マサラタウンの祖父のジムで修業することになったサトリ。だが、初めてのバトルでオーキド博士の孫・カオルに惨敗してしまう。サトリはカオルに勝つこと、そして実技試験の合格を目指して特訓を始めたのだった。
「カオルーッ!勝負よぉーっ!!」
「…またか、今日これで5回目だぞ。」
カオルが面倒くさそうにため息をつくがサトリはそんなことは気にもとめない。
「何言ってるの!経験を積むためよ!始めるわよホラ、行くのよゼニガメ!」
「ゼニーッ!」
「仕方ないな、フシギソウ、軽くあしらってやれ。」
「ソウソウ」
ボールから出たフシギソウが『つるの鞭』をゼニガメの足に引っかける。ゼニガメはすっころんで腹這いになってしまった。
「コラーッ!やる気がなぁーいっ!!」
「…なんでお前に言われなくちゃならないんだ。戻れフシギソウ。」
カオルはフシギソウをボールに戻し、向こうに行ってしまった。サトリは悔しそうにじだんだを踏む。ゼニガメも起き上がり同じようにじだんだを踏む。
「くぅーっ!悔しいーっ!ゼニガメ!いつか絶対あいつに勝とうね!!」
「ゼニ!」
だが、その後何度挑戦してもサトリはカオルに勝つことはできなかった。その悔しさをバネにサトリはメキメキと実力をつけていき、実力は門下生の中でもトップクラスになっていた(本当のトップはカオルだが)。
そして、ついに試験の日、3月10日がやってきた。その日の正午、老師はジムの門下生全員をバトルフィールドに集めた。いよいよ試験が開始されるのだ。
「では試験を始める!ルールは前からおるものは知っているようにわしのポケモン1体とのバトルじゃ!!倒すことが出来た者を合格とする!」
サトリは驚いた。そんなの予想していなかった。世界大会を制覇し、ポケモンマスターの称号を得た祖父のポケモン達が相手なのだ。1体だって勝てるわけがないじゃん……とサトリは心の中でつぶやいた。と、老師が続けて言う。
「なお、ポケモン達は皆自分の意志で行動し、わしは指示をださん!皆、ベストを尽くして戦うように!!」
(そうなのか…トレーナーに育てられたポケモンは適切な指示があってこそ最高の力を出すことができるってママに教えられたっけ…だったら勝つチャンスもあるはず…だからといって手強いことは変わりはしないわね。)「ねぇ、順番は?」
老師の話と自分の記憶を頭の中で整理しながらサトリが尋ねた。
「名乗り出た者から順番に行うことになっておる。さあ、1番手は誰じゃ!?」
「よーし、まずはオレが……」
1人の少年が用意してあるボールの一つに手を掛け開いた。中から出てきたのはオレンジ色の体に立派な翼を持つ火炎ポケモン、リザードンだ。その体にはピカチュウと同じようにいくつもの古傷が刻まれ、幾重にもシワがたたまれていた。だが、戦闘意欲はまだまだ衰えてはいないようだ。その証拠に命の源である尻尾の先の炎は激しく燃えさかっている。
「ぐるるる……ぐぁあーーぉっ!!!」
リザードンは咆哮をあげた。勇ましいその姿はまさしく龍王と呼ぶにふさわしい。いつでも来い!と言っているようにも見える。
「よし、行けコラッタ!!」
「コ、コラッター!」注:鳴き声
少年の出したのは小さな体に立派な前歯を持つねずみポケモン、コラッタだ。そのコラッタが出たその瞬間、リザードンはその太い右足を大きく上げそれを勢いよく床に落とした。その衝撃で床が激しく揺れ動く。『地震』攻撃だ。片足だけで繰り出したにも関わらず相当の威力だ。コラッタはそれに耐えきれず一撃で気を失ってしまう。少年は頭を抱えて崩れ落ちる。
「あぁ!コラッタぁ!!戻れぇ〜」
「リザードン、戻るのじゃ、さぁ、次は誰かの?」
老師がリザードンをボールに戻し、次の挑戦を促す。そこに1人の少年が声をあげた。茶髪のツンツン頭の少年だ。
「よし、次はオレがやろう。」
第3話 星雲銀河美少女・アン登場!
