迷い迷って1週間。サトリ達はついにクチバシティに辿り着いた。
「やっと着いた・・・さーて、まずはジム戦よ!それが終わったら中華街で美味しいものたくさん食べて・・・あー、海にも入りたいなぁ・・・」
サトリは目をキラキラさせている。ずっと楽しみにしていた街にようやく着けたのだから無理もない。
「まぁ、慌てないで。まずはポケモンセンターに行こう。」
コタロウの一言でサトリはフッと我に返った。
「あ、そうよね。ポケモン達を休ませないとね。」
「まったく気の早い小娘じゃにゃ。いで。」
サトリはニャースの頭に拳骨をくらわせるとポケモンセンターへと向かった。

 

 

 

第29話 クチバジム!ライチュウのスーパーブロー

 

 

 

「よーし、ポケモンの回復も終わったし・・・そうだ!ナゾノクサを連れていこうっと!」
サトリは転送システム用テレビ電話の前に腰をかけた。
「えっと、オーキド博士の研究所の番号はっと・・・よし、OK。」
テレビ画面にオーキド博士の顔が映し出された。


“ん?おーっサトリちゃん、久しぶりじゃのう。調子はどうじゃ?”


「いい感じよ。今クチバシティにいるの。ナゾノクサを転送してくれる?」


“あいわかった。では今から送るからそちらの方も転送装置にボールをひとつおいてくれ。”


サトリは言われたとおりにボールを装置に乗せた。


“よし、では転送するぞ。”


サトリの乗せたボールは転送され、かわりにナゾノクサの入ったボールが送られてきた。
「よーし、よろしくねナゾノクサv」
「ところでサトリちゃん、どのポケモンを博士のところに送ったんだい?」
コタロウが尋ねるとサトリはウインクしながら答えた。
「それはね・・・」






同じ時、オーキド研究所では・・・
「おーっ、サトリちゃんの送ってきたポケモンはマルマインか。気を付けて扱わんとな。」
博士はそう言うとマルマインをボールに戻そうとした。と、その時ラーメンをゆでるために火にかけておいたお湯が沸騰しだした。
「おおっと危ない。火を止めなくては・・・あちっ!!」
その拍子にお湯の入ったビーカーが跳ね飛ばされて宙を舞い、マルマインのツルツル頭に直撃してしまった。
「あっ・・・」






「ここがクチバジムね。ありがとうコタロウさん。」
「ああ、じゃあオレは明日のアオプルコ行きの船の予約を済ませてくるよ。」
「わかったわ。じゃあ終わったら中華街の入り口で待っててね。」
「そうだな。サトリちゃんも頑張れよ。ニャース、頼んだぞ。」
そう言うとコタロウはサトリ達と別れた。
「任されたのじゃにゃ〜。」
「よーし、たのもーっ!!」
サトリは勇んで扉を開けた。ジムの中は真っ暗だ。と、突然奥の方から声が聞こえてきた。
「Welcome to KUCHIBA GYM!さぁー勇気あるチャレンジャーさん!ボクがリーダーのガイルでース!!」
陽気な大声だ。だが、辺りが真っ暗のためその声の主の顔はまったく見えない。ただ、声が聞こえる方向に人の気配が感じられるだけである。
「よく見えないから明かりをつけてよ!」
サトリが言うとジム内は眩しいばかりの光に包まれた。暗さに目が少し慣れはじめていただけにこの眩しさは少々辛い。
「目がチカチカするのじゃにゃ〜。」
ニャースはまばたきを繰り返している。
「Oh!チャレンジャーはpretty girlとold catか!」
さっきの声の主がその姿を現した。迷彩服を着た金髪の大男だ。


(お、大きい・・・!)


サトリは思わず目の前にいる大男を見上げた。今まで多くの人と会ってきたが彼ほど大きい人は見たことがないのだ。筋肉質で肩幅も広いため余計に大きく見える。
「あ、ハ、ハナダシティのサトリです。よろしく・・・」
サトリは気を取り直して挨拶をした。それを聞くと大男、ガイルは少し驚きの表情を見せた。
「Oh!ひょっとするとyouはハナダジムのサトミサンの娘のサトリちゃんかい!?」
突然出てきた母の名前に驚きつつもサトリはガイルの尋ねたことに答えた。
「え、ええ・・・そうですけどママを知ってるの?」
「もちろんサ!ボクのfriendネ!」
これにはサトリも驚いた。母がクチバジムのリーダーと友達だったなんて初耳である。
「あの美人さんがこんにゃでかぶつと友達にゃんて信じられにゃいのじゃにゃ〜。」
ニャースは何気なく言った。が、口は災いの元。ガイルを怒らせてしまった。
「にゃ・・・にゃにやら殺気が・・・にゃ〜〜〜っ!?」
「だ〜れがでかぶつだって〜っold cat!?よ〜しこっちに来〜いっ!!」
「にゃ・・・小娘!助けるにゃ〜っ!!」
ニャースは慌ててサトリに助けを求めるが、サトリは首を横に振りながら言った。
「自分で言ったことじゃないの。自分で何とかしなさいよ。」
「そっそんにゃ〜・・・」
ニャースはガイルに引きずられていった。その姿は何とも情けない。
「あっ、待ってーっ!」
サトリもその後についていった。






