エンコーダの音質評価
---------------------------------------------------------------
このページは手元の資料と個人的感想を元に作成しています。
音質の感じ方は個人差があると思うのであくまでも参考として下さい。
---------------------------------------------------------------・自称MP3専門家たちの間でしばしば熱い議論が交されているテーマ、それが「エンコーダの音質評価」です。彼らはMP3を単に楽しむだけでなく、より高音質なMP3ファイルを求めて日夜研究を行い、今日のMP3社会を作り上げてきました。そこで今回は、大胆にもこのテーマに立ち向かってみたいと思います・・・と思いましたが、あまりに音質オンチでエンコーダの正しい評価は不可能と思いますので、その代わりにMP3専門家たちの意見をReview(総説)してみたいと思います。
リッピング段階での音質問題 :・エンコード以前に、リッピングの方法で音質の差は出ないのかという問題があります。リッピングは通常、「44100Hz、16ビット、ステレオ」という設定で行ないます。この設定はCDの音楽データ(PCM形式)を失うことなく100%読み取ることを意味しています。ここで問題になるのは、リッパーがどれだけ音楽データをエラーなく読み取れるかということです。MP3ファイルを再生してみると明らかにプチっている(雑音がのっている)場合がありますが、これはCDの音楽データを正しく読み取れなかったというリッピング段階での問題です。リッパーがCDの音楽データを読み取る読み出しワクがずれた場合、通常はエラー訂正機能が働いて正しい読み出しワクに訂正されます。これがうまく働かない場合に誤った音楽データとなり雑音となります。プチりが聞こえない場合も、実は元の音楽データと違っている可能性はあります。リッピング過程でのプチりを避けるために、MP3専門家より以下の方法が推奨されています。
@リッピングの最中は他のソフトを動作させない。
Aあるリッパーで雑音が入った場合は他のリッパーを使ってみる。
リッピング段階では雑音さえ入らなければ有料リッパー(AudioGrabber)でも無料リッパー(CD2WAV32、CDex)でも音質に差はないと考えていいかと思います。
出力ビットレート設定 :・エンコードの時に設定する出力ビットレートは「96、112、128、160、192、256kbit/s」などから選択できます。この設定はいくつにするのがいいでしょうか。インターネット上で扱われるMP3ファイルは容量をなるべく小さく、しかも一定レベルの音質を維持しようという観点から128bit/sが標準とされています。出力ビットレートをもっと大きく設定するほど高音質になりますが、ファイルサイズはそれだけ大きくなります。普通は128bit/sで満足な音質のMP3が楽しめると思います。もし128bit/sのMP3で音質が悪いかなと感じることがあれば、その時は160、192、256kbit/sなどを試してみてはどうでしょうか。
エンコーダの分類 :・エンコーダは搭載するコーデックによって「Fraunhofer IIS系」、「ISO系」、「LAME系」、「Xing系」に分類されています。コーデックによってファイル圧縮アルゴリズム(演算法)が異なるため、使うエンコーダによってMP3の音質に差が出ます。異なったエンコーダでも搭載するコーデックが同じならば、それらを使って作成したMP3ファイルの音質は同じと言えます。エンコーダの評価ではエンコードスピードも評価対象とされています。一般に、高音質なエンコーダほどエンコードスピードが遅いという傾向があります。しかし実際にはエンコードはまとめてスタートしてしまえばパソコンから離れて別の仕事をすることも可能で、エンコード時間は大きな問題ではなく、エンコードの評価は音質をより重視すべきと言えます。MP3専門家たちは各種エンコーダに対して次のような評価を下しています。
エンコーダの音質評価 :
@「Fraunhofer IIS(Professional版)」搭載エンコーダ (有料)
「Audioactive Production Studio」、「Fhg Radium MP3 codec」、「Opticom mp3 Producer (Professional)」、「MP3 Producer 」、「L3ENC」、「M3E」。エンコード時間は遅いようです。F-IIS系コーデックには下に示すように3種類あり、「Professional版」と他は別物です。
Fraunhofer IIS MPEG Layer-3 Audio Codec (Professional版) 最高256bit/s
Fraunhofer IIS MPEG Layer-3 Audio Codec (Advanced plus版) 最高128bit/s
