「ようやく…、辿り着いたな」
洞窟を抜けると、洞窟に入る前と同じように山頂へ続く道が続いていた。
そこから然程距離は無く、10分も歩けばすぐに山頂に到達した。
山頂には開けた場所があり、公式試合などに使われるバトルフィールドが設置されていた。
バトルフィールドがある場所だけ雪が積もっていないという、不思議な光景が広がっていた。
「熱を利用してるのかもね。バトルフィールドのラインが見えなくならないような措置だと思うわ」
地面を触りながら、アヤが呟いた。
その手には、地面から発せられる熱の温もりが感じられたらしい。
「ここまでよく辿り着きました。挑戦者マサシチームの皆さん」
バトルフィールドの反対側に、ナリサが立っていた。
フィールドを挟んで、3人はナリサと対峙する。
「思ったよりも、早かったですね。ここまで辿り着くのに、もう少し時間が掛かると思っていたのですが」
「俺達を見くびらないでほしいな。あの程度で、俺達を斃せると思っていたのか?」
「そんな事はありませんよ。あれはあくまでも貴方がたの力量を測る試練。本番は、これからです」
「その前に、手持ちのポケモン達を回復させたいんだが。途中のバトルで、結構消耗したからな」
「奥の方に、建物が見えるでしょう?」
よく目を凝らさなければ解らないが、ナリサの背後に一軒の建物が存在した。
「あの建物は、この山頂付近に於ける私の待機場所。そこに、ポケモンセンターにあるのと同じ回復装置が備えてあります」
「じゃあ、その後で貴女に挑ませていただきます」
ナリサに宣戦布告をした後、3人は一旦ポケモンの回復に足を急がせるのだった。
COM マスターリーグ編
第16話
鉄壁の布陣(前編)
Phase.57 VSナリサ
回復を済ませ、改めてナリサと対峙するマサシ達。
だが、この悪天候の中で戦う以上、どうしてもペナルティが発生してしまう。
「こんなに吹雪が強い環境だと、氷タイプが弱点のポケモンは殆ど当てに出来ないな…」
「…って言うか、ユキヤの手持ちは殆ど氷属性に弱いじゃない!」
「要らん心配だ。この程度の環境で戦えなくなるほど、俺は弱くは無い」
「それでも、ある程度のハンデを背負う事は確かだ。お前は出来るだけ、力を温存しろ。メインのバトルは、俺とアヤの二人でやる」
「そうよ。ここは、私たちに任せて」
「………。いいだろう」
数秒間考え、ユキヤは結論を出した。
「という訳だ、ナリサさん。バトルを始めてくれ」
「解りました。既にトウクを斃している貴方達に語る必要はありませんが、もう一度説明させていただきます。私の手持ちポケモン6体を全滅させれば、其方の勝利です。3人がかりで挑むのも、一人ずつ順番に戦うのも貴方がたの自由です」
「行くぞ、アヤ。出だしから、あの人のポケモンを1匹潰すつもりの勢いで行くぞ!」
「解ったわ」
2人は横並びに立ち、それぞれマニューラとブーバーンを繰り出す。
それに対して、ナリサはカメックスを繰り出す。
「カメックス…。やっぱり耐久型か」
「相性が悪いわね…。だけどせめて、一撃くらい…!」
「待て、アヤ。そのブーバーンはお前の主力の1匹の筈。だったらせめて、後半まで温存するべきだ」
「だけど、あのカメックスだって相当なレベルよ?半端な技じゃ、まともなダメージは与えられそうに無いわ。やっぱり、ブーバーン級の攻撃力が無いと…」
「話し込んでる時間は無い。お前は兎に角そのブーバーンを下がらせて、別のポケモンを出せ。バトルはそれからだ」
「……解ったわ」
渋々マサシの言葉を受け入れ、ブーバーンをボールに戻す。
代わりに、アブソルをボールから繰り出す。
「途中に置いたポケモンの傾向から考えて、恐らく向こうの手持ちは耐久型がメインの筈。それならこっちは、スピード戦法で掻き乱すぞ」
「解ったわ。アブソル、でんこうせっか≠諱I」
「マニューラもだ」
