兄の思い

 

 

 

俺は、昔から「妹」が好きだった。

この想いは、許されない想いだから――と、封じてきていたけど、父親が知り合いに酔って話しているのを聞いていたとき、その想いは外に出てきた。

 「アイスとオルガは仲が良いけどな……実際には兄弟じゃない。結婚したって許されるんだよなぁ〜……だが、愚息にはわたせねぇ。あ、でもあいつ等は本当の兄弟だって信じてる。 オルガは、アイツの事を『妹』としか見てないし、心配するまでも無いけどな」

その父の言葉で、自分はただ好きに妹の事を想って良いのだと思った。

許された気がして、最初は涙が出た。次は、妹に告白した。自分の正直な気持ちを、ただ笑顔で告げたけど、妹は心身共に幼い子供だった。

自分も子供だったけど、妹はそれ以上に子供で「好き」の意味を勘違いしていた。



 「うん。兄ちゃん、大好きだよ? どうしてそんな事聞くの?」

 「……アイス。ああ、愛子」

 「何故漢字変換!?」

 妹は、鈍感だった。

妹は、兄を「兄」としか感じていなく、異性とは思っていなかった。

 「アイス、好きだ。けど、妹として好きなんじゃない!」と言おうとした。

小さいけれど、彼は彼女に襲いかかろうとした。将来が心配な行動である。

 けど、彼が襲いかかろうとしたとき――彼女のパートナーのラプラス(ベビー)が彼に向かって冷凍ビーム(弱)をぶつけようとしたので、彼の行動は失敗に終わった。

ラプラスはポケモンの勘で分かったのかもしれない。

自分の主人の兄と、主人の間にある決して超えられない一線について。だから、ラプラスは主人の兄に向かって牙をむいたのかもしれない。

 「お兄ちゃん? どーしたの?」

 「……なんでもありません」

何故か敬語になり、彼はそのまま眠りの世界へと潜っていった。



 が、彼の心を占めるのは何年経っても妹だけであった。

これを世界中の人はシスコンだと言うかもしれないが、彼にとって妹はただの妹じゃなく、いつか自分だけのモノにしたいと願う存在であった。

悪の組織に入り、結構上のランクの地位を手に入れた彼は、今ではもう16歳ぐらいの青年へと成長していた。

一人や二人くらい彼女がいてもいい年頃だが、彼は決して彼女を作らないでいた。

ボスに紹介されても、曖昧に返事をして断っていた。

けれど、それが何年も何年も続いているだけでも凄いのだから、今日断れなくても可笑しくは無いはずだ。

 「――――で、オルガ。俺の姪に会ってみないか? ジリー・シェンという名前でな、アジアの国の出身なんだけど」

 「ボス。その話しは嬉しいけれど、俺は部下を指示する立場なのです」

 「会うだけだ。こいつはな、カントーの幹部なんだけどな」

確かに可愛い。

髪を二つに束ね、体のラインがはっきり見えるようなきわどい服を着ているけれど、年には似合わないせいか浮いて見える。

恐らくオルガより1、2歳年下なのだろう。

体は細いし、肌も白い。まるで雪女のように透き通った肌である。

そこらへんの男なら、彼女が通っただけで振り向いてしまう容姿をしているし、「ナイスバディー」とよんでも可笑しくない。

けれど……やはり悪の組織の人間であり、どこか可笑しい笑みをしている。黒い笑みと言うやつだ。

 「わかりました。今から俺は、あるジムリーダーを倒しに行きます。もし、もし倒せなかったばあいに会いましょう。ま、勝ちますけどね!」

そのジムリーダーは親父だ。

あの親父を倒せば、俺は全てから解放されるのだ。

だが、ただ倒すのではない。

一生ポケモンを使えないほど痛めつけて、アイスを護るのは俺であることを体にも心にも刻み付けてやるのだ。

 ジリー・シェン……か。

悪いけど、政略結婚のように付き合うのは嫌なんで、君と付き合うわけにはいかないよ。

君が可哀想だろ? お互いに好きじゃないのに付き合うなんて、可笑しいじゃないか。



 「あぁ、いい結果を出せるといいな」

 「はい、ボス。待っていてください。マルス・C・コールドをポケモン界から引退させて見せます。あいつは、我々の眼の上のタンコブですしね!」

 ――――アイス、お前は今どこにいる? 何をしている? 電話もできないのが苦しい。

 ――――けど、いつか、会うよ。そして、必ずお前を救ってみせる。お前を助けるのは誰でもなく俺だからな。

 彼は、そう心の中で呟くと基地を出て行った。

これは、彼とオルガが再会する3日前の出来事である。



 津波「ウラバナです! 最近、裏舞台がメインになる可能性があって怖いですよー」

 オルガ「でも、ウラバナが今回は無いに等しいらしいけどな」

 津波「ちっ、ち、っち。甘いですね。スピードワ○ン並に甘いですよ! 私は小説家ですよ? ちゃんと考えてますって」

 オルガ「隠す必要ないようなきが――!」

 今回は「シスコン」です。

テーマをシスコンにしてみたのですよ。分かりましたでしょうか?
 
実はと言うと、このお話はちょっと間違えると「裏」に行きそうで怖かったので、ラプラスが介入してくれました。サンキュ!

ちなみに、マルスと酒を飲んでいたのは、同じジムリーダーの人であり、後に出てくる人の予定です(マルスの親友設定)。

更に言うならば、ジリー・シェンは後にメインキャラの一人にしようか考えている少女です。下に少し設定を。

 ジリー・シェン 15歳 ポケモン不明のカントーの幹部。渋めのおじ様が好き★

 では、今日はここで。

 二人「では、シーユーアゲイン!」

 

[一言感想]

 血がつながらない兄妹ほど、複雑な関係はないのかも知れません。
 ただの兄妹として思い続けるのなら問題ありませんが、それ以上となると……。
 もっとも、オルガの場合は最初から妹に危険な想いを抱いてたっぽいですが。
 とりあえず、ラプラスは護衛として優秀でした(ぇ)。

 

戻る