「ONE」MSX版の想い出話(前編)

 書こうかどうか少々悩んだ話題だが、最近でも(何度も説明している筈の)知人などに 「結局どういった感じだったの?」と質問されたりするので、まぁ、とりあえず書いて みるかって感じで、MSX版「ONE」の製作参加時の想い出話を書いてみます。


 参加のキッカケは、1999年12月頃だったでしょうか(ログが残ってないので正確な時期は 自信がありませんが)、僕が本当に何気なくMSX系HPを見ていた時に目に止まった「CG スタッフ募集」の文字。僕は普段まったくMSX関係のHPを見ないので、まったくのマグレ でMSX版「ONE」の移植と、そのスタッフ募集を知ったのです。
 「こういったのはノリが大切」と、勢いで代表者にメールで参加希望の旨を伝えました。 しかし「実は、出来れば地元の仲間と作りたいんです。地元のMSXユーザーには元気が あるんだという事をアピールしたいんです」と丁重にお断りされました。

 〜「ONE」MSX版の想い出話〜 <完>

 スイマセン嘘です。続きます。


 2000年の初め頃、代表者さんから「宜しければ参加しませんか?」といったメールが 来た…ような気がします。記憶も曖昧で、ログ等も残っていないので、少々いいかげん な記憶で書きますが、結局CGスタッフは思うように集まらず、HPでの告知を見て参加 したいとメールした人も僕ぐらいしかいなかったようで、有り難い事に僕も参加させて 頂ける事になったようです。
 CGスタッフは女性の方と、僕と、某サークル経由で参加希望したOさんの3人。
 「ONE」はゲームボーイエミュ等に無断移植されていたりする事を知っている方 の中には「ゲームのCGをコンバートするのにCGスタッフが3人もいるの?」と思う 人もいるかもしれませんが、MSX2(以降)の特殊なグラフィック性能ではCGを普通 にコンバートしても酷い画面にしかなりません。PCエンジンで幾つかあった実写画面 のゲームを思い浮かべてもらうと判り易いかと思いますが、アニメ調のCGがあんな感じ の油絵のような色塗りになってしまうのです。(コンバート関係については後述)
 僕がスタッフとして参加したのが2000/02/15。もう5年経つのかぁ…(感慨涙)。
 「ONE」は18禁ゲームなので、この後女性のCGスタッフさんが戦線離脱しまして、 新たなCG屋さんが参加してくれました。仮に「Tさん」としてみますが、彼は非常に ドット打ちが上手い上に、後々CG以外でも大活躍してくれて、僕は大変楽しいドット 打ちを堪能する事が出来ました。僕の最後のMSX製作が満足いくものとなったのも Tさんのおかげです。感謝。


 「ONE」のMSX版は、Windowsオリジナル版の「完全移植」が大命題でした。
 MSX2(以降)はFDDでのアドベンチャー/ノベルゲーム製作は相応に出来るスペック のあるマシンだと思います。しかし「完全移植」となると少々都合が変わってきます。 例えば一枚絵のCGは圧縮しても2DDのFDD(720k)に十数枚しか入りませんし、 他に立ち絵も大量に必要になります。画面も「完全移植」するにはSCREEN8(256色)で 画像を用意しなければならず、音楽やテキストなどのデータも考えればFDD1枚に 数枚のCGしか入れられなくなります。
 具体的なデータ量や、その管理に関しては僕はよく判らないのですが、MSXのゲーム なのに「CD-ROMで販売/ディスク40枚組」というムチャな企画だったのは「完全移植」 だったからです。…まぁCGの質をある程度MSX風にサイズダウンしてもFDD20枚 ぐらいは必要だろうと思いますし、CD-ROM販売/自分でFDDにコピーという手法には 「一枚絵CGをSCREEN8版/SCREEN12版から選べる」「IDE−HDDを持っている人は それにインストールして遊ぶ事が出来る」等といったメリットもあり、奇をてらった 企画では無かったのです。

 余談ですが、当時コアなMSXユーザーの間では「MSX2+HDDで、SCREEN8の 1/4画面を秒間10〜12コマで動画再生する」というムチャなソフトが流行していました。 …流行といっても、片手の指で足りるぐらいの方々の間で、ですけど。PCエンジンの CD-ROM2で動画再生が出来るようになった頃(ガリバーボーイ等)だったと思いますが、 丁度それと似たような感じです。
 で、僕は「ONE」がCD-ROM配布と知った時から、そのMSX動画再生ソフトを 使ったOPアニメを作りたいとかなり本気で思っていました。実際に企画者には話を して、詳しい人に色々聞いたり、絵コンテを用意したり…。まぁ結局、僕の力量不足、 時間不足、PCのスペック不足で後回しになり、OVA版「ONE」が発売されて 作る価値が薄れ、製作の休止で完全に夢物語となったのですが、もし作っていたら ちょっと面白かったのではと思います。(勿論こういったネタはMSX実機でやらないと 面白みが無いので現在改めて製作という気は起きないですけどね)


