ハナダジム戦でジムリーダーである母、サトミに勝ちブルーバッジをゲットしたサトリ。コタロウ、ニャースと共に次のジムがあるクチバシティを目指したが、ひょんな事からサトリとニャースが追いかけっこを始めてしまったため、道に迷ってしまった。
「はあ・・・迷いに迷って1週間・・・目指すクチバシティはどこなのよ〜・・・もう足がガクガクだわ〜・・・」
サトリはその場にへなへなと座り込んでしまった。
「にゃさけにゃいのじゃにゃ〜小娘、これぐらいでへばるにゃんて・・・」
「この森を越えたら小さな村があるらしいからそこまで頑張ろう。その村を過ぎればクチバシティはもうすぐだ。」
コタロウが地図を見ながら言った。が、サトリは座り込んだままだ。
「足がパンパンよ〜。もう1歩も動けない。」
と、その時、サトリの前を雑草のようなものが通り過ぎた。
「ナーゾナーゾ。」
「あっポケモン!可愛い〜v」
サトリは目をキラキラさせながら図鑑を開いた。
「ナゾノクサ・・・雑草ポケモン。歩きながら種をばらまく。別名アルキメンデスとも呼ばれている。」
「よーし、ゲットしちゃおっと!」
サトリが立ち上がりボールをかまえるとニャースが呟いた。
「一歩も動けにゃいんじゃにゃかったのかにゃ・・・」
ニャースの言うことももっともだが、人間はふとしたことで苦痛を忘れることができる動物なのだ。
「いくのよ、ピジョン!」

 

 

 

第28話 ナゾノクサ畑でつかまえて

 

 

 

「ピジョン、『風起こし』!」
「ピジョーッ!」
ピジョンの起こした風にナゾノクサは吹き飛ばされてしまった。
「ナゾーッ」
「あーっ待って〜!あたしのナゾノクサ〜!」
サトリはナゾノクサの飛んでいった方に走り出した。一方のナゾノクサは頭の葉がパラシュートになったためフワリと地面に着地し、追いかけてくる少女から必死に逃げている。
「ピジョ〜?」
「サトリちゃんの向かった方角の先が村だ。追いかけよう!」
「まったく勝手な行動をとる小娘じゃにゃ〜」
コタロウ、ニャース、ピジョンはサトリの後を追い始めた。






ナゾノクサは茂みに飛び込んだ。サトリも続けて飛び込んだ。茂みを抜けるとそこには小さな村があった。
「ぷはーっ・・・あれ、ここがコタロウさんの言ってた村かしら?」
サトリがキョロキョロしている間にナゾノクサは姿を消していた。サトリはそれに気付いていない。それにしてものどかな村だ。所々に畑が広がっている。
「ピジョーッ」
「あっピジョン!」
ピジョンよりわずかに遅れてコタロウとニャースも来た。
「この村を抜ければクチバシティの近くに出る。でもその前に食料を調達しないとな。クチバシティは物価が高いし。」
「でもこんにゃ村にショップにゃんてあるのかにゃ〜・・・」
「コタロウさんにニャースも。・・・あれ、ナゾノクサを見失っちゃった・・・」
「おい、あんたら見かけない顔だな。」
後ろから急に声が聞こえてきた。サトリがビクッとして後ろを向くとそこにいたのはどこにでもいそうなおじさんだ。
「あ〜びっくりした。おじさん誰?」
「それはこっちの台詞じゃい。あんたら旅の者かい?」
「ええ、クチバシティに向かう途中です。」
コタロウが答えた。
「おお、やはりそうか!そうだ、よければ私の家に来ないか。美味しいお茶を御馳走するよ。
「えーっ、やったー!ありがとう、御馳走になりまーすv」
見知らぬおじさんの誘いにサトリは大喜び。1人で勝手に了解してしまった。
「にゃに1人で決めてるにゃ!まったく仕方のにゃい奴じゃにゃ。」
「まあいいじゃないか。いい人そうだし。オレ達も御馳走になろうぜ。」
「よーし、それじゃみんなついてきなさい。」
サトリ達は言われるままおじさんの後についていった。






