Scean,20

―――暑い・・・―――
あまりの暑さに目を覚ました。眠りから覚めるとそこは恐怖しかなかった。目に映るのは全てを消し去る火の渦。目前に迫る炎の壁が襲い掛かり死へと誘う。炎から逃れようと必死に逃げるけれども、けして炎は逃しはしない。
必死で家の外へ出て助けを乞う。
―――だれか・・・だれか、パパとママとお兄ちゃんを助けて!―――
でも、視界に入ってくるのは不敵な笑みを浮かべて立ち去ろうとする大人たち。しかも警察服を着た連中だった。やがて、火の熱さと煙で気を失っていった・・・

 

 

 

第49話 若さゆえに迷う者

 

 

 

「パパぁ!ママぁ!・・・・・・・・・・はっ!!」

がばっと勢いよく飛び起きた。ハァハァと息を切らせながら自分が凄い汗をかいていたことに、はじめて気づいた。

「またあの夢を見るなんて・・・」

この夢は彼女の悪夢だった。
その悪夢の後味の悪さを引きずりながら、彼女は着替えをして寝袋をたたんだ。
そして、肩まで達していない髪を整えて、ワンピースにズボンと着替え、そして、家族の形見のペンダントを腕には兄のブレスレットをつけた。そして、自分で決めた集合場所に行った。



「あんたにしては珍しく遅いな。具合でも悪いのか?」
「あなたが気を使うのも珍しいと思うけど?」

どこか寂しげで無愛想な少年の言葉をいつもの調子で彼女は返事をした。

「ところでラグナとヒカリは?」

彼女の指定した場所には2人しかいない。
集合場所に全員集合しているはずだった。でも、2人たりない。

「あんたが来ないからどっかに行った。ヒカリはそこら辺を散歩してくるって。ラグナは知らないけど」
「そう・・・この森は深いから迷わなければいいけど」

彼女らが来ている森と言うのは、昼でも暗いと言われる場所、トキワの森だった。

「またあの夢を見たわ」
「・・・家族を失った時の夢か?」
「ええ」
「俺にはわからないな。俺は物心がついたころから一人だった。だから、家族がどうとかそういうのには興味がない」
「そうね。あなたはいつでも一人だわ。でも私は目の前で家を燃やされて私以外の家族全員が死んでしまったの。その場に居合わせた警察たちによってね!!」
「・・・」
「信じられる!?治安を守るはずの警察が、平気でこんなことをやっているのよ!私は現在の警察を絶対に壊滅させるわ!」
「そうか・・・。でもあんたはどうやってその火事から逃れられたんだ?」
「助けてくれた人がいるのよ。その人は、命の恩人だわ。その人は名乗りはしなかったけど、ロケット団のメンバーの人だったわ。そして、その人になぜ家が狙われたか聞いたの。うちの両親は危険な研究をしていたらしいの。でもその研究は成功すれば確実に世間が発展するような研究だった。でも、警察の連中が都合が悪いようでその研究を火で燃やしてしまったのよ。私の家の火は消えたけれども、私の怒りの炎は決して消えはしないわ!!」
「復讐するためか・・・」
「そうよ!悪い!?」
「悪いとは言ってない。ただ・・・・・」
「何よ!?」
「いや・・・」

彼はそこまで言って口を紡いだ。

「(復讐は・・・また新たな復讐を呼ぶ・・・。だが、それをとめる権利は俺には無い)」
「ところであなたはなぜロケット団に入ったの?私やラグナみたいに復讐するためにロケット団に入ったようには見えないけれど・・・」
「・・・あんたに言うような理由は無い」
「そう・・・目的も何もないのね」
「・・・」

それから話のネタは途絶えて二人とも黙っていた。しかし、前方から、ツインテールでグリーンのスカートの女の子がゆっくりと歩いてこちらに手を振っていた。

「おはよー!ユウナ!ハルキ!」
「ヒカリ・・・」
「どうしたの?なんか少し暗くない?」
「ちょっとね。なぜロケット団に入ったか?って話をしていたの」
「その話は止めだ」
「ハルキ!どこ行くのよ!」

