「眠れないのかい?」
スレイ達、理ノ峰と出会った夜のことだ。
ミキが外で1人、ぽつんと夜空を見上げている時に、後ろから声をかけられた。
「! スレイさん……」
草峰スレイ。
異世界にやって来たミキ達を助けてくれた、3人の理ノ峰のうちの1人。
年齢でいえば20歳ぐらいの差があるにも関わらず、この人とは話しやすいと、ミキはそう感じていた。
自分と同じ、草ポケモンを中心とするトレーナーである事も、親近感が沸いた理由の1つである。
「心配しなくても、明日には必ず元の世界へと帰してあげるよ」
「はい……」
優しく語りかけられ、ミキは素直に頷いた。
不安が完全に拭い去られる訳ではない。
まして、スレイとは今日出会ったばかりなのだ。
それでも、何だか……不思議と、落ち着いた気分になれた。
「ねぇ、スレイさん。何か、お話して」
とっさの思いつきで、ミキはスレイに話を求めてみた。
不意を突かれた草峰は、少々戸惑い気味に言葉を返す。
「う、うーん……話かぁ。どんなのがいいかな」
「何でもいいですよ。……じゃ、スレイさんはどんな風にポケモンバトルをするのか、とか」
「私の、戦い方かい?」
「はい。私も、草使いのポケモントレーナーなんです。だから、色々と参考にしたいですし♪」
「そうか。よし、とりとめのない話になるかも知れないが、少しばかり話してみようか」
かくして、その晩。
2人だけの講義が、幕開くのだった。
attribute 〜Enter(中編)〜
【INFORMATION】シャウトを倒せ!
空気が、痛い。
ピリピリと、肌の至る所を針でつつかれるような感触が、ぬるりと全身を舐めまわす。
「……誰、ですか……?」
仰向けの姿勢が、空中で停止した体勢の水峰ユメノ。
そして、彼女を強引に抱き支える、闇色スーツの少年。
見ている灯峰タツヒトも、謎の少年の腕に捉われるユメノ自身も。
新たな登場人物に、目を見張るばかりだ。
「いいね、その態度。恐怖に震え、怯えた顔を見るのは小気味がいい」
少年の笑みは、悪魔そのもの。
暗黒の瞳と、ゴミを見下ろすような邪悪な視線。
両頬に吊り上がる口は、まるで裂けているかのよう。
今にでも、頭をがぶりと喰らってきそうな錯覚を覚える。
「……っ」
少なくとも、こいつは味方ではない。
それは、嫌でも理解できた。
ゆえにユメノは、すぐに腰に装着したモンスターボールへ手を伸ばす。
姿勢の悪い状態であろうと、一流トレーナー並みの身のこなしで、緊急戦闘の態勢に入ろうとする彼女……それを。
「ふっ」
ドゴォっ!!
ユメノの指が、せいぜいボールに触れた辺りで止まる。
どこに潜んでいたのか、頭上からガブリアス♂の腕が振り下ろされ、一瞬でユメノは地べたに這いつくばった。
ボンっ!
「!」
そこへ、ボールの中からポケモンの方が答える。
ユメノのラブカス♀が、倒れた彼女のすぐ横に出現した。
「ピスケス……冷凍……」
バキッ!!
ユメノがラブカスの名を呼んだ辺りで、すでにラブカスはガブリアスの腕に跳ね飛ばされていた。
「ああっ……」
完全に優位に立つガブリアスにとって、もはや瑣末な問題に過ぎない。
それよりガブリアスは、より力を込めてユメノの体を地面に押し潰していく。
「んっ……〜っ!!?」
「ほぉら。もっとひれ伏してみなよ」
「……ぁ……ぅっ……」
ミシミシミシ……っ!!
じわじわと重圧がかけられ、徐々に土に沈むユメノの身体。
ガブリアスの腕力は、いつ彼女をぺしゃんこに潰してもおかしくないほど。
「っ! ヌーマット!」
悶える水峰を、灯峰が放っておけるはずもない。
タツヒトのワカシャモ♂こと、ヌーマットがボールより繰り出され、敵の少年とガブリアスにかかって行く。
「フーディン」
だが、タツヒトの行動は失策だった。
眼前に、不意なテレポートをしてきたフーディンが立ち塞がり、彼と彼のワカシャモをサイコキネシスで跳ね除ける。
「ぐあっ!!」
「君も消耗している分際だろう。ちょっとは立場をわきまえたらどうだい?」
にやにやと、今度はタツヒトを見下し、醜悪な視線を刺してくる。
あんな汚らしい目つきを、今までユメノに向けていたのかと思うと、タツヒトはますます悔しい気分になった。
「……あなたも……絶素ノ峰、ですか」
「聞くまでもないだろう」
なおもユメノを押し潰そうとする、その横で、相変わらずにやにやと少年は答えた。
黒眼黒髪、そして闇色のスーツと、何よりもどす黒い態度。
少年のイメージカラーは、誰が見ても『黒』そのものだ。
「僕の名はシャウト。絶素ノ峰の、雑兵(ぞうひょう)みたいなものさ」
フーディンは、続けざまにサイコキネシスを放つ。
タツヒトもワカシャモも、距離を取りながら逃げ回るので精一杯だ。
「くっ……」
「雑兵だからって、疲弊した君に遅れを取りはしないよ」
逃げ回ると言っても、それがいつまでも続けられる訳ではない。
やがては襲いかかる念波の一発が、タツヒトの足元を捉えて転ばせてしまう。
「うぐっ」
「そら、終わりだ!」
ここぞとばかりに、フーディンが力を込め始めた。
そして動きの止まったタツヒトに対し、特大なエスパータイプの要素力の塊を放つ。
「(……仕方ない)」
このままではやられる。
そう考えたタツヒトは、手首に身に付けている『石』に手をかけ……。
ズドォォンっ!!
