このサイトでは混乱を招かないように“春菜”と“ペルソナウェア”を同じモノのように扱っていますが、実はちょっと違います。
ペルソナウェアというものは、ペルソナ(キャラクタ)をデスクトップに立たせる為の土台みたいなもので、そのペルソナウェアの上に立っているペルソナが春菜なのです。
つまり、ペルソナウェアは一つですが、ペルソナは一つではありません。春菜以外にも沢山のペルソナがいます。
ペルソナは制作元のプラエセンスだけが作っているのではなく、ベンダーと呼ばれる、主にフリーで活動している協力者も作っています。
本来両者は肩を組んで仲良くペルソナウェアを発展させる関係である…べきなのですが、どうもそうなっていません。
ベンダーに対するプラエセンスの対応がちょっと納得できかねるものの為、ベンダー諸氏もいまいち喜んでプラエセンスに協力する気にならないみたいなのです。
プラエセンスとベンダー(及びペルソナウェアユーザ)との間に何があったのでしょう?
この問題はプラエセンスという会社の、ユーザに対する姿勢というものを浮き彫りにしています。そして、そのプラエセンスの在り方が、今回の偽春菜問題を引き起こした、とも言えるのです。
ペルソナウェアの開発者の中西巧氏。彼は高専時代からプログラムコンテストで好成績をあげる、なかなか優秀なプログラマでした。ペルソナウェアの構想はそのころに思いついたもののようです。
そして、中西氏の評判を聞きつけた、翼システムというかなり大きな会社の社長が、直々に中西氏に社員にならないか、と持ちかけたのです。まれに見るサクセスストーリィですね。
中西氏は『ペルソナウェア with "春菜"』を開発し、フリーウェア(無料)として発表しました。
そのコンセプトや拡張性に賞賛の声があがり、窓の杜というオンラインソフトを紹介する有名なサイトでの“窓の杜大賞インターネット関連部門賞”を受賞するにいたりました。
窓の杜については、これまた独善的と言わざるを得ない出来事があるのですが、とりあえず今回の問題にはあまり関係がない事なので、興味のある方はこちらをどうぞ。なお、窓の杜は当初は偽春菜の存在を無視していましたが、現在は方針を変えたようですね。
とにかく、ペルソナウェアは支持を得ました。そして「自分もペルソナ(キャラクタ)を作りたい、ペルソナウェアの発展に協力したい」と多くの人達が立ち上がり、春菜を超える機能と魅力を持つペルソナをも生み出していきました。その協力者達はベンダーと呼ばれました。
このように、ペルソナの未来は明るいように見えました。しかし、ある日、中西氏はペルソナウェアのシェアウェア化(有料化)を決定したのです。翼システムが出資する『プラエセンス』という会社もたちあげました(しかし、中西氏が社長というわけではない)。
ペルソナウェアのさらなる開発とサポート強化の為、ということでした。
ペルソナウェアは個人のフリーウェアという物から、会社の商品と姿を変えることになります。…まぁ、そんな事もあるかな、と思います。フリーでやっていけなくなったから、もっと充実した開発環境を作りたいから有料化する。本来ならば、別に非難されるようなことではありません。
しかし、ペルソナウェアには一つ問題があります。その時すでにペルソナウェアの魅力は、フリーで活動しているベンダー諸氏の作った優秀なペルソナの方にあったのです。
プラエセンスが提供する春菜はあまり人気がありませんでした(言ってしまえば、春菜はそんなに大したことないペルソナなのです)。かなりの数のペルソナウェアユーザが、ベンダーが作ったペルソナに切り替えていました。
つまり、「プラエセンスは、フリーで活動してくれているベンダーさんが作ったペルソナを利用して金を儲けようとしているのではないか?」との疑問の声があがったのです。
これまでのフリーの『ペルソナウェア with "春菜"』はどうなったかというと、配信終了になりました。
そして、新しい有料のペルソナウェアは無料のペルソナウェアとの互換性はありませんでした。「これからもペルソナウェアを使いたかったらお金をだしてね」ということです。
それ自体は非難されることではないのでしょうが、という事はフリーで活動しているベンダーの作りだしたペルソナを使いたければ、“そのペルソナを作ったベンダーに”ではなく“プラエセンスにお金を払う”といういびつな構図が生まれてしまったのです。
確かに、例えば『Photoshop』(代表的な画像加工ツール)は有料ですが、ユーザがPhotoshopでどんなに素晴らしい作品を作ったとしても、(Photoshopの制作元の)Adobeはそのユーザに気兼ねする必要はありません。が、ペルソナウェアはどうなのでしょう? ツールやOSと同等の物を考えれば…。
しかし、Photoshopで作った作品はPhotoshopが無くても鑑賞可能なのに対して、ベンダーが作った作品(ペルソナ)はペルソナウェアがないと使用できないのです。ここに問題はないでしょうか?
