積読リスト

エントリ一覧

  1. よくわかる最新オブジェクト指向の基本と仕組み
  2. ゼロからのキャッシュフロー入門
  3. 犯罪心理学入門
  4. 諸子百家
  5. マークスの山 上・下 / 高村薫
  6. フィッシュストーリー / 伊坂幸太郎
  7. 重力ピエロ / 伊坂幸太郎
  8. 向日葵の咲かない夏 / 道尾秀介
  9. 片眼の猿 / 道尾秀介
  10. ショートショートの花束 / 阿刀田高 編
  11. 新約茶の本 / 岡倉天心
  12. フェルマーの最終定理 / S・シン
  13. はじめてのゲーム理論
  14. 暗号の全てがわかる本
  15. これで半導体のすべてがわかる
  16. これからの「正義」の話をしよう(ハーバード白熱教室) / マイケル・サンデル
  17. ぼくはこんな本を読んできた / 立花隆
  18. 社長100人の「私の1冊」
  19. ゴーン・テキスト / カルロス・ゴーン
  20. 仕事力 / 朝日新聞社
  21. Web2.0 Book
  22. Googleの謎 アフィリエイト編
  23. 巨大市場インドのすべて / 島田卓
  24. お金持ちになれる黄金の羽の拾い方 / 橘玲
  25. カエルを食べてしまえ / ブライアン・トレーシー
  26. 三四郎 / 夏目漱石
  27. それから / 夏目漱石
  28. 門 / 夏目漱石
  29. こころ / 夏目漱石

フィッシュストーリー

p60
日が周囲の明るさを引きずって沈みはじめ、空全体が萎んでいく気配がある。

ハセイ1→伊坂幸太郎「重力ピエロ」
ハセイ2→伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

重力ピエロ

p95
父の返答次第では、私の人生はそこでぽきりと折れてしまったかもしれない。 投げ遣りな回答や、曖昧な返事、子供をはぐらかすような答えを父が口にしたならば、私は家の中のありとあらゆる物に幻滅したはずだ。 茫洋たる黒い海に放り投げられた気持ちになり、もはや何ものも信じることのない犯罪者の予備軍に、身を落とした可能性もあった。

ハセイ1→井伏鱒二「山椒魚」
ハセイ2→岸田劉生「道路と土手と堀」
ハセイ3→S・シン「フェルマーの最終定理」

向日葵の咲かない夏

p133
建物の前のレンガ敷きのスペースに、石でできた少女が数人並んで、静止しながら踊り戯れていた。

p308
燃えていく線香花火を見つめながら僕は、もしいま時間が止まったら、もっと奇麗だろうと思った。
この小さな雷は、たくさんの細い枝のように、じっと固まって、そしてその固まった光の枝を、掌で押したら、きっと飴のようにぱりぱりと崩れて、どんなに素敵な眺めだろうと想像した。

片眼の猿

p200(一部改変)
A「なあ、マスター。あくどいことをする人間ってのはさ、罪の意識を感じないものなのかな」
B「テレビやなんかで深海魚の泳いでいるところを見て、不思議に思ったことはありませんか?あいつら、つぶれないんですよ」
B「あいつらは、そこで生まれたからなんですよ。もともと深海で生まれたもんだから、体がそういう環境に適したつくりになっている。何の違和感もおぼえずに生きているんです」
A「あくどい人間も同じだってのか?」
B「当てずっぽうですがね」
B「逆の理由で、深海魚を飼うこともできません」

<メモ>110205
『月と蟹』で直木賞受賞。

フェルマーの最終定理

p72
xn+yn=zn
この方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない。

p118
(フェルマーのメモ)私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない

p72
フェルマーから300年あまり、偉大な数学者が失われた証明を再発見しようとしてきたが、その試みはことごとく失敗に終わった。

p299
「楕円方程式を研究している数学者はモジュラー形式のことには詳しくなかっただろうし、その逆も言えたでしょう。そこに谷山=志村予想が登場して、完全に別の二つの世界に橋が架かっているという壮大な推測をしたのです」

p308
フライはフェルマー方程式を楕円方程式に変形することによって、フェルマーの最終定理を谷山=志村予想に結びつけたのである。
(中略)つまり、もしも谷山=志村予想が証明できれば、自動的にフェルマーの最終定理を証明したことになるのだ。

p75
ワイルズはフェルマーの最終定理を書き終えると、聴衆に向き直って穏やかにこう告げた。「ここで終わりにしたいと思います」

ハセイ1→p242「ジョン・フォン・ノイマン」
1944年、ジョン・フォン・ノイマンは、「ゲームの理論と経済行動」という共著の本を出版した。
フォン・ノイマンはこの本のなかで”ゲーム理論”なる言葉を生み出した。
(中略)アメリカのシンクタンクであるランド研究所は、ノイマンのアイディアがもつ潜在的可能性に気づき、冷戦期の戦略開発のために彼を雇い入れた。
それ以来ゲーム理論は、戦闘をチェスに見立てて戦略を練る将軍たちにとってなくてはならない道具となった。
「はじめてのゲーム理論」

