Scean,84

「ロコン!『大文字』や!!」

「レオン!『10万ボルト』!!」

2匹の強烈な攻撃が数人のロケット団を撃つ。だが、ここにはまだまだ下っ端がたくさんいた。

“こいつらを倒せ!”

“幹部ジミーを倒したこいつらを倒せば、幹部に昇進できるぞ!!”

“かかれ!かかれ!束になってかかれば倒せるぞ!”

ここはクチバシティ。
特徴は港町。それ以外はほとんど何もないところなのだが、ここはどの町よりもロケット団が存在した。その数はおよそ千人。

「この町を襲っているリーダーを倒せば収まると思ったけど、そう簡単には行かないみたいだ……」

「きりがあらへんわ!」

この町に来ているのは、ナナコ&ヒロシ。
現在の状況はそれぞれのエースのエレブーとジッボが倒されていた。

「(幹部のジミーはそれほど強くなかったけれど、ジッボとエレブーがやられたのは大きい……)」

ヒロシは辺りを見まわす。そこから見えるのはロケット団と交戦する人々の姿だ。

「美しくないね!ロゼリア!『花びらの舞い』!!」

「メタグロス!気合の『突進』だッ!!」

「ライチュウ!『10万ボルト』ダ!」

タマムシでハルカたちと一緒に戦ったシュウやジョウトリーグで一緒だったマサムネもこの町にいた。しかし、状況は切迫してた。

「(ロケット団全員を倒すにはまだまだ掛かりそうだ……。体力的に考えても、ヤマブキに行く事は出来そうもない……)ナナコちゃん!」

「なんです?」

「後先を考えないで全力で行くよ!」

ナナコはうなずいて全てのポケモンを繰り出す。ヒロシも同じように全てのポケモンを繰り出して、ロケット団に向かって行った。

 

 

 

第67話 因縁の激突!

 

 

 

Scean,85

深い霧の中。
2匹のポケモンと2人の人間の影がそこにあった。
たった今までその二匹のポケモンの技が激突していた。
片や強大な炎の渦。
片や氷柱の嵐。
凄まじい激突の末……ユウナは言葉を発する。

「ス……スパイラルショットが……あんな氷に……!?」

ユウナのウインディ……ウイりんはかなりのダメージを受けていた。しかし、ユウナにとってショックだったのはウイりんの最強の技を破られたことだった。

「相打ちか……」

ヒロトがレインの状態を見て呟いた。レインの体に火傷があった。
レインの大技、『アイススプレット』とウイりんの最強の技、『スパイラルショット』の激突は、氷柱が炎をぶちぬいたのだ。しかし、それでも炎の渦は消えずにレインに命中していた。ゆえに相打ちとなっていた。

「勝負はこれからだな!レイン!『も……」

「どうしてなの?」

「え?」

ユウナは悲痛な面持ちでヒロトに問いかける。そのせいで指示を出しそびれてしまった。

「どうしてあなたは私の話を聞こうとするの?私の話をしたってあなたは何も得する事なんて無いじゃない!」

「得するか損するかなんて聞かないとわからないことさ。それに、最初に会ったときから君の事が気がかりになっていたんだよ」

「え……?」

「俺と同じ年にもかかわらず、年上の下っ端たちを従えてロケット団に属して警察に復讐しようとしている……。復讐からは何も生まれない。なんとしても君を止めたいと思っていた。ましてや、正義の機関、警察にそんな事を挑むのならなおさらだと思っていた」

「……。それじゃ、困っていたら私じゃなくても助けたって言うの?」

「ああ、困っている人がいたら助ける。ただそれだけだ。それで相手の気が紛れたりするんならば、助けるし、嫌がるのなら助けないし……。よく言うだろ!『情け無用は人のためにならない』って」

……そんな言葉はありません。

「嘘よ!」

「嘘じゃない!」

ユウナはヒロトの目を見る。ユウナは真剣なまなざしをしたヒロトの瞳は一点の曇りも無いと思った。
ヒロトは決してユウナから目を逸らそうとしない。
逆にユウナがヒロトから視線を外した。