直後。
攻撃がぶつけられた一帯を巻き込む、爆発の如き衝撃に呑まれた。
「……!」
だが、それが勝負を決めた一撃にはならなかった事を、シャウトはすぐに察する。
爆煙が立ち上るその向こうから、平然と歩いてくるタツヒトの影を確認できたからだ。
「やむを得ません。『封石』を解除させてもらいました」
「(何だ? 傷が回復している……)」
すでにボロボロだったはずのタツヒトの体のどこにも、ケガを負った痕跡が残されていない。
それも、タツヒトのみならず、タツヒトのワカシャモまでが回復しているのだ。
「……封石、だって?」
「封石の解除を行えば、僕は手持ちの本来の力を出す事ができます。そうなってしまった以上、逃げ道は無いと思ってください」
タツヒトの髪は、燃えるように赤く輝いていた。
それは正しく、理ノ峰の炎使い……灯峰としての存在感を印象付ける姿。
「(『封石』……って、確かタツヒト君の龍の一族としての、血の力を封印するための石……?)」
今なお圧力に耐え続ける状態にありながら、ユメノは思い出していた。
タツヒトは普段、訓練の為に自分の力を抑制する石を装備している。
そしてこれを外した時、本来の力が彼の身に戻り、ポケモン共々に力が何倍にも跳ね上がるのだった。
「あなたを倒す。ヌーマット、大文字」
力を開放したタツヒトは、ワカシャモに纏わせる炎の要素力も飛躍的にアップしていた。
それまでとは比較にならない威力の火炎攻撃を、シャウトめがけて発射する。
「フーディン、『響遮壁』」
対するシャウトも、冷静だった。
フーディンが念の力で、前方にリフレクターのような半透明の壁を生成。
これで、大文字を食い止めにでる。
「『響遮壁』は、僕のポケモンの技としては最強の防御能力。そう簡単に破ることは……」
「…………。その程度で、最強か」
ふっと、タツヒトの顔に笑みが浮かぶ。
そのまま右腕を上に掲げ、こう叫んだ。
「『アウトバーン』!!」
ゴオォォォっっ!!
直後、あたりには強烈な炎の要素力が収束し、大文字の威力が更に振り切れた。
「なっ……!!?」
それは、シャウトのフーディンが防ぎきれる威力レベルを、とうにオーバーしていた。
彼の『響遮壁』は一瞬で粉砕され、もろとも炎の一撃で吹っ飛んだ。
「…………」
これを見届け、タツヒトはゆっくり前に歩み出る。
近づいていったのは、ユメノの元だった。
「大丈夫ですか?」
今の一撃は、ユメノを潰そうとしていたガブリアスをも倒していた。
煙が立ち込める中、若干咳をしながらも、彼女は体を起こす。
「……うん、ありがとう。タツヒト君」
その脇、少し離れた位置。
降り積もった土砂の中から、ゆっくり立ち上がるのがシャウト。
「ぐっ……! まさか……これほどとはね……」
だが、たまらず彼はうめいて、その場にうずくまる。
傍目から見た負傷具合からも、まともに立つことすら叶う状態ではないようだ。
「(『響遮壁』で威力を大幅に減衰させたはずなのに、なおこのパワーか……。これはさすがに、侮ってたかな……痛っ!?)」
それでも、シャウトは笑みを絶やさない。
口からも血を流し、苦しい様子も目を見れば一目瞭然であったが、それでも彼は態度を変えなかった。
「……やれやれ……。こんな事なら……素直にゾルガの言う事を聞いて、矢面に立つんじゃなかったよ……」
「? ゾルガ?」
初めて耳にする名だった。
ユメノが思わず聞き返すと、ずたぼろのシャウトは、改めて口を両端を吊り上げた。
「ほら、いるだろう?」
シャウトは、最後まで笑っていた。
たとえ自分が『戦い』には負けても、『勝負』には負けない事が分かっていたから。
「……君らの、後ろに」
この直後、タツヒトとユメノの意識はブラックアウトする。
その、刹那の間に。
背後に立つ、シャウトと同様のスーツ姿をした、両目を閉じっぱなしの不気味な男の姿を、わずかに確認できた……。
【INFORMATION】この戦いでは要素力を発揮できない
「パワーウィップ!」
「ウッドハンマー!」
ドゴォンッッ!!
