決別し親子
破壊光線はケッキングにピッタシな技である。
攻撃→怠ける→攻撃のケッキングだが、 攻撃→麻痺→攻撃で、無駄が無いからだ。
「ち、ち、ち」
ゴルバットは、優雅な動きでその光線を受け流す。
「もう、いいだろ?」
彼はゴルバットの頭を優しく撫でる。すると、ゴルバットから淡い光が出てきてゴルバットを包み込む。進化の証だ。
そして、目の前にはゴルバットではなくクロバットがいた。
予想はしていた事だ。ずっと一緒にいるのに、進化しないほうが可笑しい。つまり、進化するのを抑えていたと言う事だ。
クロバットにしたということは、本気になると言う事。そして、麻痺しているケッキングは動けない。今は攻撃のチャンスだ。
「どくどく!」
良い判断だ。動かないターンがあるの上に、どくどくはどんどんと毒の威力が上がる技だ。
更にオルガはクロバットに命じる。ケッキングの血管に吸血するように……と。
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
流石にその痛みに、鈍感で怠け者なケッキングも悲鳴を上げた。しかし、その悲鳴に怯えずにクロバットは吸血行為を続ける。
血を滴らせるその姿は、吸血鬼その物のようだ。彼が人間だったら、吸血鬼小説に出てくる者そのものに違いない。
クロバットは、トレーナーのオルガの言う事を聞いているだけで、とても優秀で忠実なポケモンだとは思う。しかし、怒りも沸いてくるのは仕方ない事。
昔の彼の姿を知っているから、更に怒りが沸いて来るのだ。
「クロバット! やめろ!」
――――私の理性を飛ばさないでくれ
彼は奥歯をかみ締めて、ただ我慢する。自分の理性が飛ばないように、冷静さを失わないように。
――あの時のようになりたくない
彼の心の中に、本気を出さないようにと止める何かが存在した。きっと、それは彼の心を今でも苦しめ、蝕む思い出なのだろう。
――私を、怒らせるな! オルガ、クロバット!
彼は下を向き、ずっと黙っていた。その姿を見て、彼は『勝った!』と思い、クロバットに最後の命令を下した。
「クロバット! 翼で――」
それ以上いえなかったのは、マルスから発せられる凄い量の殺気のせいである。
殺気のせいで、命令も下せなかったしクロバットも引いてしまった。その姿は、背後に何かが憑いているようにも見えた。
もし、憑いているのならば『阿修羅』であっても可笑しくはない。
「オルガ。私が何故ジムリーダーになったか知っているか?」
マルスは急にオルガに聞いた。そんな事は知らない彼は、ただ首を横に振った。すると、マルスは言う。
「私は誰かの下に付くのが嫌なんだ。そして、チャンピオンなんて面倒な仕事もな」
声、一つ一つに殺気を感じずにはいられない。
これは――本当に自分の父なのかと疑ってしまうくらいに
「お父さん。貴方……『何』?」
彼は父を人とは思えなかった。あの強さを、あの気迫を、まるで化物かの様に。
「……父さ。まぁ、お前は認めないかもな。だったら、私もお前を息子として見なければ良い」
マルスは顔を上げた。その表情は変わらない……無表情だ。
悲しみも、喜びも判らない無表情でオルガを見据えた。
だから、怖さが増す。
この表情の裏に隠されているのは、怒りだろうか? 哀しみだろうか? 先程、オルガは笑顔の裏に闇を隠していた。
でも、それとは少し違う気がする。
「お父さん!?」
ポケモン――じゃない! これは――お父さんの拳
久しぶりに受けた痛みは、昔と違って、息子に対する痛みではなく他人を殴る痛み。
文章で強制的に言ってみたが、なんとも変な文章になる。
言葉では表現できない。
「オルガ・C・コールド。闇は闇に散ると言う事を覚えておけ」
――嫌だ。俺は、あいつを助けるまでは――
フェード・アウト
津波「変なところで終わりました」
オルガ「……どうすんの? 次回」
津波「あ。オルガ。初めてきましたね? ぁぁ大丈夫ですよ。なんせ、これでも作家ですから!」
オルガ「二次小説のな」
では、ウラバナに移りましょう。今回の話、実はこんな中途半端に終わらせるつもりではありませんでした。
今回の話は、オルガが途中で離脱して、マルスが大怪我をする予定でした。その上、マルスは本気を出すつもりでした。
しかし、オルガを気絶させて『ヘタレ』にしました(笑)
マルスは無傷に近い状態にしましたしね。これで、マルスとオルガは完全に『敵』となりました。
これで、元の小説で書いていた戦いを実現させる土台となったと思います。
津&オ「では、次回はアイスのジム戦の予定です! シーユーアゲイン!」
[一言感想]
父が強いのか、兄が弱いのか……。
アイスの悩みは増すばかり(悩んでないじゃん!)。
マルスのジムリーダーになった理由が、すこぶる人間くさくて素晴らしかったです(ぁ)。
何事も、どんな立場も、『ほどほど』がベストなようで。