2人は同時に、同じ技を指示した。
両者とも凄まじいスピードを発揮し、カメックスの周囲を動き回る。
カメックスはその姿を全く捉える事が出来ず、ただ戸惑うばかり。
「「つじぎり=I!」
そしてまたしても、同じ技を指示する二人。
カメックスの右斜め前方よりアブソル、左斜め前方よりマニューラが迫る。
そして両者の漆黒の斬撃が、カメックスの立つ地点で交差した。
その衝撃は半端な力ではなく、カメックスの巨体がよろめいた。
「マニューラ、あくのはどう=I!」
追い討ちをかけるべく、更なる技を繰り出す。
マニューラが黒く塗り潰された爪を振るい、漆黒の色に染まったエネルギーの衝撃をカメックスに叩きつけた。
「…」
一通りの攻撃を終え、マサシは相手の様子を伺う。
先ほどは身体のバランスを崩したカメックスだったが、ほとんどダメージを受けている様子は無かった。
「流石に硬い上にタフだ…。俺達の攻撃で、殆どダメージを与えられてない」
「今度は、此方から行きますよ。カメックス、ふぶき=I」
相手の技名を耳にした瞬間、マサシ達は咄嗟に身構えた。
それに触発され、彼らのポケモンも防御姿勢を見せた。
カメックスの甲羅から伸びる砲門から、猛烈な寒波を含んだ暴風が発射された。
元々雪が降り頻る山の山頂で、更に吹雪による攻撃。
ポケモン達だけでなく、マサシ達からも体力を一気に奪い去っていく。
「…くっ、流石にこの環境を利用した攻撃は熟知してるらしい…」
「あんなのを何回も喰らってたら、私達も危ないわよ…。どうするの?」
「バクフーン、出て来い」
アヤがあの攻撃の事で悩んでいるところで、マサシがバクフーンを繰り出す。
それを見て、アヤはすぐにマサシの考えを理解した。
「炎ポケモンで、暖を取るのね?それなら、少しはあの攻撃もマシになるわ」
「ほんの一時しのぎだ。バトルが長引けば、その効果もどんどん薄くなる。短期決戦で、一気に決着をつける!」
「解ったわ!」
マサシの力強い言葉に、戦闘意欲を取り戻したアヤ。
だがそこを、マサシが制止する。
「さっき、向こうがわざわざ教えてくれたんだ。この環境を充分に利用した戦略もあるんだって事をな」
「マサシ…?」
「マニューラ、ふぶき=I!」
さっきの仕返しと言わんばかりに、マサシも全く同じ技で反撃する。
属性の関係上大したダメージにはならなかったが、数秒の足止めをするには充分だった。
「無影閃=I!」
アヤが技を指示し、アブソルが動く。
カメックスが身構えた時には既に、アブソルはカメックスの背後に立っていた。
それから数秒の後れを取り、縦横無尽の斬撃がに襲い掛かった。
「そこだ!!」
アブソルの技で怯んだところを狙い、マニューラが懇親の爪を振るった一閃。
この怒涛の連続攻撃の後、カメックスの身体は仰向けに倒れていった。
Phase.58 耐久型の脅威
リーラシティ東の山の山頂で繰り広げられるバトル。
まずは、相手トレーナーであるナリサの1匹目を撃破したマサシ達。
だが、バトルはまだ始まったばかり。
決して油断は出来ない。
「流石ですね、私の一番手をここまで簡単に斃すなんて…」
「まだバトルは始まったばかりだ。アヤ、気は抜くな」
「解ってる」
相手の出方を伺いつつ、身構えるポケモン達。
先ほど斃れたカメックスをボールに戻し、懐に収めた。
そして、新たに別のボールを取り出す。
「それでは、私の二番手はこのポケモンです。ブラッキー!」
「一番手よりも、更に耐久型に特化してきたか…。それなら、マニューラは一旦戻れ」
相手の能力を考慮し、一旦マニューラを戻すマサシ。
代わりに繰り出したのは、フローゼル。
「ハイドロインパクト=I!」
そして序盤からいきなり、最大技で突撃した。
まさかいきなり特攻してくるとは思っていなかったのか、ブラッキーは回避が間に合わなかった。
ズゴォォォォォッ!!