巨大な衝撃がほとばしり、大地が揺らいだ。
「(! 足場を……)」
理ノ峰の草峰スレイ。
彼は今、宿敵たる絶素ノ峰の死峰ラドノスとの戦いに臨んでいた。
スレイのモジャンボ♂が攻撃する相手は、ドダイトス♂。
だが、敵のドダイトスはパワーウィップの一撃を受けようと物ともせず、地面を強打することで足場を割り、スレイを追い込む。
「つるを伸ばせ、モジャンボ!!」
安定を失うモジャンボとスレイ。
しかしモジャンボは、すぐさま広範囲へ大量のつるを伸ばし、衝撃の届かない岩や木の幹に結びつけた。
結果、大規模なつるの網を生成。
これを、地面を砕かれた事への対抗手段とするのだった。
「さすがに、隙を見せないな。草峰」
風の要素術により、ポケモンと共に空中へ浮かびながら述べるラドノス。
彼には、足場の悪さなど関係がないのだ。
「(だが……より厄介なのは、やはり奴の『要素拡散』か)」
前回も語られたように、この世界のトレーナーの中には、要素力によりポケモンの能力を強化するすべを会得している。
ただし、それを扱えるのは一握り。
表で活躍する人間よりかは、主に裏の世界で暗躍する上位の犯罪者、及び彼らを取り締まる特殊部隊達に、これの修得者は多い。
要素力の扱いを修得する者は、ポケモンが持つ本来の能力以上を引き出すことができるのだ。
「(その能力強化を、奴は……ラドノスは、容易く解除してしまう)」
「迷っているようだな、草峰。我が要素拡散、それほどまでに厄介か?」
ラドノスは、始めから余裕の笑みだった。
己の力に絶対の自信を持ち、敗北の可能性など微塵も感じていない顔つきだ。
「知っての通り、我が要素拡散の能力は、相手の要素力の収束を妨害する。要素術の発動も、それによるポケモンの能力強化も、我が術によって正常に効果を発揮できなくなるのだ」
「…………」
「それは、要素力によるポケモンの強化を、特に得意とする貴様とて同じこと。普段のようには、戦えまい」
ドダイトスは力を込め、一気に突撃してくる。
ギガインパクトだ。
「っ!!?」
モジャンボとスレイは、ぎりぎりのところで直撃を回避。
だが、足場を作っていたつるの網は、容赦なくブチブチっと千切られていく。
パワーとしては、完全にスレイ側が負けていた。
「(パワーでは太刀打ちできないな。奴は私と違い、要素力によるポケモンの強化を、自在に行えるのだから)」
ラドノスの要素術、要素拡散の一番厄介なところが、そこにある。
要素力を上手く扱えなくなるのは、あくまでもラドノスに敵対する相手のみなのだ。
「要素拡散を発動中でも、ラドノス……お前だけは要素力によるポケモンの強化を、好きなだけ使えるのだからな。さぞ、戦いやすい事だろう」
「皮肉のつもりか、草峰? だが、貴様の言うとおり」
ギガインパクト発動後に、敵ドダイトスが反動で動きを止めたのは、わずかな時間のみだった。
スレイが体勢を立て直す間には、相手は次の動きを始めている。
要素力の強化は、機敏さをも強化されるらしい。
「貴様は、要素拡散によって要素力による強化を阻害され、ポケモン本来の力のみでしか戦えない。対してこちらは、好きなだけ要素力による強化を行える。この状況下で、我がポケモンの力に敵う道理はない!」
「確かに、こちらの不利には変わらない……が」
またも足を上げ、ウッドハンマーを繰り出そうとする、敵ドダイトス。
対するスレイのモジャンボは、相手の足元から振り上げるようにして、パワーウィップを放つ。
「今だ、『再生緑素』!!」
そして衝突の瞬間。
スレイが鋭く、独自の技名を声に出す。
「これは!?」
途端に、モジャンボの周囲を要素力のオーラが包み込む。
先ほどスレイが付与した、ポケモンを強化する力である。
「(こちらとて、要素拡散の対策を練っていない訳ではない。『再生緑素』は、モジャンボ自身が受けた能力上昇効果を解除されても、短時間以内であれば自力で元に戻せる、オリジナルの技だ!)」
