「おい、ヤマト!ここが我々が現在マークしろと言われた場所だよな?」
「そうよ!ここよ!」
ヤマトと呼ばれた金髪の女が少し苛立って答える。
「そんなに怒らなくたっていいじゃないか。」
「怒りたくもなるわよ!ここに着てから、野生のポケモンに襲われてばっかりじゃないのよ!・・・ってまた来た!逃げるわよ、コサンジ!」
「俺はコサブロウだ!!おい、置いてくな!」
ヤマト、コサブロウを追いかけているポケモンというのは、マッスグマの大群だった。
「ところで、いつまでここで偵察やっていればいいのよ!!」
「知るかよ!そんなの俺に聞くな!」
もうだめだ。2人がそう思った所に、黒いチューリップが飛んできて、地面に刺さり突然爆発した。
マッスグマはいっせいに吹っ飛んだ。
「「あれは!!」」
2人はチューリップが投げられた方向を見た。
見た先には、20名くらいのロケット団員と一人の目立った女がいた。
「あなたたち、偵察はもう終わりよ!そろそろ本格的な作戦に入るわよ!」
「か、幹部の・・・」
「ドミノ・・・。」
「そう、人は私を黒いチューリップと呼ぶ!!さて、それじゃあ、作戦を説明するわよ。そうそう、あなたたち2人も作戦に加えるわ。」
「「はい。」」
「いよいよ始めるわよ!眠りの繭と言うものを奪うのよ!!」
かくして、ここ、ファウンスで再び新たな嵐が吹き荒れようとしていた。
第二章 クロスストーリー
第32話 ファウンスと眠りの繭
☆今までのヒロシたちのあらすじ
ヒロシとエースはマグマ団を追いかけ、煙突山にやってきた。
そこにはマグマ団とアクア団が戦っている姿があった。
エースがおとりになりヒロシが装置を壊すと言う作戦で動き出した。
結果は隕石を奪い返し、無事にハジツゲタウンに戻ることができた。
一行はそれをソライシ博士に返し、キンセツシティに向かって歩き始めたのだが・・・。
「ここって道やんか・・・?」
「どこだろう?ポケギアの調子もちょっとおかしいみたい。」
「えぇ!!それじゃ私たちって迷子なの!!??」
「・・・・・・。」
頓狂な声でライトが言った。
「はぁ・・・いつになったらキンセツシティに着くんやろ・・・?」
ナナコが溜息混じりに言った。そういうのも無理は無い。実際、日にちの感覚が無いくらい4人は歩いていた。それでみんなは元気が無いのだ。
「それにしても、ここって深い森やな!こんな所初めてや!」
「本当だね。ここにはもしかしたら、今まで見たことがないポケモンがいるかもしれないね!」
「ほんとか!ヒロシはん!」
「いや、ただの推測だよ。でもそうだとしたら、会って見たいな!」
そんな事を喋っているうちにナナコとヒロシは元気が出てきたようだ。
「・・・・・・。」
「(エース・・・。)」
ライトはエースを心配していた。ハジツゲタウンを出てから、エースは用がある以外はほとんど口を聞こうとしなかったのだ。ライトが話し掛けようとしても話さなかった。
ライトはさすがに心配になってきた。
するとその時だった。
突然、マッスグマの大群が襲ってきた。
「ちょっといきなりなんで〜!!」
「ジッボ!火炎放射だ!」
驚くライトを尻目にヒロシはマッスグマに対抗した。
「よーし私も!メガニウム、『葉っぱカッター』や!」
「・・・。仕方が無い。ゴルバット、『エアーカッター』。」
ナナコと黙っていたエースも反撃に出る。
「いきなりなんてビックリするじゃない!!プクリン、ゴルダック、『水の波動』よ!!」
ライトはほとんど八つ当たりで攻撃した。2匹の水の波動は効果的だった。大群の内何匹かが混乱し、互いに攻撃し始めたのだ。
そこに葉っぱカッターやエアーカッターが入り、最後は火炎放射でダウンさせた。
「終わったか?」
「見て!上からも襲ってくるよ!」
空から襲ってきたのはトロピウスとフライゴンだ。
「一体何の恨みがあるんや〜?」
「どちらにしろやるしかない!パピー!」
「チルタリス!」
ヒロシとライトはとっさに飛行系のポケモンを出した。
トロピウスがマジカルリーフ、フライゴンが破壊光線で攻撃してくる。
一方、パピーは銀色の風でマジカルリーフを相殺、チルタリスも破壊光線で対抗し、打ち消した。
トロピウスはその間、パピーの後ろに回りこみ燕返しで攻撃する。
だが、ヒロシがすぐ指示したサイケ光線より、攻撃を阻んだ。
フライゴンもドラゴンクローでチルタリスに接近戦を仕掛けた。
