トキワの森で、ダムラと名乗る男とのバトルから、1週間。
 長い道のりを経て、マサシはとうとう帰ってきた。

 故郷、フヅカタウンに。
 町に着いて早々、マサシは自宅目指して駆け抜けていった。






チャレンジ・オブ・マスターズ   ジョウト篇
最終話
帰郷 頂点への決意






「ただいまーー!!」

 玄関の扉を叩き開けて、最初にその言葉を発した。
 家の中全体に響き渡るような声で。

「マサシ…?帰ってきたのか」

 奥の扉から出てきたのは、兄のリュウイチ。
 その姿を見た瞬間、マサシは、兄の元に駆け寄ると…。


 ドコバキベキドゴズガドガッ!!!(爆)


 まるで鬱憤を晴らすかのように、兄をサンドバックにしていた(待て)。

「グフッ…」

 リュウイチ、KO。
 勝者、マサシ!

「…って、何のノリだ!!」

 失礼しました。
 要するにマサシは、ルハドの一件を知っていながら口外しなかった兄に対する、鬱憤を晴らしていた。

「悪かった。ただ、お前の決意を確認するために敢えて言わなかった。だが、済まなかったな」

「まあ、結果は良かったからいいが…。万が一、天属性の力が覚醒しないで、俺がルハドに敗れたりする事になったら兄さんはどうするつもりだったんだ?」

「ああ、それに関しては…」

「マサシ〜、ちょっと、待って…」

 少し遅れて、シュン達がマサシの家に到着。
 マサシが、彼らを家に招き入れた。

「マサシ、その2人は?」

「えっと、僕はシュンです。それと、姉のミキ」

「初めまして」

「この2人、スバルっていう人の兄弟なんだってさ」

「! スバルの…弟か。 成る程、道理で…」

「?」

「それにしても、このタイミングで君達がここへ来たこと…。偶然とは言い難い節があるな」

「え…?」

「今、懐かしい客が来ているんだ。君も会っていくといい」

 リュウイチに誘われて、シュン達は家の奥にある居間に通された。
 そこにいたのは…。

「………。え?」

 部屋の中にあったソファーに、一人の男が腰掛けていた。
 身長は180cm前後で、白い髪の毛。
 その男の姿を見た瞬間、シュンの瞳から涙が浮かんできた。

「何で………。こんなの、ある筈無いのに…」

 その男も、シュンの姿を確認すると立ち上がる。

「何で、どうして……」

「久し振りだな」

「……っ、兄ちゃん!!!」

 そう叫ぶと、シュンはその男に泣き付く。
 後から部屋に入ってきたミキも、この光景に驚いていた。

「スバル兄さん……!?」

「ミキ、お前も随分久し振りだな」

 マサシも当然、この光景に驚いていた。

「兄さん、これはどういう事だ?シュンの話だと、あいつの兄は4年前の戦いで…」

「俺も、最初は信じられなかった。今から1ヶ月ほど前、突然俺を訪ねてきたんだ」








 #1ヶ月前







 あの時、リュウイチは『終焉の道標<エクストレーム>』の動向について探っていた。
 だが、2ヶ月前のルハド復活以降全くといっていいほど影を潜めてしまった。
 苦悩していたリュウイチの元に突然…。


