カイナシティのバトル施設で実力者のスパとバトルしたハルナとスバル。共にコスモ団と戦ってもらうために交渉しようとハルナの思い付きで食事に誘うが、その道中でコスモ団の刺客ミラとアルゴルが現れた。しかもアルゴルはスバルの旧友だったのだ。入団した時の誓いをちらつかせ再び団に戻るつもりはないのかと誘うアルゴルだが、スバルのコスモ団と戦う決意は固かった。










ポケットモンスター コズミックファンタジー

6th ミラと波導の勇者アルゴル










「フッ。外野が邪魔だな」


いつの間にか周囲に人が集まって来ていた。話のやりとりを聞き付けて来たのだろう。


「そうですねえ。アルゴルくんちょっと掃除をお願いしますう」

「仕方がない。あまりやりたくはないが……」


アルゴルが左手を高く挙げると手の甲の鬼女の目が妖しく光った。何かを察したスバルが叫ぶ。


「いけない!みんな見るな!顔を背けろ!!」


二人は言われた通りに顔を背けた。スバルも同様だ。


「もう大丈夫かな?あっ!」


目をうっすらと開けたハルナの目に異様な光景が飛び込んできた。周囲に集まっていた人々が全員その場で石像のように固まっていたのだ。微動だにしない。


「え、え……これは?」

「周りの人達は間に合わなかったか……」

「ふん。一緒に石になってくれれば手間が省けたというのに。この能力は体にかかる負担が強く一日に一度しか使えぬのだぞ」


見ると今まで開いていた鬼女の目が閉じられていた。アルゴルの言った事が正しいのなら今はもう目を開く事はないだろう。


「これが俺のCS『ペルセウス』だ。ただのCSではないぞ。総統閣下より波導の勇者に授けられし神具よ」

「波導の勇者?」

「神具だと?」


波導の勇者……ハルナも聞き覚えのある言葉だった。そう、確か祖母が話してくれた思い出の中に。


「まさか、あんた波導使い!?」


波導使いとは、この世界に存在する全ての物質(有機物、無機物に関わらず)に宿る波導と呼ばれる気を操る事の出来る者の事である。周りの波導を感じ取る事で相手の動きを察知したり、自分の波導を攻撃エネルギーに変換して打ち出したり、極めた者であれば自分の波導に気持ちを込めて放つ事で自分の思いを離れた人に伝える事まで出来たという。


「そうだ。見せてやろうか」


アルゴルが開いた右手を前に突き出すと、そこにエネルギーが集まっていく。野球ボールぐらいの丸い球体になったところでハルナめがけて打ち出された。


「きゃっ!」


エネルギー球は驚いて跳びはねたハルナの足元に直撃。地面に半径2メートル程のクレーターのような穴が開いた。


「す、凄い威力かも〜……」

「ハルナ、大丈夫か?」

「うん……」


口ではそう言ったものの、心臓の方はまだドキドキしている。直撃だったら体がバラバラになっていたかもしれない。


「今のはわざと外したのだ。威力の調整も可能だぞ。サッカーボールぐらいの大きさなら向こうのビルも一発で解体出来る。やってみせようか?」


首を横に振るハルナ。ハッタリかもしれないがもし本当ならとんでもない事になる。自分の体に当たればバラバラどころか跡形もなく消滅だ。


「今の波導弾がゴングだ。始めよう!」


アルゴルの号令と同時にミラのホエルコが飛び出した。


「みんな!まず一体を集中攻撃だ!ヤミカラス、クロウシューター!」


ヤミカラスの翼から刃のように鋭い羽根がマシンガンのように連射された。


「サニーゴ、コーラルダスト!」

「ブーバー、マグマレーザー!」


細かいながらも鋭く角ばった無数の珊瑚のかけらが吹雪のように舞い散り、口から放たれた熱線が槍のように一直線に突き進む。三体の同時攻撃がホエルコを捉えた。その場に爆煙が上がる。


