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幻水5プレイ記
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「あの、これ……」
口ごもりながら差し出されたのは一冊の書。
本題をどう切り出したらいいものか迷っている内に、
「…ジンのものね?」と先回りされた。
「……形見なのね?」
一瞬、固まる。どう答えたらいいのかわからなくても、
相手にはそれが答になった。
「いいのよ、もう知ってましたから」
「ヒュライト一座からですか?」
「本人からよ」
感情を消した微笑。魂は空を飛ぶ姿で帰るのだと、
故郷ではそう伝えられていたことを、
マリーは思い出した。
「幸せだって言ってたわ。だから泣かないでって。
そうやって言いたいことだけ言って、
さっさと逝ってしまったわ」
一瞬だけ、今度は淋しげに微笑む。
「あなたがいるとわかってたら、
きっとあなたにも同じことを言ったはずよ」
「はい」
「あの子は幸せだったの。自分のしたいことして、
一人で逝ってしまったわ。
あとのことなんて全然考えないで」
残される方のことなんて、なにひとつ考えないで。
省略された言葉を、全員が正確に理解する。
「…ずるいですよね」ぽつりと呟いたのはセイジ。
「本当に」と自然に相槌を打ったのはレジンスキーだ。
思い当たることは多々ある。
自分たちは互いに重荷を分かちあって、
一緒に歩いていきたかったのに。
「……本当に、ずるい」
遠い目をして、セイジが呟いた。 |