「なるほど、さすがに何も準備をしてないはずもなしか、草峰」
モジャンボとドダイトスの攻撃が、次の瞬間に衝突。
要素力の強化を取り戻したモジャンボは、敵と対等のパワーを発揮する。
「……だが、甘い」
と、そこでラドノスは、容赦なくモジャンボに手をかざす。
すると、再生緑素により復活した要素力の強化効果が、たちどころに消えてしまった。
「我が要素拡散とて、何度でも行える。いくら元に戻そうと、無駄な事だ!」
そして、追い打ちと言わんばかりに、もう1匹の敵が姿を見せる。
いつの間に繰り出したのか、ラドノスの背後からエーフィが飛び出し、球体の形をした、特殊版の破壊光線を発射。
「要素力の強化状態を解かれた貴様に、これが防げるものか!」
「あぁ。防げは、しない」
すると、スレイの言葉を合図に、モジャンボが一部のつるを急激に縮小し始める。
それはまるで、ゴムのようだった。
後方の岩や木々へと伸ばして縛り付けていたのつるのみを縮めさせ、モジャンボとその上に乗るスレイを、一気に後ろへと下がらせる。
無論、これにより破壊光線の照準はズレた。
「何っ……」
破壊光線は、先ほどまでスレイがいた場所で、何ら獲物を捉える事なく炸裂。
無意味と化した一撃は、大規模な砂煙を巻き起こして、ラドノスの視界を遮った。
「(ここだ!)」
一気に縮み、モジャンボを急後退させたつるは、即座にブチっと千切れる。
するとモジャンボの進行方向は、180度ひっくり返った。
破壊光線が外れ、煙が巻き起こる中……先ほど自分がいた場所の前方へと。
モジャンボは、再び飛び込んだのだ。
「なっ!?」
攻撃を外した瞬間に見せた、ラドノスの一瞬の隙。
その間には、モジャンボは煙の中を突っ切り、そのまま一気に敵の眼前へと躍り出た。
「いくぞ、ラドノス=ロジクター!!」
モジャンボは片腕を振り上げ、全力で叩きこむ。
その先端には、草属性と毒属性の融合エネルギーが凝縮されていた。
「『グリーンアシッド』!!」
「おのれっ、草峰……!」
ズドォォォッッ!!
間違いなく、大技に値する一撃だった。
ラドノスは、かろうじて自分のエーフィとドダイドスを呼び、眼前で盾にさせたが……。
「ぐっ!!?」
到底、衝撃までは防ぎきれず。
激しい音、そして砂煙と共に、思いっきり吹っ飛ばされたのだった。
「はぁ……はぁ……。ど、どうだ……」
モジャンボの背から降りたスレイも、息切れ混じりで前を見る。
いくら身体を常人以上に鍛えているとはいえ、これ程のポケモンの動きに乗ったままで、戦闘を行っていたのだ。
負担は見た目以上に大きい。
「……いや、まだだ……ラドノスは、この程度でやられるような奴では……」
前方に、ラドノスの姿は見えない。
防ぎ切れる一撃でなかったことは、技を放ったモジャンボの主、草峰スレイが一番良く分かっている。
ただし、クリーンヒットもしなかった。
まだ、終わりとは思えない。
「…………」
ドガァッ!!
「!?」
どこか、少し離れたところから響いたようだ。
不審な衝撃音……位置的に、ラドノスの仕業とは考えづらい。
「何だ!? まさか、ミキやアスに何かが……それとも」
灯峰や水峰とも、はぐれたまま。
何かしら不穏な気配を感じたスレイは、改めて前方を見渡しながら、再度考え込む。
砂煙はだいぶ消えてきたが、ラドノスの姿は依然確認できない。
「(ラドノスを、このままにしておく訳にはいかないが……しかし)」
ぎりっと、穏やかな彼に似付かず、悔しさをにじませる歯ぎしりをする草峰。
それでもスレイはきびすを返した。
「(それでも今は、あそこに行くべきだという気がしてならない……!!)」
ラドノスとの決着をつけられなかった想いを、拳を握るのみで抑え込み、スレイは走りだす。
つまり彼にとって、『そちら』の方が優先事項だったというだけの事。
【INFORMATION】ゾルガを倒せ!