ハセイ2→p245「エニグマ機」
暗号の作成と解読は、作成者と解読者とが繰り広げる頭脳戦である(第二次世界大戦、ドイツ軍VS英国情報部)
ドイツのエニグマ暗号の強みは、数段階にわたる暗号化作業が実にスピーディーに行われることだった。
「暗号のすべてがわかる本」

はじめてのゲーム理論

p2
ゲーム理論とは要するに複数の主体の合理的行動は何か、ということを研究する学問のことである。
ゲーム理論は1944年、フォン・ノイマンとモルゲンジュテルンの共著「ゲームの理論と経済行動」の公刊によって生まれた。
経済学者が大挙してゲーム理論の研究を始めたのは1980年に入ってからである。
今日では経済分析の基本的用具として世界中の主要な大学で教えられている科目の1つにまで成長している。

P22
ジョン・フォン・ノイマンは20世紀の科学のほとんどの分野に現れる天才数学者である。
・プログラム内臓方式計算機
・DNAの自己複製メカニズムの数学的モデルともいえる自己増殖オートマトンの理論
・マンハッタン計画での仕事

暗号のすべてがわかる本

p10(一部改変)
従来...軍事、諜報技術
現在...ディジタルデータの暗号化、認証、クレジット、電子マネー

P50
エニグマは生成された暗号の堅牢性が大変高く、機械暗号機の最高傑作とされている。
(中略)ドイツ軍はこの暗号機に注目し、ヒトラーが政権に就いた1933年にはエニグマの販売は中止され、その後の開発はドイツ陸軍が担当した。

p52
英国情報部のエニグマの解読を行ったこのグループは「ウルトラ」と呼ばれている。
(中略)このウルトラ・グループの一人、チューリングはディジタル計算機の仮想機械を1936年に提唱し、現在の計算機科学の理論的基礎を築いている。
そして、この理論を元に暗号解読用コンピュータの製作に取り掛かり、ドイツ軍の暗号解読が効率的に行われるようになった。
エニグマのメカニズムを知ったこととコンピュータの登場は、暗号解読に大きなはずみを付けることになった。

p54 コンピュータの歴史
非ノイマン型...1943年英国「COLOSSUS」
ノイマン型*...1949年英国「EDSAC」

*ノイマン型
1947年フォン・ノイマンによって提唱された、プログラム内臓方式のコンピュータ。21世紀初頭におけるコンピュータのほとんどはノイマン型である。

p65 太平洋戦争と暗号
ハル国務長官は日本の外交用暗号パープルの解読により日本の手の内を知りつくしており、当時の日本にとっては屈辱的な要求を突き付けられる結果となった。
1941年11月26日、日米交渉最終段階におけるハル・ノートは日本にとっての最後通牒になり、12月1日、東条英機内閣は対米開戦を決定した。
(中略)ミッドウェイ海戦の敗北や山本五十六提督の戦死などは、すべて暗号が解読されていたことが要因となっており、この結果は戦局に大きな影響を与えた。

ハセイ1→これで半導体のすべてがわかる

これからの「正義」の話をしよう(ハーバード白熱教室)

借りて読んだが、これは良かった。テレビでも放送されており、今年からは日本でも対話型の授業を行う白熱教室JAPANが放送されている。
難しい理論だけでは敬遠してしまうが、身近な話題で考えさせてくれるので、入り込みやすい。
また改めてまとめようと思う。

お金持ちになれる黄金の羽の拾い方

p30
あなたが仮に、一年間働いて年500万円の収入を得るとします。市中金利を1%として、資産運用で500万円の利益を得るには5億円の元本が必要です。あなたの能力を一種の株式と考えれば、その価値は5億円ということになります。
この巨額の”資産”からすれば、あなたが持っている数百万円の金融資産など、問題にもなりません。あなたが今すべきことは、5億円の”資産”を10億、20億へと増やしていくことです。これを、経済学の用語で「人的資本への投資」と言います。

p141
現在、所得税の最高税率(課税所得1800万円超)は37%になっています。しかし、これに住民税の最高税率(課税所得700万円超)13%を加えると、実効税率は50%まで上がります。どんなに頑張って働いても、最後は稼ぎの半分をお上に召し上げられるわけです。
(中略)標準的なサラリーマン家庭(年収600万円、専業主婦に子供2人)でも、給料の五分の一はお上に召し上げられているのです。