「…!」
真正面から攻撃を喰らった筈なのに、平然と立ち上がるブラッキー。
全くダメージを与えられていなかった。
「フローゼルでもパワー不足なのか…。仕方が無い」
マサシは目を閉じ、意識を集中する。
数秒の間を挟み、静かに目を見開く。
そして、独り言のように呟いた。
「能力回帰:第5段階<フィフスレベル> 発動」
号令を合図に、フローゼルに周囲から銀色の光が集い始める。
ある程度のエネルギーが集まった後、それは一気に炎のように膨れ上がった。
「え…。マサシ、もう能力回帰使っちゃうの?」
マサシの判断に、アヤは内心驚いていた。
能力回帰は、マサシにとって切り札の一つ。
ましてや、究極段階<エクストラレベル>に一番近い、第5段階<フィフスレベル>を使うにしても、早すぎる。
「向こうは徹底した耐久戦術を組んできてる。こっちのスタミナが切れる前に決めなければ、勝ち目はない。出し惜しみなんてしてる余裕が無い」
「それでも…、究極段階<エクストラレベル>は最後の最後まで温存しておくんでしょ?」
「…ああ」
―――ただ、前にあのチルナと戦った時のあの力を発揮出来るようになれば…。
―――否、あの力が何なのかは俺でも把握できていないんだ。
―――天属性の未知の部分に頼るよりも、今持てる力で何とかするべきだ。
「フローゼル、ソニックブーム=I!」
パワーを上げ、フローゼルが尾を横に振り抜く。
そこから発生した衝撃波を、ブラッキーに目掛けて飛ばす。
「まだだ!」
だが今度の攻撃は、それだけでは終わらなかった。
先に放ったソニックブーム≠フ後を追うかのように、フローゼル自身もハイドロインパクト≠ナ突っ込んだ。
2つの技を同じタイミングで喰らった為、流石のブラッキーでもダメージは大きかった。
ましてや、今は能力回帰をも発動している状態。
生半可なポケモンでは、耐え切る事すらできない程のパワーだった。
「ナリサさん、選択するポケモンを間違ったんじゃないですか? ブラッキーも耐久型としては優秀だが、その真価を発揮するのはつきのひかり≠ニいう回復技を組み込んでこそだ。だけどこの天候じゃ、まともな回復は見込めない」
改めて、周囲の風景を見渡すマサシ。
忘れている人が居るかもしれないが、ここは雪原の町リーラシティの横にある山の頂。
地面には雪が降り積もり、今尚雪が風に乗って吹き付けている気象状況。
「時間帯的にも、そして天候から考えても、ブラッキーのつきのひかり≠ノよる回復なんて当てにならない」
「でも、その前に貴方達が斃れてしまえば元も子もありませんね。ブラッキー、あくのはどう=I」
ブラッキーが身構え、フローゼル目掛けて漆黒のエネルギー波を発射。
フローゼルはこれを横に跳んでかわし、そのエネルギーはフローゼルの後ろの地面に命中し、炸裂。
地面に積もった雪が、大量に空中に巻き上がった。
「耐久型とは言え、充分な攻撃力も兼ね備えているわけか。さて、どうするか」
「マサシ、1人で戦ってるわけじゃないんだから。もう少し私と連携する事も考えてね」
ふと、アヤが背後から歩み寄り、マサシの横に並ぶ。
その姿を見て、マサシの表情に余裕が戻った。
「なら、俺が隙を作るか。一撃の破壊力だったら、お前の方が俺より遥かに上だからな」
「任せて。そっちも、しっかり頼むわよ」
「ああ」
意を決し、マサシは再びブラッキーに挑む。
フローゼルは一旦ボールに戻し、新たにオーダイルを繰り出す。
「ハイドロポンプ=I」
そして繰り出して早々、大きな水の弾丸を発射。
発射された水はブラッキーに命中するが、全く微動だにしない。
恐ろしいほどの耐久力だった。
「…」
攻撃を喰らった後のブラッキーの様子を見て、マサシは次の指示を出す。
直後、オーダイルの姿がその場から消えた。
「!」
否、超高速で移動しただけだった。
ブラッキーの目の前に移動し、右腕を思い切り振り下ろす。
ドゴンッ!!