(正確には『ペルソナウェア with "春菜"』でペルソナを開発できるわけではありません。専用のペルソナ開発キット(PDK)が必要なのですが、話がややこしくなってしまうので、一緒くたにペルソナウェアと呼ばせていただきます)
また、ペルソナウェアをWindowsみたいなOSのようなものと考えるならば、確かにWinのフリーウェアはWinがなければ動きませんから、一見正当な主張に見えます。
…でもペルソナウェアってOSと同等のモノと見ることができるでしょうか? なにしろOSはコンピュータを動かす為の全ての動作に関わる欠かせないものですが、ペルソナウェアはペルソナを動かすだけのものです。同じ様なものと見れますか? …プラエセンス側はそう定義しているらしいですけど。
参考資料
(はっきり調べたわけではないですが、形としては「ペルソナウェアが有料で春菜は無料」なのだと聞きます。ペルソナウェアのオマケが春菜なのでしょうか?
中西氏は春菜というよりペルソナウェアに自信があったようですし、騒動が起こった当初、「春菜つまんない」という意見に対し、ベンダーの人たちは「春菜だけ見てペルソナウェアを判断しないで」とか言ってましたので、ペルソナウェア…というよりも、ペルソナを開発できるPDKが立派だったのでしょう。僕はそっち方面はさっぱり分かりませんが。
ならば、『ペルソナウェア with "春菜"』を有料にするのではなく、PDKのみを有料にすれば良かったのに。開発ツールなら有料であってもそんなに違和感はないし。無料のペルソナウェアが流行ったら、開発ツールを買ってでも自分もペルソナ(キャラクタ)を作りたいと考える人も出てきたと思うけどなぁ。
まぁ、そんなことは以前から言われてきたことだと思いますし、それらの意見を無視してでも『ペルソナウェア with "春菜"』を有料にしたかったのでしょうね。…どんな考えがあったかは知りませんが)
当然、フリーで活動してきたベンダー諸氏は中西氏(プラエセンス)に反発しました。これは“私達を利用してお金を儲けようとするのは許せない”というよりも、中西氏の決定が“ペルソナウェアの持つ可能性を削ぐ行為”であったからのようです(もちろん“ベンダーを利用した金儲け”に関して怒っている方もおられます。これも正当な主張であります)。
どうして、せっかくここまで発展したコミュニティを潰すような行動をするのか? 2500円という価格は高すぎないか? 本当にシェアウェア化することによってペルソナウェアは進化するのか?
ベンダーやユーザから、質問疑問の声が数多くあがりました。その声に対する中西氏(プラエセンス)の対応が、ベンダーの望むものとは大きくかけ離れていたことが問題だったのです。
さて、中西氏(プラエセンス)はどう答えたか。そのころの彼の日記に、彼がどう思っていたかを表す記述が見られますので引用します。
(日記に見られる0.93や0.97というのはペルソナウェアのバージョンの事で、0.93が無料、0.97が有料となっております。なお、実際には0.97でなく、1.00から有料になりました)
- 2/8(火)
- 色々と考えたことがあったのだが,いまいちまとまらない.
結論だけ書くと「現状のペルソナ(春菜など,自社製ペルソナも含めて)はまだまだである」「プラットフォームが機能的に完成されてからこそがペルソナの進化の勝負所」「現状に満足しては進歩はない」「この程度で満足するような奴は要らん」
余計訳わからんか.「0.93での春菜は情報しか更新がないけれど,それは単純に人手がないからそうなっているだけで,それに満足しているわけではない,0.97でならもっと幅が広がるから,『仮想人格』の名に恥じない(少なくともマシにはなる)ものが創れるようになる.だからベンダーにはもっと0.97に移行して凄いペルソナを創って欲しい」
くらいですかね.
まあ,新機能を使いこなすには技術レベルも必要だし,HTMLやTalk台詞での文字列や音楽ファイルがメインコンテンツだという形式のペルソナなら,現状でも十分である可能性はあるかもしれない.
- 2/9(水)
- あくまで極端な例として…
私は「無償のなあなあの中で責任のない適当なものを作りつづける世界」よりは,どちらかといえば「受益者から金をどんどん取ってでも凄くて画期的なものを切磋琢磨しながら創れる世界」のほうを望みます.
と,こういうことを書くと,オープンソース流行の昨今「何で金が必要なのか?」と聞かれそうですが.乱暴にいえば,プログラマだけならタダで集まります(むっちゃ暴言や).でも会話内容(あるいはシナリオ)・プログラム・声・CGを全部揃えて,しかも多量に高頻度で更新しようと思ったら,さらにいえば,それをずっと継続させていこうと思ったら,やっぱり「ペルソナ一体月額何円〜」にするしか手はない(もっと言えば,組織化が必要)ように思います.
月額課金するに足るようなペルソナなんて,まだまだ先は長い…しかし,逆に言えば,月額いくらで売り物になるような凄いペルソナ,というのを作ることが私の夢です.そのために基盤を整備しているという.
とはいえ,フリーでペルソナが創れる状況,というの自体は大事にしたいところですね.基本的な開発キットや開発情報の公開については,すべからく平等であるべきだと思う.そういう意味では,「春菜だけが使っている極秘機能」なんてものはないですから,できているのかもしれない.