三四郎

p19
(汽車で乗り合わせた男との会話)「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より…」「日本より頭の中の方が広いでしょう」と云った。
(中略)この言葉を聞いたとき、三四郎は真実に熊本を出た様な心持がした。同時に熊本に居た時の自分は非常に卑怯であったと悟った。

それから

p29 110218
縫という娘は、何か云うと、好くってよ、知らないわと答える。そうして日に何遍となくリボンを掛け易(か)える。近頃はヴァイオリンの稽古に行く。帰って来ると、鋸の目立ての様な声を出して御浚(おさら)いをする。ただし人が見ていると決して遣らない。
(中略)代助だけが時々そっと戸を明けるので、好くってよ、知らないわと叱られる。

p51
代助は椅子に腰を掛けたまま、新しく二度の所帯を東京に持つ、夫婦の未来を考えた。平岡は三年前新橋で分かれた時とは、もう大分変わっている。彼の経歴は処世の梯子段を一二段で踏み外したと同じ事である。まだ高い所へ上っていなかっただけが、幸いと云えば云う様なものの、世間の眼に映ずる程、体に打撲を受けていないのみで、その実精神状態には既に狂いが出来ている。始めて逢った時、代助はすぐそう思った。
(中略)平岡はその時顔の中心に一種の神経を寄せていた。風が吹いても、砂が飛んでも、強い刺激を受けそうな眉と眉の継目を、憚らず、ぴくつかせていた。そうして、口にする事が、内容の如何に関わらず、如何にも急しなく、かつ切なそうに、代助の耳に響いた。

p85
「僕は僕の意思を現実社会に働き掛けて、その現実社会が、僕の意思の為に、幾分でも、僕の思い通りになったと云う確証を握らなくっちゃ、生きていられないね。そこに僕と云うものの存在の価値を認めるんだ。」

p87
平岡「何故働かない」
代助「何故働かないって、そりゃ僕が悪いんじゃない。つまり世の中が悪いのだ。もっと、大袈裟に云うと、日本対西洋の関係が駄目だから働かないのだ。
(中略)代助「悉く切り詰めた教育で、そうして目の廻る程こき使われるから、揃って神経衰弱になっちまう。話をして見給え大抵は馬鹿だから。自分の事と、自分の今日の、只今の事より外に、何も考えてやしない。考えられない程疲労しているんだから仕方がない。精神の困憊と、身体の衰弱とは不幸にして伴っている。のみならず、道徳の敗退も一所に来ている。」

p190 110215
もし馬鈴薯(ポテトー)が金剛石(ダイヤモンド)より大切になったら、人間はもう駄目であると、代助は平生から考えていた。向後父の怒に触れて、万一金銭上の関係が絶えるとすれば、彼は厭でも金剛石を放り出して、馬鈴薯に噛り付かなければならない。そうしてその償いには自然の愛が残るだけである。その愛の対象は他人の細君であった。

p206 110217
その時の平岡は、熱病に罹った人間の如く行為(アクション)に渇いていた。彼は行為の結果として、富を冀っていたか、もしくは名誉、もしくは権勢を冀っていたか。それでなければ、活動としての行為その物を求めていたか。それは代助にも分からなかった。

p225
濠を隔てて高い土手の松が目のつづく限り黒く並んでいる底の方を、電車がしきりに通った。代助は軽い箱が、軌道(レール)の上を、苦もなく滑って行っては、又滑って帰る迅速な手際に、軽快の感じを得た。その代り自分と同じ路を容赦なく往来する外濠線の車を、常よりは騒々しく悪(にく)んだ。

p234
三人はかくして、巴の如くに回転しつつ、月から月へと進んで行った。有意識か無意識か、巴の輪は回るに従って次第に狭まって来た。遂に三巴が一所に寄って、丸い円になろうとする少し前の所で、忽然その一つが欠けたため、残る二つは平衡を失った。