「私はずっと……10年以上も騙されていたのよ。ロケット団と言う組織にね……」

「どういうことだ!?」

ユウナは体力が残り少なくなったウイりんをボールに戻しながら、ヒロトに全てを話した。
すべてを話したといっても、10分もかからなかった。

「だから私は誰も信じない!!」

「(なるほど……だからさっきは……)……」

ヒロトは頷いた。

「でも、俺にその話をしたんだから、俺の事を信用しているということなんじゃないか?」

「なっ……!?そんなわけないじゃない!!」

ユウナはヒロトから目線を逸らす。

「わかった。じゃあ、俺の事を信じてくれないか?俺が君の代わりにロケット団を潰す!!」

ヒロトは瞳を逸らさず、ユウナの目を見据える。
ユウナは軽くヒロトを突き飛ばした。そして、ヒロトに背中を向けた。

「!?」

「無理ね。あなた一人で潰せるわけない!私もやるわよ!!」

「わかってないな……。俺は……」

「復讐の為じゃない。……あなたを信じてみようって言っているのよ」

「!!」

ユウナのあっさりとした応答にヒロトは唖然とした。

「そ、そうか……信じてくれるのか」

ヒロトはほっと息をついた。

「な、なんで安心しているのよ!?」

「だって、また君が無茶苦茶すると思ったから……」

ヒロトは後頭部を掻きながら言った。そして、レインとディンを戻した。

「(ヒロトね。……瞳になんて眩しい輝きを持つ人なの……?私には彼の目を直視することなんて出来ないわ。……ふふ……でもヒカリが惚れるわけがなんとなく分かって気がするわ……あれ?私……笑ってる?)」

今、気がついた。ユウナは微笑んでいた。もう10年以上もその仕草を忘れていた。いや、ヒカリたちと過ごした事でそのような感情も少しはあったのだが、心の奥底から笑う事は無かった。

「ところでどこに行くの?」

「どこってロケット団の本拠地だ!」

「あ、本拠地ならほとんど私が壊滅させちゃった♪」

「え?」

そう、ユウナがジャキラの倒したあの場所はロケット団の本拠地だったのだ。

「って、それならもう壊滅したと同じじゃないか!」

「いや、違うの!」

「違うって何が?……あ、そう言えば、なんでウインディにのって気絶していたんだ?」

「あ、それは……あいつがいたからよ」

「あいつって?」

「俺の事だろ?」

「「!!」」

ヒロトとユウナを狙って強力な光線が放たれた。二人は直前に気付いて回避したが、威力は強く爆風でバランスを崩して転倒した。
ユウナは立ちあがって指を差した。

「あの男のせいよ!」

「裏切り者のユウナ。お前を破壊してやる!!」

男はユウナに歩み寄ろうとする。その男をヒロトは知っていた。

「おまえは!!」

「お前もそこにいたか!!それにしても、なんで生きていやがる!?あの時、トージョーの滝壷に落ちたはずだろ!?」

男もヒロトの事を知っていたようだ。いや、実際二人は何度も会っていた。

「生憎、運だけはいいんでな!!バロン!!」

バロン。通称『凶悪使いのバロン』。
それにしても、ヒロトって運はいいほうだったかな?(ェ)

「そうか、だが、俺に会ったのが運のつきだったようだな。今度こそお前を消してやる!」

「それはどうかな!?あの時と一緒にすると痛い目に遭うぜ!」

ボールを構えた。それはユウナも同じだった。

「ユウナ、ここは俺一人で戦わせてくれ!」

「何を言っているの!?あいつはロケット団の中で最強に近い男なのよ!ボスの座をも脅かす存在なの!幹部という座に甘んじているけど、実力はボスとほぼ同じ強さなの!あなたが今まで退けてきた『鉄壁のシード』や『逆襲のカエシ』とは強さの次元が違うのよ!!」

「いや、それでも俺一人で戦わせてくれ!あいつとの決着は俺がつけないと意味が無い!何より君には俺を信じて欲しい!」

『信じて欲しい』。その言葉がユウナの頭を反芻する。

「……わかったわ」

ヒロトは頷いて、バロンと対峙する。

「(信じる事……それは難しいことよ。でも、ヒロトはそれを平気で求めようとするのね。……ヒカリはいつも彼を信じているのかな……?それなら私も信じて……いや、賭けてみようかな?)」