「やったー!一撃だよっ!」


爆煙が晴れていく。だがそこに黒焦げになっているはずのホエルコの姿はなかった。跡形もなく消滅したのか。そんなはずはない。


「なっ、よけられた!?」

「きゃはっv次はミラの番ですよおー」


ミラが笑ったその瞬間、サニーゴの頭上にホエルコが突然飛び出して来た。勢いよくのしかかる。


「あっ、サニーゴ!」

「空中に跳んでいたのか!跳びはねる攻撃か」

「跳び上がったのは見えた。だが空中で消えたように見えたのは見間違いか?」

「みんな見破れなかったですねえーきゃはっv」


サニーゴを連続で踏み続けるホエルコ。ブーバーが助けに入る。その燃える拳を叩きつけた。だがその拳が相手の体にめり込む。相当の弾力を持っているのだ。


「くっ、それならアッパーだっ!」


めり込んだ拳を高く突き上げ上空に突き飛ばす。今度は見逃すまいとハルナ達も空中を見るがホエルコの姿は辺りに溶け込むように消えてしまった。


「!っ……まさか!?」

「いきなり消えるなんて!」

「消えたのは見間違いじゃなかったみたいだな。だが消えたといってもホエルコはテレポート出来るわけじゃない。近くにいるはずだ」


スパは気持ちを研ぎ澄ませてホエルコの気配を探った。だがそう簡単にはいかなかった。気配を消す術を持っている可能性もある。と、そこへBB弾程の無数のエネルギー弾が撃ち込まれた。アルゴルだ。


「俺を忘れてもらっては困る」

「ごめん忘れてたかも」


敵に謝りながらもスパとアルゴルの間に立ち塞がるハルナ。スバルも続く。気配を消している相手の上を行くにはそれを上回る集中力が必要だ。それを途切れさせるわけにはいかない。


「二人だけで俺を止められるか?」

「止める。ヤミカラス、クロウ……」


攻撃を指示しようとしたスバルの言葉が途中で詰まった。腹部にアルゴルの拳が突き刺さっていたのだ。しかも拳の周囲を波導でコーティングしている。


「かっ……」

「いい顔だなスバル。お前からやってやろう」


悶えるスバル。それを見るアルゴルの口元が不気味に歪む。


「スバルくんっ……!」(ごめん今の顔ちょっとときめいちゃったよ)


助けに入ろうとしたハルナだが、スパが叫ぶのが聞こえた。直後、頭上に何かが覆いかぶさるように黒い影が自分を包んだ。


「真上だ!よけろっ!」


横跳びしてその場から離れるハルナ。直ぐさま攻撃に出る。


「コーラルタワー!」


珊瑚が突き上げられた上空にホエルコが現れ、ちょうど直撃した。先が尖っているので弾力のある体でもそれなりに効果はあるはずだ。スパは気配を探るのに成功したのだった。だが少しでも遅れていたらハルナはホエルコの下敷きになっていただろう。


「あ、ありがとうスパさん」

「ギリギリ間に合ったな」


一方のミラは見破られたのが気に入らないのか不機嫌な顔をしている。膨れっ面だ。


「ぷうーっ!どうして見破られたですかあー!?気配は完全に消してたはずなのにいーっ!」

「集中を研ぎ澄ませても時間がかかったがようやく探れた。気配を消せる術をポケモンにここまで完全に教え込めるなんて出来る奴は上級のトレーナーにだってそうはいないぜ。たいした奴だよ」


素から備わっているスキルや特性によって気配を消せるポケモンは何種類か存在する。だがホエルコはその中には入っていない。ましてその術を人が教え込む事の難度は人から人に教える事の比ではないのだ。ミラはトレーナーとしての腕とは別に”教える才能”に恵まれているのだろう。