ライトは分が悪いと判断したのか、フライゴンと距離をとるように指示を出す。フライゴンはもちろんチルタリスを追う。しかしそれはライトの作戦の内だった。突然チルタリスが光り出し、スピードをあげフライゴンに向かって突撃した。ゴットバードだ。ダウンするまでには至らないが、かなりのダメージを受けたことは確かだった。
「パピー、『眠り粉』だ!」
「チルタリス、『うたう』よ!」
ヒロシもライトも、これ以上戦う意味は無いと考えた。
眠り粉と歌うのダブル催眠攻撃でトロピウスとフライゴンは眠る寸前まで追いやった。
「うん・・・これで終わりやな!」
ナナコが一息つき、これで野生のポケモンのわけの分からない襲撃も終わったように思えた。
しかし、そのときだった。
空からパピーに向けて火炎放射が飛んできた。その上、そのポケモンは急降下して、チルタリスにドラゴンクローを撃ち付けた。
「チルタリス!!」
「パピー!・・・あのポケモンは!!」
そのポケモンは竜の姿だった。
「ボーマンダや!!」
よく見るとそのボーマンダには男の人が乗っていた。
「お前たち、すぐにここから立ち去れ!!さもなくば痛い目にあうぞ!」
「ちょっと!いきなり出てきてなによ!」
「そや!私らが何かしたっていうんか!?」
ライトとナナコが抗議した。だが男は聞く耳を持たなかった。すぐに4人へ火炎放射を放ったのだ。
「く!『光の壁』よ!」
ライトは待機していたプクリンに防御を指示した。
すると今度はボーマンダが向かってきた。
「『リフレクター』よ!」
打撃攻撃を予想し、物理攻撃の壁も出した。
「無駄だ!」
接近してきたボーマンダは一気に壁を砕きプクリンに致命傷を与えた。ボーマンダの瓦割りだ。
「もう!私たちは何もやってないってば!」
「もう怒ったで!ピジョット!」
チルタリスやパピーがやられて、実際空が飛べるのはピジョットしかいなかった。
「直球勝負や!『でんこうせっか』!!」
その言葉通り、ボーマンダに向かって一直線に向かって行った。
そして、直撃した!そう見えた。
「消えた!?」
そう、すぐに影分身をしてかわしたのだ。
あわてたピジョットはボーマンダを確認できず、死角からドラゴンクローでダメージを与えた。
「ピジョット!?」
ピジョットは翼をやられ、地に伏せた。
「仕方が無い。俺が一気に決める。」
エースは前に出た。
エースは振りかぶってモンスターボールを投げた。
中から出てきたポケモンは胴が細長い蛇のようなポケモンだった。実際は蛇ではない。
ボーマンダは火炎放射で牽制した。火炎放射を避けた所でドラゴンクローを叩き込むという攻撃がどうやら定石だったらしく、すぐに火炎放射をした後急降下した。
だが、エースの出したポケモンはいなかった。
「何?一体どこへ!?」
そのとき、ボーマンダがさっきいた場所から冷凍ビームが飛んできた。
冷凍ビームの威力でボーマンダを男ごと地上へたたきつけた。
ボーマンダは一撃でダウンしたようだった。
「すごい・・・エースのハクリュー・・・。」
「ハクリューがあんなスピードで動けるなんて・・・。」
「火炎放射を避けたのは『しんそく』よ!そして一気にボーマンダの後ろに回りこんで攻撃したってことよ!ね、エース!」
「ああ。」
エースはそっけなく答え、ハクリューをボールに戻した。
「ぐ・・・。」
男はかろうじて意識があった。
「一体なんでこんなことをするんや!」
ナナコはすぐに男を問いただした。
「この辺に付きまとっているお前たちに話すことなど無い!」
「付きまとう?僕達は今着たばかりだけど・・・?」
「え・・・?」
男は驚いて4人の顔をじっと見た。
「それに僕達はここに迷い込んでしまったんだ。」
ヒロシは続けて弁解した。
「そうか・・・すまない。いきなり攻撃してしまって・・・。」
どうやら男は4人を信じたようだった。
「お詫びがしたい。ちょっと近くまで来てくれないか?」
男はそう言って歩き出した。4人もやっと警戒を解いた。
「申し遅れた。私の名前はバトラー。この土地、ファウンスを守っている者だ。」
バトラーに続き4人も続けて挨拶した。
「ファウンス?」
ナナコは首をかしげた。
「え!ここがファウンスなんですか!?どうりでこんなにも森が深いわけだ。」
「ヒロシはん知っているの?」
「うん。ホウエン地方の中でも1、2を争うほどの豊かな土地なんだ。だから、ポケモンたちがのびのびと育つことができるのさ。」