 ピンポーーン


 家のインターホンが鳴った。
 リュウイチが玄関の扉を開けると…。

「なっ、お前は…!」

 扉の外にいたのは、白髪の長身の男。
 その姿を見た途端、リュウイチの表情が驚き一色に染まった。

「久し振りだな、リュウイチ」

「スバル…!!」

 その後すぐ、リュウイチはスバルを家の中に招き入れた。
 当然スバルは、リュウイチの質問攻めにあっていた。

「しかし、何でお前が生きているんだ…。あの時、ルハドと相打ちになったんじゃなかったのか?」

「あの時、俺とルハドの戦い。互いに自分の持つ全ての力をぶつけ合った。その結果、俺も奴も力を使い果たしただけで、仮死のような状態になっていたんだ」

「信じられん…」

「その事に最近気付いたのが、ラオルだ。今から8ヶ月前、あの場所にやってきたラオルが偶然にも俺を発見したそうだ」

「! 8ヶ月前といったら、俺が奴に『終焉の道標<エクストレーム>』が滅んでいない事を伝えたのとほぼ同じ時期」

「幸運だった…としか言い様が無いな。お前がその事をラオルに伝えて、そのラオルはあの場所を調べに行った。そこで俺を偶然にも発見できた」

「そう…だったのか」

 スバルの話を聞いて、一先ずリュウイチは落ち着きを取り戻した。

「そう言えば、ラオル<奴>が言ってたんだが…。シュンがジョウトでルハドと戦ったそうだな」

「ああ…。その話は俺もマサシから電話で聞いた。厄介な事になった」

「そうだな。4年前の戦いで生き残ったのは俺とお前、そしてラオルの3人だけだ。これでは、とても奴らに対抗する事は出来ない」

「…いや、仮にあの時のメンバーが全員生きていたとしても、今の『終焉の道標<エクストレーム>』には勝てないかもしれない」

「何…?」

「恥ずかしい話だが、1年前、俺も幹部の一人にやられてな…」

「! 誰にやられた?バゾアか、それともルドアか?」

「…ヒマザにやられた」

「奴に…?奴が、お前を倒すほどに力を付けていると言うのか!」

「…ああ」

「そう…か。だが、どうする?もし他の幹部も4年前以上の力を付けているとしたら、今度こそ…」

「スバル。何時までも俺達が出しゃばるべきじゃない」

「何…?」

「世代交代だって言っているんだ。マサシはいずれ、俺をも超える存在になる。それに、あいつの傍には心強い仲間が沢山いる。あいつらもいずれ、俺達が倒せなかった奴らを、今度こそ倒してくれる」

