コスモ団本部内の研究施設は主に人やポケモンを使った生体実験を行う場所である。そこの一室にある手術台の上で目つきの鋭い金髪の少年が目を覚ました。上半身は裸でスマートな体つきだ。彼を拘束していたベルトが少年の目覚めに気付いたように緩んでほどけ、四方の溝に吸い込まれていく。全自動なのだろう。室内には彼以外の人物もポケモンもいない。


”おはようございます。調子はどうですか?アルゴルくん”


スピーカーから聞こえてきたのはさっぱりとした若者の声だ。すっと上半身を起こした彼は自分の左手を見る。そこには不気味な篭手が装着されていた。妖女の顔が掌に彫られており手の甲は剥き出し。そこには鋭い爪で突き刺されたような痕があったのだ。


「くく……すごぶるいい調子だ」


スピーカーからの質問に傷痕を見つめたまま答える少年の口元が三日月のような弧を描く。


”そうですか……それはよかった。えー、今回の手術は君の波導の総量と循環効率を高めるものです。波導技の総合的なパワーアップは勿論の事エネルギー切れを起こす心配も減るでしょう。ですが……”

「これでスバルを倒しに行ける。例の話は通ったのだろうな?」


スピーカーの向こうの声が何かを言いかけたところでそれを無視してアルゴルが逆に尋ねた。と言うか聞くつもりは元からないらしい。


”あ、はい。その件ですが受理されましたよ。スバルくんを倒す全ての権限を君に移譲するとね”


以前の戦いで敗れて以来、彼は打倒スバルの為に自ら強化手術を受け、加えてその為の権限を自分に集めようと頼んでいた。それが通ったのだ。


”ところで、新しいペルセウスはその形でよかったんですか?傷痕が見えてしまっていますよ”

「構わん。わざと見えるようにしてもらったのだ」


口元を歪めながらアルゴルは服を着て渦巻き銀河の腕章を付け、赤黒いマントを羽織る。この傷を見る度にそれを付けたスバルを思い返す為に手の甲を剥き出しにしたのだ。その思いは遺恨か、それとも……?










「ミラ、俺だ。入れろ」


本部の居住区に足を運び、その一つのインターホンを鳴らすアルゴル。コスモ団では渦銀河クラス以上になると専属団員となり、本部内の居住区に自分の住まいを与えられるのだ。そこは住まいの他にポケモンセンターのような回復施設や様々な店が立ち並び、小さな町のようになっている。


「ドアは開いているな。奴の波導は感じるが、何故出ないのだ」


何度鳴らしても全く出ないので仕方なく無断でミラ宅に入る。やはり出迎えは来ない。そのまま廊下を進んでいく。居間の明かりが付いているのが確認出来た。


「何か手の離せない用事でもあるのか……うっ!」

「きゃん!」


居間に入ろうとしたところでそこから出ようとしていた何かにぶつかった。水色の髪を大きな丸い飾りの付いたヘアゴムでツインテールにした小さな女の子。小学校三年生ぐらいの印象だ。


「ミラ……」

「あ、アルゴル……くん?」


大きな丸眼鏡の後ろにある大きな瞳が驚きの為により大きく見開かれ、幼い顔が赤く染まる。


「ちょっとお……どうして入って来たですかあ……?」

「お、お前こそ何だその格好は!」


アルゴルが声を上げるのも無理はなかった。その少女・ミラは体に何も着ていない……つまり全裸だったのだ。ほんのりと赤く染まった白い素肌に真っ平らな胸が目に入ってしまう。