木々がまばらに立ち並ぶ、荒れた林の中だった。
走るスレイは、目の前に不審な2人組を発見する。
「今回は油断が過ぎたな、シャウト。お前ほど用心深い奴がケガするとは、珍しい事もあったものだ」
2人はどちらも黒髪で、闇色のスーツ姿。
片方は10代半ばの少年、片方は20〜30代の男性である。
「……うるさいな、ゾルガは。ちゃんと、お前が助けに来る事は計算に入れてたさ」
「ならば次は、ケガする前に上手く事が運ぶような計算を練っておくのだな」
「…………。分かったよ、こんな失態は今回限りだ。肝にも銘じておく。……そうすれば、いいんだろう?」
2人が、何のことを話しているのか、来たばかりのスレイには分からない。
ただ、シャウトと呼ばれていた少年の方が、負傷している様子。
そこから察するに、恐らくこの2人は仲間同士であり、少年の方が何かしらの失敗を犯したのだろう。
だが、それより重要なのは、彼らの足元。
そこに横たわる姿に、スレイは嫌でも目が奪われた。
間違いなく、それは灯峰タツヒト、水峰ユメノのものだったからだ。
「これは……!」
「おや? ひょっとして、探す手間が省けたかな」
シャウトとゾルガも、草峰スレイの存在を確認したようだ。
おのずと対峙する双方……そこで、スレイはぞくりと寒気に襲われる。
「(なっ、何だ!?)」
両目を閉じたままで、微笑を浮かべるスーツ姿の男、ゾルガ。
彼を見た瞬間、首を握りつぶされるような錯覚に襲われた。
「っっ!!」
どっと噴き出る全身の汗、止まらぬ震え、乾く喉。
それら、全身の過敏な反応は、単に相手の『雰囲気』を見てとっただけで起きた症状に過ぎない。
ただ、これでスレイは確信する。
「(この男……バケモノだ……!!)」
本来ならば、すぐにでも逃げ出すべき状況だった。
今、スレイの目の前に立つのは、そういうモノなのである。
しかし、無論その選択肢は取れない。
目の前で倒れるタツヒトとユメノは、彼らにやられたからこそ、そこにいる事が明白だからだ。
「……っ」
スレイはモンスターボールを握りしめ、相手の様子を伺う。
一方ゾルガは、不敵な表情を崩す気配はない。
「いい構えだ。さすが熟練のトレーナーは、鬼気迫るものがある」
目を閉じたままだというのに、相手にはこちらの体勢が分かっているようだった。
もっとも、相手の視力が無い事などに、始めから期待はしていないが。
「……! モジャンボ!」
先に仕掛けたのはスレイ。
1秒にも満たない間に、モジャンボのパワーウィップがゾルガに届く。
「ふっ」
いや、届きかけた。
紙一重でゾルガは、攻撃がかすめる事も無くかわしてしまったのだ。
ところが、次に起こった現象には、わずかにゾルガの顔が強張る。
不意に周囲を、無数の草の葉に囲まれたのだ。
「葉っぱカッター!!」
ザンっ!!
響いたのは少女の声、刻むは葉の1枚1枚に仕込まれた鋭利の刃。
無数の葉は、その一瞬で対象を蹂躙した。
「あれは……!」
スレイが、声の方を見る。
そこにはフシギソウ♀を従えるミキ、それにアスの姿を確認できた。
「! 外した!?」
ミキの声で、スレイも気づく。
敵はいつの間にか、離れた所で佇んでいた。
スーツやネクタイには若干斬られた跡が残っているものの、ダメージも息切れも皆無に見える。
「何、今の!? 人間の動きじゃないわ……。あれも、要素術なの?」
ミキの隣で、アスが自分の事のように悔しがっていた。
実際、今の一撃は、普通の人間ならば避けようのない一撃だったはず。
「(とはいえ、ミキのフシギソウ、相当の力量(レベル)だ)」
スレイの方は、ゾルガに注意を払いつつも、横目でミキ達を伺う。
「(今の一撃にしたって、ムダの無い動きと、ぎりぎりまで気づかれない技術。ヒットしてさえいれば必殺レベルの威力も含め、彼女は攻撃だけなら、理ノ峰メンバーにも匹敵しうる腕だ)」
スレイの目に、わずかな勝機が見え始めていた。
彼はすぐに、離れた位置にいるミキにも聞こえるよう、大声で呼びかける。
「ミキ、それに戦えるのならアスもだ。すまないが、手を貸してくれ! 君達の協力があれば、何とかなるかも知れない!」
状況は3対2。
いや、シャウトの負傷具合から見て、彼を戦力外と見るなら3対1。
明らかに、スレイ達の方が優勢であった。
「ゾルガ、どうするんだい? あのお嬢さん方もかなりの腕前みたいだし、さすがに草峰も合わせて同時に相手するのはキツイんじゃ……」
「愚問だな、シャウト。お前の目は、いつからそんな節穴になったのだ」
「ん?」
怪訝そうな顔を見せるシャウトなど、どこ吹く風か。
ゾルガは不気味な微笑を取り戻すと、目を閉じたまま首だけ動かし、スレイ、ミキ、アスを順に見渡す仕草をした。
「この私が、あの程度に遅れを取るとでも?」
