エンスの仲間2人を辛うじて撃破したマサシチーム。
 だが、3人はもはや満身創痍。
 そんなボロボロの状態で、更なる死闘に挑まなければならない。




 …今、彼らの真の力が試される。






COM マスターリーグ編
第25話
VSエンスチーム−V







 Phase.90 呑まれるな





 戦いの前に、マサシは改めて今の自分達の状態を確認する。
 自分も、アヤも、ユキヤも、手持ちは2匹ずつの計6匹。
 対してエンスはほぼ無傷で、手持ちの数も同じく6匹。

 残りポケモンの数では同じなのだが、マサシ達は既にかなりのダメージを受けた状態。
 更に言えば、相手のポケモンは万全の状態の彼らよりも遥か上の実力者揃い。
 決して互角といえるような状況ではなかった。

「…」

 マサシはトレーナーの2人だけじゃなく、全員のポケモンにも気を向ける。
 ヨコウ達との激闘を終えた直後なので、まだ呼吸は若干乱れている。
 それに、6匹のポケモン全員が結構なダメージを受けていた。


 こんな状態で長期戦に持ち込む戦略は、まず有り得ない。
 それはアヤ達も理解していたようで、自ずと3人の思考は一致していた。



―――全力を出し切った速攻あるのみ。




「ガブリアス」

 先陣を切ったのは、ユキヤ。
 破壊爪<デストラクションエッジ>=@『交差<クロス>』。
 ユキヤが指示を出した、先制攻撃だった。

「ハードクラッシュ=I!」

 だが、エンスのドサイドンはそれよりも遥かに膨大な力を持った拳で迎え撃つ。
 傍から見ただけでもはっきりと感じ取れる。
 桁が、違いすぎると。

「―――っ!! オーダイル、ハイドロカノン=I!」

 いくらユキヤのポケモンといえど、あれ程の大技を喰らったら一溜りも無い。
 例えダメージを殆ど与えられなくとも、ドサイドンの腕だけでも弾こうとマサシが攻撃する。
 マサシの狙い通り、オーダイルの水弾は腕に直撃、思い切り弾き飛ばす。

 その直後がら空きになったドサイドンの胴体へ、ガブリアスが二振りの破壊の力を持つ爪を同時に叩き込む。
 ドゴンッ!!

「能力回帰:『第3段階<サードレベル>』 アクアテール=I!」

 マサシもまた、ハイドロカノン≠ノよる攻撃の直後に次の行動を起こしていた。
 反動から持ち直したオーダイルと共に、エンス目掛けて走り出す。
 その途中で『第3段階<サードレベル>』を発動させ、スピードの上がったオーダイルが先行し、水エネルギーを持った尾を叩き込む。

 この連続攻撃の直後、鋭い視線でドサイドンがマサシ達を睨む。

「…!! オーダイル、離れろ!!!」

「ガブリアス、下がれ!」

 咄嗟に指示した事で、直撃だけは免れる事ができた。
 だがドサイドンの一撃は、拳を振り下ろした場所を中心に、広範囲に渡って地面を陥没させる破壊力を発揮した。
 ドゴンッ!!!!!!

「…! ここにいたら危ないぞ!!」

 地面の陥没はマサシ達の居る距離にまで及んでいた為、慌ててこの場を離れる。
 今までバトルをしていた場所から50mほど移動して、漸く影響の届かない距離だった。

「破壊力が出鱈目だ…。あんなのを相手に、接近戦を挑むなんて無謀にも程がある…」

 冷や汗を流し、青ざめた表情でマサシが呟く。
 確かにあれ程の破壊力、例え直撃を避けたとしても大ダメージを受けることは間違いない。
 そうなると、残された選択肢は…。

「遠距離から、懇親の一撃を叩き込むしかない…か」

「でも、あのドサイドンの特性の効果もあるのよ? またあんな攻撃をされる前に倒すなんて、一体どうすれば…」

 アヤもまた、完全に手詰まりといった状況で戸惑っていた。
 今の自分達の手の内に、あのドサイドンを速攻で倒せるような手段が無いのが現実だった。

「アヤ、さっきお前が俺に言ってくれたんだぞ?相手に呑まれていては、本来の実力を発揮する事は出来ない…と」

「! それは…」

「俺達は奴のあのパワーを間近で見て、それに対して臆しているのは事実だ。だが、それを克服しない限り勝ち目が無いのもまた事実だ」

「…」

「俺のポケモンじゃ、ドサイドンの特性の所為で大きなダメージを与えられる見込みが無い。遠距離攻撃で特大の破壊力を持つお前だけが、この状況を突破できる可能性を持っているんだ」