「時間をかけたとはいえ気配を見破られたのはペンタゴン以外の人では初めてですう……もう『スカイダイビング』は使えませんねえ」


ニッと笑いながらミラがつぶやいた。それがホエルコの使っていた技の名前なのだ。実際のスポーツとして行われる同名のものとは全くの別物だが。


「空中に潜るからスカイダイビングか。しかし空中で姿を消すのはどうやったんだ……」

「やってみましょうかあー?わかりやすいようにいー」


ホエルコの体が周囲に溶け込むようにぼやけて消えていく。よく目をこらさないとわからないが白いもやのようなものが体を包んでいこうとしている。


「白い霧か。それを体の周りに張り巡らせて凍結させ、鏡のような状態にして周りの風景と同化していたわけか。簡易保護色といったところだ」

「あたりですうー。完全に同化させるには苦労しましたよおー。なにしろ中途半端じゃすぐに見破られちゃいますからあー」


ミラが指を鳴らすとホエルコの消えた所から激しい水流が放たれた。サニーゴとハルナを直撃する。


「きゃあっ!」

「サニッ!」


吹き飛ばされ背後の壁にぶつかり地面に落ちるハルナ達。サニーゴのダメージも大きいがハルナと分散した為戦闘不能は免れた。


「うっ……サニーゴ、自己再生っ!」


自分が立ち上がる前にサニーゴの体勢を立て直すがハルナ自身にもダメージがある。だがこの状況では傷薬を使わせてもらう隙もないだろう。


「弱い相手から倒して敵の頭数を減らしていくのがチーム戦のセオリーですからねえ。悪く思わないでくださいですう」

「ハルナ弱いの?」


間髪入れずうなずくミラ。ちょっとショックだった。腕に自信はある方だったし、自分より強いスバルにもその実力は認められているのだ。


「それにいー、私個人でもあなたを許せない事がありましてえー」


ミラが一歩ずつ近付いて来た。目の前まで来ると伸ばした右手でハルナの胸を思い切りわしづかみにしたのだ。スパも思わずか気を遣ってか目を逸らす。


「きゃっ!なにすんのよエッチ!」


本来は男にぶつけられる事の多い言葉ではあるがこの場合は女の子が相手でも仕方あるまい。かなり豪快に揉んでいる。


「あんっ!ああっ!やめなさいっ!」


母のナエに揉まれている時は恥ずかしながらも喜んでいたようだったが今回は嫌がっている。ミラの乳揉みは怒りに充ちているのだ。だがポイントを的確に捉えている。


「この胸ですう!年下のくせにミラより大きく育っちゃってえ!しかも成長中ですかあ?ミラにはわかりますう!」

「さっきから年上にだの年下のくせにだの言ってるけどあんた小学生じゃないの!?」


ミラは端から見ると小学三年生ぐらいにしか見えない。だが実際にはそうではないらしい。また頬を膨らませる。


「ぷうーっ!ミラは18歳ですよおーっ!小学生じゃあ自分のポケモン持てないですしいーっ!」


まあ確かにそうだ。見た目年齢の倍だった実年齢。しかしこの背の低さ。ロリ顔にロリ声。上から下までほぼ一直線の体型。この言動。失礼だが間違われても無理はないかもしれない。


「くっ、ハルナ!」

「動くなですう!」


助けようと動こうとしたスパをミラの声が止めた。その手はハルナの胸を掴んだまま、わきゃわきゃとうごめいている。人質の割には何だか緊迫感がない。


「近付いたらこの子の無駄に脂肪の付いた胸が引きちぎれますよお」


緊迫感を持たせているのは今のミラの目だ。本当に引きちぎらんばかりの目つきをしている。スパは動けなかった。


「さ、最後にひとつ教えてよ。コスモ団はどうして人殺しまでするの」

「いきなり何を言い出すのかと思えばあ……さっきアルゴルくんが言ってたでしょお?苦しめられてる人々を救う為の必要な犠牲なんですよお」


苦し紛れのハルナの質問に答えながらも乳揉みの手は緩めないので言葉と行動が合っていない。


「優越主義者というのはあー、自分達の価値観が絶対だと思い込んでるんですう。その考えを改めさせる方法はひとつですうー。殺しちゃう事なんですよお。こうやってねえ……!」


ハルナの頭上にホエルコが大きな口を開けて覆いかぶさってくる。すかさずミラが手をどかすとホエルコはハルナの全身をその口の中にすっぽりと収めた。


「ハルナっ!」

「おいしいですかあ?胸肉の脂肪が多めかもですねえー」


ホエルコのランチにされてしまったハルナ。傷ついた体では口をこじ開ける力も残っていない。いや、残っていたとしてもホエルコの顎の力にはかなわないだろう。

「きゃはっvあと一人ですう」


見るとスバルもアルゴルのリンチを受けてグロッキー状態に近い。腹部ばかり狙って打たれているのでさぞ苦しいだろう。だがよろめきながらもその目は死んでおらず、アルゴルを睨み上げている。ヤミカラスが主を助けようとくちばしで突き続けているがアルゴルは目もくれない。


「そろそろ終わらせるか」

「スバルが殺されちまう。助けなければ……」


ミラがニコニコ笑っている。彼女を先に倒さなければスバルを助けようとしても妨害されてしまうだろう。


「くっ……打撃や炎だと中のハルナにまでダメージを与えちまう。ブーバー、スモッグだっ!」


毒素を含んだ霧のようなガスをホエルコの鼻の辺りに吹き付ける。


「あっ……」

「ほえっ……ほえっ……」


ホエルコは鼻がむず痒くなってきたのだろう。今にもくしゃみが出そうだ。次の瞬間。


「ほえーーーっくしょん!!」


地響きが起きそうな程大きなくしゃみが周囲に響き渡る。それと共にホエルコの口からハルナが勢いよく飛び出した。そのまま飛んで壁にぶつかる。


「自分でやっといて聞くのもなんだが、大丈夫か?」

「大丈夫じゃないかも……なんて言ってらんない!」


ダメージにダメージが重なったが、力を振り絞って立ち上がるハルナ。ミラとホエルコを見据える。ホエルコの方は先程のスモッグを吸って毒素を受けてしまったようで動きが鈍い。


