アオプルコでワカナをはじめとする元クラスメートに出会ったサトリ。彼女達が『浜辺の美少女コンテスト』に参加すると知り、自分も参加を決意する。エントリーをしに走り出したサトリは女の子とぶつかるが、その女の子はマサラのジムで共に修業したアンだった。
「よーし、では勝負水着に着替えてきますか!」
「あたしも!行きましょ。」
「じゃ〜ねぇお2人さん、コンテストでねぇv」
エントリーを済ませたワカナ達は行ってしまった。サトリとアンもエントリーしに来た女の子達を尻目に歩き出す。
「結局あたしもエントリーされちゃった。」
元々乗り気でなかったアンはユウコによって半強制的にエントリーさせられたのだ。
「大丈夫よ、これも修業と思えば。」
サトリがアンの肩をポンと軽く叩きながら言った。
「多くの人に見られても緊張しないようにする修業!ほら、ポケモンリーグの試合でも観客席から見られるじゃない。慣らしておけば緊張しないで自分のバトルができるはずよ!」(←なんちゅう理屈だ・・・)
「そっか・・・ありがとうサトリちゃん。やってみる・・・」
サトリの励まし(?)によってやる気を持ったアン。そして、いよいよコンテストが始まる!
第33話 熱戦!浜辺の美少女コンテスト(後)
「サトリちゃん遅いな・・・」
コタロウはニャースの介抱を続けながら呟いた。と、放送が流れてきた。
“ただいまより浜辺の美少女コンテストを開始いたします。特設ステージ前にてご覧下さいませ。”
「ん?」
今の放送にニャースの耳が反応し、ピクッと動いた。
“もう一度繰り返します。浜辺の美少女コンテストを開始いたします・・・”
「にゃはーっ!!行かにゃくてはーっ!!」
ニャースは目を覚まし、5メートルは飛び上がり、そのまま空中を走って特設ステージの方へ行ってしまった。
「お、おい待てよ・・・って、何で空中を走れるんだあいつは・・・ん?このチラシはニャースが落としたのか・・・」
コタロウはしたに落ちていたチラシを拾い、見た。『浜辺の美少女コンテスト』のお知らせのチラシだ。
(まさかサトリちゃん、これに参加しに行ったとか・・・?)
そのまさかであることをコタロウは間もなく知ることになる・・・。
特設ステージ前には既に黒山の人だかりができていた。その殆どは男性である。と、ステージ上に司会らしき男が現れた。
“さーっ、今年もやってきた『アオプルコ・夏の浜辺の美少女コンテスト』!!どんな美少女が登場するのか!では審査員の紹介からいこーっ!!”
「おっ・・・凄い人だかりだな・・・審査員?・・・なっ!?」
ステージ前に辿り着いたコタロウは審査員席の方を見て驚いた。なんとそこにはニャースがふんぞり返っていたのだ。
“・・・そして最後の審査員は飛び入り参加のカントー水着美少女愛好会名誉会員のニャースさん!!”
「みにゃさ〜ん、よろしくにゃのじゃにゃ〜♪あーっ、ぼっちゃま〜!」
ニャースはコタロウの方に向けて手を振った。
「誰だぼっちゃまって?」
コタロウは他人の振りをしている。
(手を振るなーっ!聞こえない聞こえない・・・!)
“審査員の紹介も終わったところでいよいよお待ちかね!コンテストの開始だぁーっ!!”
司会の開始宣言と共に会場は割れんばかりの歓声に包まれた。
「ウオォーッ、待ってましたーっ!!」
「早く美少女を出せーっ!!」
見るからにオタッキーな兄ちゃん達がカメラをかまえながら叫んでいる。こういう人達がいるから美少女ファンはみんなオタッキーだと思われるのだ。もっともそう思うのは一部の『ウソッキーを見て森を見ない』人達だけなのだが。
“ではエントリーナンバー1番!ヤマブキシティから来たキョウコちゃーん!!”
1番目の女の子が出てきた瞬間、会場はさっき以上の歓声に包まれた。それ以降次の女の子が出てくるたびにより大きな歓声が繰り返された。
“ではエントリーナンバー27番!ハナダシティからポケモントレーナーとして旅を続けているサトリちゃーん!!”