「私が…」

「何でもいい、バースト・ストライク≠謔閧熏Xに上の破壊力を持った攻撃を見つけ出し、それを叩き込むしかない」

「そんな、無茶言わないでよ!? バースト・ストライク≠ナさえ、バクフーンの全力を身体の周囲に纏わせて突撃する技なのに、それ以上なんて…。ツインブラスト≠ナさえ、通用するか解らないのに…」

「無茶でも何でも、お前がやらなければ勝ち目は無いんだ。何とかして、“バースト・ストライク≠上回る攻撃への道を見付け出してくれ。それまでは、俺が時間を稼ぐ」

「マサシ…」

「ユキヤ、ここは頼む」

「…ああ」

 背中を向けたままユキヤにこの場を任せる言葉を発し、再びエンスに向かっていった。

「…無茶言うわよ、本当に。今の限界を更に超えた攻撃への道を見付けだせ だなんて…」

「…」






 先ほどの一撃の影響で、あの辺り一帯は粉々になっていた。
 そんな瓦礫の山を飛び移りながら、マサシはエンスに向かっていく。
 だが突如として、マサシの目の前にエンスのドサイドンが立ち塞がる。

「…っ! さっきの“ロックカット≠フスピードが、まだ…!」

 このドサイドンと真正面からぶつかり合っても、勝負になる筈もない。
 極限状態の中で、マサシは何故かある方法を思いつく。

 それとタイミングを同じくして、ドサイドンが再び拳を振り上げる。
 その瞬間を見計らって、マサシが合図する。

「今だ、オーダイル!!」





 マサシが思いついたというのは、何の変哲も無いただのパンチ攻撃だった。
 だが一つ異なっていたのは、予備動作を殆ど必要とせずに攻撃に転じた事。
 前もって大振りの構えを見せていたドサイドンが相手なら、隙だらけ。
 あれだけの破壊力を引き出す為には、どうしても攻撃の構えが大きくなるという弱点を衝いた攻撃だった。

 突然に繰り出されたオーダイルの拳は、的確にドサイドンの顔面へとヒットする。
 尤も、その重量故に吹き飛ばすとまではいかなかったが…。

「やっぱりびくともしないか…」

「初動の差…か。そんな細かい部分にまで気を回せるとは流石だな」

 そのドサイドンの背後から、エンスが姿を見せた。
 姿を確認した途端、マサシは溜息を零して一言。

「おい、エンス。お前はこの町を崩壊させたいのか?あんな出鱈目な大技を考えなしにぶっ放しやがって」

「あ〜、悪ぃ。さっきは、つい力みすぎちまった」

「ここが町のど真ん中だって事忘れてないか? 周りへの影響とか考えて技を出せって…」

 幸い、先程の攻撃を繰り出した時にマサシ達以外の人の姿は無かった。
 よって、怪我人が出なかったのはせめてもの幸いともいえた。

「その、何ていうか…。度々スマン」

「…もういいよ」

 エンスのそんな態度に、呆れ果てる事しか出来ないマサシだった。







 Phase.91 爆炎覚醒





 マサシの咄嗟の機転により、ドサイドンは迂闊に大技を繰り出すことが出来なくなった。
 今のマサシならば、ドサイドンが大技を繰り出すまでの僅かな隙も見逃さない。
 例え与えられるダメージは小さくとも、少なからずそれはプレッシャーとなってドサイドンに圧し掛かっていた。

「…っ」

 マサシは横目でオーダイルに視線を向ける。
 テンロ達との激闘の後、続けてエンスとのバトルに挑んでいる。
 これ程長時間の間戦い続けているため、呼吸のペースが短くなってきていた。

「(確かにこのやり方なら、あのドサイドンの出鱈目な破壊力を封じる事は出来る。だが、それだとこっちも決定打を与えられる大技を繰り出せないのも事実。あのドサイドンを斃すまでオーダイルの体力が残る筈も無い。どうする…)」

