特別小説

 

 

 

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 『…………言えない、言ったら戻れない、この感情』


 アイスとシャーウの旅が終わる日、シャーウはアイスに告げた。

 「あのさ、俺、親父の所に帰るわ」

 「え?」

 オルガもこの旅で心境が変化したのだろうか? 旅が終わったらアイスの家に居たいと言っていたのに。

けど、オルガがこれで親と仲直りできるならその方がいい。

 でも、オルガは更に言う。

 「で、親父の跡継ぐ」

 一瞬、何を言っているのか分からなかった。

シャーウの父はジムリーダーだ。つまり、シャーウはジムリーダーに成るという事だろうか。それはそれでいい。

夢が出来たという事だから、アイスは嬉しい。なんせ親友みたいな奴だから。

親友の夢は応援するぞ! と思っているアイスに向けられた言葉は、アイスを悲しませる酷い言葉だった。

シャーウとしては悪意は無かったのかもしれないけど、結果としてアイスを悲しませた。

 「でも、アイス」

 「ん?」

 笑顔のアイスの耳元で囁かれたのは、別れの言葉。

 「さよなら。今までありがとう」

理解できない、したくない。でも、シャーウは……笑顔でアイスを抱きしめると、再び残酷な言葉を紡いだ。

泣きたくても、泣きたくない。

アイスは放心状態で、そのまま部屋に戻った。

部屋で嗚咽しながら泣いたが、どうして泣いてしまったのか自分でも分からなかった。

いや……分かりたくなかったのだと思う。

その感情に気づいてしまえば、自分は彼を手放したくないと思ってしまうから。

でも、無駄だった。

アイスはその感情に気づいてしまった。初めての感情に動揺しながら、アイスは呟いた。

 「……わ、たし……好きなんだ。シャーウの……ことが」


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 『素直に言えたら苦労しないのに!』

父親と仲直りしたアイスの兄・オルガ。
実の親と出会って自分の道を見つけたアイス。
そのほかの旅で出会った人たち、全員が自分を持っていた。

 俺は?

 俺は……前に進めているか?

父親と仲直りして無いし、夢も達成しているわけじゃない。俺って、何の為に旅していたのかな? って思う。

最初は反抗からで、ただの家出だった。

でも、アイスに出会って、自分の昔からの夢を叶えたいって思ったのに……どうしてだろ? 俺って、進めてない。

 俺は、アイスが好きだ。

病弱な癖して元気で、少し弱い……そんなアイスが俺は好きだ。

好きだ。だからこそ、このままの俺じゃダメなんだと思う。このままじゃ、アイスの隣に居るべき男になれないと思う。

だから、俺は決心した。

 親父の跡継ぎになるよ。

親父と仲直りして、親父以上に凄いジムリーダーになろうと思う。

トラウマだったバトルは未だに苦手だけど、それでも……成りたいと思う。ゲッターが俺の夢だったけど、ジムリーダーとゲッターは両立できると思う。


 「泣いてる…………?」

部屋に戻ったアイスの嗚咽が隣から聞こえる。壁薄いし。

でも、俺はアイスに甘えたままじゃダメだと思うから、進まないといけない。

そのためにアイスが悲しんでしまうのは苦しいけど、それでも――俺は、進みたい。

 「御免ね……御免よ、アイス……」

 実際にアイスに謝る勇気を俺は持っていなかった。


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 『離れないで! 置いてかないで!』

 「……帰ってきたんだね、俺と、アイスの出発点」
 
 「森。ここで私とシャーウ戦ったよね」

 ここでカゲボウズを掛けて戦い、アイスが勝った。
アイスとシャーウの出会いは良くなかったけど、その時からシャーウはアイスに惚れていたかもしれない。

 「…………ねぇ、家まで来て」

 「うん」

 離れるのが怖いと思ってしまった。
偶然なんだけど、この出会いがなければ二人の出会いはなく、カゲボウズが恋のキューピッドかもしれない。

家までの距離は結構在るのに、短く感じる。

 家に行くまでに、マルスのジムのある町がある。

一応ジムに寄って、シャーウは家に帰る事を伝える事にした。お互いにもう少し一緒に居たかったのかも知れない。


 「そうか。家に帰るのか。……アイツも喜ぶかもな」
 
 「さぁ? 歓迎はされないと思いますけど……おじ、マルスさん! 二人きりでお話が」

 「ん? 良いぞ。アイスは……ジムのトレーナーと戦ってろ」

 「はいはい」

  〜in ジムリーダールーム〜

 「お願いがあります」

 「……なんだ」

 きっと彼は気づいてる。
だからこそ俺に態々言わせるんだと思う。
俺は……っは、なんて子どもらしくない発言するんだろうな? 自分の心では決まっているのに、こんなにも言うのが大変だ。
舌噛みそう。
噛んじゃダメだと思いながら、俺はマルスさんに言う。

 「俺はアイスが好きです」

マルスさんの顔が歪んだ。そうだよな。血は繋がってなくても、娘だもん。

 「アイスを誰にも渡したくない」

更に歪んだけど気にしないで言う。

 「――――アイスと婚約させてください。ただ、俺が貴方に勝てたら!」

ボールを用意する。
バトルは苦手だけど、アイスのためなら勝てるような気がする。いや、勝つんだ! 俺は勝つ。

 「良いだろう、勝てたらな!」

今、俺は誰よりも強い。アイスのため、勝ってやるさ!