 「完全移植」という命題は、製作が進むに連れて重い制限となっていきました。
 例えばテキスト表示も、Windowsよりも表示できる文字数が少ないので細かな調整が 必要になっていった様子でした。CG担当としては上手くアレンジできるのならそれほど 重要な事でもないように思っていたのですが、担当者さんにとってはかなり苦渋の決断 といった感じで、とても大変そうでした。
 CGでは、メインとなる画面(テキストが表示され、背景の上に立ち絵キャラが表示 される通常画面)が、最初から最後までネックとなっていました。この部分(SCREEN8)は 結局最後まで(僕にとって)満足のいくクオリティにはなりませんでした。SCREEN8では キャラクターの肌色が再現できず、また制服の基本色であるベージュと赤色も再現できない という致命的な色不足でした。CGスタッフからも「SCREEN5でやりたいー!」という 声が出ていたのですが、MSX2で完全移植するにはSCREEN8しか選択肢が無かったのも 事実で、CG製作の多くの時間がSCREEN8に費やされました。

 ある程度CG製作の目処が立った段階で、僕がCGの総括を担当する事になりました。 これは僕の実力…とかではなく(苦笑)、単に参加初期から色々と小言を言っていた事への 仕打ちだと思います。
 そこでCGスタッフの作業分担をする事になったのですが、一番手間のかかる立ち絵 キャラクターの分担を決め(七瀬はTさん、全ての色がSCREEN8で再現できないみさき先輩 はOさん…とか、よく覚えてないや(汗))、一人2〜3キャラぐらいの量を担当する事に なりました。また、それぞれのキャラクターのイベント用1枚絵も各スタッフの担当です。 他のCG…タイトルCG、背景CG、エンディング1枚絵、音楽モードなどのメニュー CG、後に修正が決まったSCREEN12の1枚絵の大半は、僕が担当しました。
 製作開始当初は「Windows版のCGをコンバートしただけでも十分綺麗だが、一部の CGはそれほど綺麗ではないのでそれを修正して欲しい」といった感じでしたので、 このようなスタッフの分担にしたのだと思います。


 いよいよ実際のCG修正作業なのですが、記憶では「あまりにも大変だった…」という 記憶しかないにも関わらず、当時のメールを見てみると数ヶ月で相当量のCG修正が完成 or完成目処がついていてビックリです。
 Windows版「ONE」のCGをMSX2で表示できるようにするには、まずWindowsで 256*212ドットのサイズに縮小してMSXで表示できる色数に変換しなければなりません。 簡単な作業のように思えるかもしれませんが、実際にはこれが最初の難関でした。専用の 画像変換プログラムを用意してもらったのでそれを使って色々な画像変換を繰り返したの ですが、当初の「コンバートしただけでも十分綺麗」といったほど僕が満足できなかった 事もあり、何度も画像変換プログラムを作りなおしてもらって、それのバグフィックスを 直してもらって…と、地道な作業が続きました。

 また、製作目処が立ってきた頃から、僕もスクリーンモードなどで色々と注文を出し、 色々と善処していただきました。
 MSX版「ONE」での各スクリーンモードは、こんな感じでした。
ブランドロゴ…SCREEN5
タイトル画面…SCREEN5
サブメニュー…SCREEN5
音楽モード等…SCREEN5
ゲーム・メイン画面…SCREEN8
ゲーム・カレンダー画面…SCREEN5
ゲーム・イベント画面…SCREEN8/SCREEN12
エンディング画面…SCREEN5
 僕が参加する前までは「基本はSCREEN8で」といった感じだったと思いますが、僕の 口煩い小言で、ここまでSCREEN5ばかりになりました(笑い)。僕の口煩さをご存知の方々 には「他のスタッフも大変だったろうなぁ…」と思うでしょうが(僕もそう思います)、 ゲームの看板とも言えるタイトル画面(ほとんど青色)や、エンディング画面(セピア調 モノトーン)はSCREEN8の苦手なCGなので、MSXのCGについて詳しい人には理解 して頂けるものとも思います。


 MSX版「ONE」のスタッフクレジットをどうするかの話が上がった頃(2000/05頃)、 製作スタッフさんが私事で抜けたり、忙しさで雰囲気がピリピリしていた頃なんですが、 個人的に少々悩む事がありました。「自分のクレジット表記をどうするか」…まぁ自分の 至らなさが原因と言えばそれまでなんですが、心配事として「スエナガが制作に参加して いるならONEは買わない」なんて言い出す人がいるんじゃないかといった被害妄想が ありました。僕には別にやましい事など無いのですが、先述の「僕の口煩さ」が幾つか くすぶる火種を生んだ事も事実で(謙虚な姿勢で考えれば、ですけどねね)、そういった 「あまり健全とは言えない印象のあるMSX」の世界でスエナガの名前を出す事がONE の製作や販売にどれだけの悪影響を与えるのか非常に心配されたのです。
 結局、表に名前を出す時には「CGスタッフ1号」などといいかげんな匿名を使ったり して、「スエナガがONEのMSX版の移植に参加している」という事をひた隠しに しました。
 僕がMSX版ONEに参加しましたと明記するのは、この文章が初めてじゃないかしら?


(後編に続く)
5:50 05/05/13


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