 だがそんな時、マサシはあることに気付く。
 ドサイドンの身体の、所々に焦げたような跡が残っている事。
 そしてその箇所を庇うような姿勢を見せていた。

「(そうか…。最初に少しだけ戦った時、あのドサイドンには“おにび≠食らわせたんだった。それによる火傷のダメージが…)」

 …考えるまでも無かった。
 敵が状態異常に掛かっているのなら、そこを利用しない手は無い。
 しかしエンスも、そこを狙ってくるであろう事はとっくに読み越していた。

 だから…。

「!」

 “ロックカット≠フスピードを活かし、小振りの隙の少ない攻撃にシフトしてきた。
 オーダイルも突然の戦い方の変化に戸惑いながらも、次々と攻撃をかわしていく。

「これじゃあ、攻撃に転じられない…!」

「さっき火傷を貰ったのは少々痛手だが、まあ問題ないだろう。さあ、どうする」

「…っ」

「―――“破壊爪<デストラクションエッジ>=v

 だがそこへ、場外からの乱入者。
 ユキヤが、ガブリアスと共にドサイドンの顔面に爪を叩き込んだ。
 ドゴォンッ!!

 しかも信じられないことに、ここに来てその破壊力が更に上がってきている。
 オーダイルの攻撃でビクともしなかったドサイドンが、凄まじい勢いで吹き飛んだ。

「ユキヤ! アヤはどうなんだ!」

「あいつにはナギサが傍にいる。それに、今までの限界を超えたパワーを発揮する方法。何か、掴み始めているようだ」

「なら、もう少し粘ってみるか。今の俺達なら、やれる筈だ」

 無言でユキヤが頷くと、ガブリアスに指示を出す。
 それに続くかのようにオーダイルで攻撃を仕掛けていった。







 一方でアヤは、先程ユキヤの言葉通り何かを掴み始めている雰囲気だった。
 バクフーンの莫大な炎のエネルギーを引き出し、それを押し留めていた。

「アヤちゃん…。大丈夫? ずっと戦い続けているのに…」

「私は平気。それに、あの2人だってそれは同じなんだし、弱音は吐いていられない」

「それで…。さっきから何をしてるの?」

「“バースト・ストライク≠ナ色々できないか試してるのよ。今までは、その膨大な力を“かえんぐるま≠ンたいに全身に纏って突撃してた。でも、それじゃバクフーンに掛かる負荷が大きいし、そんなに頻繁に使える技でもないから」

「その膨大なエネルギーに、バクフーンが耐えられていないのかもしれないね。アヤちゃんの言う通り、本当に物凄い威力だから」

「それだけの破壊力を纏っているんだし、それも当然…なのかもね。今振り返ってみれば、この技もまだまだ欠点だらけね」

「そのエネルギーを身に纏う以外で、破壊力を使いこなす方法って無いのかな?」

「…一か八か、だけど」

「何か考えがあるの?」

「ええ」

 アヤの表情と、決意の瞳。
 嘘はついていないと、ナギサは感じるのだった。





 マサシとユキヤは、2人掛かりでエンスのドサイドンに挑んでいるのだが、殆ど歯が立たない。
 ロックカット≠ナ得たスピード、そして大振りな破壊力の技と、小振りの隙の少ない技を組み合わせて2人を翻弄する。

「オーダイル、ハイドロポンプ=I!」

 今まで接近戦で戦っていたマサシが、突如遠距離戦に戦い方を変える。
 それをドサイドンが回避し、オーダイルに急接近する。
 しかしそれよりも更に早いタイミングで、オーダイルはその場を離れている。

 まるで昔のマサシを思い出させるような、細かい考えなどを捨てた直情的な戦い方だった。

「そこだ!!」

 あれこれ考えるのをやめた事で、かえって戦いに集中出来ていた。
 現に、ドサイドンのあのスピードを完全に捉えるほどの集中力を発揮していたのだ。

 マサシの的確な指示で、オーダイルのハイドロポンプ≠ェドサイドンに直撃する。

「…驚いたな。お前、強敵との戦いの最中で急激に成長するタイプか」

 今の攻撃に、驚きの表情を見せたエンス。
 先程は懇親の一撃を受けても微動だにしなかったのに、今度の攻撃はドサイドンにダメージを与えていた。
 エンスの言う通り、マサシはこの戦いの中で急激に力を伸ばし始めていたのだ。

