時を越え、料理人達の間に語り継がれる一つの伝説がある。
料理魔宮の伝説……。
料理の修羅と化した者が最後に辿り着くとい う、料理の殿堂。
古来より、数多くの修羅達がその地を目指して旅立ち、そして帰ってこなかった。
そして、ここにも二人の修羅がいる。
「俺の新作、焼き豚アイス苺風味を食ってみな!」
そう言ったのは、敷島大和。若いながらかなりの実力を有する日本料理人である。
「ふっ、どんな料理で来ようとも、吾輩には通用せんがな。ま、とりあえず、いただきます…… ぐ、ぐはっ!ラードの固まりがごろごろと!」
そう言ってテーブルに突っ伏したのは、クーゲル・シュライバー。
これまた若いながらジャガイモ料理を中心に定評のあるドイツ料理人である。
「……ふっ、ふっふっふっ……甘い!甘いぞ大和!こんなもので吾輩を倒そうなどとは、笑止千万!貴様の力は、そんなものかぁぁ〜!」
起きあがるやいなや、大和に向かってびしっと指を向けたクーゲルだったが、ヒーローものに登場するライバルキャラのようなその叫びは、大和の耳には届いていなかった。
「うーん、やっぱり決定力不足か。改良しなきゃな。」
「……おーい、人の話、少しは聞いてくれ……」
いきなりな展開だが、これは、そんな殺人的料理の道を極めんとする料理の修羅達の物語である。