Fraunhofer IIS MPEG Layer-3 Audio Codec (Advanced版) 最高56kbit/s「F-IIS Professional版」はMP3専門家たちの間で最も高音質と評価の高いエンコーダです。ただし有料・高額(2万円台)のため、MP3専門家を目指す人以外は購入は難しいかもしれません。F-IIS製エンコーダの特徴として、低ビットレート(128bit/s以下)のMP3作成に適合するよう調整されていることが挙げられます。その理由としては、Fraunhofer社は将来的に利益につながることが期待されるリアルタイムラジオの低ビットレートファイルの音質改善を考慮しているためと言われています。一般的に低ビットレートのMP3は高音が弱い傾向にあり、F-IIS製はそれを最もうまく補正したエンコーダと言えそうです。総合評価としては、「ネット標準の128bit/sのMP3ファイル作成にはF-IIS系エンコーダが最も高音質。しかし有料ソフトのため一般庶民は手に入れにくい。」というところでしょう。
A「ISO系」エンコーダ (無料)
「SCMPX」、「8Hz-MP3」、「Blade Enc」、「mpegEnc」。エンコード時間は速いようです。MP3プレーヤ「SCMPX」がエンコード機能を持っていることは知っておいてもいいでしょう。ISO系エンコーダは高音の音質に問題があるということで専門家の意見は一致しているようです(実験データも発表されています)。しかし、ある専門家は「SCMPXのエンコード機能はあくまでオマケであり、高音が大きくカットされキンキンして聴くに耐えない。」と酷評し、また別の専門家は「高音が多少弱いがSCMPXの音質はなかなか優秀、ISO系は健闘している。」と見解が分かれています。ということで、実際にSCMPXでMP3ファイルを作ってみることにしましょう。ゴチャゴチャ・・・ん・・・問題なく聴けるじゃないですか。音質に問題が出るのは曲によるかもしれません。「Blade Enc」のホームページでは「Blade Encは高ビットレートMP3により適合し、160kbit/s以上ならF-IISエンコーダよりも高音質。」との力強いコメントがありました。そんな感じで、最も妥当な総合評価としては「ISO系エンコーダは高音に弱点があるものの、初級者がMP3を楽しむには問題ないレベル。」というところではないでしょうか。ただし、実際にISO系を使ってエンコードしている人はごく少ないのではないかと予想され、やっぱり他のエンコーダ(LAME系、F-IIS系、)を使う方がよいと思われます。
B「LAME系」エンコーダ (無料)
「午後のこ〜だ」、「CDex」。エンコード時間は早いようです。LAME系コーデックはISO系コーデックを元に高音の欠点を改善して作られました。その結果、ISO系と比較にならないほどの音質アップされているという評判です。なお、午後のこ〜だやCDexには古いバージョンのLAMEコーデックが搭載されていて、最新LAMEコーデックよりも音質は劣るそうです。ただし、特許問題のため、最新LAMEはソースプログラムしか公開されず、一般庶民がエンコーダを手に入れるのは難しいようです。総合評価としては「LAME系エンコーダはフリーソフトとしては一番おすすめ。」というところです。ただし、「LAME系ではまだ満足できない。」とコメントしている音質研究家もいることは付け加えておきます。
*2000年12月で「午後のこ〜だ」が配布中止になったのは残念。
C「Xing系」エンコーダ (有料)
「XingMP3 Encoder」、その他多くの市販の統合ソフト。エンコードスピードは超速!との評判です。残念ながら音質はさっぱりということで専門家の意見は一致しています。総合評価としては「Xing系は市販ソフト用に作られたスピード重視のエンコーダ。」というところです。
エンコーダ一覧 エンコーダ名 コーデック コメント AudioActive
Production StudioF-IIS系 Professional版は149.95ドル。
日本語版も発売されている。BladeENC ISO系 特許の問題でソースプログラムのみ公開され、エンコーダは入手不能となっている。 CDex LAME系 本来はリッパーでだが内部エンコーダを付属している。無料環境では一番オススメ。 Fhg Radium
MP3 codecF-IIS系 最高320bit/sの出力ビットレートが設定でき、エンコードも高速化されている。 LAME LAME系 特許の問題でソースプログラムのみ公開され、エンコーダは入手不能となってい。 L3ENC F-IIS系 未調査。 MP3 compressor F-IIS系 違法ソフトのため公開中止。 MP3ENC F-IIS系 ホームページが閉鎖中。
YUNASOFT
MP3 Encoder旧F-IIS系 現在公開停止中。
mpegEnc ISO系 未調査。 Opticom
.mp3 ProducerF-IIS系 Professional版の値段は199ドル。 SCMPX ISO系 プレーヤとしては評価は高いが、エンコーダとしての性能はあと一歩。 XingMP3 Encoder Xing系 値段は19.95ドル。 Yunasoft MP3 encoder LAME系 未調査。 午後のこ〜だ LAME系 無料エンコーダとして最も評価が高かったが、2000.12月をもって公開中止。 8hz−MP3 ISO系 趣味・研究を前提に日本で公開継続中。 8Hz-MP3 ISO系 Fraunhofer社からライセンス料の忠告を受け、1998.12月に公開終了。 ・エンコード時に、「どんなステレオモードでMP3ファイルを作るか。」という設定があります。これよってMP3ファイルの音質に差が出ます。