地面が軽く凹む程のパワーだった一撃なのだが、それでもブラッキーは立ち上がる。
だが、マサシはこれまでに一つの疑念を抱いていた。
「(妙だ…。何であのブラッキー、さっきから殆ど攻撃を仕掛けてこないんだ)」
相手の行動を不審に思いつつ、ふと自分のポケモンの様子を確認する。
「!」
そこで、敵の狙いに気付く。
オーダイルが、何故か苦しそうな表情を見せていた。
というより、先ほどブラッキーを攻撃する際に使用した手が紫色に染まってきていたのだ。
「毒…! 直接攻撃を仕掛けてくるときを見計らって、どくどく≠放っていたのか」
「マサシ、それだけじゃない!多分、特殊攻撃が殆ど通じないとなると、次は物理攻撃で来るって所まで先読みしてたんだと思う」
「…!」
「前に…」
ふと、ナリサが話を始めた為、二人は会話を中断した。
「最初に貴方達とお会いした時、私は人を見る目には自信があると言いましたね」
「…」
記憶を振り返るマサシ。
丁度、大会が中断となった報せが届いた直後。
ナリサと、初めて出会った時の事。
確かにその時も、ナリサは同じ言葉を口にしていた。
「私は、それだけで相手がどういう傾向でバトルに挑むのかが大体読めるのです。マサシ君の場合、より効率の良い戦略を練っていくタイプですね」
「それだけで俺が、特殊攻撃が効き辛いから物理攻撃に切り替えることを予測できたのか」
「大体…ですけどね。その予測が外れる時も、偶にはあります」
「それは、凄いわね!!!」
ナリサに関心する言葉を吐きながら、アヤが次の行動を起こす。
バクフーンの入ったボールを上空に放り、空中でバクフーンをボールの外に出した。
そしてそのまま落下しながら、かえんぐるま≠発動してブラッキーに突っ込む。
激突の衝撃で爆発が発生し、地面に積もった雪の大半が宙に舞うか、溶けてるかで消えてしまった。
「最もそれは、耐久型戦術だからこそ発揮できる能力だな。ガンガン攻めながらじゃ、相手が次にどんな行動を起こすか予測するのなんて、殆ど無意味に近い」
「マサシ、そんな話をしてる場合じゃないわ!オーダイルが…」
マサシ達が会話を続けている間にも、毒の侵食は続いていた。
次第に苦悶の表情を見せ始めていた為、マサシはオーダイルをボールに戻した。
「(オーダイルに、これ以上戦いを続行させるのは無理だな…。フライゴンは環境的に有り得ないし、バクフーンも俺達の暖を取る役割を果たしているから戦いは無理。となると、実質俺の手持ちは残り3匹か)」
冷静に状況を整理したマサシ。
実質戦闘可能なポケモンが、半分にまで減ってしまっていたのだ。
「(となると、戦えるポケモンの数が多いアヤがこのバトルの鍵になる。残りの3匹で、いかに上手くアヤと連携して相手のポケモンを斃せるか。そこが鍵だ)」
「(マサシの手持ちも、半分近くが戦える状態じゃなくなってる…。勝つためには、やっぱりこの天候をどうにかしないと)」
一方でアヤも、マサシの手持ちポケモン達の状況は理解していた。
文字通り戦力が半減した以上、ユキヤの加勢が必要になると考えていた。
だが、ユキヤの手持ちはその殆どが氷属性に弱い。
最低限、この天候だけでもどうにかしたいと考えていた。
「バクフーン、にほんばれ=I!」
アヤの指示を受けて、バクフーンが熱を持った橙色の球体エネルギーを空に向けて放つ。
本来なら、ここで真夏の暑さを感じるほどの日光が差し込んでくる筈なのだが、それが一向に訪れる気配が無い。
「…っ、にほんばれ£P体の技じゃ殆ど効果が出ない…」
「アヤ、どうするんだ?」
「マサシ、私のブーバーンとあんたのバクフーン。この2匹の炎技を使って、にほんばれ≠フ効果を増大させるわ」
「そんなことが出来るのか…!?」
「咄嗟の思いつきだけどね。にほんばれ≠フエネルギーに全力の炎技をぶつけて、付近一帯にそのエネルギーを拡散させるのよ」
Phase.59 ユキヤ 参戦
ある日、それは突然に起こった。
ヨハロ地方北東部にある深雪の町・リーラシティ。
そのすぐ脇にある山の頂き付近で、突如大爆発が発生したのだ。
その大爆発は大地を大きく揺らし、山が崩壊した。
他の住人からすれば、それは自然災害か何かだと思った筈。
間違っても、あの爆発がポケモンバトルにて使われた技だとは、誰も思うまい。
爆発のあった場所に居たトレーナー数名もまた、爆発による山の崩壊に巻き込まれていた。
「げほっ、ごほっ」
山のように詰まれた岩石の中から、辛うじて身体を這いずりだしたマサシ。
すぐ近くで、同じようにアヤとユキヤもまたうつ伏せで同じ状態になっていた。
「フライゴン…!」
幸いにも、先ほどのアヤの技で吹雪は消し飛んだ。
なので今ならば気兼ねなくフライゴンをボールの外に出す事ができる。
フライゴンに頼んで、岩を除けてもらい、脱出した。
身体を引き摺りながら、アヤの居る場所に向かうマサシ。
そして…。
ドゴッ!!