「きゃあああーん!覗きですうーーーっ!!」


ミラの悲鳴じみた絶叫が居住区に響き渡った……










ポケットモンスター コズミックファンタジー

20th 集う人達










「危なかった……どうして真っ裸で部屋にいる!」


ミラの絶叫に周囲の団員達がざわついたが適当にごまかし誤解に発展する事はなんとか免れた。ミラはもう青をメインにしたミニスカートと服を着ている。だが顔はまだ赤い。


「し、仕方ないですう。お風呂に入ってたですう」

「嘘をつけ。髪が濡れていない。それに髪留めをしたまま風呂に入る奴があるか」

「ぎくっ……」


ベタで下手なごまかしはアルゴルには通用しなかった。そうとわかるや今度は開き直り始める。


「お、大人はですねえ!色々とあるんですう!」


顔を真っ赤にしてそう言う彼女は18歳。法律上では成人であるしアルゴルよりも年上なのだ。見た目はどこからどう見ても小学三年生なのだが。


「それよりもどうやって部屋に入ったですかあ?」

「インターホンを鳴らしても出ないからドアノブを捻ったら鍵が開いてた」

「あ、あれえ……そういえば鍵をかけた記憶がないですう」


素っ気なく答えるアルゴルに焦るミラ。勝手に入った彼にも落ち度はあるがいくら団員だけの居住区とはいえ鍵をかけないのは不用心だ。


「ところで何の用ですかあ?」


続けるのは恥ずかしかったのでミラは自分から話を切り替えた。自分にも非がある以上はお互い様だ。


「俺はスバルを倒しに行く。お前もついて来い」


スバルを倒す為の権限を移譲されたアルゴルは幹部や一部の団員を除いた者を討伐隊として自由に選定する権利も与えられていた。その一人としてミラを選んだわけだ。


「何でミラがあなたに付き合わなくちゃですかあ?あと年上には敬語を使いなさいですう」

「スバルの傍にはあの娘もいるだろう。お前もあいつにリベンジしたいのではと思ってな」


ミラの言い分は無視されたがアルゴルの言った一言にピクッと反応する。スバルの傍にいるあの娘とはハルナの事だ。ミラは考えの違いだけでなく彼女の胸が気に入らないという理由でも戦ったのである。


「仕方ないですねえ。アルゴルくんがリーダーじゃ心配だしい。行きましょうかあ〜」

「その言い草は気に入らんがそう来なくてはな。待っていろスバル。今度こそお前の息の根を止めてやるぞ」


お姉さん面をしながら了承するミラ。表面上の理由はあくまでもアルゴルのお守りらしい。ジト目で彼を見る。


「前に負けてからスバル、スバルとそればっかですう」

「フッ。お前には気になる奴はいないのか?」

「き、気になる奴う?」


白に戻ってきていた顔を再び少し赤くするミラ。アルゴルをからかうつもりだったのだがあっさりと返されてしまった。その恥ずかしさからかぷいっとそっぽを向く。頬を膨らませて尖らせた口が可愛らしい。実年齢にはやや不相応ではあるのだが。


「ふんっ!いませんよおーだあ!」

「フッ、そうか。まあいい。他のメンバーを集めに行くぞ」


ミラの反応を軽く流したアルゴルはさっさと部屋を後にした。ミラも慌ててついていく。今度は鍵を閉め忘れないように気をつけながら。


「あーっこらあ!置いていくなですうーっ!」










一方こちらはフエンタウンジム。そこの主であるカルラが知り合いに呼び出されて町を発ってから一週間が経過していた。


「しっかしリーダー遅いなー。まさか本当にマドンナ☆マジかのDVD探してるのかなー」


バトルフィールドにて赤い髪を短いツインテールにしたスプリがお尻に食い込んだ黒いスパッツを直しながらリーダーの用事とは関係ないお土産に微かな希望を残す。ここから流星の滝までは徒歩だと北西部のハジツゲタウン経由で大回りしなければならない為一週間以上もかかるが高速の飛行ポケモンに乗れば一日足らずだ。カルラは後者……自分のファイヤーに乗って行ったはず。スプリも心配はしているが前向きに考えていた。


「人気作だったし品薄なのかも……でもこれだけ待っても帰って来ないとなるとなー。挑戦したかったけど先に次のジムに行こうかな」


そう言う栗色のショートヘアをした少女はジムに再挑戦に来たトレーナーのサトリだ。ここ毎日ジムに来ているのだがリーダー不在で挑戦出来ずにいるのだ。そこで今回はスプリのバトル練習に付き合ってもらっている。


「れ、連絡は出来ないの?」


スプリのクラスメートのモモカがおどおどしながら聞く。ピンクの長いソバージュの髪とフリル付きの白いワンピースが上品さを醸し出す。彼女はスプリの練習を見学に来ているのだ。


「してるんだけど返信ないんだ。大丈夫だと思って気にしてなかったけど……」


少しうつむくスプリだったが、すぐに顔を上げてにっこり微笑んだ。明るく前向きな性格が彼女の長所なのだ。


「リーダーの事だからそのうちひょっこり帰って来ると思うんだよねー。さてと、今日の練習はこれぐらいにして遊びに行こう。美味しいアイスの店を見つけたんだ」

「いいわねー。私も一緒にいい?」

「モモカも……行きたいな」

「よーしみんなで行こう!」


少女三人で歓声を上げる。カルラは優先度がアイス以下にされてしまった。前向きすぎるのも良し悪し……か?