「さーっ着いたぞ。ここがスタジアムだ。使用ポケモンはお互いに1体ずつ。サトリちゃんはこのold catでいいのかい?」
いいわけがない。ニャースを戦わせようものなら勝手な行動をとるわぎっくり腰で動けなくなるわでバトルは惨たんたる結果になるであろう。
「違いますっ!そいつはあたしのポケモンじゃなくて・・・」
「そうじゃにゃ!わしはコタロウぼっちゃまに仕える由緒正しきニャースじゃにゃ!そして今回は用事があるぼっちゃまに代わってこの小娘に的確にゃアドバイスをする天才アドバイザーのニャース様にゃのじゃにゃーっ!!」
それだけ言うとニャースは気を失ってしまった。一度も息継ぎをせずに一気に言ったからである。サトリは呆れてものも言えない。


(はぁ〜・・・何が天才アドバイザーよ・・・気絶してたらアドバイスなんてできないでしょ〜!でも考えてみればあいつは起きてても五月蠅いだけ、気絶してる方がやりやすいわね・・・)


そう考えるとサトリは気を取り直してガイルの方に向き直った。ガイルは既にモンスターボールをその手に握っている。
「友達の娘だからって手加減しないでよ!行くのよピッピ!」
「ピピーッ!」
「わかってるさ、全力で行くぜ!GOー!ライチュウ!!」
「ラーイッ!!」
出てきたのはピッピより一回り大きな鼠のようなポケモンだ。長い尻尾に大きな耳が目を引く。サトリは図鑑を開いてみた。
「ライチュウ・・・鼠ポケモン。ピカチュウの進化形。その電撃は10万ボルトにも達する。」
「へぇ、似てると思ったらピカチュウの進化形なんだ。」
サトリは祖父の傍らにいるピカチュウを思い浮かべていた。小さいながらもその実力は計り知れないピカチュウ。その進化した姿であるライチュウも相当の実力を持っているはずである。
「速攻よピッピ!『メガトンパンチ』!!」
ピッピがライチュウに向けて突っ込んでいく。が、ライチュウはジャンプしてピッピの後ろに回り込んだ。
「バックをとったぜ!ライチュウ、『雷パンチ』!!」
ライチュウのコッペパンのような手に電気が集まっていく。
「隙あり!ピッピ、もう一度『メガトンパンチ』!!」
ピッピは素早くライチュウの方に振り向き腹にパンチを喰らわせた。ライチュウが腹をおさえてうずくまる。
「よーしもう一発・・・」
言いかけたところでサトリはピッピの異変に気付いた。パンチを繰り出した手に静電気がまとわりつき、動きを鈍らせている。
「どうだい?これぞライチュウの特性『静電気』!相手を麻痺させて動きをslowにするんダ。」
「そうだったの・・・これじゃあ接近戦は無理ね・・・その前に麻痺を何とかしないと。そうだわ!ピッピ、静電気を指先に集めて『スタンマシンガン』!」
ピッピの手にまとわりついていた静電気が指先に集まり、小さな弾丸となって次々と撃ち出される。まだうずくまっているライチュウはそれをかわすことができない。
「しまった!静電気を自分の技のpowerに使うなんテ!」
ライチュウは吹っ飛ばされたが、まだ意識はあったため空中で体勢を立て直しスタジアムに着地した。
「やるじゃないカ、さすがはサトミさんのdaughterダ。でもこの技に耐えられるかナ!?」
ライチュウの右手にさっきと同じように電気が集まっていく。だがその電気の量がさっきの比ではない。
「行くゼ、ライチュウ、『エレクトロキャノン』!!!」
「ええーっ!!?この技はっ・・・」
この前のフルバトルの時にワカナのエビワラーが使った、電気の砲弾を拳から放つ技だ。ライチュウの放った砲弾がピッピに迫る。
「やばい!『光の壁』!」
砲弾は光の壁を突き破りピッピに直撃した。だが壁をはったおかげでダメージを抑えることはできたようだ。だが抑えたとはいってもダメージは相当のもので、ピッピの体力はかなり落ちている。一方のライチュウも腹に受けた一撃やスタンマシンガンをまともに受けたダメージがこたえているようだ。
「どうやらお互いにあと一発でも受ければダウンしそうね・・・」
「そうみたいだネ。次の一撃で勝負は決まる!」
お互いに睨み合ったまま動かない。ちょっとした動きが隙を生む危険があるからだ。一発で勝負が決まる場合、ほんのわずかな隙が勝敗を分けるのである。


(どうにか相手の隙を見つけないと・・・そうだわ!)