「それでも、やっぱりパワー不足だ…! こいつを一気に倒すには…」

 そんな時だった。
 マサシ達の背後で、突如爆発が発生する。
 否、爆発と共に巨大な火柱が天空に伸びていったのだ。

「…!」

 反射的に、その方角に視線を向けるマサシ達。
 その火柱の傍でアヤ、その火柱の中でバクフーンが此方を向いて立っていたのだ。
 しかもそのバクフーンからは、今までに無い強大な力が感じ取れる。

 覚醒の時が、訪れた。







 Phase.92 バーストブレイク





 アヤ達の様子を見て、マサシから笑みがこぼれる。
 心の中で、『やったな』と囁いて。

「待たせてごめん。やっと、掴めたわ。私の新しい力を」

 アヤは二人の許に駆け寄り、まず最初に謝った。
 マサシは首を横に振って、待ち侘びたように語る。

「アヤ、信じていた。お前なら絶対、この壁を乗り越えてくれると」

「マサシに期待されてたんじゃ、やり遂げないわけにもいかないから。バクフーン、やれるわね」

 アヤの呼びかけに応えるかのように、バクフーンも炎を噴出。
 その状態のバクフーンから、今だ嘗てない巨大な力が溢れ出していた。

「これが私の導き出した答え。強大な破壊力を発揮するバースト・ストライク≠フエネルギー。それを…」

「…!」

 見ると、バクフーンが引き出した橙色のエネルギーと炎が、バクフーンの身体に取り込まれていく。
 それを見て、マサシは即座にアヤの言う答えを理解した。

「発動したバースト・ストライク≠フエネルギーを、取り込んだのか…!」

「そういう事。これなら、バクフーンへの反動もかなり抑えられるし、破壊力だってかなり上げられる!」

「よし、後はお前次第だ。お前の新しい力、見せてもらうぞ」

「…見せてあげる。私の手にした新たな力…、『バーストブレイク』を!」

「戦いの中で新しい力を編み出す辺り、流石だな。さあ、見せてみろ」

 エンスは、アヤが完成させた新しい力と真っ向勝負する姿勢を見せる。
 これは余裕の現れなのか、或いは…。

「…っ、バクフーン! かえんほうしゃ=I!」

 思惑はどうであれ、エンスは真正面からアヤの攻撃を受ける心算でいる。
 ならば、アヤも迷い無く攻撃を放つ。
 特大の炎エネルギーを取り込み、青白くなった炎を発射する。

「ドサイドン、がんせきほう=I」

 エンスは、その炎に巨大な岩石の砲弾を真正面からぶつける。
 だがそれだけではパワーが足りず、アヤの攻撃にどんどん押し戻されていた。

「ハードクラッシュ=I!」

 がんせきほう≠後押しする形で、更にハードクラッシュ≠ワで発動。
 ドサイドンの大技の重複でようやくアヤの炎技を押し留めた。

「このパワー…!」

 ドサイドンの持ち得る最強の攻撃で、やっと相殺できるほどの破壊力。
 エンスは、ただそれに驚くばかりだった。

 そして今の激突を見て、マサシは心中で確信していた。
 ドサイドンとのバトルは、アヤの勝利に終わると。

「チッ、最近の奴らはとんでもないレベルになってきてやがるな。これ程とは」

 一方でエンスもまた、ドサイドンではアヤのバクフーンには勝てないことを悟っていた。
 何故なら先程アヤが繰り出した技はかえんほうしゃ=B
 まだまだ強力な技は、いくらでも残っている。

「ブラストバーン=c!」

 ここからが本番と言わんばかりに、今度は炎系最大の技を発射。
 ドサイドンもただ棒立ちしている訳ではなく、持てる限りの力でアヤの攻撃に立ち向かう。
 そして…。
 ズドォォォォォォンッ!!!