すると、ハルキは二つのモンスターボールを取り出した。プラスルとマイナンだった。

「そこら辺をぶらついてくる。木の実探しをしてくるだけだ」

そうして無愛想な少年、ハルキは森の中へ消えていってしまった。

「そう言えば、ヒカリがロケット団に入った目的って・・・」
「うん、探している人がいるんだ」
「愛しのヒロトくん・・・でしょ?」
「うん・・・って!何でユウナが知っているの?ハルキにしか話していなかったのに!」
「そのハルキから話を聞いたのよ。で、ヒカリは彼のどこを好きになったの?ん?」

意地悪そうな笑みを浮かべながら、ユウナはヒカリに問い詰める。

「・・・・・・・・・・・。(ハルキは絶対に他言をしないと思っていたのに・・・)」
「黙っても無駄よ!顔に出てるもの!」
「何事にもひたむきで・・・一緒にいて楽しくて・・・それから・・・」

ヒカリの顔は真っ赤だった。

「それから・・・何?」
「いつも正しい道へ導いてくれる・・・。あ・・・それは私だけがそう思っていることよ!何が正しいかはわからないけれども、私は彼のやっていたことはいつも光の道へと続いている。そう思っていたわ」
「・・・」
「それに・・・マングウタウンのスクールにいたときも、2人で同級生の目から逃れて買い物に行ったときも、どんな時だって、彼といる時は楽しかったわ・・・・・・」
「そう・・・会えるといいわね彼に・・・」
「ええ・・・」

ユウナは感情を押し込めた言い方で言った。ヒカリも相槌をうったが、どこか不安そうだった。それでも、ヒカリは笑顔でポケモン達にポケモンフーズをあげていた。

「(ヒロト・・・ね・・・)」

ユウナはパソコンのような機械を取り出した。いや、それはパソコンとは何か違った。ノートパソコンの半分程度の大きさでしかも、ディスプレイとミニキーボードとデータの収納スペースが分離できた。これらの物はユウナがポケナビとPD☆Aとポケモンセンターにおいてある従来のパソコンを融合して作った物である。だから、機能はとても優れていた。主に情報収集や解析などが主である。そして、彼女はその名前をインフォメーションナビ(I☆NA)と名付けた。
このI☆NAはロケット団のコンピューターともつながっている。彼の情報を引き出すことはユウナにとって容易いことだった。

「(ブラックリスト・・・第二位・・・ヒロト・・・)」

そして、名前の後にはロケット団に対する争いが明記されていた。

「(ヒカリはこのことを知らない・・・。きっと言わない方がいいわね・・・)」

実はこのブラックリストは下っ端などには知られていない。知っているのはこの情報を手に入れることのできる一部の者と幹部以上の者達だった。
ユウナは黙々とヒロトの所業を見た。そして、あるところで目がとまった。

「(・・・ナナシマの"5のしま"でのロケット団基地計画・・・ヒロトの邪魔により壊滅・・・。あの時のね・・・)」

彼女はその時の記憶をたどってみた。
ふと目の前に蘇るバトル。自分は下っ端がすべて倒されたところで駆けつけた。幹部がいなく、そして、珍しく一人で任された任務だった。だから、自分が負けたら終わりだと思って勝負を挑んだ。

―――「あんたもロケット団だったのか・・・?」―――

ヒロトはフライゴンを出してバトルを挑んでいた。私はウィンディで戦った。序盤ヒロトはガンガンと攻撃技を使っていたが、序盤は私が有利だった。でも途中から補助技を使うことによりペースを変えて私のウィンディを負かしてしまった。

―――「何でロケット団なんかに・・・?」―――

私は睨み返していった。私は家族を警察の手によって奪われたと。そして、その復讐のためにロケット団に入ったと。そして、不意打ちでヒロトに攻撃を仕掛けた。ポリゴンの攻撃はうまい具合にヒットし、ヒロトはケガを負った。けれども、彼は言った。