「汗かいちゃったからみんなでシャワー浴びてから行くよ。おーっ」










「サトリおねーちゃんってホントにおっぱいおっきいねー」

「ありがとー」


アイス屋へと向かう道中でシャワー中の色々を喋る面々。その時の様子は読者の皆様の想像にお任せするとしよう。


「モモカちゃんも結構あったねー。服の上からじゃ見えなかったけど意外な発見だよーうふふ」

「え、あ……その……あうー。スプリちゃんのいぢわる……」


手をわきゃわきゃさせながらニヤつくスプリを見て顔を真っ赤にしてしどろもどろになるモモカ。彼女はこの歳で早くも大きくなり始めているようで、その早熟を本人は気にしているようだ。


「あ、あそこのカドだよ。看板見えるでしょ」


タイミングよくアイス屋が見えてきた。もう言われる事はないだろうと胸を撫で下ろすモモカの心臓は恥ずかしさでまだドキドキしている。


「あ!」


そのアイス屋の前に行列が出来ていた。その中に見覚えのある姿を見つけたスプリ。ピンクの髪をカールがかかったツインテールにした超小柄な女性だ。


「モコちゃん先生ーっ」


呼ばれたその女性は彼女達に気付き手を振った。スプリ達の担任であり、モモカの姉でもあるモモコだ。見た目ではあまり年齢差はわからないが。三人は彼女の元へ駆け寄る。


「スプリちゃんにモモカちゃん。アイス買いに来たですかー?」

「うん」

「おねえちゃんも……?偶然だね」

「あなたが噂のモコちゃん先生ですかー」


ニッとしながらモモカとモモコを見比べるサトリ。そしてぺこりと挨拶する。


「あ、私サトリっていいます。よろしく」

「……モモカ、おねえちゃんじゃないよ」


らしくないが間違えた。戸惑い気味のモモカにすかさず姉からのフォローが入る。


「モモカちゃんが大人っぽく見えたんですよー」


ナイスフォロー。と、そこで行列がモモコの前の女性まで進んだ。彼女が振り返りモモコを呼ぶ。


「モモコ、何にする?」


輝くプラチナブロンドの髪をボリュームたっぷりのツインテールにし、白い陶磁器のように綺麗な肌をした彼女。大きな瞳は碧い宝石のようで釣り目。彼女は遥か西の国の人間だろう。幼い感じだが美しさが漂う。胸元にリボンの付いたロングスカートの可愛らしい服を来ている。まるで魔法少女だ。だが可憐な姿とは裏腹にその立ち振る舞いには隙がない。


「私は桃で。みんなも一緒に頼みましょー」


合わせて五人分のアイスを一度に買った。並んでいなかったスプリ達の分まで買うのは悪い気もしたが文句を言う者は誰もいなかった。それぞれのアイスを受け取り、口に運ぶ。


「これは絶品ですねー。噂通りですー」

「まろやかで口溶けもよく味わい深い。それでいてくどくない。一流の職人が成せる技だわ」


モモコを筆頭にアイスを絶賛する面々。食べ終えてしばらくするとサトリが碧眼少女の頭を軽く撫でながら聞いた。


「ところで……さっきから気になってたけど、あなたは先生の友達なの?」

「ヤー。用事があってフエンに来たんだけれどその前にモモコに会おうと思ってね。行列が出来てたから何だと思って並んだの」


撫でる手を払いながら答える少女。そこで偶然スプリ達と出会ったわけだ。彼女は改めてお辞儀をする。薄く微笑み、お嬢様のように両手でスカートを上げながら。


「フリューゲル・ユングフラオ。22歳。ヒワマキシティジムのリーダーを務めてるの。よろしく」

「フリューゲルさん?ホウエン三強の一人のか。はじめましてー。リーダーから話は聞いてるよ」

「先生のライバルなんですー」


ヒワマキシティはホウエン地方の北部に位置する街で多くの自然が残されている場所だ。そこのジムリーダーが彼女。歳の割りには見た目が子供だが先にモモコを見ていた為驚きは少ない。この地方のジムリーダーの中でも三本の指に入るといわれる実力者だ。彼女と腕を競い合っていたというモモコが強いのも頷ける。それを聞いて興奮を隠せないサトリ。ウズウズとしているのが容易に感じ取れる。それを感じたフリューゲルが先に切り出した。