コタロウが反応してステージ上を見るとそこには共に旅を続けている少女の姿があった。しかもハナダジム戦の時の水着を着て。
(や、やっぱり・・・?)
サトリの姿を凝視してしまったコタロウは、そう心の中で呟くとその場で湯気を出しながら固まってしまった。それほど刺激が強かったのか、コタロウに免疫がないのか、どちらかもしくは両方である。
“次はエントリーナンバー28番!この子もトレーナーとしての旅の途中、マサラタウンのアンちゃーん!”
アンが出てくると会場は一瞬沈黙した。今までの女の子達とひと味違うのだ。
「おいおい・・・あの水着はちょっとコンテスト向きじゃあないんじゃないのか・・・」
「面積広いね。普通ならビキニとかで挑むのがセオリーだよね。」
「でもそこがまた清純でいいじゃないか・・・」
「そうだな、しかもそれでいてピンク色が色気を感じさせる・・・」
しばし沈黙ののち、再び大歓声が上がった。今までの全ての歓声を足した以上の大きさだ。
“おお、凄い!清純さを売りにするとは!では次はまとめていきましょう!29〜33番!ポケモンゼミハナダ校のアイドル軍団!ワカナちゃん、ミナコちゃん、メグミちゃん、エイコちゃん、そしてユウコちゃーん!!”
アンの時にも負けないぐらいの歓声だが、観客の視線は殆どユウコ1人に向けられている。
(な、なんでっ・・・?)←ワカナ
(まさかっ・・・?)←ミナコ
(会場の目は清純一色!)←メグミ
(あたしのナイスバディが負けるなんて!)←エイコ
(フッ、勝った!)←ユウコ
“おーっと、ここでも清純さを売りにしたユウコちゃんに会場の目は釘付けだーっ!では続けて34番・・・”
“さーっ、全ての女の子が出そろいました。審査を開始します!会場の皆様は1人1点、審査員の方は1人5点の持ち点となっております。ではまず会場の皆様、お手元の投票用紙に女の子の名前か番号を書いてステージ前の投票箱にお入れ下さーい!”
会場内はすぐ立ち上がり投票しに行く者、長考している者と様々である。
「お前誰に入れた?オレはアンちゃん。」
「オレはユウコちゃんだぜ。」
他の人の話を横で聞きながらコタロウも投票した。体の硬直はもう完全に治っているようだ。
(オレはサトリちゃんだな・・・)
“では続きまして審査員の方の投票です!”
審査員の持つ5点は自由に振り分け可能である。1人の子に集中して入れば逆転のチャンスもあり得るのだ。そして・・・
“では結果発表です!3位はエントリーナンバー27番のサトリちゃん!34票です!では前に出てトロフィーをお受け取り下さい!!”
サトリがトロフィーを受け取ると会場の一部から歓声が上がった。彼女に投票した人達である。
「3位おめでとーっ!」
「惜しかったなーっ!」
サトリは左腕にトロフィーを抱えてVサインした。優勝はできなかったのは少し悔しいが、3位入賞できただけで今は満足だ。
“えー、本来なら続けて2位の発表となるところですが、なんと1位が2人出てしまいました。エントリーナンバー28番のアンちゃん、そして33番のユウコちゃん!共に52票です!”
司会の突然の発表に会場は静まり返った。
“ですが1位のトロフィーはひとつしかありません。そこで2人ともポケモントレーナーということで、1対1のバトルで勝った方を1位としたいと思います!ではアンちゃんとユウコちゃん!前に出てきてくださーい!!”
「こんなところでバトルが見られるとは・・・アンちゃん頑張れーっ!」
「ユウコちゃん負けるなーっ!」
前に出てきた2人。応援の量ではほぼ互角のようだ。
「お願いします。行くよ、アラモ!」
「ぷりっ!」
「こちらこそ。行くのよワタッコ!」
「ワタッ、コー。」
“アンちゃんはプリン!対するユウコちゃんはワタッコ!どんなバトルを見せてくれるのかーっ!!”