―――「それなら、なおさら負けられない!・・・君のためにね!」―――

私のため・・・?何を言っているの・・・?勝つのは自分のためじゃないの?
私にその言葉は理解できなかった。でも、彼はその言葉をきっかけにピカチュウを出して勝負を決めてしまった。

―――「復讐が終えたときに残るのは・・・虚無感だけさ」―――

彼は自首するように言った。でも、私は煙玉を使ってその場を逃れた。
あなたに私の何がわかるって言うの?何も知らないくせに・・・。
でも、私にはその言葉が頭から離れない。復讐を終えたとき私には何が残るのか・・・?
・・・何も・・・残らない・・・?

「ユウナ・・・ユウナ・・・?」
「え?なに?ヒカリ・・・?」

ふと我にかえり、ヒカリを見た。

「ぼんやりしていたみたいだから・・・。・・・私、ラグナを探してくるね!」
「そうね。お願い」

そうして、ヒカリはさらに深い森の中へ入っていった。

「ともかく私はここを抜ける準備をしようか・・・」

I☆NAの電源を切り、立ち上がって空を仰いだ。回りは暗く、しかも雲まで出てきて少々曇り気味だった。



Scean,21

私は何をやっているんだろう・・・?
どうして、ロケット団なんかに入っているんだろう・・・?
私はヒロトがやっていることは正しいと思っていた。
いつもヒロトは私を光へと導いてくれる・・・そう思っていた。
だから、私とヒロトが一緒になれない運命にあるということも、きっと正しいことだったんだわ・・・。
私はその光の道をあえて壊すためにロケット団に入ってしまった。
そして、彼を困らせてやろうと最初は思っていた。
でも後に不安が生まれた。
私がこのようなことをしたとしても彼は見向きもしないのではと・・・。
そして、もう昔みたいに私を正してはくれないのではと・・・。
彼が正しいなんて私の思い込みだったのかもしれない。
光の道なんて実際は無いのかもしれない。
でも、どんな形であろうと、私は彼に会う・・・。会わなければいけない!
そう、そしてもう一度伝えるの・・・『私は誰よりもあなたが好き!』・・・と。



Scean,22

「・・・」

トキワの森の奥深く、黒いコートでさらにその上にRというマークのジャケットを羽織った青年は、木の上からじっと一人の男を見下ろしていた。下にいた男は、ブルーのバンダナをつけた男でパートナーと思われる一匹のポケモンと一緒に木の実を拾っているようだった。
それに夢中なのを狙って木の上から襲った。
背後からの完璧な攻撃だ。かわせやしない!
しかし、その男は後ろに目があるかのように左へ跳んでかわした。隣りにいたポケモンも同時にだ。

「完璧な不意打ちだったはず・・・」
「一体何の真似だ?」
「このマークを見ればわかるはずだが・・・?」
「R・・・ロケット団か・・・」
「そのとおり!痛い目に会いたくなければ、お前のポケモンを渡してもらおう!」

黒いマントをなびかす男の名は、ロケット団のルーキーズのメンバーの4人の中の一人、ラグナだ。

「探す手間が省けた。まさかそっちから出向いてくれるとはな」
「何の話だ?」
「お前を捕まえる」
「無理な話だ!俺には仲間がいるんだぜ。3人の強力な仲間がな!それに俺は捕まらない!捕まるのはてめえだ!」
「奇遇だな。俺にも、旅をしている強い仲間が3人ほどいるんだ」
「そうか・・・だが、俺たちにはかなわない!」

ラグナはすぐさまポケモンを投入した。出てきたのはカイリキーだ。しかし、いつの間にかそのカイリキーの腹に攻撃が決まっていた。攻撃をしたのはバンダナ男の傍らにいたポケモンだ。そのポケモンのタックルを受けカイリキーはふらついた。