「私とバトルしたい?バッジはあげられないけどいいわよ」

「え、いいの?やったー!」


サトリは嬉しそうに飛び上がる。時間差で先に切り出された為自分から切り出す手間が省けた。強い相手が目の前にいればバトルを挑みたくなる。トレーナーの本能がそうさせるのだ。


「あたし達も見たいなー」

「実戦を見るのも修業の一つ。見学しましょー」


一行はポケモンセンターの裏手にあるバトルコートに向かう事にした。










「1対1でポケモンは同時に出す。いいわね」

「はいっ!」


フリューゲルがスカートをまくし上げる。思わず目を反らすサトリだがチラッと見ると太股に巻かれたベルトから何かの棒を取り外しただけだった。その棒が伸び、杖のような形状を成していく。


「な、何?ますます魔法少女!」

「これが私のモンスターボールなの。行くわよ」


驚くサトリを尻目に杖を構える。だが知っていたモモコはともかくモモカとスプリは驚かない。むしろ憧れの眼差しだ。瞳をキラキラと輝かせている。


「かっこいー!」

「リリカルマジカルだよー」


モモカの謎発言を横耳で聞きつつサトリの投げたボールが開くと同時に杖の先から空中に魔法陣が展開し、そこからフリューゲルのポケモンが光と共に飛び出す。かなり派手なエフェクトだ。サトリが出したのは星を二つ重ねたような姿のポケモン。その中心に赤い宝石のようなコアが輝く。一方のフリューゲルが出したのは水色の体から白い綿に包まれた翼を生やした鳥ポケモンだ。長い首のラインが上品な雰囲気を漂わせる。


「サトリおねーちゃんはスターミーか」

「フリューゲルさんは……えーと、チルタリス……だったかな?」

「二人とも正解でーす♪よく勉強してますねー」


ベンチに腰掛けながらバトルを見学する三人。ユースであるスプリはもとより、モモカもそれなりの知識を身につけていた。彼女もトレーナー志望なのだろうか。


「スターミー、冷凍ビーム!」


先手を取ったのはサトリだ。コアから放つ光線がその進行上の空気を凍結させながらチルタリスに迫る。


「コットンガード」


翼を前に掲げたチルタリスがそれを包む綿を膨らませ、それを切り離して光線を防ぐ。綿は凍結するが光線は貫通せずチルタリス本体には届かない。綿の盾だ。


「なんて守備力!」

「当たれば効果は抜群……だよね?」

「はいー。当たればですがー」


チルタリスはドラゴンタイプを持っている。竜が寒さに弱いようにドラゴンタイプも氷タイプの技を苦手としているのだ。


「竜の波動」


飛び上がったチルタリスが口から炎のように激しい衝撃波を吐き出した。それと空気の擦れる音が竜の雄叫びのように響く。


「サイコキネシス!」


体から放つ念動力で竜の波動を包もうとするスターミー。攻撃を返してしまおうというのだ。しかしそう簡単にはいかなかった。念動力が衝撃波に負けてかき消されてしまったのだ。


「よけて!」


直ぐさま攻撃を中断させ、よける指示を出すサトリ。判断が早かった為に当たらずには済んだが衝撃波が当たった地面は大きくえぐり取られていた。


「アクアガトリング!」


スターミーが浮いたまま背中側のボディを回転させつつそこから水鉄砲を連射した。高速の弾丸がチルタリスを捉える。


「回避。そして冷凍ビーム」


信じられない初速で水鉄砲をかわし光線を放つチルタリス。苦手とするタイプの技も使えるのだ。スターミーの水鉄砲が放たれる噴射口を凍らせた。


「続けて竜の波動」


ほぼ連射に近い形で衝撃波を放った。技の種類にもよるが、異なるタイプの射撃技を連射するのは至難の業であり、高等テクニックと言われている。


「よけきれない……!光の壁!」


スターミーの前に光り輝く薄い壁が現れた。エネルギー系の攻撃をガードする防壁だ。しかし少しは防げたものの直後に壁は砕け、衝撃波がスターミーに直撃した。的になった中心のコアにひびが入る。