@Stereo
モノラル音楽の場合、左右のスピーカから同じ音が流れてきます。ステレオ音楽の場合、左右のスピーカーから異なる音が流れてきます。ステレオ音楽はモノラル音楽の2倍のデータ量が必要になることは理解できるでしょう。StereoモードのMP3は純粋なステレオ音楽で、例えば「128kbit/s、Stereo」という設定は「64kbit/s x 2」を意味しています。Stereoモードの場合、低ビットレート(128kbit/s以下)では高音の音質が低下する傾向にあるようです。その理由は、例えば128kbit/sでは低音〜高音の全域を64kbit/sという少ないデータ量でカバーすることになるためです。Stereoを選ぶ場合はできるだけ高ビットレートが必要で、ある専門家は160bit/s以上、また別の専門化は192kbit/s以上のビットレートが必要だと主張しています。BMS stereo
以下の文献を引用するにとどめます。
(文献1)
エンコードの圧縮計算法として、入力されるWAVEファイルのLとRの和信号(Mid)つまり「L+R」と差信号(Side)つまり「L-R」を計算し、それぞれを圧縮するステレオモード。AJoint stereo
以下の文献を引用するにとどめます。
(文献1)
左右のスピーカーの音データが同じ場合に、データを1チャンネルにまとめてデータ量を小さくするステレオモード。(文献2)
その時によってstereoとMSを使い分けるステレオモード。このモードでは差信号と和信号に分けて圧縮するため、位相のずれがStereoモードよりも大きくなる。(文献3)
Joint stereoには「MS joint stereo」と「IS joint stereo」があり、ほとんどのエンコーダのJoint stereoは前者を指しているようです。CIS joint stereo
以下の文献を引用するにとどめます。
(文献1)
聴覚の時間差による位置検出能力が高音部ほど低いということを利用して、高音部についてはモノラル信号として扱い、パン情報としてステレオ感を出すステレオモード。DMS/IS joint stereo
以下の文献を引用するにとどめます。
(文献1)
高音部において重要性の低い差信号データを省略する技術を使ったステレオモード。
CBRとVBR :CBRとVBRもエンコード時に設定します。固定ビットレート(CBR)に設定すると、曲の最初から最後まで出力ビットレートは一定です。これに対して可変ビットレート(VBR)に設定すると、エンコーダは入力される音情報の内容によって出力ビットレートを変えながらMP3ファイルを作成します。つまり、一曲の中で音情報の少ない部分では出力ビットレートを下げ、音情報の多い部分では出力ビットレートを上げて音質向上に努めます。このような可変ビットレートの設定にすると、一般的に同じファイルサイズでより高音質のMP3ファイルを作れる傾向にあります。なお、可変ビットレートにはVBR-0、VBR-1、VBR-2、、、VBR-9まであり、0がファイルサイズは大きく高音質、9がファイルサイズが小さく低音質とり、VBR-4がお勧め設定とのことです(CDexヘルプファイルより)。可変ビットレートはあくまでファイルサイズを抑えて音質を改善させるための設定で、ファイルサイズを気にしないなら固定ビットレートで出力ビットレートを上げて高音質のMP3ファイルを目指せばいいと思います。なお、ネット標準MP3の128kbit/sは固定ビットレートです。
最も高音質のエンコーディング条件は :@ネット標準のMP3ファイルを作るには
・Fraunhofer IIS系(Professional版)搭載のエンコーダ、CBR、128kbit/s、Joint stereo。
Aファイルサイズを気にせず高音質MP3ファイルを目指すなら
・Fraunhofer IIS系(Professional版)搭載のエンコーダ、CBR、256kbit/s、stereo。
・Lame encoder、256kbit/s、VBR、stereo。B無料エンコーダとしてお勧めは(本サイトで解説)
・午後のこ〜だ(残念ながら、2000.12月で無料公開終了)
・CDexの内部LAME encoder
実はスピーカーがとっても大切 :いい音でMP3を聴くにはスピーカーも大切です。内蔵スピーカー型デスクップパソコンやノートパソコンを使っている人は外付けスピーカーを購入することも検討してみて下さい。外付けスピーカーの値段は意外に安く、5000円〜10000円ぐらいで買えると思います。参考までに、個人的に使っているスピーカーは高音用2個(直径5cmぐらい)、低音用1個(直径12cmぐらい)の外付け3スピーカーセットです(初めから付いてました)。それほど大きくないこんなスピーカーでも結構いい音出るんですよ♪
トップページへ戻る