(アンちゃん、あんな可愛いポケモンをゲットしてたんだ・・・)
サトリは図鑑を取り出・・・せなかった。控え室のロッカーに荷物一式入れてきたからだ。
「あちゃ〜・・・お、始まったわね!」
「アラモ、『転がる』のよ!」
アラモが転がりだした。ユウコはすかさずよけの指示を出す。
「ワタッコ、かわすのよ!」
(そうか、相手に向かって突っ込む攻撃なら風を使ったよけは使えない!考えたわね・・・アンちゃん。)
「よーし、そのまま突撃よーっ!・・・えっ!?」
サトリは驚いた。アラモはワタッコのすぐ横を通り抜けていったのだ。ワタッコはその勢いが起こした風によって軽く飛ばされる。
「今よアラモ、ターン!」
「何っ!?ワタッコ、よけるのよ!」
アラモがブーメランのようにターンし、ワタッコの背後に迫る。転がり続けて勢いが増しているため、とてもよけきることはできない。アラモの体がワタッコの背中に激突した。
(な、何て子なの・・・最初の一撃をわざとはずすことによって勢いのついた攻撃をくらわせるなんて・・・)
「戻って、ワタッコ・・・」
ユウコはワタッコを戻し、アンの元へ歩いていくと右手を差し出した。
「負けたわ。あなたいいトレーナーになるわよ。」
「ありがとう。またバトルしたいわね。」
2人が握手を交わすと、会場は今までで最大の拍手と歓声に包まれた。いや、『包み込まれた』と言った方が正しいかもしれない。それは司会の声も聞き取れないほどだった。
“で・・・今・・・『・・・オプ・・・夏・・・の・・・女・・・スト』・・・勝は・・・ア・・・定ー・・・!!”
夕陽の沈みかけた砂浜はコンテストの時の盛り上がりが嘘ではないかと思えるほど静かだった。
「はー!楽しかったァー♪コンテストも3位入賞したしv」
サトリが思いきり伸びをしながら言った。
「よかったね。それにしてもニャースが審査員になっていたとはな。」
コタロウはそう言うとニャースの方を見た。ニャースは得意げな顔をしている。
「進行係に頼み込んでにゃんとか審査員に加われたのじゃにゃ。小娘。おみゃーが3位入賞できたのはそのおかげじゃにゃ!」
「えっ?どゆこと?」
サトリの頭に疑問符が浮かんだ。
「おみゃーと4位のワカナちゃんとの差はわずか1票にゃ。わしがおみゃーに2票入れたからおみゃーは3位ににゃれたのじゃにゃ。感謝するのじゃにゃ!」
ニャースは満面の笑顔でサトリを見ている。何を期待しているのだろうか。サトリはそれを無視してポツッと呟いた。
「・・・で、あとの3票は誰に・・・?」
「確かに気になるな。誰なんだ?」
「それはじゃにゃ・・・3票ともメグミちゃんにゃのじゃにゃー♪にゃははvさーて、そろそろ旅立ちじゃにゃー!」
2人の反応を見ずにニャースは歩き出した。ニヤニヤしながら。
(やっぱ胸が決め手かしら・・・嫌ってるはずのあたしに2票いれるくらいだし・・・)←自分で言うか
(しかしニャースはいつの間に愛好会なんかに入っていたんだろう・・・)
ニャースに関する謎を深めつつ、サトリ達の旅はまだまだ続く。
第34話に続く。
あとがきにかえて
海に関して嫌な思い出があります。‘99年の夏、静岡は浜松の海に家族で行ったときのこと。海の中で何気なく足をついたら右足の裏に何かが刺さり、慌てて海から上がり見てみるとそこには無数の棘が・・・どうやらウニを踏んづけたようで。取ろうにも中に入り込んでしまい全部は取れませんでした。自分も痛い目を見たけどウニの方も災難だったかな・・・
[一言感想]
今世紀最後の美少女がまさか(?)の3位。
それだけ、魅力的な女の子が多かったのかも知れません。
最後はアイとユウコの優勝決定戦としてのポケモンバトルでしたが、前回サトリに勝利していたユウコを、アイが更に負かしました。
そのまま、現在の実力順でもあるのかもしれない……。
アイの成長っぷりには、サトリもうかうかしていられませんね。
にしても、サトリがアイを説得させる冒頭の理屈には笑わされました←