声の主はカオルだった。皆が一瞬ざわつく。そのざわつきには全く反応せず、カオルは用意してあるボールからひとつを選び開いた。
「ピジョッ、トォーッ!!」
今度は鳥ポケモン、ピジョットだ。美しく立派なたてがみが目を引く。老師の持つポケモンの中でもピカチュウに継ぐ古参である。カオルの持っているフシギソウは草タイプ。飛行タイプは相性の悪い相手だ。
(カオルのやつ、ついてないな。)
(あいつ今回は落ちるぜ。運のないやつだ。)
皆がそんな事を思っていた。だがサトリは違った。真剣にカオルを観察している。はた目からはちゃかしているだけに見えるが。
(カオル…どう戦うの?)「負けんじゃないわよーっ。ここまで言われて勝たなきゃ格好悪いわよぉーっ!」
(いちいちうるさい奴だ…)「行け、フシギソウ」
カオルのバトルが始まった。先手を取ったのはピジョットだ。翼を激しく動かし空気の渦を作りだした。『風起こし』だ。
「ピジョットォーッ!!!」
気合いの入った声と共にピジョットが翼を振り下ろすと空気の渦がフシギソウへと向かっていく。だが、カオルはよける指示を出さない。『何を考えているのだ。』と見ている門下生の多くがそう思っている。
『風起こし』がフシギソウを捕らえ巻き上げた。だがフシギソウは風の流れに乗ったためダメージを受けなかった。それが狙いだったのだ。
「なるほど、考えたわね。」
「風の流れに上手く乗ることができればダメージは受けない。だがその流れを読みとることが難しい。あいつやりおるわい。」
老師も感心している。やがて風が弱まり、消えた。すぐさまカオルが指示を出す。
「フシギソウ、『はっぱカッター』」
「ソウソウッ!!」
フシギソウの背中の草から大量の木の葉が発射された。それらは全てカミソリのように鋭くとぎすまされている。本来、草タイプの技は飛行タイプであるピジョットにはあまり効果がないのだがそれが飛び道具の類なら話は別だ。飛ぶ生き物は飛び道具に弱い。古代の狩人が鳥を狩るのに弓矢、鉄砲、ブーメランといった飛び道具を使ったのもそのためだ。しかも『はっぱカッター』は数多く発射され、相手の体の大部分を切りつけるため自然と急所を捉える確率が高くなるのだ。ピジョットはカッターをかわそうとするもののあらゆる方向からカッターが飛んできたのでとてもかわしきれなかった。命中した木の葉のうち、いくつかは急所に当たったようだ。ピジョットは床に落ちた。いかに幾多の経験を積んだポケモンといえども老いた体にあれだけの攻撃はとても耐えきれない。
「な…?」
「嘘だろ…?」
「信じられない……」
「見事じゃ……」
皆唖然とした。カオルの実力はこの1ヶ月で更に大幅にアップしていたのだ。その成長速度は驚くべきものだった。それは血筋のためではない。血筋は良くても努力を怠ればそこからは成長しない。この成長速度はカオルの努力のたまものなのだ。
「戻れ、フシギソウ。」
フシギソウをボールに戻したカオルはまるで何事もなかったかのように自分のもといた場所に戻った。サトリはその態度を見ているとだんだんムカついてきた。このようにスカしている(ように見える)感じの奴がサトリは大嫌いなのだ。
(おじいちゃんのポケモンを倒したのは凄いけど、何よアイツ、やな感じ!)
「お疲れさまピジョット、戻るのじゃ。さあ、次は誰じゃ!?」
「そうだ、次、あたし……」
サトリが言い終わる前に別の少女が声をあげた。
「あたしがやります。」
おとなしそうな美少女だ。亜麻色の綺麗な髪、宝石のような瞳をしている。服装はキャミソールに薄手のジャケットを羽織り、ぴっちりとしたジーパンを履いている。
「あ、あの子は確か…」
「おぉ、アンか。」
老師が少女の名前を言うとサトリの背後にいる門下生達が口々に言いだした。
「アンだぜ。」
「弱虫のアンだ。」
「何秒でやられるか賭けようぜ。オレは10秒に500円。」
「オレは5秒に700円だ。」
(そう、このジムの中でもどちらかと言えば弱い方に入っていたアンちゃん…でも、こいつらなんてこと言うのよ…ひどすぎる!)