ユウナはそのまま二人の戦いを見守ることにした。

「どっちが戦おうが、二人でかかって来ようが同じ事……結果は同じだ!リングマ!破壊しろ!!」

「ディン!」

即座に指示を出して、ディンにリフレクターを張らせる。

「そんな壁など意味が無い!!」

「!!」

壁で受け止めたのだが、あっけなくリフレクターは崩壊した。しかし、ディンにダメージが及ぶ事は無かった。

「ちっ、壁を壊しただけか」

「次はこっちからだ!!」

集中して放つ『電撃波』。

「甘ェ!!」

その攻撃を真っ向からリングマは受け止める。そして、次の瞬間、リングマは口を開けた。

「(まさか、もうニ撃目か!?)」

ディンに攻撃を止めさせて、もっと強力なリフレクターを指示した。

「そんなのは無駄だ!」

「!!」

二度目の破壊光線は威力がまったく違っていた。まさに破壊だけをする為の攻撃と言っていい。極大の破壊光線がリフレクターごと覆い尽くしたのだ。

「まず一匹!」

「まだだ!」

しかし、ディンは力を溜めて耐え抜いた。

「行け!目覚めしサイコよ発動せよ!!必殺、『サイコグラビティ』!!」

「……サイドン!破壊しろ!!」

さらにサイドンを出して、攻撃をする。しかし、サイドンの破壊光線はディンが重力変化を起こして作られた力で押しつぶして行き、最終的にはサイドンさえも押しつぶした。

「ふん!隙だらけだ!!」

サイドンがやられたことも気にせず、攻撃を仕掛けるバロン。

「この攻撃は!?」

リングマの破壊光線が軌道を変化させてディンにヒットした。さすがに何度も破壊光線を耐えるほどの耐久力を持ち合わせてはいなかった。

「オラオラ!どんどん行くぞ!!」

バロンは狙いを変えてヒロトとユウナを狙って行く。

「くっ!スズりん……」

ユウナは攻撃を防ぐ為にポケモンを繰り出そうとした。しかし、攻撃はユウナの目の前で消えた。そして、ユウナの前にヒロトが立つ。ヒロトの傍らにはマッシュがいた。

「ユウナは守る事もしなくていい!俺が守るから……」

「へっ!守りながら戦うなんて甘い事考えてるんじゃねェ!ギャラドス!!」

「そいつか……」

ヒロトは呟いた。そう、バロンのギャラドスはヒロトが一番最初に会ったときから使っていたポケモンだ。

「トージョーの滝ではそいつとサイドンのコンビでやられたんだ。だが、サイドンはさっき倒した!前のようには行かない!!」

「それはどうかな?ギャラドス!『破壊光線』!!」

「レイン!『ハイドロポンプ』!!」

2つの攻撃が押し合う。それを狙って、リングマが再び破壊光線を放つ。それも軌道を自由に変えて。

「くっ!マッシュ!相殺しろ!」

リングマの破壊光線に強力な気の塊をぶつけた。先ほどユウナを攻撃から守ったのと同じ技だ。それと同時に、ギャラドスの光線がレインの近くで爆発した。

「攻撃が押し切られた!?」

「終わりだ!『オリジナルトライアタック』!!」

「くっ!『アイススプレット』!!」

炎の火炎放射、電気の10万ボルト、氷の冷凍ビームを一緒に打ち出す3色の技だ。しかし、レインの氷の氷柱がそれを打ち破ってギャラドスにダメージを与えた。

「それならこれでどうだ!?リングマ!『拡散破壊……」

「そこだ!」

バロンの指示より早くマッシュの攻撃がリングマの顎を捉えていた。

「リングマ!捻り潰せ!」

「マッシュ!ジャブだ!」

リングマとマッシュのパンチの打ち合いが始まった。

「ちっ!やりやがる……。しかし、これで終わりだ!ほらよ!」

バロンがギャラドスに何かを投げた。
するとギャラドスがより強暴になった。

「まさかそれは!」

ユウナが気付いた。

「そうだ!これは『破壊の遺伝子』。攻撃力を最大限に上げる代わりに理性が失われる最悪な道具だ!これをつけたが最後、ボールに戻すまで破壊を続ける、俺の切り札だ!」

「やられる前にやるだけだ!レイン!『10万ボルト』!!」

攻撃がギャラドスに命中する。だが、ギャラドスの暴走は止まらない。攻撃してきた方を見て襲いかかってきた。

「レイン!!」

さらにギャラドスは体をレインにまきつかせて締めつけた。そして、頭突きや噛み付くなど接近攻撃を繰り返した。

「全力で『10万ボルト』だ!!」

今度は電圧でふっとばした。

「行け!『絶対零度』!!」

「やれ!『破壊滅閃』!!」

凄まじい攻撃が同時に決まった。
そう相打ちだ。両方ともダウンした。もう一方はマッシュのスカイアッパーがリングマを圧倒して勝負を決めた。単純に決まった様に見えるが、マッシュのダメージ量も相当な物で、ぎりぎりだったようだ。