……アヤの後頭部を、思いっきり踏んだ(爆)
「痛ったーい!! マサシ、いきなり何するのよ!」
顔を持ち上げて、アヤがマサシに怒鳴りつける。
「それはこっちの台詞だ、この馬鹿! あんな大技、あんな場所で使うか、普通!?」
「だけど、あのままじゃ勝ち目無かったのも事実でしょ?私達全員無事だったんだし、結果オーライじゃない」
グリグリグリッ…!
アヤの発言にカチンと来たのか、アヤの背中で足をグリグリやり始めた(ぇ)。
「痛い痛い痛い痛い!!!」
「そんな後先考えない発言をするのは、この口か?」
そして終いには、アヤの口を左右に大きく伸ばすマサシ。
何ていうか、完全に遊んでる(爆)。
「ほへんひゃひゃい!ほへんひゃひゃい!!」
流石にいつまでもこんなコントを続けるわけにも行かず、本題に戻る二人。
「とりあえず、ユキヤも大丈夫みたいだし…」
2人が遊んでた間に、ユキヤも自力で脱出して立ち上がっていた。
「ナリサさんも探さないとな。あの人も、すぐ近くに居る筈だ」
「そうね」
3人はナリサを探すべく、すぐに行動を開始した。
だが、そのナリサもマサシ達から然程離れていない場所に斃れていた。
なのですぐに発見する事ができた。
「ナリサさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。それにしても、先ほどの技は凄まじい威力ですね…。この地域特有の吹雪を、吹き飛ばしてしまうなんて」
「そのお陰で、こっちも酷い目に遭ったんだけどな…。アヤが、後先考えなかった所為で」
「だから、それは謝ったじゃない!」
「まあ、いい。それよりナリサさん、ブラッキーは」
「先ほどの爆発で、ダウンしました。私のブラッキーがここまで大きなダメージを受けたのも、随分久し振りです」
「とりあえず、空は晴れた。これで、俺の残りポケモンもバトルに参戦できる」
「そして、俺もだ」
一歩遅れて、ユキヤが二人の横に並ぶ。
ようやく、マサシチームが一丸となってナリサに挑む環境が整ったのだ。
「では、バトルを再開しましょう。私の3番手は、ダイノーズです」
ナリサが投げたボールから現れた3番目のポケモンは、ダイノーズ。
対するは、今まで後方で待機していたユキヤ。
今までの鬱憤を晴らすかのように、いきなりガブリアスを繰り出す。
「じしん=v
いきなり、地面タイプ最強の技を指示するユキヤ。
ガブリアスが地面をならし、凄まじいパワーで大地を揺らす。
この揺れは、ダイノーズに属性上かなりのダメージを与えている筈なのだが…。
相手のダイノーズは、微動だにしていなかった。
「やっぱり俺達がバラバラに攻撃しても、殆ど効果は無いな…。同時攻撃で、一気に攻め崩すしか無さそうだ」
「フローゼルとガブリアス、そして私のバクフーンで同時攻撃ね?」
「そうだ。そのためには…、マニューラ!!」
三位一体の攻撃を成功させる為、マニューラでダイノーズをかく乱する作戦に出たマサシ。
持ち前のスピードを活かし、全方位から規則性の無い動きでダイノーズを斬り付けていく。
そして今は、能力回帰の第5段階<フィフスレベル>までも発動している状態。
マニューラのスピードとパワーも、通常より遥かにアップしていた。
それでも、ダイノーズの硬い身体には軽い傷跡を残す程度しか効果が無かった。
「ダイノーズ、マグネットボム=I」
相手の技名を聞いた途端、マサシの表情が青ざめた。
今指示した技は、まるで磁石のように相手を追い回す、回避不能の技。
しかもマニューラにとっては、相性の悪い鋼タイプの技。
「まずい…!」
咄嗟に、マサシはフライゴンをマニューラの側へ飛ばす。
フライゴンはマニューラの壁となり、マグネットボム≠受け止めた。
「フライゴン、だいちのちから=I!」
防御してすぐ、攻撃に転じる。
地面に着地したフライゴンが、拳を地面に叩きつける。
それにより生じた地面の亀裂が、ダイノーズの足元にまで伸びる。
更にその亀裂の中が橙色に輝きだし、エネルギーが地上目掛けて溢れだす。
ドゴォォォォンッ!!