「ピッピ、『サ・・・」
「今ダ!ライチュウ、『エレクトロキャノン』!!」
ライチュウが電気の砲弾を撃ち出した。それはまっすぐにピッピへと向かっていく。
「かかった!ピッピ、『サイコパンチ』!!」
ピッピが右手を前に突き出すと、砲弾が動きを止めた。
「What!?」
予想だにしていなかったことを目の当たりにし、ガイルとライチュウは戸惑っている。
「そのまま押し返せーッ!!」
サトリの一声で砲弾はライチュウに向けて突っ込んだ。
「まさかこのためにわざと隙を作ったのか・・・ライチュウ、ジャンプしてよけ・・・間に合わないか!受け止めるんだ!!」
ライチュウは両腕をかまえて防御体勢に入った。その両腕で砲弾を押し止めている。


(ピッピにはもう攻撃を繰り出すパワーは残ってない・・・これを防がれたらおしまいだわ!)


次の瞬間、バチンという大きな音と共に砲弾がはじけ飛んだ。ライチュウはボロボロだがその場に立っている。


(くっ・・・!)


サトリが歯を食いしばりうつむいたその時、ライチュウの体がグラッと揺れ、うつ伏せに倒れた。攻撃を防いだとはいえかなりのダメージを受けていたのだ。
「Oh No! unbelievable!何てことダー!!」
「えっ、えっ?」
サトリは顔を上げた。ライチュウが倒れ、ピッピは何とか立っている。そして頭を抱えたガイル。それらを見て、サトリはようやく自分が勝ったことを理解した。
「やっ・・・やったーっ!!」
「にゃんか五月蠅いにゃ・・・はっ!よ、よーし小娘、わしが的確にゃアドバイスをしてやるのじゃにゃー!」
ようやく目を覚ましたニャースだが、その言葉にまわりはしらけきっている。
「にゃ?まさかもうすでにバトルは終わってるとか・・・そんにゃことはにゃかとね?」
「そのまさかよ。たった今あたしが勝ったとこ!」
サトリの一言にニャースはショックを受けた。天才アドバイザーぶりを発揮してサトリを勝利に導き、自分を見直させようと考えていたからだ。
「そ、そんにゃ〜・・・」






「You are winner!このオレンジバッジはyouの物ダ。」
サトリはガイルの差し出したオレンジバッジを受け取り、空にかざした。
「よーし、オレンジバッジ、ゲットだよ!」
「相変わらずさえにゃい決め台詞じゃにゃ〜。」
「いいじゃないの!」
そう言うとサトリはニャースの頬を力一杯引っ張った。
「いででで!みゃみふるみゃ〜(にゃにするにゃ〜)!」
「ハハハ、仲がいいナー。ところで次はどこへ?」
ガイルが笑いながら尋ねるとサトリはニャースの頬を引っ張ったまま答えた。
「別に仲良くなんか・・・次の街?まだ決まってないのよね・・・そうだわ、そろそろ中華街に行かなくちゃ!」
「オゥ、気を付けてナ。Good luck!」






激戦に勝利し、3つ目のバッジをゲットしたサトリ。さあ、次は楽しい中華街。食べ過ぎにはくれぐれもご注意を!




第30話に続く






あとがきにかえて
今回苦労したことはガイルの話す英語!辞書を片手に打ち込みました。フルバトルの時より大変だったかも・・・(大袈裟)。


ところで、クチバシティって実際の日本の地図で見ると横浜あたりなんですよね。だから中華街を登場させたわけです。そういえば中華街でちょっと苦しい思い出があるんですが、それはまた次回で(何)。

 

[一言感想]

 クチバジムは好調のまま攻略となりました。
 サトリの腕前も、着実にアップしてきているようです。
 これなら、ある意味ニャースを戦闘に出してみたバージョンも見てみたかったかも知れない←
 あとは、オーキド博士の研究所がどんな事になったのかが心配……。

 

戻る