「まだ来るか!?」

ヒロトは倒れたレインを戻して言い放つ。

「まさか、こいつを使う事になるとは思わなかったぜ!」

そう言って、最後のポケモンを放つ。

「先に言っておくが、このポケモンを出した以上お前らの待っている運命は……死のみだ!!やれ!!」

「なっ!マッシュ!?」

バロンがポケモンを出して、ヒロトがマッシュに指示を出す間に、マッシュは切りつけられてダウンした。そう、あっという間の出来事だった。

「(動きは見えたけど……反応できなかった……)」


そして、その動きを追って上を見るヒロト。そのポケモンは黒かった。いや、全身黒い。そして、そのポケモンの名を呟いた。

「黒い……リザードン……」

「あいつがリザードンに見えるか?」

「どう言う意味だ?」

「あいつはキメラの最高傑作、ラグナロクだ!」

「(手負いのマッシュとは言え、マッシュが全く反応できなかった……?……こいつは油断できない!)それならこっちだってそれなりのポケモンで行かせてもらうぞ!!」

そして、ヒロトはボールを投げる。そこから出てきたのは、バロンの言うラグナロクと同じポケモンだ。いや、実際には違う点が1つある。そのポケモンが赤い体をしていた事だ。

「こいつで決着をつける!」

「ふん!俺もこいつで最後だからな!」

そういって、バロンはラグナロクに乗る。

「ザーフィ!行くぞ!」

ヒロトもリザードン……ザーフィに跳び乗って一気に空へと舞いあがった。そして、先制攻撃の火炎放射を放った。しかし、相手も上空から破壊光線を撃ってきた。2つのエネルギーがぶつかって爆発、威力は互角だった。その爆煙の中にザーフィは飛び込み、一気にラグナロクに近づいて、手を出した。大抵、煙の中から不意打ちをしかけられると急に対応できるものではない。だが、ラグナロクは余裕でザーフィの右側に回って攻撃をしかけてきた。

「うわっ!」

ラグナロクの攻撃でザーフィは飛ばされた。ヒロトはなんとかザーフィの首にしがみついて、落ちない様にしていた。

「……『ドラゴンクロー』か!?それなら、『メタルクロー』!!」

ザーフィは飛ばされている状態からふんばってとどまり、再びラグナロクへと向かって行った。だが、ラグナロクは軽く攻撃をかわしていた。それも最小限の動きで。

「そんな攻撃なんか当たるか!!ガキめ!」

そして、ザーフィの右腕をラグナロクが掴む。

「やれ!」

「ザーフィ!左手で受けとめろ!」

攻撃の意図を察したヒロトはすぐに指示を出す。ラグナロクは尻尾を振り上げて一気に叩きつけようとした。その攻撃はザーフィのガードも無意味と化した。ザーフィは一気に地面へと叩きつけられしまった。もちろんヒロトもだ。体にダメージを追いつつもなんとか立ちあがろうとする。

「ヒロト!?大丈夫なの!?」

ユウナが声をかけて、駆け寄ろうとする。

「おっと!てめえを消さないとな!」

「!!」

ユウナは自然と身構える。

「ザーフィ!!」

ザーフィの口から大の字の形をした炎が放たれる。いわゆる『大文字』だ。

「しゃらくせー!『ジャイロビーム』!!」

一方、ラグナロクの口から放たれるのは破壊光線だ。だが、普通の破壊光線と違うのは、普通の破壊光線がスクリュー回転して、さらにその破壊光線の周りをさらに破壊光線がスクリュー回転と同じように周っていることだった。
この表現で分からない人は、ドラゴン○ールに出てきたピッ○ロ大魔王の魔貫○殺砲という技を思い浮かべればよい。(ぁ)
そして、大文字をいとも簡単に貫通した。