「んー美味しい!こんな美味しいお茶初めてだわ!」
「確かに。しかも味だけじゃなく香りもいい。」
「わしは猫舌じゃからまだ飲めにゃいのじゃにゃ・・・」
「どうだい、美味しいだろう。お茶の葉をキレイハナの蜜に漬けてから乾燥させているんだ。」
「キレイハナ?」
サトリはティーカップを置くと図鑑を開いてみた。
「キレイハナ・・・フラワーポケモン。ナゾノクサの進化系であるクサイハナに太陽の石を使うことによって進化する。集まって踊るのは太陽を呼ぶ儀式と言われている。」
「へぇーナゾノクサの・・・そういえばさっきのナゾノクサはどこに行ったのかしら。」
そういうとサトリは図鑑をしまい再びティーカップを手にとった。
「さっきのナゾノクサ?」
「ええ、さっき見つけたナゾノクサを追いかけてこの村に入ったんです。」
サトリがおじさんにこれまでのことを話すとおじさんは何度か頷きながら言った。
「もしかしてあの子のことかな?」
「あの子?」
「どういうことです?」
「ついてきなさい。」
そういうとおじさんは席を立ち外に出た。サトリとコタロウはそれについて行く。外に出るとおじさんは家の裏にまわっていった。そこには小さいながらもよく手入れのされている畑がある。
「この畑は?」
サトリが尋ねた。
「ナゾノクサ畑だよ。この村では昔からナゾノクサを育てているんだ。実を言うと少し前、他のものより早く動き出したナゾノクサがいてね。そいつはしょっちゅう村の外に遊びに行くんだよ。」
「そうか・・・あたしが見たのはそのナゾノクサだったのね。」
「ナゾーッ」
ふと声が聞こえたかと思うと、向こうから1匹のナゾノクサがやってきた。さっきサトリに追いかけられたナゾノクサだ。
「おお、帰ってきたか。噂をすれば何とやらだなぁ。」
「あっ・・・やっぱりゲットしたい・・・でも人様のポケモンよね・・・」
サトリはため息混じりに呟いた。
「それはちょっと違うぞ。」
サトリのつぶやき声を聞いたおじさんが言った。
「えっ!?」
「このナゾノクサは確かに私の畑で育ったナゾノクサだ。だが私のポケモンとして登録されているわけじゃない。ここは家庭菜園みたいなものだからね。だから私が許可し、ナゾノクサがOKすればゲットしてもかまわないんだ。さて、どうするナゾノクサ?」
「ナーゾナーゾ。」
ナゾノクサはウンウンと頷くとサトリの方に向き直り頭の葉をチョイチョイと動かした。
「どうやらバトルでゲットしてみろと言っているようだね。」
コタロウが言うと、サトリはモンスターボールを手にとりかまえた。
「よーしやってやろうじゃないの。行くのよニドラン!」
「ニドッ!」
ニドランがナゾノクサに近付くとナゾノクサはいきなり粉をばらまいた。
「これは『毒の粉』か!毒タイプのニドランには毒の効果はないが目つぶしにはなる。気を付けるんだ!」
「わかったわコタロウさん。ニドラン、『二度蹴り』で粉を吹き飛ばして!」
ニドランは空中に飛び上がり2連続キックを放った。そのキックによって起こる風で粉は逆にナゾノクサの方へ飛んでいく。
「よしっ!逆にナゾノクサの視界を封じたわ!チャンスよニドラン、『頭突き』ーっ!!」
ニドランの強烈なヘッドバットを受け、ナゾノクサはピヨピヨ状態になった。
「ゲットチャンス!行けっモンスターボール!!」
サトリの投げたモンスターボールは一直線にナゾノクサへとぶつかり、中に吸い込んだ。ナゾノクサはボールの中で最後の抵抗を試みるも力及ばず、キャプチャーマーカーが青くなった。
「よーし!ナゾノクサ、ゲットだよ!・・・えっ?えええっ!?」
サトリがナゾノクサの入ったボールを空にかかげると、ボールが忽然と消えてしまった。オロオロするサトリにコタロウが説明する。
「大丈夫だよサトリちゃん。手持ちのポケモンが6匹いるとき新たにポケモンをゲットするとそのポケモンは自分の持っている図鑑をくれた人のところに転送される仕組みになっているんだ。」
「な、なーんだそうだったの・・・ということは今ナゾノクサはオーキド博士のところに?じゃあ連れていくときはどうするの?」
サトリはちょっと不安そうだ。
「ポケモンセンターにある転送システムを使うんだ。手持ちとして連れていけるポケモンは6匹までだからナゾノクサを連れて行くには今連れているうちの1匹を博士のところに送らなきゃいけないけどね。」
「あーよかった・・・ボールが消えたときはどうなることかと・・・」
2人が話していると家からニャースが出てきた。
「やっとお茶を飲み終わったのじゃにゃ・・・にゃ?一体にゃにがあったのじゃにゃ!?」
ニャースの今頃の登場に、その場は一瞬のうちにしらけてしまった・・・。






「よし、食料の調達も済ませたし、そろそろ行こうか。」
「おじさん、色々とありがとう。」
サトリは深々とお辞儀をした。
「なーにかまわんさ。ナゾノクサを大事にしてあげてくれよ。」
「はい!それじゃあお元気で・・・」
「お世話になりました!」
「出発じゃにゃ〜!」






ナゾノクサ畑でナゾノクサをゲットしたサトリ。さあ、目指すクチバシティはすぐそこだ。






第29話に続く。






あとがきにかえて
今回の話は書き上げるスピードは速かったものの内容を考えるのに結構時間がかかっています。かなり前から考えていた話なのですが、最初に考えていた話とはかなり内容の変更があるんだなこれが。 そこで変更前の話の内容をババンと大(?)公開!


サトリ達が野生のナゾノクサに気を取られているうちにマンキーがこっそりとサトリの荷物を奪い、ナゾノクサ畑を持っている主人にそれを渡す。その主人がオタッキーなにいちゃんで荷物の中にあったサトリの制服やらニーソックスやらを自分のコレクションに加えてしまう。そこで追いかけてきたサトリ達とバトルする。


変更前の話は本編もしくは外伝で書こうかななんて思っています(蹴)。

 

[一言感想]

 ナゾノクサが普通に畑で育てられている事に、ちょっと吹いてしまいました。
 忘れがちですが、一応植物なんですよね。
 気づけばサトリも、手持ちポケモンが6匹オーバーの様子。
 強制転送は、知らずに初めて目の当たりにすると、確かに驚くものがあるでしょうね。
 つか、ボール自体に転送機能が付いてるって事なのかな……。

 

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