外伝4 悲しきバレンタイン
これはジェットがスペクターに洗脳される前の話である。
2月14日・・・・それは女性が意中の男性が想いを告げ、そしてその想いのこもっ
たチョコレートを渡す日である。
しかし・・・・・・・これからお話しする2人についてはそうは行かなかった様だ・
・・・
何故なら・・・・・・今チョコをを渡された彼が立っているのは・・・・・・。「墓
地。」
ここはハナダの岬・・・・・・・・カップル達のデートスポットとして有名なここは
日々多くのカップルが訪れている・・・・。
だがその岬の外れには誰も近づかないような断崖絶壁が存在する。そこに彼───
ジェット=ゼフィルードは訪れていた。
ジェット「あれから11年か・・・・・・・。」ジェットはただただ遠くを眺めてい
る・・・・・。そして彼の目前には・・・・手製の墓標がある・・・・・。
・・・・・俺も感傷的になったものだな・・・・。
だが・・・・今年もそうだったが、お前を一度も忘れることが出来なかった・・・・
やっぱりお前の居ないハナダは俺の帰る場所にはならないかもしれない・・・・・・
・・
俺はどうすればいい?
・・・・・・・・・チッ、俺もまだまだ弱いな・・・・ 心のうちで思いながら・・
・両手を合わせ拝むような格好になる・・。
その姿勢はまるで何かに祈るかのような姿勢で────────。
???「ジェット・・・・・・?」 と、突然背後から声がする。
ジェット「・・・・・・・・、カスミか。」 ジェットは振り向くと珍しく微笑んで
見せた・・・・しかしその表情晴れない。
カスミ「あなたの事だから・・・『今日』は必ずここに来ていると思ったわ。・・・
・それに私にとっても今日は特別な日だから・・・」
ジェット「・・・・・・・そうだったな、アイツはお前を妹みたいに思っていたから
な」
カスミ「ええ、本当に私にとっても・・・・お姉さんだったわ・・・・・でも何であ
んなに良い人が・・・・・」そこまで言ってカスミはハッとなった。
ジェット「・・・・・・・・すまなかった・・・アイツは俺が殺したも同然だ・・・
・・」
カスミ「そんなことは無いわ!!あなたは・・・・あなたが出来る精一杯をやったの
よ・・・」 カスミは少し声を大きくして言った
ジェット「・・・・・・・。」
カスミ「・・・・・・・あの日も・・・・今日みたいに晴れていたわね」カスミは空
を見上げてながら言った。
実際この日は空はとても蒼く・・・・・その色が・・・先に逝ってしまった彼女の髪
の色にそっくりだった・・・・。
ジェット「・・・・・そうだったな・・・・だが俺は嫌な予感が消えない日だった」
11年前。
ジェット「こちらタマムシ精鋭軍マリンチーム副隊長ジェット・・・・。エリカ、敵
の情報を送ってくれ」
エリカ「ジェット、気をつけなさい・・・・その先にはロケット団のアジトがありま
す・・・わたし達が応援に駆けつけるまで様子を見ていてください。」
ジェット「了解した。ミッションを開始する」 そう、かつてジェットはタマムシ精
鋭軍に居たのだ。その類まれな才能で11歳にして既に副隊長の座に上り詰めていた
のである。
そして・・・・・アジトに侵入したジェットが見たものは・・・・・・。
???「・・・・・・待っていたわ・・・・・ジェット」
ジェット「カレン!!・・・・・何故だ!!?・・・・・何故お前がいるんだカ・・
・・・・」
カレン「ゴメンね・・・・・私も悪に堕ちてしまったみたい・・・・・・あなたの世
話を出来るのは今日までだわ・・・出来ることならここで私を超えて!!」
ジェット「それがお前の答えだというのなら・・・・・俺はお前を敵とみなして・・
・・・戦う!!!」 ジェットは胸のうちの動揺を隠して言い切った
そして・・・・・・・・。 激戦の末・・・・ジェットは彼女に勝利をしたのだった
・・・・だが。
エリカ「はぁ・・・はぁ・・・・ジェット・・・・・・それに・・・カレン・・・」
よほど急いできたんだろう・・・・息切れしながらエリカが駆けつけてきた。
ジェット「俺は・・・大丈夫・・・・それよりこいつを・・・・・頼むから医者を呼
んでくれ・・・・時間がなさそうだ」 ジェットもかなり動揺した表情で話してい
る。
エリカ「!!?・・・・・これ行けません!!医療班を呼んできますわ!!」エリカ
は彼女の様子を見るなり、またもと来た方向へ走り出した
そして・・・・・。
カレン「・・・・・・ジェット・・?」 弱弱しい声で彼女が話し始めた。
ジェット「起きたのか!!・・・・どうしてあんな無茶をした!!」
カレン「あなただけは傷つけたくなかった・・・・私にとって・・・・あなたは・・
・」
ジェット「もういい、それ以上しゃべるな・・・・傷に響くぞ」
カレン「・・・・ね、ねえ?ジェット・・・・・一つだけお願いしていい・・・・
・?」
ジェット「なんだ・・・・?」
???「私を・・・・・思いっきり抱きしめて・・・・・」
ジェット「・・・・・・・」
カレン「・・・・・・ちょっと図々しいかったかな・・・・・・・?」
ギュッ!!!!