「(なっ!嘘だろ!?)」

そう思いながらもなんとか回避した。

「これで終わりだ!『ガトリングスマッシュ』!!」

この技はガトリングガンのように破壊光線を6発連続で撃ち出す技だ。しかも、一発の威力は並の破壊光線と変わらない。

「(かわせない!くそ!これで少しでも威力を……)『熱風』!!」

かろうじて攻撃を出すものの、威力を弱めるのに精一杯。攻撃がヒロトとザーフィに命中した。
ザーフィもヒロトもうつ伏せに倒れた。

「ヒロト!!」

ユウナが近づこうとするが、ラグナロクが火炎放射を放ち、道を遮断した。そして、地面へと降り立った。

「(なんて奴なの!?あれだけ破壊光線を撃っておいてあのポケモンは全く反動がないわけ!?)」

バロンが一歩近づくごとにユウナは一歩後退する。

「そう言えばお前と会うのはあの事件以来だったな」

「それがどうしたっていうのよ!」

ユウナがロケット団に入ってから、今日の今日まで二人は顔を合わせた事がなかった。一応ユウナはバロンの顔をバロンが幹部になってから知ったのだが、全くと言っていいほど会う機会がなかった。今思うにはそれは幹部たちが意識してやった事なのかもしれないとユウナは思った。

「俺はガキが嫌いなんだ!泣く、わがままを言う、自分では何も出来ない……。だから嫌いだ」

「何も出来ないなんて当たり前じゃない!」

「そして、一番腹が立ったのはそこにいるあいつにノースト地方の船のポケモン強奪に失敗したことだ!」

「だからなんだって言うのよ!」

「俺は基本的にガキは無視している。それだけだ。だが、今回ロケットルーキーズの一人と本拠地を守れと作戦が出された。本来、破壊工作が好きな俺にとっては退屈な任務だが、仕方がなく引き受けてやった」

「何が言いたいの?」

「お前がなんでここにいるんだ?」

「どう言う意味!?私はこの指令書にしたがって本拠地の護衛としてきたのよ!今はそんな気は絶対ないけどね!!」

と、バロンに指令書を見せつけた。

「……なぜかは知らないが、どうやら指令書が入れ替わった様だな。本当ならお前はある人に預ける事になっていたんだ!命をな!」

「……命を……?」

「つまり、お前はもうこの組織に必要はないということだ!!やれ!ラグナロク!!」

「させないって言っただろ!」

「!!」

声が響いた時、ラグナロクに強力なブレスが命中した。どうやら、今の技は『竜の怒り』のようだ。

「てめえ……まだ息があったのか!」

「……あの程度でやられてたまるか!」

そうヒロトは言うもののザーフィはかなりひどいダメージを負っていて、ヒロトも傷だらけである。

「これでくたばれ!『ガトリングスマッシュ』!!」

「当たってたまるか!ザーフィ!飛べ!」

6連続攻撃の破壊光線を今度はしっかりとかわした。

「(キワメばあさんに教わったあの技で……)ザーフィ!アレで行くぞ!」

ヒロトはこの技を教わった時のことを思い出した。

―――「ダメじゃ、お主とそのリザードンではワシの最強の技を教える事はできん」

―――「な、なんでですか!?」

ヒロトはナナシマを旅していたときに2のしまでキワメばあさんと言う偏屈なばあさんを訪れていた。1の島の灯火山の修行をしていた時、シルバと言う男の人からキワメばあさんのことについて教えてもらったのだった。しかし、彼女の反応はNOだった。