ゆらりと、実に緩やかな動きで姿勢を変えていくゾルガ。
それが、嵐の前の静けさのようで、かえって不気味に見える。
「(来る!?)」
アスは、すぐに自分もポケモンを出すべきと判断。
彼女の指が、すかさず腰に装着されたモンスターボールへと伸びる。
その一方でゾルガの、それまで閉じ切っていた目のまぶたが、かすかに動いた。
開いているのか、いないのか。
はたから見ると、ほとんど閉じた状態のままではないかと思えるぐらい。
それほど、ほんのわずかにだけ……ゾルガの左目が開いた。
――“微開・魔属眼”
「痛っ! え、何?」
突き指……というほど大事ではないが、それに近い感触を人差し指に感じた。
アスは、自分の腰に手を伸ばし、モンスターボールをつかもうとしただけのはず。
それなのに、堅い岩に指をぶつけてしまったような、したたかな痛みが手先に走る。
「アス……さん……!!? どうして、それ……」
「……え?」
ミキが、信じられないものを見るような目で、アスの姿を見ていた。
そんな彼女の表情から、ようやくアス本人も、『自分の異常事態』に気づく。
「何……これ?」
アスの腰から下が、岩のように固まり動かなくなっていた。
いや……実際、本当に石と化していた。
「馬鹿な、石化能力だと!?」
下半身が石と化したアスを見て、離れた位置からスレイも驚く。
……と。
「スレイさん、後ろ!!」
「!?」
ミキが叫んだ時、いつの間にか背後に回り込んでいたゾルガが、スレイ目がけて腕を振り下ろしていた。
すかさず彼のモジャンボが割って入り、パワーウィップでゾルガの腕を打ち払う。
「フシギソウ、エナジーボール!!」
更にミキが、遠距離攻撃でゾルガを牽制。
だがゾルガは、飛んできたエナジーボールの攻撃を、自身の腕を一閃振るうだけで打ち消してしまった。
せいぜい、彼のスーツの一部を吹き飛ばすのみに留まる。
「そんなっ、ポケモンの技を生身で……。やっぱこの人、普通じゃないよ!」
「……くぅっ!」
その横で唸るアスは、ただ傍観することを許されるのみ。
足は石化して動けないのは当然として、腰もモンスターボールごと石化したのだから、事実上戦闘不能なのだ。
「こいつの能力といい、戦いが長引くと不利か」
予想だにしなかった敵の能力に、さすがの草峰スレイも恐れを成していた。
同時に、決めるならば早期決着しかないと悟る。
「モジャンボ、後の事は考えなくていい。全ての力を、腕先に集束させるんだ!」
モジャンボは言われるまま、全エネルギーを一点に集束させた。
これを放てば、もう立てなくなるだろうと思える程の、全身全霊の一撃を実現させる為に。
「!」
そのパワーを感じ、ゾルガもかすかに表情を変える。
彼はすかさず、手近なところにあった木の影へ隠れる。
「これで決まれ……『グリーンアシッド』っ!!」
モジャンボが突進混じりに、草属性と毒属性の要素力を練り上げた腕を叩きこむ。
その、徹底的に力を凝縮させた破壊力は、極限の純度に達した一撃。
この世の全てを消し飛ばしかねないそれは、木の影に隠れた程度では、ちり紙を盾とするに等しいと思われた。
それを前にしたゾルガは、再び左目が動く。
今度は先ほどより、更にもう少しだけ。
半開きという程度にまで左目が開き、銀色の瞳がわずかに姿を見せていた。
――“半開・魔属眼”
ズドォォォンっっ!!
そして……スレイ渾身の一撃は、完全に決まった。
「(ス、スレイさん……これ程だなんて……!)」
衝撃の余波は、強風となってミキ達まで襲っていた。
身構えて、どうにか耐える彼女は、それでも攻撃が炸裂した前方に目を凝らした。
「……な、何っ……あれ……?」
「っ!!? 馬鹿な……」
そこにそびえているのは、石化した一本の木であった。
これ自体は、恐らくアスを石化させたのと同じ能力であると察しがつく。
もっとも、アスの時と違い、木一本まるごとを一瞬にして石化させたようだったが。
しかし問題は、石化した木が、無傷でそのまま立っていたことにある。
傷どころか、歪み1つ確認できない。
「何故だ、あれ程の一撃を受けて……どうして……」
スレイが信じられないという表情になるのも、当然だった。
普通の岩や鉄の塊なら、今の一撃で跡形もなく、粉々に砕け散っていたであろう。
それ程の威力があったのだ。
もはや木を石に変えたところで、何がどうなる訳でもないはずだった。
しかし、現実は違う。
ゾルガは、無傷な石化した木の後ろから、悠々と姿を見せたのだった。
「ただの石じゃない……という事なの……?」
「……! モジャンボ!?」
スレイの横で、モジャンボは息も絶え絶えになっている。
元より、それを覚悟の上で放った一撃だった。
「終わりだな」
ゾルガが、再びゆらりと動きだした。
…………。
ブシュゥッ!!