「いつの間に・・・?しかし、パワー不足だ!」

カイリキーは体制を立て直しているポケモンを蹴り上げた。平均体重、6.5kgの体重は軽がると宙を舞った。さらに追い討ちでカイリキーは飛び上がり攻撃の態勢に入る。

「(あの攻撃を受けたら、ケガだけじゃ済まない・・・)」

バンダナの男は紫色のこうもりポケモンを取り出した。でんこうせっかだ。しかし、そこでさらに邪魔が入る。でんこうせっかを、妖精のようなポケモンが受け止める。

「カイリキー、とどめの『クロスチョップ』!」
「仕方がない。『こらえる』!」

カイリキーに軽々と蹴られたポケモンはとっさに自分の急所を隠し、身を守る。そこへカイリキーの強烈なチョップが入った。普通に受けただけでも相当なダメージなのにさらに地面にたたきつけられることによって倍以上のダメージを受けてしまった。

「無事か?」

どうやら、何とかこらえることができたようだ。しかし、立っているのもやっとである。
だが、カイリキーは容赦をしない。クロスチョップが終わったところで、降りる方向をそのポケモンに向けて行ったのである。

「そのイーブイにとどめを刺せ!『メガトンキック』」
「(戻すのは・・・間に合わない・・・!)イーブイ、『じたばた』」

イーブイは少し動き、攻撃をかわした。そして、カイリキーに渾身の一撃を叩き込んだ。その際、イーブイはカイリキーのチョップを受けてしまいダウンした。共倒れだ。

「クチート、ダーテング!」
「・・・バンギラス、メタグロス」

2匹のポケモンが、倒れた瞬間に次の行動は起こっていた。さらに、両者とも2匹のポケモンを出して、乱戦となったのだ。
長い戦いとなり、拮抗した戦いが続いた。
しかし、3対3のバトルだったが、残ったのは結局、ダーテングとメタグロスだった。そして、さらに2人は新たなポケモンを出した。

「『火炎車』」
「『ハイドロポンプ』!!」

ダーテングは3対3のバトルを特有の素早さ+秘技『リーフベール』で攻撃を凌いでいた。また、メタグロスは硬い防御力と高速移動で攻撃を耐えていた。
しかし、新たに出したポケモンに耐えられる体力は双方とも持ち合わせていなかった。

「一気に決めてやる」
「(切り札で来るのか・・・?なんとなくオーラでわかる!)」
「『オーバーヒート』!!」

バンダナ男のポケモンの切り札と思われるバクフーンは言い表せないほどの強烈な炎を吐き出した。

「凄まじい攻撃だ・・・!だが、わかるか?炎は水に弱い・・・」
「果たしてそうかな?炎が水に弱いというのはレベルが同じときのことを言うんじゃないか?」
「今にわかる!オーダイル、『ハイドロカノン』!!」

ラグナの切り札、オーダイルは巨大な口から、凄まじい水流を飛ばしだした。その威力はさきほどのハイドロポンプの比にならなかった。
強烈な技がぶつかった。互角に見えたこの勝負は、相性の差でオーバーヒートが力負けし、バクフーンに攻撃が命中した。
そして、霧が生じた。
冷たい水と熱い炎がぶつかると生じる現象である。なにせレベルの高いポケモンの炎の温度は、通常の炎ポケモンと比べると、格段に高い。そして、冷たい水とぶつかる事により生じる。
このような状態は高いレベルのポケモン同士が戦うことでよく起きるものである。

「俺の勝ちだ!諦めて降参しろ!」
「そうかな?『オーバーヒート』!!」
「なっ!!」

一撃で倒したと思っていたはずのバクフーンはまだやられていなかった。さらに驚くことに、先ほど押されていたはずのオーバーヒートと同じ威力の炎を吐き出したのだ。そして、相性がいまいちでも、充分にダメージを与えることができた。