ジェット「馬鹿いうな・・・・・・このくらいいつでも出来るだろうが・・・・・
・」
カレン「ふふふ。そうだったわ・・・・ね・・・・・もう一つ・・・・・お願いしよ
うかな・・・・」
そういって彼女は目を閉じて・・・・唇を緩める・・・・ そして・・・ジェットの
顔が近づき・・・・二人は唇を重ねた。
カレン「・・・ありがとう・・・・ジェット・・・・私・・・・は・・・あ・・・な
た・・・を・・・愛・・・して・・・い・・・・から・・・・・」
目をゆっくり開けたカレンが弱弱しく言ったかと思うと・・・・・再び目を閉じて・
・・・さらに彼女の身体から力が抜ける
ジェット「・・・・・カレン?・・・・・!!・・・・・・うっ・・・・・うおおお
おおおおお!!!!!!!!!!」
やがて現実を理解しジェットはその場に崩れ落ちた。
そして現在・・・・・・。
カスミ「ジェット・・・・・大丈夫?」不意にカスミの声がして・・・ジェットは我
に返った。
ジェット「・・・・・・余り大丈夫じゃないな」ジェットは珍しく弱音を吐いた。
カスミ「念を押すけどカレン姉さんの事は・・・・・あなたの所為じゃないわよ」
ジェット「・・・・・」
カスミ「良い?カレン姉さんはあなたの幸せを願っているのよ・・・・・だからあな
たが悲しむ所は見たくない・・・そうでしょ?」
ジェット「・・・・・それはわかっているが・・・・」
カスミ「だったら・・・今を精一杯生きなきゃだめよ・・・・・それにあなたにはや
るべきことがまだたくさんあるでしょう?」
ジェット「!!・・・俺のやれること・・・・それは・・・・・ジェードの成長を見
守ること・・・・・そしてロケット団を倒すことだ」ジェットは自分に言い聞かせる
ようにして言った
カスミ「・・・・・・そう。なら今は泣いている場合じゃないわよ・・・・・私も付
いているから・・・あなたは前を向いて走りなさい」
ジェット「・・・・・・・・カスミ・・・・・」
カスミ「・・・えっ・・・・」
ジェット「ありがとう」ここでジェットは会心の笑顔を見せた。そしてなんとカスミ
を抱きしめる
カスミ「・・・・・・え・・・あ//////」カスミはカスミで赤面してしまう。
ジェット「色々考えていたやっぱり俺にはお前が必要だ・・・・・・。平和になった
ら・・・・また会いに来る」
カスミ「・・・・・・あ、あのね・・・・ジェット・・・実は今日は用事が有ってき
たの」
ジェット「なんだ?」
カスミ「こっこれ!!・・・私も・・・・・あなたの事・・・・好きだから・・・
・」 カスミは慌てながらジェットに今日のために作っていたチョコレートの入った
箱を渡す
ジェット「・・・・・そうか・・・・今日はバレンタイン・・・・だったか?ありが
たく貰って置くぞ」ジェットもしっかりとその箱を受け取った
カスミ「・・・・・・気をつけてね」
ジェット「俺は大丈夫だ・・・・・そっちも・・・ロケット団の奴等が最近動いてい
る・・・ハナダもちゃんと防衛策を考えておくんだな」
カスミ「分かったわ・・・・また会いましょう」
ジェット「・・・・・当然だ」
こうしてまた一つのカップルが誕生した。
[一言感想]
そして、ジェットは戦いに赴くが……カレン同様、敵の手に落ちてしまった訳で。
ポケスペ原作でのカスミの扱い(FR・LG編で出番無し)といい、つくづく不運に見舞われがちです。
それでも、この時のカスミは幸せだったのでしょう。
この幸せを、どうか奪還してほしいものです。