「……。そうだな」

「とりあえず、4年振りの再会だ。しばらくゆっくりしていくといい」

「そうさせてもらう」









 #現在









 リュウイチの話も終わり、皆で居間に集まっていた。
 最初に口を開いたのは、マサシ。

「それじゃあ、あの後の消息は全く掴めてないのか?」

「ああ…。3ヶ月前の活動以来、ぷっつりと足取りが途絶えたままだ」

「…そうか」

「そう言えばマサシ。2週間ほど前、アヤが帰ってきたぞ」

「え…。あいつ、帰ってきてるのか!?」

「いや、つい2〜3日前にまた旅立っていった。次はシンオウに行くと言ってたな」

「シンオウに…」

「あいつは、ホウエンのポケモンリーグで優勝して帰ってきた」

「そう…か。あいつもあいつなりに頑張っているんだな」

「マサシ、そのアヤって…誰?」

 不意に、シュンが割り込んできた。

「ああ、アヤってのは俺の幼馴染だ。1年前、あいつとは別々の道を進む事になったんだ。それ以降、会ってなかったが…」

「幼馴染かぁ…。何かいいよね、そう言うの」

「まあ、ちょっと元気が有り余ってて口煩いけどな」

「ははは…、そうなんだ(汗)」

 と、当分の間この5人で話は盛り上がった。


 気が付けば、時間は夜になっていた。

「さて、俺は久々に家に顔を出すか」

 スバルが立ち上がり、そう呟いた。

「え?兄ちゃん、カンナギに帰るの?」

「4年も帰ってないんだ。お袋も心配してるだろ」

「…そうだね」

「シュン、お前はどうする。しばらくここに残るか?」

「ううん、一緒に行く。折角兄ちゃんと再会できたんだし、これからしばらくの間一緒に過ごしたいよ」

「私も、帰るわ」

 シュンに続いて、ミキも席を立った。

「行くのか?シュン」

「うん…。兄ちゃんが生きてたのは嬉しいけど、やっぱり僕は、ルハドを今度こそ倒したい。ジョウトでの借りを、いつか必ず返すよ」

「そうか。またいつか会おうな。終焉の道標<エクストレーム>と戦うとき、お前は本当に心強い」

「僕も、今よりもっと強くなってみせる。ルハドなんか、簡単に倒せるくらいに!」

「シュン、その為にはまず俺を超えなければならないという事は解っているのか?」

 と、上から目線でスバルが話に割り込んできた。
 だが、シュンは全くめげずに言い返す。

「もちろん、解ってるさ。僕は兄ちゃんも超えてみせる!」

「それは楽しみだ。お前がこれからどれだけ強くなれるか、見物だな」

「兄ちゃん、馬鹿にしないでよ!兄ちゃんなんか、すぐに追い抜いて見せるから!」

「はいはい、シュンもあんまり兄さんに喧嘩売らないの。家に帰ってからゆっくりやればいいでしょ」

「…解ったよ」

「それじゃ、お世話になりました」

 最後にマサシ達に一礼して、3兄弟はマサシ宅を後にした。

「兄さん、俺も今日は休むよ。明日から、マスターリーグへ向けて特訓を始めたいから」

「…そうか」

 マサシもまた、自室に戻っていく。
 久々の自宅でゆっくりと休む事が出来た。





 #翌日





 朝食を済ませると、マサシは町外れの平原にやってきた。
 そこでマサシは全てのポケモンをモンスターボールから出した。

「マスターリーグは、俺達の想像を絶する過酷な戦いになるはずだ。だから、特訓も生半可な事はやらない。徹底的に鍛えていくから、そのつもりで」

 6匹全てのポケモンが、首を縦に振った。
 どうやら、決意は皆同じのようだ。

「戦闘能力を底上げするには、強い奴と実戦形式で戦わせるのが一番手っ取り早い。という訳で、グレイシア」

 マサシに呼ばれて、一瞬驚いた。
 その後、皆より一歩前に出た。

「マスターリーグまでの3年間、修行は『究極段階<エクストラレベル>』を発動したグレイシアとの1VS1のバトルを基本に行う。最低でも、この状態のグレイシアと互角に戦えるようにならなければ、マスターリーグの優勝は出来ないと肝に銘じてやるんだ」

 グレイシア以外の5匹は、再び頷く。
 そして当のグレイシアも既に準備を終えていた。

「よし、最初は誰だ?」

 5匹がそれぞれ相談を始めた。
 数分間に及ぶ談話の末、名乗りを上げたのは…。

「エレキブルか。よし、それじゃ修行始め!!」



 マサシ達は、来るべき3年後のマスターリーグへ向けて、過酷な修行の日々が始まった。

 そして、マサシと別れてジョウトに残ったナギサ。

 彼女もまた、いずれ再び訪れるであろう『終焉の道標<エクストレーム>』との戦いに備えている。

 そして、シュンも修行に励んでいる。

 故郷カンナギタウンで、スバルを一日でも早く超えるために…。



 『終焉の道標<エクストレーム>』は、今は影を潜めている。

 しかし、彼らはこれが『嵐の前の静けさ』であると感じざるをえなかった。

 来るべき嵐という名の戦いが、何時訪れるのかは誰にも解らない。

 今はただ、『その時』に備える事しか出来ない。

 皆、心中の思いは一致していた。

 『終焉の道標<エクストレーム>』を倒すという、確たる決意が…。








チャレンジ・オブ・マスターズ   第2章
ジョウト篇





後書き
…ついに、終わった。第2章、ジョウト篇の終幕です。
書き始めが確か、8月の終わり頃だから…。
実質、2ヶ月ちょっと。完結早すぎ!!!(ぁ)
でもまあ、今年中に第2章を終わらせることが出来たのは幸いでした。
例によって、この最終話がやたらと短いのは仕様です(待て)。
だって、書く内容が殆ど無かったんだもん!!(爆)
後、シュンの兄スバルの生存は想像できた方は…いるかなぁ(ぇ)。
ただ、よく思い返してみてください。
シュン以外の人物が、『スバルは命を落とした』というような事を言いましたっけ?
多分、そんな台詞は無かったと思います。
………多分(二回目)。

さて、これでジョウト篇は一先ず終わりを迎えるわけですが…。
実はジョウト篇と第3章マスターリーグ篇の間にある空白の3年。
そこに、『EOEM−GB』が挟まる形になっています。
特にCOM本編との関わりは無さそうなので、このまま進んでも問題はないと思います。
では、ここまでCOMを読んでくださった方、ありがとうございました。
引き続き、第3章マスターリーグ篇もよろしくお願いします!

 

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