「かッ……」
「スレイ……さん……?」
血が、滝のように吹き零れる。
目の前が赤に染まる様を、ミキは呆然と眺めていた。
「やっ……いやあああっっ!!?」
目で追えぬ動きの後に、ゾルガの腕は、スレイの胸を背後から貫いていた。
ゾルガの腕を塗り潰し終えた鮮血の赤は、そのまま周囲をその一色で侵食していく。
「ごふっ……モ……ンボ……」
がくがくと震える、スレイの手は、少しずつモジャンボの腕へと伸びて行き……一瞬、つかんだ。
「……届……け……彼女へ……頼……む……ぐふぅっ……!」
隣にいたことで、スレイの大量出血が降りかかるモジャンボは、即座に動き出した。
本来ならば、もう立てる余力すら残っていなかったが、血の熱がモジャンボに力を与えていた。
「……っっ!!?」
目をぎゅっとつぶり、小刻みに震えるアス。
「いや……やだ……スレっ……さん……ああっ……!!」
涙が溢れ、まともに言葉も介せないミキ。
そんな彼女の元へ、瀕死寸前のモジャンボが辿り着く。
「……!?」
モジャンボに、手をつかまれた。
何か、翠に光るものを握らされる。
ミキが、泣きながらそれを自覚した直後に……。
「お前達も終わりだ。諦めろ」
ゾルガの声が聞こえ、スレイを貫いたままでこちらを向いて、またもほんのわずかに左目を開いて……。
ミシミシと、ミキとアス、それにミキのフシギソウやスレイのモジャンボまでもが、みるみる石と化していく。
「あっ……あああ……!!?」
「んっ……んぅっ!!?」
こうして、やがて足から頭まで、全てが石となることで意識を失う、その数秒前。
ミキは、涙で潰れそうな目を懸命に開いて、スレイの最期を看取る。
「…………。…………」
スレイはもう、言葉も発せず、目も見えない状態のようだった。
それでも、もごもごと動く口元を見ただけで、不思議と彼の言葉が聞こえた気がした。
理由は分からずとも、その内容が確かである事を。
ミキは、不思議と確信できた。
――すま……ない……。でも、きっとそれが、君を護ってくれる……。――
【INFORMATION】ゲームオーバー
その場に残されたもの。
事切れた草峰に、物言わぬ石と化したミキとアス。
ゾルガは、腕に付着する血を適当に払って、ゆっくりシャウトのそばへと戻っていく。
「……むっ!?」
その途中、彼は歩みを止める。
後ろから、ぞくぞくと殺気が突き刺さるのを感じたからだ。
「いつの間にか、意識を取り戻していたか」
灯峰と、水峰だった。
タツヒトとユメノは、立ち上がる事こそ叶わなかったが、いずれも涙混じりの形相でゾルガを睨みつけている。
「…………」
距離にして、10mそこそこ。
無論ゾルガは、すぐにでも残った2人を始末しようとするが……。
「やめときなよ、ゾルガ」
「! シャウト……」
シャウトの方からゾルガに歩み寄り、タツヒトとユメノが睨む前へと立つのだった。
「こいつらは、鼠(ねずみ)さ。這いつくばったドブ鼠。……けど、世の中には『窮鼠(きゅうそ)猫を噛む』なんて、ことわざもある。追い詰められた鼠は、天敵である猫をも噛むんだとか」
「…………」
「噛みつかれるかもよ、ゾルガ?」
にやっと、振り向きざまに口を吊り上げ、醜悪な笑みを浮かべるシャウト。
それを前に、ゾルガも動きを止めた。
「……今回の依頼は、あくまでも理ノ峰の重鎮存在、草峰の抹殺だったな」
「その通り。他は、ひとまず余計って事さ」
ゾルガは頷き、改めて周囲を見渡した。
主に、そばにいるシャウト、そして石化したミキとアス。
そして、もう一度だけ。
彼は、普段閉じっぱなしな目を、やはり傍目からは開いているのか分からないぐらいに、ほんのわずか開いた。
ただし、今度は石化の時とは違う。
今回かすかに開いてみせたのは、右目であった。
――“微開・天属眼”
ポウっと、ゾルガとシャウトの足元から、不思議な白い発光が立ち上る。
それは、ミキとアスの石像も対象としていた。
「なっ……」
驚くタツヒトが目を見張る、その前で。
敵2名、そしてミキとアスは、足元の光に吸い込まれるかのように、ゆっくり地中へと沈んでいく。
やがて、それぞれの姿が完全に沈みきったとき。
光は消え、横たわる3人の理ノ峰だけが残された。
内1人に、もう息は無かった……。
【INFORMATION】目覚め
ミキの意識は、暗黒の中を彷徨っていた。
見えるものも、聞こえるものも、何もない。
「…………」
しかし、それは間違いだった。
本当に何もないなら、『見えない・聞こえないという自覚すら持てない』はずなのだから。
つまり、何も見えないし何も聞こえない……そう自覚した瞬間。