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確かに、値段に見合う製品になれば、誰も文句は言わないのですが…。まぁ、この時点では0.97は完成されてないので。
しかし、やはりシェアウェア化に伴い、ベンダーをやめる人もでてきたわけです。
そして、問題は次の記述。
- 3/20(月) ちっ
- CGや文章に専念したいからペルソナ運営を停止すると発表するのは自由だが,その理由に本体のSW化を(便利に)持ち出さないで欲しいもんである.「本体がSW化するから続けられません」と言っておけばユーザの同情がひけると思ってるのか,どうかは解らないが.
そもそも,これまでさんざんロハでペルソナウェアをペルソナ公開(ひいては,自分のキャラクターを表現するという)目的に利用しておいて,辞めるときになって立つ鳥跡を濁す的に「SW化には賛成できないうんぬん」は酷いと思う. いや,別に「お礼のメールを一通も貰ったことがない」とか,「ロクにバグ報告もせん」なんて言うつもりはないんです.ペルソナに利用されることは,少なからずペルソナウェアの販促に役立つし,地道にペルソナを運営しておられるベンダーさんには,有り難いと思ってます.ベンダーによってはまるでテイクが無いこともあるなんてことは,計算に織り込み済みですから.全体として利益があれば良しとするしかない.
しかし,せめてバグ報告なんかを別に義務付けているわけではなく,ペルソナウェアを無償で使わせている我々に対し,害になるような発言はしない,という程度の心遣いは要求してもいいのではないだろうか.
えっ? 単なる愚痴ですから気にしないでくれって?
URLさえあれば全世界からみられるようなパブリックな領域に発言を置いといて,何が愚痴なものか.そんなのはせめてICQでやってくれ.
たまには,普段思ってることをオブラートに包まずそのまま書くのもいいでしょう.
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日記の全文 1 2 3
とんでもない発言ですから、もう一度…
“これまでさんざんロハでペルソナウェアをペルソナ公開(ひいては,自分のキャラクターを表現するという)目的に利用しておいて,辞めるときになって立つ鳥跡を濁す的に「SW化には賛成できないうんぬん」は酷いと思う”
“ペルソナウェアを無償で使わせている我々に対し,害になるような発言はしない,という程度の心遣いは要求してもいいのではないだろうか”
中西氏の反応はこうでした。これでは、ベンダーの方々を「良き協力者」としてではなく「自分の開発した素晴らしいツールをタダで利用し、己の作品の発表の場として利用しているだけの者」としてしか捉えてなかったと思われても仕方ない。
こんな事を言われて、ベンダーが黙っているわけがありません。これを知ったほとんどのベンダーは、“シェアウェア化したフリー版との互換性のないペルソナウェア”での開発を行わず、フリーの0.93にのみ対応したペルソナを開発しつづけたのです。
「一応ペルソナを開発しているのでベンダーという身分だが、中西氏(プラエセンス)の意向には添えない」との意でしょう。
まぁ、過去の発言ですから今は違う考えになっているかもしれません(僕だって昔の文章などを持ち出されれば、ただただ「ごめんなさい」と謝るのみですし…)。
しかし、今回の騒動をみるかぎり、あまり変わってないのかもしれませんね…。
偽春菜問題が起きたとき、ペルソナウェアのメーリングリストではベンダーさん(?)のこのような発言がありました。
(一部僕の判断で削除した箇所がありますが、本文はいじっておりませんので…)
| Re: ついに警告ですか…
Date: Fri, 26 Jan 2001 01:29:42 +0900
むぅ〜〜・・・
だから言わんこっちゃない・・・
わかりますよ、違法性とか会社としての立場とか。
それも正論ですよ、確かに。
だけど・・・こないだ言ったこと、ですよ、結局。
今回はほんとに歯に衣着せず、はっきりと失礼を承知であえて
言わせてもらいます。
中西さん、あなた(たち?)の対応というのは、いつも「人間味」
に欠けるのですよ。
相手はあなたと同じ人間ですよ。感情や好悪を持つ人間ですよ。
ペルソナも製作しているあなたが、そこがわからなくてどうしますか。
あなたが素晴らしい頭脳と技術の持ち主であることは、ペルソナウェア
を利用したすべての人が等しく認めていると思います。
そしてペルソナウェアがあなたたちのものである、ということも、みんな
わかっています、じゅうぶんに。
だけど。
どうか、お願いですからわかってください。
あなた以外の人間がすべてバカでくだらない価値のない人間では
ないのですよ。
「わかんないやつはバカだから相手にしなくていいんだ」とはどうか
思わないでください。
なんだか、涙が出てきます。
こういう形でみんなが離れていって、これまでにみんなで積み上げた
ものが消えてなくなってしまうのかと思うと・・・
せっかくこんな素晴らしいものを作られたのに、こんなことでつまづいて
台無しにするなんて、あまりにももったいないじゃないですか。
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あの通告メールが正論かどうかは別として、本来味方であるはずのベンダーさんにも呆れられていたのです。「またか…」と。
他にも、プラエセンスと直接メールのやりとりをした元ペルソナウェアユーザさんもいらっしゃいます(そのトップ)。参考までに。
(つながらなくなってしまいました)
以上、偽春菜問題にも繋がる話です。あなたはどう思われたでしょうか…?
えんいー。
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