度を過ぎた彼等の発言にサトリは気分が悪くなった。文句を言おうと振り返ったその時、老師が彼等を怒鳴りつけた。彼等はビクッと震え上がる。
「お前達、黙らんか!ポケモンバトルで賭けをするなど教えた覚えはないぞ!!それにまだバトルは始まってはおらん!アンが勝つか負けるかはやってみなくてはわかるまい!!」
怒鳴りつけられた連中は調子に乗りすぎたと言いたげな顔で下を向く。そうこうしているうちにアンはボールを選び、開いた。
「ヘラクロッ!」
出てきたのは鎧のような外皮を持つ大きな虫。1本角ポケモン、ヘラクロスだ。アンの方もポケモンを出した。
「カゲー」
とかげポケモン、ヒトカゲだ。ゼニガメ、フシギダネと並んでカントー地方初心者用ポケモンの1種である。尻尾の先の炎が赤々と燃えている。先程のリザードンはこのヒトカゲの最終進化形なのだ。
「ネビュラ、行くよ!」
「カゲーッ!」
ネビュラと呼ばれたヒトカゲはヘラクロスを睨みつけた。だがヘラクロスも動じない。負けずに睨み返し、そしてネビュラに向かって突進した。
「ヘラッ!」
だが、信じられないことが起こった。ネビュラに近づいたヘラクロスが突然倒れてしまったのだ。体からは湯気が立ちのぼっている。まるで長時間サウナに入っていたかのようだ。
「どーなってるんだ!?」
「何があったんだ!?」
皆が騒ぎ出す。サトリは何だか暑いと思いネビュラの方を見た。そしてヘラクロスが倒れたわけにまわりの門下生の中でいち早く気付いた。ネビュラのまわりが極度に揺らめいている。ネビュラが自分を中心に円形、正確に言えば楕円形に高熱を放出していたのだ。しかもその熱は渦を巻いている。まるでネビュラの名の通り星雲銀河のように。これに気付いているのは老師、サトリ、カオルだけだった。アンが口を開く。
「『ギャラクシーヒート』…この見えない渦の中に入ったら温度の急激な変化に耐えられずに一瞬で体力を奪われてしまうの。熱に弱いポケモンならなおさらよ。」
皆信じられなかった。あの弱虫のアンが一瞬のうちにポケモンマスターのポケモンに勝ったのだ。しかも一歩も動かずに。これにはさすがの老師も驚いた。
「なんと……この技…自分で編み出したのか?」
「うん!」
アンはニッコリと笑いながら元気良く返事をし、ネビュラをボールに戻した。
「ヘラクロス、お疲れさま。……まさか2体も倒されることになるとは……さて、カオルとアンに続く者はおらんか?」
熱に弱いヘラクロス、しかもご老体にあの高熱はきつかったであろう。一方門下生達はアンの戦いに触発されたのか次々と名乗り出た。
「次はオレだ!あのアンが勝ったんだ。オレだって勝てるはずだ!!」
「いや、オレだ!」
「何を言ってる、オレの方が早かった!」
順番争いが勃発してしまった。それに巻き込まれたくないサトリは一歩後ろに下がる。できれば早めに受けたかったが実際のところ何番目でも別にかまわないのだ。
(考えようによっては後の方が落ち着いてできるかもね。それに“残り物には福”って言うし。)
「こら、お前達やめんか!慌てんでも必ず受けられるのじゃから落ち着け!」
しかし、門下生の多くは血気盛んな若者達だ。普段は規律が良くても熱い戦いに触発されると心が止まらないのである。こうなってしまった時、老師は必殺の一声を放つ。
「やめない者は無条件で不合格とする!!」
………と。老師のその一声で事態はようやく収拾し、落ち着いた門下生達はじゃんけんで順番を決めた。始める前から不合格にされては元も子もない。そしてようやく試験の続きが始まったのだった………
第4話に続く。
改訂後記
ポケFでは珍しい(笑)巨乳でない女の子の1人であるアンちゃん。サトリがセクシー系ならば彼女は清楚系とでも言いましょうか。
巨乳じゃないといってもサトリをはじめとする他の女の子達が巨乳すぎるのであって(蹴)アンちゃんの方がむしろ普通の…というか年齢に沿った体型のはずなのですが、巨乳率(爆)の高いこの小説の中では珍しくなっちゃっています^^;
[一言感想]
率の高さは、アクジェネも人の事を言えません。
ただアクジェネの場合、そもそも女の子キャラクター数自体が半端なく多いんですけどね。
従って、並な体型の子もそこそこおります(どうでもいい)。
サトリがセクシー系で、アンが清楚系……。
あ、だからか?
セクシー体型な清楚美少女ナツキが、サガさんにやたらウケがいいのは(ぇ)。
……何だか自分の小説の話ばっかりで終わってしまって、すみません(汗)。