今度の攻撃は、物理攻撃ではなく特殊攻撃。
しかもダイノーズの持つ2つの属性両方の弱点を突いた為、普通なら相当のダメージを与えている筈。
「…参ったな」
ダイノーズにとって、大弱点の属性の大技が直撃した。
なのに、相変わらずのナリサのポケモンの耐久力に、脱力することしか出来なかった。
「殆ど、ダメージ無しか」
何食わぬ状態で、ダイノーズは立っていた。
だが、丁度そんなタイミングで残り2人の攻撃準備が整った。
「マサシ、準備万端よ。いつでもいけるわ!」
「早くしろ。遅れるな」
「……ああ、この時を待っていた!」
3人のポケモン、フローゼル・バクフーン・ガブリアスが横一列に並んだ。
1匹ずつそれぞれが膨大な力をその身に宿し、ナリサに向けて構えている。
「ハイドロインパクト=I」
「バースト・ストライク=I!」
「破壊爪<デストラクションエッジ>=c!」
3匹が一斉にダイノーズに突撃し、迎え撃とうとしたダイノーズ。
だが、その寸前でフライゴンとマニューラの妨害に遭い、3匹の同時攻撃をまともに喰らう事になる。
ドゴォォォンッ…! ドゴンッ!! ズドォォォォォンッ!!
先ほどの山頂付近で起こった爆発ほどの大きさではなかったものの、それが3連発。
それがリーラシティから程離れた雪原で発生した。
「流石に、これだけの攻撃には耐え切れなかったみたいね」
爆発によって生じた煙の中を眺めながら、アヤが呟く。
時間が経って煙が晴れ、その中でダイノーズが斃れ伏している姿が視界に入った。
「ようやく半分…か。前の証を賭けたバトルの時と同様、3人がかりでやっとここまで来れたって感じだな…」
「でも、漸く半分よ。ナリサさんの残りのポケモンは確かに強いかもしれない。けど、私たちだってこんな所で負けられない…!」
「そう言う事だな。まだまだ、バトルはここからだ」
この後、このバトルは更に激しさを増す。
その事を3人は薄々感じ取っていた。
だからこそ、マサシがここで動いたのかもしれない。
「―――『能力回帰:究極段階<エクストラレベル>』発動」
マサシのポケモン達から、今までとは桁外れの量のエネルギーがあふれ出した。
いよいよ、マサシが全力を発揮し始めた。
「ここからが本番…、という訳ですか。私の4番手は、ドータクン!!」
ナリサは後半戦、最初に繰り出してきたのはドータクン。
耐久型のポケモンを揃えているという傾向が読めた以上、このポケモンの登場はある程度予測していた。
「相変わらず手強いポケモンばっかり繰り出してくる…。さて、やるか」
相手の次なるポケモンを見据え、3人は突撃する。
2番目の証を持つトレーナー、ナリサとの戦いも、終盤戦へと差し掛かっていく…。
To Be Continued
後書き
自分は一体、何をやってるんだろ。−−;
今回は冒頭からバトルに入ったのに、1話内で決着させる事すら出来ないとは…。
フルバトルだからといって、次に持ち越すのもいい加減どうにかしたいところなんだけどなぁ…。
過ぎたことを愚痴っても仕方ありませんね。次の話の前半辺りで何とか決着させられるように頑張るつもりです。
だけど、このバトルが終わった後の話が、現状殆ど決まってないんですね(ぇ)。
とりあえず成り行き任せで適当に進む話が、暫く続くかも…。
本当、手抜きで済みませんね。−−;
では、次回をお楽しみに。
[アットの一言感想]
死角のない強さを誇るナリサとの戦い。
さすがに全員の力を合わせなければ、対抗はできないようです。
しかし、アヤの攻撃は周囲に多大な被害を出してないかが心配←