すでにミキは、『見る事』も『聞く事』も、できるようになっていたのだ。
「だから、そろそろ目覚めなさい」
その為か。
何かが聞こえたと感じた時、それを気のせいだと思ってしまった。
「怖がらないで。この世界は……貴女が怖れるほど、地獄が広がっている訳ではないはずよ。」
少しずつ、ミキは目を開く。
眩しい光が、彼女の瞳を照らし始めた。
「…………。え……」
眠っている本人には、どれくらい眠っていたかなど自覚できないもの。
ミキも同じ、自分がいつから意識を失っていたかなど、理解できるはずもなかった。
「…………」
「おはよう」
優しい、まるで母親のような声だった。
と言っても、そこにいたのは見知らぬ女性である。
「…………」
なおも呆然として、ミキは辺りを見渡す。
状況をはっきり掴めないまま、目の前の女性が語りかける言葉を耳にするしかなかった。
「私の名はキヨミ。理ノ峰のリーダー、ノーマルタイプを司る『基峰』よ」
「…………」
「落ち着いて聞いて? 貴女は3年の間、つい今さっきまで石になっていたのよ」
「……えっ」
突然、何を言われたのかも理解できない。
しかし、彼女が冗談を言っているようにも思えず……ミキは必死に、意識を失うまでの記憶を探す。
「私は……私、は……。あっ……」
そしてようやく……彼女の言葉の意味と、自分がどういう状況に置かれていたか。
それらを自覚し始めた時、不意にミキは、この場にいた他の存在に気づく。
「ミキちゃん、大丈夫!? 痛いところは無い?」
「……ユメノさん……それに、タツヒト君……!?」
立っていたのは、少し成長した姿でそこにいる、水峰と灯峰に違いなかった。
続く
という訳で、3話目はだいぶ暗い話になってしまいました。
元よりEnterについては話の流れを最初から決めて執筆しているのですが、この手の話になると、やはり書きづらい……。
次回で一応、Enter編は完結です。
ミキ達の本当の戦いは、ここからと言っても良いでしょう。
スレイのモジャンボですが、『再生緑素』や『グリーンアシッド』は、ポケモンカードの技です。
モンジャラLV.41というカードに、この技名が載ってました。
ただし、技の効果などについては、まるで違うものになっているかと思います。
<オマケ1>
私……ミキは、3年もの間、石にされていたらしい。
もうそんなに時間が経っていたなんて、にわかには実感つかめないけれど。
「元の世界にいるパパやママ、心配してるだろうなぁ……」
「石像になったミキちゃんやアスちゃんを、あの2人が持ち去って行ったからね。見つけるのに、こんなにも時間がかかってしまって、ごめんなさい」
そう言って、ユメノさんは謝った。
別に、ユメノさんが悪い訳でもないのに。
「でも、何であの2人は、私とアスさんの石像を持ち去ったんだろう?」
「実はミキちゃんは、ネットオークションに出ているのを私達が見つけて、競り落としたの」
「え゛っ、そんなとこで!?」
なんか……。
自分のぞんざいな扱われ方に、ちょっぴりショック……。
「連中は売却目的で持って行った後、3年の間に巡り巡って、最終的にネットオークションに出されたってことでしょうか」
タツヒト君は、そう言っていた。
けど、それってなんか、私が要らなくなったから売られた的な印象を受けるなぁ……そう言う問題でもないんだけど。
「ちなみに私達がオークションで落とした時、最後の競り相手が40代無職の男性だったわ。美少女フィギュアばっかり競り落としてる人だったよ」
「煤c…もしかして私、何気に物凄いピンチだったってことじゃ!?(汗)」
ユメノさん……私を買ってくれて、本当にありがとう……(ぇ)。
<オマケ2>
「でも、本当に3年も経っちゃったんだ。なんだか、実感沸かないなぁ……」
「ミキちゃんは3年経っても、石になっていたから身体の成長とか、変化はないみたいね」
そういえば、タツヒト君やユメノさんだけは、背が少し伸びたみたい。
あの時、タツヒト君が11歳で、ユメノさんが13歳だったから……。
「……14歳と、16歳? いつの間にか、2人とも私より年上になっちゃったんだ……(私13歳だし)」
けど、そういうのって戸籍上どう扱われるんだろう。
やっぱり16歳って事になっちゃうのかなぁ。
「実は、ミキちゃんの元の世界の戸籍を改ざんしたの。13歳に……」
「そ、そんな事まで出来るのね……」
「……しようと思ったら、間違えて113歳って表記になっちゃって……どうしよう(汗)」
「狽竄セ直してー!!?(涙)」
というか戸籍って生年月日は扱うだろうけど、今何歳かなんてのは書いてないと思います。 by.筆者