 爆発と共に、巨大な青白い色の火柱が天空目掛けて伸びていった。

「…あのな。さっきエンスにも言ったんだが、周りへの影響も考えて技を使えよ(汗)」

 今の爆発で、アロナシティ中央広場はもはや原型を留めないほどに破壊されつくしていた。
 その所為なのか、徐々にこの広場に人が集まり始めていた。

「…なあ、場所移したほうが良くないか?このままじゃ、周りが気になって本気で戦えない」

「あー、まあそりゃ俺も賛成だ。流石に派手にやりすぎた」

 マサシの提案に、いつの間にか近くに歩んできたエンスが同意する。
 そしてこのバトルを見届けようと、エンスチームの2人も起き上がる。

「ところでエンス、ドサイドンはどうした」

「さっきの攻撃で戦闘不能だ。アヤ、お前の持っている底力はとんでもないな。俺の予測よりずっと上だ。大したもんだ」

「え?あ、うん。どうも」

 エンスがアヤに賞賛を浴びせたというのに、どこかぎこちない返事をしたアヤ。
 突然戦っている相手からそんな事を言われれば、戸惑うのも当然といえば当然だが…。

「…エンス、前々から気になっていたんだが…」

 ふとマサシが、前々から胸の内に抱えていた疑問をエンスにぶつける。

「あの時俺達にバトルを持ちかけて来た時から思っていたんだが…。 何でわざわざ、約束のこの場所で馬鹿正直に待っていたんだ? 単に俺達を倒そうとするなら、とても考え付かない行動だ」

「あー、それは前も言ったと思うが…。俺はお前達を倒したいわけじゃなくて、単に戦ってみたかったからだ。 万全の状態で、尚且つまだまだ育ち盛りのお前達に興味が沸いたのさ」

「俺が、リュウイチの弟だったから っていうのも理由の一つだろ?」

「まあ、そうだ。 …と、言いたいところだが、俺は純粋にお前の実力を認めている。マスターリーグをここまで戦い抜いてきたお前の実力は、本物だからな」

「…そうか」

 どうやら、このエンスという男は今まで出会ってきた出場者とは違うことを感じ取ったマサシ。
 純粋に相手とのバトルを楽しみたい、そういう心意気を感じていた。

「さて、そろそろ移動するか。いつまでもこの場所にいても仕方ないだろ」

「そうだな」

 エンスに促されて、マサシ達は一旦アロナシティを後にし、戦いの場をアロナシティ郊外の平原に移す。
 そこで待っているのは、更なる死闘。
 本気を出したエンスの圧倒的な力が、マサシチームを待ち受けるのだった。







 To Be Continued







 Phase.EX4 番外編その4





 いつもと同じように、シュンはマユミと一緒に出掛けていた。
 今日は少し遠くまで足を伸ばし、トバリシティにやってきていた。
 ここに来た目的とは?

