「うん、この時間ならまだ船あったよね…?」

ポケギアで時間を確認し、アサギシティに行こうとトロピウスのボールに手をかけたそんな時。


「あれ?流斗じゃない?」


そんな声に、一旦手を止めて、彼は振り向いた。


「そっちは今来たのかな?………潤」


優しげな目元の眼鏡の少年の視線の先には、ポニーテールに黒い帽子の少女だった。





-A drop of starling sky- 35話「好きだけど、言えなくて」





「本当なら、もっと早くに来たかったんだけどね…ちょっと、チョウジで手間取っちゃって…。ところで、ジムから出てきたってことは、やってきたんでしょ?」


どこか不満げな彼女に、思わず苦笑いを浮かべる流斗。
早く来たかったという理由がわかっているだけに苦笑したというのが正しいかもしれない。


「よかった。もう大丈夫そうだね。それと、結果なら…」


彼は、全てを言わず、それを見せることによって勝敗を示した。


「勝ってきたのね。あたしも、負けてられないわ!早速行かなきゃ!」


それ---ライジングバッジ---を見て、すぐにでも行きたそうな雰囲気を彼女はしていた。

だが、制するように流斗は冷静に言った。


「いや、氷の抜け道抜けてきたんでしょ?ポケモンセンターに行こうよ…。それに、僕は、もう1勝負こなさなきゃいけないから…」

「ジム戦直後のあんたこそ行くべきでしょ!………あれ?もう1勝負って…何なの?」


流斗のそんな発言に思わず突っ込みをいれてしまった潤だったが、不意に疑問が生じた、そして、訊いてしまっていた。
すると、何とも言えない笑みを流斗は浮かべた。



「ちょっとね、ホウエン地方、行こうと思って。恋の大勝負ってことで」



今度は、潤がくすりと微笑む番だった。
そして悪戯っぽい楽しげな声で、彼に言う。


「てっきり、彼女がホウエンに引っ越す時に告白してると思ってたんだけど?」


直後、幾分かの静寂。


そして、流斗は困惑したような声で呟いていた、


「………ねえ、潤。僕達が初めて会ったの、その後の、エンジュシティでだよね?何で、そのこと知って…!?」


え、そうなの?君達もっと早く出会っているものかと…え、こっち(作者)の話はどーだっていい?

………。話を戻します。


「紅に聞いたのよ」

「成程。そういうわけなんだね。…そういう君こそ、告白、しないの?」


この時、流斗の眼鏡が怪しく光った…ような気がする。
そして、次の瞬間には潤が慌てふためいていた。


「だ、だれが、こここ…こ、う、なんて言ったのよ!」


「僕は別に誰に、とは言ってないんだけど…。なんでこう、僕の周りにはお互い意識してるのに告白できない人が多いかな…」


………あのさあ、それ、君が言うセリフ?(汗)

「珍しく気が合うわね、作者」

でも、君にも頑張ってほしいのも事実…ん?ところで流斗君、何か言いたげだけど。


「…。ともかく、言わなきゃ何も変わらないって話だけど、ね。僕も、緑も………君も」


「そうね、言わなきゃ…ね。ところで、1つ聞いてみたいんだけど、いいかしら?」






---------私と彼は、幼馴染。だけど、ね?