「光の壁はエネルギー系の攻撃を半分には抑えられる技だよね?それに一撃で砕かれるなんて……」

「それは技の威力と壁の防御力が同等の場合ですー。咄嗟の事で薄い壁しか作れなかったんでしょうー」


しかしダメージを軽減できたのは事実だ。壁を張っていなければ戦闘不能に追い込まれていたかもしれない。


「自己再生っ……!」


直ぐさまひびが修復され、スターミーは体を浮かび上がらせた。


「かなりの耐久力ね」

「ありがとう。こっちもお返し!」


修復後間もないコアからまた冷凍ビームが発射された。チルタリスは先程同様に翼の綿を盾にして防ごうとする。


「!」


冷凍ビームが防がれる寸前で軌道を変えたのだ。チルタリスの背後に回り込む。


「サイコキネシスか」


スターミーの体から念動力が放たれている。その力で冷凍ビームの軌道を変化させたのだ。


「そんな事ができるんだ!」


相手の技を念動力で跳ね返すという手段はわりとあるが、自分の出した技をコントロールするというのは返しに比べると少ない。技を繰り出した直後その技に念を込めるのは並外れた集中力が必要なのだ。異なるタイプの連射と同様かなりの高等テクニックと言われる。


「回避。そして鋼の翼」


直ぐさま綿の盾を解除し、また素早い初速でかわしてスターミーに迫る。綿のような翼が集束し、硬質化していた。


「体当たりで迎え撃って!」


お互い真っ向勝負に出た。ニ体の距離がどんどん狭まっていく。


「行っけえー!」

「コットンガード。そして乱れ突き」


チルタリスは翼を綿に戻し、それによりスターミーの体を受け止め衝撃を吸収。更に動きも封じた。そこへくちばしの連打が突き刺さる。かわしようがない。


「しまった!」

「コットンガードにこんな使い方があるなんて……勉強になるよ」


感心しながらスプリも見る。フリューゲル優勢だがサトリも負けてはいない。


「くっ……伝家の宝刀10万ボルト!」


体中から電撃を放つスターミー。熱と電圧で綿を焼き切るがチルタリスは直ぐさま自ら綿をちぎりダメージを免れた。伝家の宝刀といっても別に特別な技ではない。だがこの技はかつてサトリの祖父の相棒とも呼べるポケモンが最も得意としていた技らしい。


「またかわされた……でも動きがだんだん読めるようになってきたから、次こそは……」

「面白いわ。やってみなさい……ん?」


碧い目を細め、楽しそうに笑うフリューゲル。だがその雰囲気を掻き乱すように周囲の住民達が騒ぎ出した。あれは何だ……という声も聞こえる。


「何かしら」

「あっ!あそこ!」


スプリが指差した先の空にフラフラと飛ぶ何かがいた。目をこらして見るとそれは丸々とした体に赤い羽を生やした蛾のポケモンだ。


「あれは……リーダーのウルガモス?」


ここから遠く離れたイッシュ地方で太陽の化身と崇められているポケモンである。こちらに近付いて来る。唖然としながら見つめるスプリ達。サトリとフリューゲルの間に力なく着地するとその場に崩れ落ちた。全身に傷を負い、羽もボロボロだ。


「ちょっと!どうしたの?しっかり!リーダーは!?」


心配そうに駆け寄り、ウルガモスの体を揺するスプリ。果たしてカルラの身に何があったのか。そしてハルナ達は……?










20th 終わり










執筆後記

第20話をお読みいただきありがとうございます。さて、今回は比較的スムーズに書き上げる事が出来ました。
そして20話到達記念特別カットとしてミラのフル・フロンタル(真っ裸)を掲載しました(何)。これとスプリがスパッツのお尻を直す場面が今回の見せ場ですので良い子の皆さんも良い大人の皆さんも穴が開く程見てください(蹴)。

 

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