あれだけの攻撃を……、普通の攻撃の要領で扱う…だと?」

「君、私達のレベルを甘く見すぎだね♪ 君みたいな三下の雑魚が私相手に勝てると、本気で思ってたのかな?♪」

「ああ、思ってるさ…。お前との力の差は、十分すぎる程解った。だが、だからこそ俺に勝ち目がある…!」

 根拠など無いと、ライナは思っていた。
 単なる強がりに過ぎないと。
 だが、相手はその身体を起こす。
 自分が敗ける事など無い。
 マサシは、そんな表情をしていた。

「そんな身体でよく立てるね♪ だけど、もう終わりにしちゃうよ!♪」

 ……3発目。
 ライナが『霊界の光線』と口にした、サマヨールが繰り出す特大の紫色の光線。
 それが再び、マサシ目掛けて発射された。

「エレキブル、『ひかりのかべ』!!」

「無駄だよ!♪ その程度の防御技が通用するレベルじゃないのよ!♪」


 ズゥゥゥゥンッ!!


 サマヨールの放った光線は、エレキブルの生み出した光り輝くエネルギーの壁と真っ向から激突した。
 その壁の真後ろ、即ちエレキブルとマサシの居る箇所に、相手の攻撃は一切影響が及んでいなかった。
 だが、サマヨールの攻撃が巨大すぎたのが仇となり、ライナからはその事を確認できなかった。
 つまり…。

「ほら♪ やっぱり防げなかった♪」

 その事を、認識する事が出来なかった。

「エレキブル、『ライトニングスター』!」

「え…?」

 ほんの一瞬の出来事だった。
 爆煙の向こうから電撃によって形作られた星型の弾丸が、凄まじい勢いで無数に飛来した。
 油断しすぎたが故に全く反応が出来ず、全ての攻撃をまともに喰らった。

「嘘…」

「お前は、自分のポケモンに自身を持ち過ぎていた」

 そう喋りながら、爆煙の中からマサシが姿を現した。
 そして一歩一歩、ライナの方へ近付いていく。

「だからお前は気付かなかった。サマヨールのあの攻撃、撃つ度に威力が下がっていた事にな」

「そんな…!」

 事実、サマヨールは相当体力を消耗している。
 今さっきのエレキブルからのダメージを差し引いても、相当消耗していた。

「さっき言っていた、『力の差が在り過ぎるからこそ勝ち目がある』。この状況が、その解だ」

「だけど、あの程度の攻撃じゃサマヨールは倒せないよ!♪」

「いや、もう終わりだ。既に俺のエレキブルが、止めを刺す最大の技の準備を終えているからな」

「(! そういえば、彼のエレキブルは何処に…)」

「『かみなりパンチ』を強化し『ギガインパクト』の破壊力で繰り出す、俺のエレキブルの最強攻撃」

「(はっ!)上!!?」

 あの瞬間で、エレキブルは遥か上空に跳躍していた。
 そしてその右拳に、文字通り全力の電撃を纏わせていた。

「そしてその超威力の技を、『でんこうせっか』の勢いを加速させてぶつける。『ライトニングインパクト』!」

「…!!」

 文字通り、エレキブルの懇親の一撃が炸裂した。
 その拳がサマヨールを地面にめり込ませ、大きくその場所を陥没させた。
 更にその拳に纏っていた電撃もこの衝撃で拡散した。
 ヒワダタウンの一部を停電にさせるほどの影響を及ぼした。

「そ、そんな…。まさか、私のサマヨールが…」

「(クソッ、まさかこの技まで使う羽目になるとは…。もし、まだ更に上のレベルのポケモンがいるとしたら…。今の俺じゃ、到底敵うような相手じゃないぞ…)」

「…」

 マサシがそんな考えをしているのとは裏腹に、ライナは微動だにしない。
 放心状態にも近かった。

「何だ…?こいつ…」

【見てられないな】

「!」

 突然、見当違いの方角から巨大な岩の弾丸が飛来。
 咄嗟にマサシ達は回避するも、その弾丸が命中した地面が粉々に粉砕された。

「(仲間…!?冗談だろ…)」

 マサシの表情から、絶望の様子が伺えた。
 ただでさえ勝てるかどうか解らない敵と戦っているのに、更にその仲間が居るとなれば…。
 形勢が悪すぎるのは、明らかだった。

「全く、何て様だ」

「ダムラ…」

 彼女の前に現れたのは、紫の髪をした男。
 彼もまた、相当な強さを秘めている事を、マサシは感じ取っていた。

「(こいつ…!あの女よりも、更に…)」

「……。そこそこ、腕は立つようだな」

 ふと、ダムラがマサシのほうを振り向き、声を掛けてきた。

「だが、俺はライナほど甘くは無い。三下相手だからと言って油断する事は無い」

「(くそ、一番厄介なタイプだ…。相手が強すぎれば、必ず油断があると思ってたのに…。こいつにはそれすら無いのか…!)」

「ふ、少し試してみるか。ドサイドン!」

 突如、地面が揺れた。
 その直後、彼の目の前の地面を突き破って、一匹のポケモンが姿を現した。

「ドサイドン…! じゃあ、さっき俺に向けて放った技は、『がんせきほう』か…」

「『メガトンロック』」

 ドサイドンは、掌から巨大な岩をマサシ目掛けて放り投げてきた。

「『ハイドロインパクト』!!!」

 瞬時に判断して、マサシはフローゼルを繰り出す。
 周囲に水を纏いながら力を貯め始める。
 そして、ギリギリのタイミングで飛び出す。
 その勢いとパワーで、向かってくる大岩を粉々に粉砕した。

「! ほう、この攻撃を破るか」

「(『ハイドロインパクト』は、これで2回目…。フローゼルの体力を考えると、もうあと1発が限界か…)」

 マサシは、横目でフローゼルの方に視線を向けた。
 そのフローゼルも、相当疲れが来ているのか、呼吸の間隔がかなり短くなってきていた。

「だが、これまでだ。ドサイドン、『ロックレイン』」

「…!」

 ドサイドンの上空から、大小様々な形状の岩が、無数に飛来した。

「ぐあああああっ!!!」

 そんな猛攻に成す術も無く…。
 フローゼル、そしてマサシも吹き飛ばされていった。

「ライナ、お前はもう少しその慢心癖を直す事だ。本来のお前なら、十分に倒せる相手だったぞ」

「うん…。ごめんね、ダムラ」

 短い言葉のやり取りを終えて、二人は歩き去っていく。
 今迄戦いが繰り広げられていたその場所で、一人の少年がボロボロの状態で気を失っていた。


続く


後書き
最近、マサシは敗北戦闘が多すぎますね。−−;
いい加、そろそろ勝ち星を多く与えたいんですけど、敵が僕の想像以上に強くなってしまい、それも難しいと言う…。

しかも、第3話と展開が全く同じというのはどういうことなのでしょうか!?(爆蹴)

と言う訳でお送りした第6話でした。
今回は新しい敵の登場と言う話でした。
連中の正体、今回は明かされませんでしたが、近いうちに明らかにしたいなと思ってます。
…それにしても、このジョウト篇に入ってからの形式のタイトル、そろそろ思いつかなくなってきたなぁ…(ぇ)。
次回、ジョウト篇第7話『対決 虫使いのジムリーダー』。お楽しみに

 

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