「ONE」MSX版の想い出話(番外編)

 MSX版「ONE」についての想い出話も、CG担当者がCGを見せずに 文章だけで説明と言うのもなんだか説得力とサービス精神の無い感じが したので、トリミングしたCGの断片を表示しつつアレコレと書いてみよう かなと。これぐらいなら多分問題無いかなぁ、みたいな。

 以下にあるCGはMSX実機で表示させる事を前提として作られたもので、 色味や画面のタテヨコ比率が意図したものとは違って表示されている事を 予め御了承ください。


 左側のCGはSCREEN8の誤差拡散コンバートをしただけのもの、右側は 僕がSCREEN5でドットを打ち直したものです。
 コンバートしただけの画像は、SCREEN8は青色が弱いという弱点が そのまま反映された、薄暗い画像になってしまっています。またメニュー の文字も誤差拡散ノイズによって判別し難い感じになってしまっています。
 SCREEN5で打ち直したのは、SCREEN8よりファイルサイズが小さく出来る 事と、青色が普通に使えるモードだからです。グラデーションを綺麗に 見せたかったので全部タイリングしたのですが、雲の色が白いとメニューの 文字が識別し難くなるので少々水色に落とし込んでいます。また見易さの 都合でメニューのフォントもゴシック系に変更しています。
 改めて見ると…副題はもう少し白っぽい色にしても良かったかなと。 どうして水色系にしたのか、ちょっと思い出せません(パレットが足りな かったのかなぁ)。同様にロゴももう少しメタル調にしたほうが良かった と思うのですが、パレット不足と僕の実力不足です。


 左側のCGはSCREEN8の誤差拡散コンバートをしただけのもの、右側は 僕がSCREEN5でドットを打ち直したものです。エンディングの一場面ですね。
 これもSCREEN8の素コンバート画像のほうが暗くなってしまっています。 SCREEN8は青色が4段階の階調しか無い為、モノトーン全般に弱いのです。
 エンディングのCGなのに薄暗いとなんとも辛気臭い感じで、オリジナル版の 雰囲気が感じられなかったので、影よりも光をメインに描き込んだつもりです。 MSXのRFやRGBモニターでは綺麗に滲んでくれると思うのですが…。


 左側がSCREEN8、右側が僕が打ち直したSCREEN5です。
 このCGだとSCREEN8でも悪くない出来なのですが、SCREEN8とSCREEN5 ではファイルサイズが違います。SCREEN8では圧縮してもFDD1枚にそれほど CGを入れる事が出来ません。フロッピーで読み込む前提のMSX版「ONE」 ではメニューやタイトルなどを容量節減の為にすべてSCREEN5で再現する 事にしました。
 このCGは音楽モードの画面なのですが、SCREEN5はコンバートで下準備した ドットは1ドットもありません。このCGで全て自作でオリジナルに近い画面が 再現できた事で「メニュー関係は全てSCREEN5で出来そうだな」と決断する事 が出来ました。


 とはいえSCREEN5で全くうまくいかなかったCGもあります(苦笑)。 このCGはパレットがどうしても工面できず、黒板の光沢を質感に 誤魔化してしまっています。
 単純なCGなのにどうしてパレットが足りないのかというと、これらの メニューCGでは選択時に文字の色が変わるのですが、カラーパレットを 変更して文字の色を変えようとすると全ての文字の色が変わってしまう為、 別の色で描かれたCGで描き変えなければならないワケです。
 これらSCREEN5のCGは、製作当時は全力を出し切ったつもりでしたが、 改めて見るとまだまだ甘いというか…。まぁグラデーションの上に文字を 重ねてアンチエイリアスしているので16色CGでは難しく、いまの僕でも これより綺麗に出来るかどうかは怪しいですが。



 上がコンバートのみ、下側が修正後です。(共にSCREEN8)
 えぇと…なんだかイイワケ臭くなってしまうのですが、Windowsで 表示させると修正後もイマイチに見えますが、MSX実機ではRGBモニタ で表示させてもそれほど粗雑には見えない筈です。MSXの15ピンRGB モニタはWindowsのモニタほどフラットには表示されないので、色味 もここまで極端な差には見えないと思います。
 …それでも結構、まだ手直しの必要なドットが残ってますよね(苦笑)。 背景などの(メインキャラクターの描かれていない)重要性の低そうな CGは僕一人で全部修正したのですが、量と時間の兼ね合いがあって 全てのCGを満足行くまで修正できなかった事が原因です。また時間が あっても当時は大量のファイルを管理しつつチェックする事が出来な かったという部分もあります。いまならSCREEN8ももっと綺麗に出来る と思うのですが…。



