息子
彼は机の上に置いてある写真に映る兄妹は、全く似ていない。
それでも、二人は兄妹だった。
二人は常に一緒にいて、その姿は親の自分が見ていても微笑ましい光景だったのだ。
しかし、その光景はもう見ることなど出来ない過去の出来事である。
「……ふ。私らしくも無い。終わった事を悔やんでも意味など無いのにな」
マルスは低く笑った。
――――後悔等しない。もう、遅い。あいつはいないのだから。
マルスは起き上がり、いつも通りにトレーニングに出掛けた。
周りは海で、足場は人間にとっては悪いところ。だから、トレーニングをする意味があるのだと呟きながら海へと歩を進めた。
彼は、そこで会ってしまった。
もう二度と会うことは無いと思い、会うはずが無いと思い、会わないと決めたはずの自分の息子に会ってしまうなんて……思っていなかった。
「お、オル……ガ?」
その呟きは、波にかき消されると思っていたが彼の耳には届いていたらしい。彼はマルスの方向を向いて微笑んだ。
昔と変わらない穢れの無い笑みを向けた。
――ああ、自分の息子だ。
マルスも人であり、何年も会っていなかった息子に会えば嬉しい物である。彼は、息子の方へと歩き続けた。
抱きしめて、何年も何をしていたのか聞きたいと思った。聞こうと思った。
もし、彼が『ポケモン』を出さなかったならば、聞けたと思う。
「久しぶりだね、そして――さよなら?」
オルガが出したポケモンはゴルバット。彼が初めて自分の力で捕まえたポケモンの進化系で、そのポケモンはオルガに攻撃を仕掛けた。
その鋭い牙は、彼の腕に噛み付いて『血』を盗む。
昔はそのポケモンは、自分のトレーナーの親を噛み付くなんて行動はしなかった『優しい性格』のポケモンだった。
今は――違う
今は、その牙に彼の血を滴らせて彼を睨む『敵』になっていた。
「オルガ!?」
「ふふ、お父さん。あのね? 今ゴルバット≠ェ使った技わかる? どくどく≠セよ」
穢れの無い笑顔の裏に潜む黒い闇。
何が彼を変えてしまったのだろうか? やはり――あれか?
「あれ、効かないの? あ……お父さんは毒が効かないのか。抗体があるもんね」
彼は凄く残念そうに呟くと、ゴルバットをもう一度彼の元に放つ。
「出したら? お父さんのポケモンを! 俺と……戦おうよ」
違う。お前は違う。
なんで、お前は私に攻撃をしかけるのだ? お前は……まさか
「お前は、闇に走ったのか。どうして? 私が――何を――!」
その言葉にオルガは反応した。
笑顔を消し、『自分の顔』を表に出した。
「何をした? 惚けないでくれよ。あいつが嫌がっているのに、強制的に家に入れて! それを妨害した俺を勘当同然にしたのは誰だ!? お父さんだろ?
一人になった俺はどうしたと思う? お父さんを倒すために、俺は闇に入った。別に悪いなんて思わなかったさ。俺は! あいつを助けるために入ったのさ!」
腕が震えている。今にも殴りたいのを押さえ、自分の掌に爪を食い込ませている。血が少しづつ流れているのは、そのせいだ。
彼は、ゴルバットに命令を下す。唯一言言えばいいだけだった。
『倒せ』と、一言言うだけで事は足りた。
ただ、その行動は成功しなかったが。
マルスはボールに触れ、自分のポケモンを自分の息子の方向へと投げつける。
でかい。そう、でかい『ケッキング』がゴルバットの攻撃を防ぐ。
「破壊――光線」
津波「ウラバナです」
アイス「なんかさ、シリアスな話しをぶち壊してない?」
津波「気にしない×2。てか、今回出番無しなのに出るのはなぜ?」
アイス「主人公だから。主人公特権☆」
さぁ、今回の話はアイスの父・マルスとその息子オルガの話しです。つまり、オルガとアイスは兄妹ですね。まぁ、これは修正版なので知っている事実ですが。
えっと、マルスの体に毒が効かない話しですが――
マルスはジムリーダーなのですが、このお方は『命を狙われたら』と心配になってしまったのです。そこで……毒を飲み始めました。少しづつ(死にたくないので毒消しを近くに置いて)。
そしたら、抗体が出来たのです。終わり。
次は、オルガ君の所属する『闇』ですが、知っていると思いますが……『あそこ』です。
そして、彼が護りたい人は妹のアイスですね。ああ、今回は言うネタが少ない!
アイス「やっぱり世界は私を中心に回ってる!?」
津波「こんな自己中娘は置いておきましょう。では、また今度〜。次回は今回に続いて親子対決です」
[一言感想]
妹のためなら、父を手にかけるのもいとわない……。
究極のシスコンですね(ぁ)。
思わぬダメージを負ったマルス……身も心も。
果たしてこの状況、どうしたものか……?