「そんなあ……」

「最後に聞いたのはコスモ団に対して自分を怒らせて力を振り絞るためっ!覚悟はいい?」

「スバルを助けるにも時間がないからな。あと一発で決めさせてもらうぜ」


サニーゴとブーバーが構える。恐怖を感じ後ずさりするミラ。


「ホエルコっ姿を消してえっ……」

「サニーゴ、ロックブラスト!」

「ブーバー、炎の渦だ!」

岩の弾丸の一つひとつが炎に包まれる。まるで火山岩だ。あらかじめ謀っていたわけではないだろうが自然に合体技となった。弾力あるホエルコの体も耐え切れず次々とクリーンヒットする。そしてミラにも。


「がふうっ……」


一発を腹部に受けたミラは大きな目を更に見開き、白目を剥いてその場に崩れ落ちる。やがてホエルコも力尽きた。


「かわいそうだけど仕方ない……よね」

「やらなきゃこっちがやられてたぜ。スバルを助けよう」

「うんっ」


スバルの方に向き直る二人。アルゴルもミラがやられた事に気付き手を止める。だが顔はスバルの方へ向けたままだ。


「ミラを倒すとはなかなかやるな。だがしばらく待っていてくれ。こちらももう終わるから」

「スバルくんっ!」

「腹ばかり狙うとは地獄の苦しみだぜ……!」


ポケモンをけしかけようとする二人だったがそれを止めるようにスバルが声を出す。弱り切ったか細い声を。


「二人とも手を出すな。こいつは俺が倒す……」

「はぁ、はぁ。随分しぶとかったが強がりはやめろ。お前はもう死ぬ。だがいつまでも一緒だ。石にしてずっと俺の傍に置いておくからな」


また口元を歪めている。スバルの方は膝を着き体はボロボロになりながらもその目は今なお生きている。逆転を狙っているのだ。その目を見たらハルナ達も手を出せなかった。


「でもっ……このままじゃ本当に死んじゃうよっ……」

「何をしようってんだ?」

(そろそろだな……だがこれ以上は体がもたない)


アルゴルがその拳にまとわせた波導が剣のように鋭く伸びた。とどめを刺すつもりだ。スバルが歯を食いしばる。その時……


「これで終わりだっ……うっ!?」


伸びた波導が剣の形を成さず、流れ出していく。同時にアルゴルが口から血を吐き出し片膝を着いた。


「!?」

「ギリギリ耐え切れたな……これがお前の、人工波導使いの弱点だ」

「人工?」


フラつきながらも立ち上がるスバル。今度はアルゴルの方が彼を睨み上げる。立場逆転だ。


「生粋の波導使いと違ってエネルギー変換が完全ではなくその際に波導が流れ出してしまう為波導の消耗が大きいんだ。体は消耗した波導を生成する為に体力を削っていく。つまり体の限界が早いという事だ」

「なるほど。波導を消耗すれば体力を削って波導を作る。それを急激に繰り返せば……ああなるというわけか」


アルゴルはスバルを睨んだままフラフラと立ち上がる。だが戦う力も気力も残されてはいないようだ。後ずさりを始める。


「ぐっ……流石はスバル。だがお前の勝利ではない。勝負はまだ一回の表だ」

「あっ、逃げるよ!」

「逃がすかっ!ヤミカラス!」


靴の左右から小さな翼が生え、空中に飛び上がるアルゴル。これもペルセウスの能力のようだ。飛ぶだけの体力はギリギリ残しておいたらしい。後をヤミカラスが追いかける。


「クロウシューター!」


黒い羽根の刃が上空でアルゴルの左手に突き刺さった。金属が砕けるような音と共にバランスを崩し、遥か遠くへと落下していく。


「あとはミラちゃんを捕まえとこう!」


一応は年上のミラをちゃん付けで呼ぶハルナ。倒れていた方を向いたがそこにミラの姿はなかった。ホエルコも消えている。


「あれ、いないかも」

「逃げてしまったようだな。あっ!」


アルゴルの使った能力で石のように硬直していた人々が動き始めていた。皆その間の事は覚えていないようだ。


「ペルセウスが砕けた事で石化が解けたんだ」

「だからさっき左手を狙ったんだね」


ニッコリしながら尋ねるハルナにスバルは黙って頷き、そして彼女のように笑って見せた。










「なるほど。あいつは自分から志願して波導使いの手術を受けたのか」


三人はミラが教えてくれたスイーツの店で昼食(戦いの後スバルの怪我の応急処置やハルナの着替え等で時間的におやつになってしまったが)をとりながらこれまでの事やこれからの事を話し合っていた。ハルナの前にはミラお勧めのシフォンケーキが置いてある。