 上がコンバートのみ、下側が修正後です。(共にSCREEN8)
 このCGは一見見栄えが変わらないような感じですが、トリミング して見えない部分もかなり徹底的に修正しまくっています。
 これらSCREEN8のCGは誤差拡散コンバートしたものを元に修正して います。タイリング処理でコンバートすると線で描かれている部分 の殆どが潰れてしまうからです。そのため誤差拡散コンバートしたCG を手作業でタイリングしなおすといった手法が主流になっていました。 このCGの上に表示されるキャラクターもほとんどタイリングで描かれて いるので、背景だけ誤差拡散だと浮いてしまうからです。(MSXの モニターが色のにじみの少ないものが主流であれば、わざと浮かせる といった手法もあるのですが、テストプレイなどからの反応が皆無 だったので無難に親和性を求める方向で統一しました)


 これはSCREEN12の、いわゆる「自然画モード」でのCGです。 「ファミ通X−Box」に掲載していただいた画像がこのCGです が…この画像よりもうちょっと修正を進めた画像だったかも?  MSX2+以降のマシンをお持ちの方専用に、FDD作成時にSCREEN8 と12を選択できる予定でした。
 このCGをブラウザで御覧の方は「けっこうガタガタじゃないの?」 と思うのではないでしょうか? SCREEN12は「MSX実機ではYJKの 値だけ違うが表示される色は同じ」という色が大量にあるのですが、 Windowsなどフルカラー表示できるマシンではそれらの色もきちんと 「別の色」として表示されてしまう為、ちょっと妙な仕上がりに 見えてしまうようです。
 また画面の比率も違うので、折角のキャラクターの顔もちょっと 妙な感じに表示されています。


 これもSCREEN12です。
 かなりYJKをフラットに調整してから修正したので、Windowsでも それほどガタガタには見えないようです。制服や傘(トリミングで 見えないけど)などタイリングで仕上げています。雨のシーンなの ですが、雨はもうちょっと強調したほうが良かったなぁと…。


 これはSCREEN8です。無断で勝手にスイマセン>メーカー様。 このCGは結構頑張って修正した記憶があります。(全てがこのレベル まで修正できれば良かったのですが、見栄を張らずに言えば修正が 未熟なものも大量にありました。実力不足というか根性不足で反省点 です)
 当時、個人的には「せめて、MSXはPCエンジンより綺麗なCGが 表示できるんだぞ、と言えるレベルにはしたい」と思って作業して いた気がします。実際に1枚絵CGではMSXのほうが性能は上なのですが、 メディアが720KbのFDDでは実用性が低かったのも事実で、せっかく FDD数十枚組という大規模な移植になるのなら、CGはPCエンジンの 市販ソフトを超えなければ買っていただくユーザーさんに失礼だと 思ったのです。結局は完成せずにお蔵入りとなってしまい、期待 や応援をしてくださった方々には申し訳なく思うのですが、この CGの断片が少しでも恩返しになれば幸いです。っつーか、ちゃんと 作っていたんだぞ、と(笑い)。


 改めて振り返ると、SCREEN12でタイリングしたりしたのは MSX版「ONE」CGチームだけでしょうし、実力派スタッフに 恵まれて非常に楽しい製作を堪能する事が出来ました。
 個人的には、随分と昔のCGなのですがいまの自分より頑張って いる部分や、逆にいまの自分ならもうちょっと割り切って綺麗に 出来るなぁと思う部分も散見されます。「もっと綺麗なCGかと 思った」と期待されていた方にはお詫び申し上げます。
 CGデータのコンバートはWindowsで行ったのですが、修正作業 は全てMSX実機で行われています。専用の優れたCGツールが 開発されたおかげでSCREEN12までタイリングできたのですが、 色の問題でPhotoshopのようにコピー&ペーストが出来ないまま 作業を進めなければならないといった苦労もありました。
 このページに無断掲載したCGは全て僕が担当した部分ですが、 もちろん他のスタッフ様が担当したCGも見事な仕上がりでした。 MSXでは髪の毛の色が再現できず全部タイリング処理の「みさき 先輩」を押し付けてしまったOさんゴメンナサイ。すっげーCG 上手い上にツールまで作っていただいたTさん感謝です。
 このページは実はコンバートしただけのCGと修正後のCGを 比較掲載する事で、その差を見せつけようと思っていたのですが… コンバート用ソフトもプログラマさんに何度もバージョンアップ してもらっていたので、誤差拡散コンバートでも十分綺麗な仕上がり だったのでした(笑い)。コンバートソフトを何度も作り直して くれたプログラマ様にも大感謝です。

 オリジナル版の「ONE」は現在のノベルゲームの始祖というか、 このジャンルのゲームの質を高めた記念碑的なゲームだと思います。 興味がおありの方は既にプレイされていると思いますし、まだ プレイしていないという人も再販版などで現在も入手可能ですので 是非とも。


2006/06/28


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