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 『お互いの戦い』

 トレーナーは流石父さんの弟子みたいなもの。前よりも強いじゃないか。
だけど、負けれないね?
私は誰にも負けない。
今なら、神にだって勝てる勢いさ。

 「オオスバメ、我武者羅! プラスルは手助けしてからスパーク!」

 「う……ミミロルゥ!」

 「次!」

 絶好調。
このままなら百人斬りも夢じゃないさ。

 「ザングースの切り裂く……なら、ゴローニャ、地震!」

 「こ、交代。ケッキング、気合パンチ!」

気合をいつ溜めていたのか、気づかなかった。

 「なら、大爆発!」

ケッキングはHPが高いし力も強いが、大爆発なら十分なダメージを与えられる。ただ、仲間を一匹失うので好きな技ではない。
けど、私は――負けれない。

 「次ぃ!」


 マルスさんは四天王にも選ばれて、それを蹴ってジムリーダーで居続けたと言われる伝説のジムリーダーだけあって強い。
けど、今の俺は誰よりも強い。

 「ジュプトル、リーフブレード!」

 「ヤルキモン、切り裂いてから欠伸だ」

ジュプトルは大して防御が高くないし、それに相手に状態以上を与えたら空元気でやられるし、欠伸は当る。
悪循環じゃないか!
でも、眠るまでの間に交代して……よし、こいつだ。

 「ハガネール、アンアンテールしてから噛み砕く!」

ヤルキモンの急所に当ったらしく、倒れた。
鋼・岩? 地面? のこいつを倒すには『炎』『水』『格闘』の3つじゃないとダメだし、ノーマルじゃ効かない。
これは俺の勝ちだ。
 でも、いくつもの修羅場を勝ち抜いたマルス。
ノーマルで勝ち抜く方法を知らないはずが無い。

 「ケッキング、インファイト!」
※作者はケッキングがインファイトを覚えるかすら知りません。

 「な、何い――――ぃぃ!?」

 その時、壁が壊れた。
は? と思って二人して見ると、アイスが汗だくで戦っていたらしく、その衝撃で壊れたらしい。
ジムの壁は特別で、大爆発でも壊れないように出来ているはずなのに。

 「次ぃ! ……ケッキングなら、ラプラス! 吹雪で凍らせろ!」

 誰がアイスを病弱だと思うだろうか。
 生まれつきなのか、その戦いの才能に嫉妬すらする。
俺の身体の中に……久方ぶりに、戦って楽しみたいという感情が生まれた。
 楽しそうなアイスと同じく、戦いたい。
婚約とか忘れて、楽しみたかった。

 「はは……。キノガッサ、マッハパンチをしてからキノコ胞子で眠らせて、更にメガドレインだ!」

楽しみたい。
もうトラウマなんか知るか。
俺は、楽しみたい。小さな頃の、あの気持ちに戻りたいだけなんだ!


 「ラプラス!」

 「ヤミカラス!」

 「ケッキング!」

皆が同じ言葉を発する。
目的なんて忘れてさ、楽しんでいた。
 アイスには、バトルを楽しませる才能が有ると俺は思う。
だから――皆、アイスが好きなんだ。

 「トドメだ!」

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 『好き』

 「――――あー……あそこで、ケッキングの我武者羅が当らなければ勝てたのに」

 「中々だったぞ」

あほらしいけど。
でも、本気で楽しんでいた。
こんな気持ちは久しぶりだ。

 「ほら、アイスに伝えてこい!」

 「マルスさん……」


 アイスはあの後、倒れてしまった。
バトルに命を掛けていたみたいに、場取る終了と同時に倒れたけど、今は起きている。

 「アイス」

俺の好きな女の子。

 「シャーウ」

私の好きな男の子。

 「…………アイス=C=コールドさん。俺、貴女の事が好きです。俺が一人前になるまで待ってて下さいませんか?
……俺と、付き合ってください」

 俺、顔真っ赤だよ。
返事断れたら悲しいと思うけど、きっとアイスは断らない。

 「はい。私も、貴方が好きです。シャーウ……J」

泣きながら返事をするアイスを抱きしめて、俺はくさい台詞が浮かんだけど、言わなかった。
だって必要ないじゃん。

 「待ってるから――絶対、ぜ、ったい、む、かえに来なさいよ!」

 「うん……。御免ね」

 
 二人は後に結婚する。
そして、二人の子どもが新しい物語を開くのだけど、それは今は秘密。
今は、二人のハッピー? エンドに物語を終えよう。
 そして、二人の恋は永遠となる。

 とりあえず今は、おしまい?

 see you again

It is presented by アットA




 作者から

 台詞多い駄作ですが、貰ってください。

因みに、最終話はこんな風になるかも? と思って書きました。

初めての「ラブモード」小説です。

岩とか投げないで下さいね!

 ※返却不可能です

 

[一言感想]

 マルスさん、大人になったなぁ(第一声がそれか)。
 じゃなくて、いずれにせよシャーウとアイスの2人が幸せになれたなら、何よりであります。
 それと、アイスに若干のツンデレ要素が伺えたことも楽しかったですね(謎)。
 連載小説を書いてると、最終話を早く書きたくなってしまう衝動に駆られます。
 場合によっては、このように短編でフライングしてしまうのも手なんですよね。
 で、実際の最終話がまたちょっと違った話になるのはよくあることで……(ぇ)。
 書きたい話というのは、時間が経つと変化してしまうものです。
 あまりネタを出し惜しみしすぎても、よくないのかも知れません。

 

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