「あいつは遥か昔に世界から憎しみを払い去ったといわれている波導の勇者アーロンを敬愛していた。自分もアーロンのようになりたかったんだろうな」

「でもやってる事が逆だよ。人殺しを繰り返してたら世界から憎しみが消えるどころか一杯になっちゃうもの」

「手術の副作用……かな。心が壊れる可能性があると言っていた」

「そんなリスクがあると知りながら受けたのか……」


目を閉じて考え込むスパ。しばし沈黙の後、目を開いて切り出す。


「……話は戻るが、お前達はあいつらコスモ団を倒す為の助っ人を探していると言ってたな」


頷くハルナとスバル。期待の眼差しでスパを見つめる。その視線が痛い。


「結論を先に言えば、俺でよければ力を貸すぜ」


今度は嬉しそうな顔でハイタッチする二人。いちいち忙しい。


「だが今のままじゃ敵わない。さっきの奴らと同じぐらいの奴や更に強い奴もいるんだろ?力をつけなくちゃな」


それは二人も感じていた。今日戦ったミラとアルゴル相手に苦戦だったのだから。ハルナに至っては腕に自信がありながら弱いとまで言われてしまったのだ。


「そこでだ。俺の生まれ育ったフエンタウンにいい修業場所がある。行ってみるか?」

「うん!行く行く!」

「もちろんだ!必ず奴らに追い付いてみせる」


全会一致で次の目的地が決まった。新たな仲間を得た上に修業場所まで紹介してもらえたのだ。今の二人にとってこれほど心強い事はない。食べ終えたらまた旅が始まる。


「あの、スバルくん?」

「ん、どうした?」


自分から声をかけた割には言いづらそうなハルナ。


「コスモ団に入る前に……」


戦う前の会話の中でアルゴルが言っていた事を気にしていたのだ。彼の言葉が本当ならばスバルがコスモ団に入った理由も薄々だが想像出来る。だが聞こうとしてやめた。


「やっぱりいいや。変な事聞いてごめんね」


スバルが何者で、過去に何があったかなんて例え知ったとしても自分のスバルを見る目に変わりはない。それがつらい過去なら彼も思い返すのは苦しいだろう。自分と共有なんて出来ない程の事なのだろう。なら自分が知る事はない。ハルナはそう考えたのだ。


「何だ。変な奴だな?    ……ありがとう」


最後にぽつりと呟いた一言。だがハルナにははっきりと聞き取れなかった。


「あれ、何か言った?」

「何も言ってない!」

「言ったよ!絶対言った!」


スバルとはしゃぐハルナ。和やかな時間の中、心の中で呟く。


(でも、いつか分かち合いたい。苦しい事や悲しい事を半分こできるようになりたいな……)










6th 終わり










あとがきらしき文字の羅列

第6話をお読みいただきありがとうございます。さて、パーティ戦って書くの難しいですね(いきなり何だ)。パーティ戦といえば黒白でトリプルバトルというのが新たに出来るらしいけど面倒そうだなあ(蹴)。三つ子のジムリーダーとか出て来るのかなあ。


ミラですが、ボクの作品の中でロリキャラは非常に珍しいです。ロリ巨乳は多いけど(ぁ)。実際には年長だけど見た目は子供というキャラを前から出してみたかったんです。あ、見た目だけじゃないなあ。

 

[アットの一言感想]

 ハルナがSに目覚めそうで、今後が心配です←

 人工の波動使い、強力ではあってもリスクもかなり高い様子でしたね。
 スバルも相当痛めつけられてしまいましたが、どうにか撃退が撃退できて何よりです。
 そしてミラは、次出てきた時もハルナの胸に嫉妬してきそう。

 ……ところで毒の霧をホエルコがもし思いっきり吸いこんでたら、中にいたハルナも受けてしまっていたのでは(ぇ)。

 

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