「・・・どういうことだ!?」
「わるいな。俺のバクフーンは鍛えているんだ。3度までなら全力でオーバーヒートを撃てる。さらに、こいつは炎攻撃をする際、炎の膜をつくる。それで、攻撃中のダメージをなくしている。だが、お前のオーダイルの攻撃はさすがに強かったらしく、この『フレアベール』でもあまり効果がなかったようだったがな」
「それなら、とどめを刺してやる・・・最後のハイドロカノンでな!」
「そっちがその気なら、こちらも最強の技で決めさせてもらう」
「(最強の技・・・?・・・オーバーヒート以上の技だと・・・?そんなのがあるのか・・・?)」

ラグナはバンダナ男を疑った。でも、彼の目を見る限り本気だ。
すると、別の方角から、爆発が起きた。そして、何本か木が倒れたようだ。

「この音は・・・暴れているな・・・」
「!?」
「さっき、俺には仲間がいるって行ったが、さっきの爆発は俺の仲間の攻撃だな」
「なんだと?」
「どうやら、俺以外もロケット団と戦っているらしいな」
「(こいつの目的はロケット団を捕まえることだったな・・・だとしたらまずい!こいつ以上のトレーナーがいないとも考えられないからな・・・)」

ラグナはとっさに、煙玉を取り出して、投げつけた。
煙が晴れた時、ラグナはいなくなっていた。

「逃げたか・・・」

彼は追おうとは思わなかった。このままラグナを追っていれば勝てる可能性はあると思っていた。しかし、ラグナの仲間がどれくらい強いのかがわからないため彼も、身を引いた。

「とりあえず、戻るか・・・」

彼は傷ついたイーブイを抱えて、さらに木の実をもって、その場を離れた。



Scean,23

ラグナとバンダナ男の戦いが終わったころ、ここでもバトルが繰り広げられていた。しかし、バトルはどちらが優勢か見てわかるほどだった。
そして、今、バシャーモの強力なメガトンキックがハピナスに直撃した。

「そんな・・・!」
「さあ、あなたはあと2匹のはずよ!それとも降参して私に捕まりなさい!」

ポケモンリーグ公認の帽子を被ってそのツバを後ろに持ってきている少女はロケット団の一人に言った。そのロケット団の一人とは、先ほどまでヒロトのことを考えていたヒカリだった。彼女はラグナを探しに言った結果、いきなり帽子の少女と遭い、ロケット団ということで突然バトルを仕掛けられていた。
ヒカリはバトルを速攻でバトルを終わらせるために一気に3匹のポケモンを投入したが、相手はいきなりゴローニャの『大爆発』で戦力を削がれてしまっていた。
そして、ハピナスも倒されて、5対2のピンチに陥られた。

「(このままじゃ負ける・・・。強くなったはずなのにこんな所で負けるの・・・?いや、負けられないわ!)」

ヒカリは意を決してフシギバナを出した。

「フシギバナ、『鞭の嵐』!」

ヒカリは聞きなれない技を出した。その技とは、以前の『つるの鞭×5』の発展版である。全てのつるの鞭を出して、嵐のように打ち出す強力な技である。

「バシャーモ、『ヒートブレイク!』」

すると、帽子の少女も聞き慣れない技を出す。バシャーモの体が燃え上がったのだ。そして、そのまま鞭の嵐につっこんでいった。
2つの技が激突する。バシャーモの炎がつるの鞭を燃やそうとするが、いかんせん、つるの鞭が多すぎる。そして、足止めをうけ、フシギバナには届かなかった。

「とどめの『のしかかり』・・・!(トレーナーがいない!?)」

ヒカリはバシャーモにとどめを刺そうとした。だが、直前で気がついて空を見上げた。バシャーモは囮だったと。
空から、帽子の少女がチルタリスと一緒に降りてきた。ヒカリはつるの鞭で防御を指示するが、そこへバシャーモへの対抗が意識が薄れて、ヒートブレイクが炸裂。さらに上空からの燕返しも決まった。