「その通りさ。」
「でも、何でこんなに森が豊かなんですか?」
「それはね・・・。」
「あなたーー!」
ヒロシたちは声がしたほうを見た。目線の先には金髪の美しい女性がいた。
「その子達は・・・?」
女性がバトラーに聞いた。
「『あなたーー』ってことは・・・。」
ライトは怪しい笑みを浮かべた。
「なるほどね。」
ナナコも理解したようだ。
「ふふ・・・紹介しよう。彼女は私の妻、ダイアン。」
「2人ってもしかして・・・。」
「そうさ、私達は夫婦なんだ。」
と、バトラーは照れた。
「で、この子達はどうしたの?」
ダイアンはもう一度バトラーに聞いた。
「実は・・・・・・・・・。」
バトラーはダイアンにそのときの経緯を分かりやすく説明した。
「そう、そんなことがあったの・・・。みんなごめんなさいね。バトラーがこんなことをしてしまったために・・・。」
「いや、大丈夫ですよ。たいしたこともなかったし。」
ヒロシはそう言った。
「どうやら迷ったみたいなのね。今からここを抜けるとなると、日が暮れてしまうわ。今日はここに泊まっていきなさい。」
ヒロシたちはダイアンの好意に甘えることにした。
4人は食事の時間になるまでそれぞれのんびりとしていた。
ヒロシはファウンスのポケモンを観察し、ナナコとライトはポケモンコンテストのために技を練習していた。エースはと言うと、川の近くの草むらで寝転がり考え事をしていた。
「(俺には本当の両親の記憶なんて無い。それなのになぜか俺は夢の中のあの女性(ひと)を母親だと思った・・・一体何故・・・?育て親に聞いたところ俺は家の近くの見晴らしの良い草原に捨てられていたといっていた。そして俺はエースとかかれたバッチをつけていた。一体俺は誰の子どもでどこの出身で・・・そして俺は一体誰なんだ・・・?)」
エースはハジツゲタウンで見た夢のことを深く考えていた。
“こ・・に・・・て。”
その時、エースの耳にかすかな声が聞こえた。
「ライト?」
エースはあたりを見回したが、どこにもライトはおろか、人の姿さえ確認できなかった。
「空耳か・・・そろそろ戻ろう。」
エースは立ち上がりバトラーの住む小屋へと向かった。
エースが戻った頃には食事の準備はできていた。
しかし、食卓にいたのは、ダイアン、バトラー、ヒロシだけだった。
「あれ?ナナコとライトは?」
「もうちょっとしたら来るって。ほら来た。」
「疲れた〜。」
「わぁ!ウマそうやな!」
そう言いライトとナナコは席についた。
全員揃った所で食事が始まった。
「バトラーさん。」
「なんだね?ヒロシ君。」
「なぜ、ここのポケモンたちはいきなり僕達を襲ってきたんですか?」
「実は、最近変な奴らがここを調べているんだ。」
「マグマ団?それともアクア団?」
「どちらでもない。でもポケモンたちはそいつらが悪いことをするか分かっているようだね。それで襲ったのだと思う。それでたぶん君達もその仲間だと思われたんじゃないかな?」
バトラーは答えた。
「(そんな奴らがここを襲う理由って・・・?)」
「そう言えば何でバトラーさんはこの土地、ファウンスを守っているんですか?」
深く考えるヒロシをよそにライトは別の質問をした。
「それは話すと長くなるんだ。それでもいいかい?」
「いいですよ!」
すると、バトラーは食べるのをやめた。
「実は私はこの土地、ファウンスを消滅させようとしてしまったことがあるんだ。」
「「え!?」」
4人とも食べるのをやめた。そして、バトラーの顔を見た。
「と言うのは、私は元マグマ団の科学者なんだ。」
「「マグマ団!?」」
「どういうことですか!?」
ヒロシはバトラーに問い詰めた。
「私はこの土地であるポケモンを掘り出したんだ。」
「あるポケモンって!?」
「何でも願い事を叶えてくれると言われているポケモン、ジラーチの繭さ。」
「ジラーチ!?ここにジラーチがいるんですか?」
「ああ。」
「それがマグマ団と何の関係が?」
「一年前のことだ。」