p240 110218
代助は橋の上に立って、三千代が横町を曲がるまで見送っていた。それから緩くり歩を回らしながら、腹の中で、「万事終る」と宣言した。
雨は夕方止んで、夜に入ったら、雲がしきりに飛んだ。その中洗った様な月が出た。代助は光を浴びる庭の濡葉を長い間縁側から眺めていたが、仕舞に下駄を穿いて下へ降りた。
(中略)代助はその真中に立って、大きな空を仰いだ。やがて、座敷から、昼間買った百合の花を取って来て、自分の周囲に蒔き散らした。白い花弁が点々として月の光に冴えた。

p99 110303
今まで陰気な室にいた所為か、通へ来ると急にからりと気が晴れた。肌の筋肉が寒い風に抵抗して、一時に緊縮する様な冬の心持の鋭どく出るうちに、ある快感を覚えたので、宗助は御米もああ家にばかり置いては善くない、気候が好くなったら、ちと戸外の空気を呼吸させる様にしてやらなくては毒だと思いながら歩いた。

p111 110303
その日は判然(はっきり)土に映らない空が、朝から重なり合って、重い寒さが終日人の頭を抑え付けていた。

p135
御米は宗助のする凡てを寝ながら見たり聞いたりしていた。そうして布団の上に仰向になったまま、この二つの小さい位牌を、眼に見えない因果の糸を長く引いて互に結び付けた。それからその糸を猶遠く延ばして、これは位牌にもならずに流れてしまった、始めから形のない、ぼんやりした影の様な死児の上に投げかけた。御米は広島と福岡と東京に残る一つずつの記憶の底に、動かしがたい運命の厳かな支配を認めて、その厳かな支配の下に立つ、幾月日の自分を、不思議にも同じ不幸を繰り返すべく作られた母であると観じた時、時ならぬ呪詛(のろい)の声を耳の傍に聞いた。

p138
彼等は大きな水盤の表に滴った二点の油の様なものであった。水を弾いて二つが一所に集まったと云うよりも、水に弾かれた勢で、丸く寄り添った結果、離れる事が出来なくなったと評する方が適当であった。

p139
彼等は自然が彼等の前にもたらした恐るべき復讐の下に戦きながら跪ずいた。同時にこの復讐を受けるために得た互の幸福に対して、愛の神に一弁の香を焚く事を忘れなかった。彼等は鞭(むちう)たれつつ死に赴くものであった。ただその鞭の先に、凡てを癒やす甘い蜜の着いている事を覚ったのである。

p155
事は冬の下から春が頭を擡げる時分に始まって、散り尽した桜の花が若葉に色を易(か)える頃に終った。凡てが生死の戦いであった。青竹を炙って油を絞る程の苦しみであった。大風は突然不用意の二人を吹き倒したのである。二人が起き上がった時は何処も彼処も既に砂だらけであったのである。彼等は砂だらけになった自分達を認めた。けれども何時吹き倒されたかを知らなかった。

暴露の日がまともに彼等の眉間を射たとき、彼等は既に徳義的に痙攣の苦痛を乗り切っていた。彼等は蒼白い額を素直に前に出して、其所に炎に似た焔印を受けた。そうして無形の鎖で繋がれたまま、手を携えて何処までも、一所に歩調を共にしなければならない事を見出した。彼等は親を棄てた。親類を棄てた。友達を棄てた。大きく云えば一般の社会を棄てた。もしくはそれ等から棄てられた。学校からは無論棄てられた。ただ表向だけは此方から退学した事になって、形式の上に人間らしい跡を留めた。
これが宗助と御米の過去であった。

こころ

p84 110321
私は式がすむとすぐ帰って裸体になった。下宿の二階の窓をあけて、遠眼鏡のようにぐるぐる巻いた卒業証書の穴から、見えるだけの世の中を見渡した。
(中略)大の字なりになって、部屋のまん中に寝そべった。私は寝ながら自分の過去を顧みた。また自分の未来を想像した。するとそのあいだに立って一区切りをつけているこの卒業証書なるものが、意味のあるような、また意味のないような変な紙に思われた。

p99
父は平気なうちに自分の死を覚悟していたものとみえる。しかも私の卒業するまえに死ぬだろうと思い定めていたとみえる。その卒業が父の心にどのくらい響くかも考えずにいた私はまったく愚か者であった。私は鞄の中から卒業証書を取り出して、それを大事そうに父と母に見せた。証書は何かにおしつぶされて、元の形を失っていた。父はそれを丁寧に伸(の)した。
(中略)いったん癖のついた鳥の子紙の証書は、なかなか父の自由にならなかった。適当な位置に置かれるやいなや、すぐ己に自然ないきおいを得て倒れようとした。

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