「初めて会ったのは、私がウバメの森で迷ってた時…助けてくれたから…だったよね。」


トウカシティに向かう途中、立ち止まって春華は思いだしていた。
ちなみにこの場所、実は第1話冒頭で蒼夜がいた場所でもあるのだが、余談である。




「ノエル、どこー?」


ウバメの森の近くで遊んでいるだけだったんだけど…キリンリキ…ノエルがどこかに行っちゃって、探しに入ったの。けど、暗くて迷って…。

そんな時だったわ。明るい光が見えたのは。


「何だろう…?」


がさがさ…


パチリ


「チョンチー!その子は攻撃しちゃ駄目だよ!ピンクのリボンがついてるし、きっと誰かの…」

「ノエル!」


本当に偶然。
綺麗な黄緑色の髪の眼鏡の男の子がそこにいたの。
それが、私達の出会い。

そこでしばらく話しているうちに、彼もコガネシティに住んでいると分かって、一緒に帰ったの。


「へぇ、強いんだね?春華のお父さんって」

「うん!…あ、ここが私の家だよ!流斗君、送ってくれてありがとう!」

「それじゃあ、僕は…」


「春華?帰ったのか?」


いつの間にか、2人は春華の家にたどり着いていたらしい。
そのまま帰ろうとした流斗だったが、不意に聞こえてきた声に足を止める。


「お父さんっ」


「ノエルは?出して遊んでいたんじゃなかったか?」


嬉しそうにその声の主に声をかける春華。
その男性はそんな彼女の頭を撫でながら、ふとそんなことを聞いた。


「えっと…ウバメの森にノエルが行っちゃって…でも、流斗君のおかげで見つかったの!ねぇ!」

「あれは、ポケモンを捕まえようとしてたらたまたま…!あ、えっと…」


どう説明するべきかと春華が考えながら言うのと同時に、流斗が慌てて言葉を続ける。
その様子がおかしかったのか、くすりと笑う。


「ともかく、ありがとう。春華が困っていたのを助けてくれたんだろう?」




---------多分それは初恋で。


「だけど、会えなくなったよね………流斗君が、引っ越しちゃったから…」


何があったかは私も聞いていない。だけど、すごく悲しそうだったのは覚えているの。
それでも、はっきりしていたことは、コガネシティとトキワシティは遠いってこと…。


「でも、流斗君は会いに来てくれた。友達のポケモンバトル修行に付き合うって口実だったらしいけど、あの時は本当に嬉しかったんだから」


---------離れるのは、嫌だった。

---------好き、だから。


「結局、会う機会は何度もあったのに肝心なことは言えないのよね。…こんなこと言ってたら私…!」



---------言って駄目だった時が、辛くなるから?



「ノエル…私、どうするべきなのかな…?」


気がつけば、『彼女』の入るボールを手にとっていた。
あの日みたいに…出会った日のように、彼に会えるんじゃないかってそんな気がしたから。





「僕は、離れているのを理由に躊躇ってた。でもそれじゃいつまでも幼馴染のままだし…だから、行くんだ。」


「そういうことなら、行ってらっしゃい。それで、あの馬鹿に言って」


春華と流斗、2人の出会い。
それを聞いた潤は、納得すると同時にそんなことを言っていた。


「奏に、何を伝えろって?」


「『あたしは逃げずにあんたがまた戦いにくるのを待っててあげる。だから、色々と逃げてるんじゃないわよ!』って」


「そういうことならお安いご用だよ。それじゃあ、潤、頑張ってね」


流斗の「頑張って」に2つの意味が込められているのを気付きながらも、潤はそっと微笑んだ。





同じ頃の、トウカシティ。

ジムリーダーがこんなことを言っていたことは、誰も知らない。


「流斗君にならうちの春華、あげてもいいんだけどな。………だから、早くその想いを伝えてほしいんだけどな…」


そんな、夕方の頃のお話。




■後書き■
さて、ちょこっと逸れて流斗君の話でした。色々とツッコミどころあるのは気にしちゃダメですよ、津波さん(ぇ)

…で。実は1つだけ問題があって。いや、星空の本筋ではなくサイドに関わる話なんですけど…。
蒼夜がどの時期にどの地方にいたかという疑問です。
過去話色々出してるうちにわかんなくなって………要整理ですね、わかります(苦笑)
ちなみに今回の話は、34話で奏が夕希達と電話している頃です。

さて、そろそろ流斗も合流できるかと思います。そして、オーレ組も出せるかな?

…おっと、忘れるところだった。
潤の口から出てきた「紅(こう)」ってのはFR・LG男主人公です、一応。
今後彼を出す機会があるかは…どうなんだろう(おい)

 

[アットの一言感想]

 さりげなく春華父が一番爆弾発言してる←
 という訳で(?)、あとは流斗の頑張り次第。
 そろそろオーレ組が登場するとのことですが……懐かしいな(ぇ)。

 

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