「…ゲームセンター?(汗)」

 後頭部に汗を流しつつ、目の前にある建物を見てマユミが呆れ顔で囁く。

「まあ、偶にはいいでしょ? こういう場所で羽を伸ばすのも」

「う〜ん…」

 散々悩んでいたのだが、最終的にはシュンの勢いに押されて中に入っていった。
 だが事実、マユミの方が熱中していた……。



 というのは、よくあるパターンだからそれはやめておこう。
 シュンはゲームに熱中していて、マユミは彼の傍に居るという状態が続くのだった。

 マユミが余りにも乗り気じゃない様子なので、シュンは早めに切り上げて外に出た。

「ここのゲームセンター、結構いい景品があるから欲しかったんだけどね」

「いい景品って?」

「これから先、多分僕は大きな戦いに挑むことになる。その時のために、色々前準備しておきたかったんだ」

「ふ〜ん。何か良く解らないけど、シュンって大変なんだね」

「まあ…、ね」



―――マユミは僕達と違って、戦いに向いてるような性格とは言えない。

―――近いうちに起こる筈の、『終焉の道標<エクストレーム>』との戦いに、彼女は巻き込めない。

―――僕が、やらなくちゃ…。


 心中でマユミの身を案じていたのだが、彼女に心配をかけさせまいと表情には出さない。
 そのまま、デート感覚で別の場所に向かうのだった。





 そんな訳で、次に2人がやってきた場所はノモセシティ。

「随分遠くまで来たね♪ ここって、何があるんだっけ?」

「ポケモン達を、野生の生態のまま飼育してる大湿原があるんだ。それにその大湿原で、野生ポケモンを捕獲できるサファリゲームも時々開催されるんだ」

「そうなんだ♪ でも、湿地帯はあんまり好きじゃないかな…」

「まあ、ノモセ付近は雨が降りやすい気候だからね…。仕方ないよ」

 シュンの言う通り、シンオウの南部に位置するノモセシティは雨が降りやすいことで有名。
 なので、そこまで大きく発展した町とは言えなかった。

「でも大湿原のゲートからでも、野生のポケモンを観察する事は出来るんだ。そこなら問題ないよね?」

「うん♪ 建物の中からなら問題は無いよ♪」

 大湿原へはゲートを通っていく形になっている。
 そのゲートは2階建てになっており、上階は展望施設となっていた。
 そこからなら、広大な湿原を見渡す事が出来るのだ。

「とは言っても、こんな湿気のある場所に住んでるポケモンって、結構限られてるんじゃない?」

「まあね。でも、こういう場所にしか居ないポケモンも居ると思うから、見る分にはいいんじゃないかな?」

「でも…」

「マユミはこれからも、ずっとコンテストを極めていくんでしょ? だったら、色んなタイプのポケモンを仲間にしておいた方が便利なんじゃないかな」

「じゃあ、シュン君。一緒にポケモンゲットするの手伝ってくれるよね♪」

 満面の笑顔で問い掛けてきたので、シュンは即答した。
 準備を済ませて、2人は大湿原に繰り出していった。

 大湿原の名の通り、敷地内は広大な沼地が広がっている。
 だがその沼地の上に、丈夫な造りの板橋が設けられていて、少なくとも足元が水浸しになる心配は無い。

 シュン達2人の他にも、環境客と思しき人たちがチラホラ視界に入る。

「ここじゃ、専用の『サファリボール』っていうボールを使うんだね」

 受け付けの係員に手渡されたボールを見ながら、マユミは呟いていた。

「うん。トレーナー達が普通にポケモンをゲットしようとすると、この大湿原が荒れちゃうからとかっていう理由で、ポケモンを敷地内に持ち込むのは禁止されてるんだ。それで、それに合わせてここ専用のボールも開発されたって言う話だよ」

「へぇ〜…。 それにしてもこの湿原、広いね」

「この湿原は結構広いから、大きく6つの区画<ブロック>に分けられてるんだ」

「うー…」

 そんな話を聞かされたので、マユミは全身から力が抜けてしまう。
 それをフォローするかのように、シュンは更に話を続ける。

「心配しなくても大丈夫だよ。この湿原には、それぞれの区画を移動できる専用の乗り物があるから。移動には困らないよ」

「そうなんだ♪ それを聞いて安心しちゃった♪」

 何と気持ちの切り替えの早いことか。
 シュンも心の中で、同じ事を思うのだった。

「とりあえず行こうか」

「うん♪」

 先程シュンの語った湿原を移動する乗り物。
 ぶっちゃけて言うと、それは敷地内を走る電車の事。
 それぞれの区画ごとに、その電車を乗り降りする場所が作られているのだ。

 シュン達は早速、ゲート付近の区画から回ることにした。

「色々とポケモンが居るのね。ウパーにビーダル、スボミーにヌオー…。水辺に生息していそうなポケモンばっかり」

「やっぱりこういう湿地帯だと、水タイプや草タイプのポケモンを多く見かけるね。マユミ、ゲットしたいポケモンを見付けたらどんどんボールを投げていいんだよ。手持ちのボールが全部無くなったら、ゲーム終了だから」

「うん、解った♪ よ〜し!」

 気合を入れて、大湿原でのサファリゲームを堪能するマユミ達。
 それは、少し長い時間が掛かる話だった。







とりあえず番外編を組み込んでみたものの、エンスチーム戦は次で4話目。
しかも次の話でもまだ決着が付きそうにない展開。

どうにかならないものですかね…。−−;

 

[アットの一言感想]

 戦いの中で成長というのはよくありますが、それによって編み出した新必殺技でもエンスを押し切る事はできず。
 確かにバトルシーンは、油断すると長くなりがちなんですよね。
 時にはさくさくポケモンをダウンさせていく場面も必要なのだろうか(苦笑)。

 

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