「フシギバナ!」
「勝負ありね!あなたはあと一匹よ!降参しなさい!」

すると彼女はバシャーモを戻して、ゴルダックとブーピックを出した。

「(ここで捕まるのもいいかも・・・。これは私がヒロトにしようとしたことの罰なのね・・・)」

ヒカリは残りのボールと地面に落として投了しようとした。でも、そこへ別の少年がヒカリの前に現れた。

「ハルキ!!」
「誰!?」
「ヒカリ、あんた一体何をする気だった?捕まる気だったのか?・・・とりあえずここから離れるぞ。『10万ボルト!』」
「まずい!ブーピック!『光の壁』!」

帽子の少女の光の壁は出るまでに速かった。そこまで、光の壁を速く出すのには訓練が必要だろう。しかし、2匹の電気ネズミの威力は光の壁相手に気休め程度にもならなかった。ゴルダックは当然、即ダウン。ブーピックは体力もわずかしかなく、マヒして動けない状態だった。
ハルキはボーマンダを出し、ヒカリと乗った。そして飛び上がった。

「逃さないわよ!チルタリス!」

帽子の少女はチルタリスに載って飛び上がる。でも、ハルキは後ろを向いて、チルタリスにモンスターボールを当てた。

「え!?嘘!?」

彼女は何のポケモンが出てくるのかと思っていたが結局出てこなく、チルタリスのドラゴンクローで弾き飛ばそうとした結果、チルタリスがボールの中に入ってしまった。
当然飛び上がっていた彼女はチルタリスがボールに納まり、下へ落ちた。即座にプクリンを出して受け止めてもらった為に何とかケガはしなくて済んだようだった。

「ハルキ・・・?今のは?」
「スナッチだ。でも、あの体力じゃ無理だな。しかし足止め程度にはなるだろう」

ボーマンダに命令して、ユウナのところへ向かった。

「ところで、あんた、途中で諦めて捕まるつもりだったな」
「・・・わかってた?」
「見ればわかる」
「裏切り者は・・・」
「罰せられる・・・。わかっているはずだ」
「・・・」
「だが、別に俺はそんなロケット団の教訓に興味は無い」

ハルキはそっけなく言った。

「ラグナはあの後戻ってきて、俺はあんたを探しに来たんだ。それから、ユウナがもう進むとさ」
「・・・」

ヒカリもラグナもそれぞれのことを考えながら、ユウナの元へと戻っていった。



Scean,24

ユウナの集合場所からかなり離れたところに別にキャンプをしている一団がいた。
なにやらエレブーズルックの少女が料理を作っていた。もう傍らの青年は鍋から薫るシチューを相棒のピカチュウと一緒に味わっていた。
そこへ一人の青年が戻ってきた。先ほどラグナと戦ったバンダナ男だ。そして、傍らには、いつの間にか元気になっているイーブイも一緒だった。

「どうだったエース!?木の実は取れた?」
「ああ。充分に取れた。それよりも・・・」
「ヒロシはん!後はウチが見るから休んでてくれな!」
「ありがとう、ナナコちゃん。それで?」
「ああ・・・」

だが、そこへ一人の少女が戻ってきた。先ほどヒカリと戦った帽子の少女だ。

「ちょっと聞いて!さっきあっちでロケット団と戦ったのよ!」
「え!?」
「ライト、それほんまかいな!?」

ヒロシとナナコはライトの方に耳を傾けた。

「それで、あまり強くないから捕まえようと思っていたんだけど、もう一人出てきて、そいつがすごく強くてしかも私のポケモンを奪おうとしたのよ!」
「奪うってモンスターボールで?」
「あっさりボールの中に入ったのよ!」
「そんなことってあるのか!?」

ヒロシは信じられなさそうな顔で見た。

「とりあえず、追えばロケット団を捕まえることができるわ!急ぎましょう!」
「わかった!急ごう!」

ヒロシとナナコはその話を聞いて急いで準備を始めた。

「エース?どうしたの顔が恐いわよ?」
「・・・」
「そういえば、エースの話って何やったん?」
「いや、もういい・・・。それよりここは追わないほうがいい。それに何より・・・」
「何より・・・?」