一年前、私はマグマ団の科学者だったが、あるポケモンを復元する実験に失敗し追放された。私はマグマ団を見返すために意地でもそのポケモンを復元させようと考えた。そして、偶然千年彗星のことを調べていた。千年彗星とジラーチはとても関係していることがわかったんだ。ジラーチは真実の目と呼ばれるものを開くと千年彗星から莫大なエネルギーを引き出すことができることを知った。だから、千年彗星があった去年、繭をこの土地から取り出した。だが、取り出したまでは良かった。その後が問題だった。千年彗星の時にジラーチは目覚めるとは知っていたが、素直な子どもがパートナーでないと繭は開かれないと言うことだった。ちょうど、ここから車で一週間の場所に移動遊園地と言うものが開かれていた。私はそこだと子ども達がいっぱい集まるとにらみ、そこでマジックショーを開きジラーチのパートナーにふさわしい子どもを捜した。
そして、ついに見つかった。私はその子に繭を渡し、孵化を待った。千年彗星の初日にジラーチは繭から出てきた。その2日後に私はジラーチを使いポケモンを復元させようとした。だが、ジラーチのパートナーやその子の仲間達に阻まれて、実験は失敗に終わった。だが手応えはあった。
そして、子ども達の行方をファウンスだと知り、追跡し、千年彗星の最後の日、つまり7日目にジラーチを使って、ポケモンを復元させた。
私は実験に成功しやっと私の苦労が報われる。そう思った。だがそのポケモンは私の思っていたのとは全く違っていた。そのポケモンのせいでこの土地、ファウンスがメチャクチャになってしまった。でも、なんとか少年達とポケモンを消すことに成功した。そして、ジラーチはまた千年の眠りについた。
「だから私は、今までやってきたことを詫びるために、ここを守っているんだ。」
ようやく話が終わった。ナナコはそんな顔をしている。
ライトも自分から聞いていながら、話途中から、食べることに戻っている。
「そのバトラーさんが復元しようとしていたポケモンってなんですか?」
唯一、まじめに話を聞いていたヒロシが質問をした。
「古代ポケモン、グラードンだ。」
「!!!!グラードン!!(そうか、そう言えばマグマ団はグラードンを狙っているってオダマキ博士がいっていたような・・・)」
「あれ?そう言えば、エースはんはどこにいったでしょ?」
「「え??」」
ナナコの問いにヒロシとライトは食卓を見た。すると、エースの姿はどこにも見当たらない。
「外に行ったようね。」
とダイアンが答える。
「私、心配だから見てくる!」
「一人だけじゃ危ないわ。私も行ってあげる。」
さすがにこの森は深い。そして夜になるとなお暗い。ライトにダイアンがついていった。
その10分後のことだ。
この小屋に大人数が押し寄せてきた。
「なんだ!?おまえたちは!!」
バトラーが前に出る。
「ちょっと失礼。一つ聞きたいことがあるのよ。」
そう言って出てきたのは、黒いチューリップの女、そう、ロケット団幹部のドミノだった。
「眠りの繭というものを渡してもらおうかしら?」
「ここは・・・?」
エースは薄暗い洞窟の前にいた。
“こっちに来て・・・。”
「この声・・・ここから聞こえる・・・ような・・・?」
エースはゆっくりとその洞窟の中を進み始めた。
つづく
アトザ
HIRO:やっと突入!!ファウンス編!ずっとここが書きたかったんだーーー!!
ライト:それはいいけど、エースどこに行ったのよ!!
エース:俺はここにいるけど?
ライト:違うわよ!本編の方よ!
HIRO:呼んでいる皆さんは分かると思うのでここは以下省略♪
ライト:え!ちょっと!
ヒロシ:それと一つ言っておきたいことがあります。バトラーさんどうぞ!
バトラー:どうも!今回、私は一年前のファウンスの話がありましたが、その話でわからない人は、是非「劇場番ポケットモンスターAG、七夜の願い星」を見てください!
ナナコ:一応その続編らしいんで!
ヒロシ:では、次回に続くよ!
アトガキ+α
・・・一応じゃないんだけど・・・(汗)
ホウエン地方にロケット団登場!ヒロシたちはファウンス突入!で、あのポケモンも登場か!?
そこまで行くかは教えられないなぁ・・・。(何)
今回一番困ったのは、バトラーとダイアンの関係です。でも、やっぱりこのまま1年も過ごしていれば夫婦になりますよね。きっと・・・。
ということでホウエン編はロケット団との戦い!
次回はジョウト編、ラジオ塔の戦いです!
[一言感想]
前回、マサト側の話にてロケット団が狙う事になった、3つのうちの1つ。
それがここ、ファウンスですね。
はからずも衝突必至となったエース達ですが、活躍に期待したいところです。
それにしてもバトラーとダイアン、新婚さんっぷりが手に取るように分かりますね(ぁ)。