「行けっコラッタ!『体当たり』だ!」
「コラッター!」
「ネビュラ、受け止めて!」
「カゲーッ」
「なにっ!?」
「そのまま『地獄車』!」
ネビュラがコラッタを抱えたまま縦回転していく。
「いいわよっ・・・あっ!」
回転が止まり、コラッタは技から抜け出した。
「チャンス!『必殺前歯』ーっ!!」
「やばっ・・・『火炎放射』ーっ!!」
指示を出したのは同時だったが先に攻撃をしかけたのはネビュラだった。紅蓮の炎がコラッタを包み込む。
「ああっ・・・戻れコラッタ〜!あっ・・・あぢーーっ!!」
コラッタを戻したボールは熱を帯び、それを素手で触ったトレーナーは手を火傷してしまった。
「ごっ・・・ごめんっ!!」
第15話 あたしがトレーナーになったワケ
「君、強いじゃないか、どこから来たんだい?」
コラッタのトレーナーが手をどこから用意したのか水を張ったバケツに浸けながら尋ねた。
「マサラタウンよ。老師のジムで修業してたの。」
「へぇ、あの有名なマサラタウンの老師のジムで!?強いわけだ。」
アンは少し照れたような顔をする。
「で、でもまだまだよ。さっきの地獄車だって失敗だったし・・・」
「そうか・・・お互いに頑張ろうぜ、じゃあな!」
「うん、じゃあね。」
2人は別れの挨拶をし、それぞれ別の方向へ歩いていった。」
(お互いに頑張ろう・・・か。)
その夜、アンはハナダジムでゲットしたブルーバッジを見つめながらポケモンセンター内の食堂で考えていた。そこへ1人の少女がやってきた。
「ここ、隣あいてる?」
「え?ええ。」
「座っていい?」
「うん。」
「ありがとね。」
少女は一言お礼を言うとアンの隣の席に腰を下ろした。アンはその少女を見つめた。自分と同い年位だろうか。だが2つに結んだ髪が顔を幼く見せる。
「あたしはアン、あなたは?」
「メルナ、11歳。」
「えっ、やっぱりあたしと同い年?」
「あなたも11歳なんだ!?」
「うん。あなたトレーナー?」
「そうだけど、あなたもなんだ。」
2人はすっかり気が合った。食べ物を注文するのも忘れて話している。
「へぇ、バッジ2つも持ってるんだ。」
「うん、次はクチバシティのジムよ。」
「・・・あの、ご注文は決まりましたでしょうか。」
ふと2人が気付くとテーブルの前にウェイターがいた。
「あっすいません・・・私はオムライス、アンちゃんは?」
「じゃあね、野菜タンメン!」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
注文を終えた2人はまた話し始めた。
「ねぇ、アンちゃんはなんでトレーナーになったの?」
「えっ・・・と、メルナちゃんは?」
「私はね、ポケモン達と家族のように育ったの。だから旅も家族旅行みたいな感じで・・・しばらく旅して家に戻ってまた旅に出て・・・って感じなのよ。」
「そうなんだ・・・あたしは・・・」
アンの頭の中を昔の思い出がよぎる。
〜これより回想シーン〜
「あーんあーん」
「やーい泣き虫のアーン!」
アンのまわりを数人の男の子が囲んでいる。
「そーれっ」
1人の子がアンの髪の毛を引っ張った。
「わーん!」
「アハハ、楽しくて笑いがとまらねーっ、アハハハ・・・」
「おい、ちょっと待てよ、誰か来るぜ。」
向こうから年上の少女が走ってきた。
「こらーっ、あんたらまたアンをいじめたわねーっ、覚悟なさい!」
「お姉ちゃん!」
「やべえっ逃げろーっ」
男の子達は一目散に逃げていった。
「アン、大丈夫?」
「お姉ちゃん・・・」
アンは姉に泣きついた。姉はその妹を優しく抱きかかえた。
〜回想シーン、終わり〜
「そう、お姉ちゃんみたいに強くなりたい。そう思って10歳になった時老師のジムに修業に入ったの。」
「へぇー、そうなんだ、お姉さんもトレーナー?」
「うん、随分前に旅に出ちゃったけどね。いつかお姉ちゃんともバトルしてみたいなぁ。」
アンは懐かしそうに窓から星空を見上げた。星同士のつながりが姉の顔に見える。
「そうだ、アンちゃん?」
メルナが声をかけた。
「明日バトルしようよ。私強いよー。」
「うん!受けてたつわ!」
「あのー・・・ご注文されたオムライスと野菜タンメン、お持ちしましたー・・・」
ウェイターはまたしても忘れられていた・・・。
次の日、ポケモンセンター裏手の広場
「いい!?1対1のバトルよ!」
「オッケー、行くのよネビュラ!」
「カゲー」
「炎ポケモン・・・だったらわたしもっ、行って、コロナ!」
「コーン」
メルナが出したのはロコンである。同属性対決となった。同属性バトルでは相手の弱点を突くことが容易ではない。トレーナーの腕次第なのだ。
「コロナ、『電光石火』!」
「ネビュラ、一歩下がって『ギャラクシーヒート』!」
ギャラクシーヒート・・・老師のヘラクロスを倒した攻防一体の技である。ネビュラのまわりで熱気が渦を巻く。その渦の中に入れば外気とのあまりの温度差に一瞬で体力を奪われてしまうのだ。
「凄い技ね、でも炎を体内に宿すロコンには効かないわ。『頭突き』ーっ!」
灼熱の渦巻き銀河を突き抜け、コロナの頭突きがネビュラの腹部にヒットした。
「カゲーッ」
「ああっ!」
ネビュラはその場に倒れた。腹に強烈な一撃をくらえば腹が頑丈なポケモン、例えばカメックスのようでもない限り大抵のポケモンはネビュラのように倒れるか、もしくは腹をおさえてうずくまるのだ。
「戻ってネビュラ・・・やるじゃない!」
「でもわたしが出したのがこの子じゃなかったらわたしが負けてたわ。凄い技使うのね。」
「ありがとう、でもやっぱり肉弾技も教えないと・・・今回みたいに近付いてきた相手にはその方が効果的だし・・・」
「そうね、また会ったらバトルしましょうよ、肉弾技も覚えたネビュラ、楽しみにしてるから!」
「うん!じゃあまたね!」
メルナと別れ、ポケモンセンターを出発したアン。目指すはクチバシティだ。
(お姉ちゃん・・・ポケモンを通じてまた友達が出来ました・・・トレーナーになって良かった、いつかお姉ちゃんともバトルしたいな・・・)
第16話に続く。
あとがきにかえて(殆ど私事)
今回はサトリ達には一休みして頂き、アンちゃんを主役にお話を進めました。
今回のゲストキャラは某サイトの小説投稿掲示板でゲストキャラ募集をした時に応募のあったキャラなのです。ネーミングセンスがボクとは違うでしょ?(何)どうもレギュラーキャラを重視して作りがちのためゲストの方まで気が回らないことが多いんです。選考方法はいたって簡単、伝説系ポケモンを所持していた場合はボツにする、これだけでOK♪・・・これだけでかなり絞れてきちゃうのは嬉しいような悲しいような少し複雑な気持ちですけど(^^;)。
[一言感想]
サトリよりも一足先にブルーバッジをゲットしていたアン。
泣き虫だった彼女が、トレーナーになった事で成長を遂げたようですね。
いずれサトリとの対戦も見てみたいと思います。
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