―――「第一に、お主とリザードンは全然息があっておらん」

―――「うっ……」

キワメばあさんの目は厳しかった。いや、誰から見てもその時のヒロトとザーフィのコンビネーションは悪かった。あのサトシとリザードンほどではなかったが。

―――「そして、お主たちがもし、コンビネーションが良かったとしても、この技はお主たちでは身につけられないじゃろう」

―――「なんでそんな事がわかるんですか!?やりもせず!!」

勝手に決めつけられてヒロトは怒った。

―――「ワシの目に間違いはない。ただ、他の技なら教えてやってもいいがの」

―――「他の技?」

「(そうして、教えてもらった技がこれだ!)ザーフィ!『ファイヤーレイズ』!!!!」

ザーフィは空を見て尻尾の温度を上げ始めた。リザードンの尻尾は燃えれば燃えるほど、吐き出す炎の威力は上がると言う。そして、最大まで尻尾の炎を高めた。

「やれ!ラグナロク!『ジャイロビーム』!!」

「ザーフィ!『炎の渦』!!」

2つの攻撃がぶつかった。

「何!?攻撃が押されているだと!?」

徐々にラグナロクの攻撃が押されて行った。そして、最終的にはラグナロクまで攻撃が行きついた。そして、爆発を起こした。

「やった!」

「ヒロト!まだよ!」

「浮かれるなッ!」

すると、ラグナロクがザーフィに頭突きをかました。ザーフィは飛ばされた。

「な!?あの攻撃を受けてまだやられないのか!?」

ラグナロクは確かにダメージを受けている。だが、まだダウンしそうにはない。

「くっ!もう一回『ファイヤーレイズ』!」

「同じ事なんかやらせるか!『ガトリングスマッシュ』!!」

バロンは攻撃をされる前に叩くつもりだ。だが、その前に尻尾の炎が最大になった。

「『熱風』だっ!!」

さっきはダメージを和らげるので精一杯だった熱風だったが、今度は6つの破壊光線を熱の風で押しとめた。

「!!」

「もう、お前の破壊光線は通用しない!!」

「ふん!破壊光線を使えずとも接近戦で十分だ!やれ!ラグナロク!」

バロンがラグナロクに乗って、空を飛んでいたヒロトたちに向かってきた。

「『ファイヤーレイズ』!!」

「無駄だ!『ダーククロー』!!」

黒いオーラをまとった爪がザーフィをつきつける。だが、そのまがまがしい爪をザーフィは右手で受け止めた。その右手は燃えていた。いや、右手だけではなく左手もだ。

「受け止めただと!?」

「この技にはこんな使い方も出来るんだぜ!そして、これが俺のザーフィの切り札、『フレイムメイル』だ!!」

ザーフィの両手は炎でドラゴンの腕のような形をしていた。その腕がザーフィの接近戦の威力を上げていると言ってもいい。さらに、『ファイヤーレイズ』で炎の威力を上げている為、その威力が数倍に跳ね上がっていた。

「行け――――!!」

「やれ――――!!」

ラグナロクとザーフィの打ち合いが始まった。腹に、顔に腕にと次々に傷ついていくニ匹。
そして、最後の一撃はクロスカウンターで二匹の顔に入って、地上に落ちた。

「これで最後だ!!最大パワーで破壊光線!!!」

「これで決める!!全力で火炎放射!!」

ラグナロクは力を溜め込んで、一気に放った。6発分の破壊光線でなければ、ジャイロしている破壊光線でもない。しかし、単純に威力だけを上げて、さらに反動とかもすべて気にせず撃っている破壊光線だけあって今までの威力とは全く比にならなかった。
だが、一方のザーフィの火炎放射もただの火炎放射ではない。ファイヤーレイズの力で最大まで威力を上げている。さらに特性の猛火で威力を上げ、火炎放射の色は青白くなっていた。
事実上、お互い最強の技が激突した。

そして、大爆発が巻き起こった。





……何分が経っただろうか?
爆煙が消えて、立っている影が4つ。
その中で大きな1つの影がぐらりと動いてドスンと音を立てて倒れた。

「けっ!まさか、この俺がこんな奴にやられるとは……」

そう言って、バロンも倒れた。

「勝った……?」

ユウナはヒロトに近づこうとする。すると、ザーフィが倒れた。どうやら体力の限界だったようだ。
ヒロトは息を切らしてずっとバロンを見ていた。

「終わったんだな……?」

ヒロトはユウナに問う。

「本当にバロンに勝ったのね……?ロケット団の誰もがかなわなかったあのバロンを……」

「これでロケット団との戦いは終わるのか……?」

「いいえ、まだ終わらないと思う……」

「どうしてだ?アジトは壊滅。残るはボスのサカキを倒すのみだ!ボスのところには“バンダナ”が行っているからな。認めたくないが“バンダナ”は強い。一度戦っただけでその強さがわかる」