ライトはエースを見た。

「シチューが無駄になる。食べ物は粗末にしてはいけない」

いや、論点がずれてるぞ。と最後はツッコミが入ったそうな。



つづく

アトガキ

はい、WWS49話いかがだったでしょうか?今回はヒロトたちが登場しなく、ロケットルーキーズをメインにしてみました。え?最後が中途半端じゃないかと?細かい話は気にしなさんな!(ェ)
それより、彼らがロケット団に入った理由を示しておかなければならなかったわけで・・・大変でした。
本来なら40〜43話にやるべきでしたが・・・その時はマサトやらエースやらで大変だったので勘弁してください。

今回はラグナとユウナの紹介をしましょう。ヒカリとハルキはまた別なときに・・・って一回やっているし。



ラグナ・・・17歳
性別・・・♂
出身・・・?
ポケモン・・・オーダイル ヌケニン カイリキー ピクシー クチート ダーテング (?)
好きなこと・・・体を動かすこと
嫌いなこと・・・?
大切にしていること・・・?
服装・・・黒のジーパン、白いTシャツ、黒いコート、髪は茶色のツンツン頭。
性格・・・機嫌が悪いときは短気、機嫌がいいときは淡々としている
一言メモ・・・ロケット団、ルーキーズ(別名:ラッキークローバー)の一人。昔、ポケモンマスターを夢見た少年だった。しかし、ある女に騙されてケガを負いその夢を阻まれた。以来、その少女に復讐する為にロケット団に入った。しかし、その少女はいまだ見つけ出せない・・・。彼の目つきの鋭さはそのような怨恨を含んだ目なのであろう。
ちなみにバトル能力は非常に高く、エースと互角だった。
身長・・・181センチ

注意:( )の中は控え、?はまだ明らかになっていないポケモン。



ユウナ・・・18歳
性別・・・♀
出身・・・?
ポケモン・・・ウィンディ ポリゴン2 ラグラージ ? ? ?
好きなこと・・・機械いじり、情報収集
嫌いなこと・・・警察
大切にしていること・・・I☆NA
服装・・・緑の太ももまでのワンピースに緩めで踝までの淡い色のハーフパンツ。黒のストレートの髪。家族の写真が入ったペンダントを胸に、左腕に兄のブレスレットを装着。
性格・・・知的、冷静
一言メモ・・・ロケット団、ルーキーズの一人。昔、研究者の両親とポケモントレーナーを志望した兄が何者かの放火によって命を落とした。彼女は警察の手によって家族を無くしたと思い、幼いころからロケット団へ身を投じる。そのかいあって、ロケット団の中でユウナの存在を知らないものはいない。
I☆NAを操作し、かなり頭もいい。以前ナナシマでヒロトと戦ったことがあるようだ・・・。
スリーサイズ・・・B:82 W:62 H:82
身長・・・174センチ



データ

リーフベール・・・草系の防御技。どんな効果があるかは不明。(ェ)

フレアベール・・・炎攻撃をしている間、ダメージをなくすことができる。ただ、今回のバトルではオーダイルのレベルが高くて発揮されなかった。

鞭の嵐・・・つるの鞭×5の発展バージョン。すべてのつるを動員して相手を打ち崩す。

ヒートブレイク・・・オーバーヒートブレイク(B)の略。普通のオーバーヒートが炎を吹き出すのに対して、オーバーヒートBは、炎をまとって攻撃を仕掛ける。コロシアムやXDの動作はこれに当たる。

 

[一言感想]

 何気にヒカリvsライトの戦いが繰り広げられた今回。
 かつてからのヒカリの実力を考えると、ライトの技術も相当上がっていた事が伺えます。
 何だかんだで、もうしばらく話が続きそうなラグナ、ハルキ、ヒカリ、ユウナの4人組。
 それぞれの行く末が気になります。

 

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