「そう言う事じゃないの」

「??」

そう言って、ユウナはI☆NA(ユウナのマイパソコン)を取り出した。

「私のパソコンにほぼ全てのデータをダウンロードしたのよ!もしかしたら、ロケット団の後ろには何かがいるのかもしれない!」

「何かって!?」

「さっきのバロンが言っていた“ある人”と言うのが凄く気になるのよ……。見つかるまでちょっと待ってて」

そう言われてヒロトは近くの切り株に座って待つ事にした。

「ありがとう」

「へ?」

ディスプレイを見ながら、ユウナは礼を言う。しかし、ヒロトは首をかしげる。

「結局、私はバロンとの戦いに参加せずにあなたに守ってもらっちゃったことになるわね」

「いいんだ。俺がそう決めて戦ったんだ!気にすることじゃないさ!」

「それじゃ、私のこと……ずっと守ってくれる?」

ユウナはまじめな口調で話していた。

「えっ!?(それって……)」

「冗談よ♪」

ヒロトは地面にずっこけた。

「じょ……冗談か……(まじめな顔で言っているから、本気で言っているのかと思った……(汗))」

バロンとの戦いが終わり、霧が晴れて太陽が射し始めた。
そして、その太陽は日没へと向かっていった。





つづく





技データ

オリジナルトライアタック・・・バロンのギャラドスの技。10万ボルト(電気)、火炎放射(炎)、冷凍ビーム(氷)の三属性の技を重ねて放つ技。

破壊滅閃・・・破壊光線を極大化させたもの。触れただけで戦闘不能になる威力。(アットさん談)

ジャイロビーム・・・バロンのラグナロクの技。破壊光線にジャイロ(回転)を加えた破壊光線。破壊力が3倍増しになっています。

ガトリングスマッシュ・・・バロンのラグナロクの技。破壊光線を6発連続で打ち出す。

この技はシェリーさんのアナザーストーリーで出てくるワタルのカイリューと同名の技です。

ファイヤーレイズ・・・ヒロトのザーフィの技。体内に炎を溜めて、炎系の技をすべて上げる技。電気系の技『充電』と大体似たような技。技の名前はポケモンカードゲームから引用。

フレイムメイル・・・ヒロトのザーフィの技。炎の鎧。と、技の名前はなっているが、両腕に炎を纏って、単純に打撃能力と防御能力を上げる。しかも、ファイヤーレイズを使った後に使うと、長持ちしやすい。



キメラデータ

bT ラグナロク

タイプ・・・悪 ドラゴン
特性・・・浮遊

姿はリザードンと酷似している。しかし、色は黒く、尻尾の炎まで黒く燃えている。
能力から性格に至るまで、残虐的な攻撃力である。



アトガキ

ヒロト対バロン・・・二人の戦いにやっと決着がつきました♪
この二人の出会いは、確かそう、第5話でした。この出会いのせいで、ヒロトはポケナビが壊れて、危うく遭難の日々になるところでした。トキオが現れてそうならなかったけれど。
2回目はオウギ山でのこと。このとき初めてバトルをしますが、ギャラドスの前にヒロトはなす術もなく。相性がいいシオンが最初からダウンしていたのでなんともいえませんが。
3回目はジョウチュ丸の事件。船の上で戦って、ギャラドスをようやく撃破です。しかし、バロンはこのときギャラドス一匹しか持っていなかったという。つまり、バロンの真の実力は第一章では出せなかったということになります。
そして、ヒロトが記憶喪失になる原因となったのが、トージョーの滝の戦い。しかも、この戦いは最初にサイドンの不意打ちを受けてそのままの運びでほとんどのポケモンがやられて、破壊光線を受けた上に崖から落とされて、記憶喪失になりました。以下、外伝3参照。(ぁ)
それまで、バロンはヒロトが死んだと思っていたんですよ。それにしても、シードとかエドがヒロトにやられたといっているのに、何故バロンは知らないのでしょうか?
それはバロンが他人に興味ないからです!(蹴)
ちなみに、エドはヒロトの名前を知らずにやられたので、大丈夫です。(何)

そして、次回は『ボスの切り札』です。

 

[一言感想]

 ヒロトvsユウナ、そしてヒロトvsバロン。
 それぞれの決着がつきました。
 バロンは敵としては珍しく、回を重ねるごとにレベルアップしていくキャラクターでしたね。
 物語序盤から戦ったヒロトとバロンにとっては、因縁の対決だったと呼べるでしょう。
 それはそうと、ヒロト自身はまだ気づいていないものの、ようやくヒカリを知る人物と出会えた事になります。
 このまま一気に、ヒカリの元へ近づければ……いいのですが。

 

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