<塗り重ね回数の考え方及びベーシックPG>
皆さん、車にきれいな色をつけるのに、どのような事をしているか、ご存知ですか?
車のボディのプレス工程の後の、組み立てをする前に、塗料を塗装するんです。
その塗装の仕方は色々ありますが、一番ノーマルな方法は、車をコンベアに載せて一定のスピードで走らせ、塗装ゲートを通過させる方法です。
そのゲートには塗装機(スプレーガン)が付いており、垂直部の塗装を例にとりますと、塗装機はレシプロケーターで上下方向に一定速度でレシプロ(連続稼動)しています。
被塗物(車)が一定速度で移動し、上下方向に稼動しているガンの付いているゲートを通過して、塗装されるわけです。
よって、被塗物から見ると、双方向移動なので、ガンの中心はジグザグに移動している事になります。
叉、ガンから吐出する塗料は、ガンキャップから出るエアーによって霧吹きの原理で微小な粒子になり、パターン調整エアーによって扇状に広がった平パターンとなります。
その平パターンの塗料粒子がガンの軌跡に沿って被塗物に吹き付けられるわけです。

被塗物(車)の或る1点に、ガンのパターンが何回あたっているかは、被塗物の速度とガンの速度及びパターン巾によって、計算できます。
当然、被塗物の塗装ゲート通過速度が遅いと、パターンの「あたり回数」が多くなります。
この「あたリ回数」の事を「塗り重ね回数」と呼んでいます。
塗り重ね回数は多いほど、1パターンにおける膜厚バラツキを吸収できるので、いい条件だと云えますが、多すぎると塗料ロスにつながります。
現在では塗料中にアルミ粉末の入ったものが主流であり、色ムラも起こりやすい為、「塗り重ね回数=4〜6回」が理想とされています。
1つの条件が変動した場合でも、この塗り重ね回数を一定に調整する事により、ほぼ同程度の塗装品質の保持が可能である事が証明されています。(但し、他要因の影響も少しあり)
例へば、被塗物通過速度(コンベアスピード)が変わった場合、塗り重ね回数を一定にする為には、ガンのレシプロ回数(上下稼動回数)を変動させればよい事になります。
<塗り重ね回数>
=パターン巾(cm)×レシプロ回数(往復回/分)×2/コンベアスピード(cm/分)
この計算での塗り重ね回数は塗装全面での平均値であり、当然、上下左右(前後)方向での各位置によって変動してきます。
この事はレシプロが上下往復でのループ運動であることにほかならないからです。
なぜなら或る1点(中央以外)では、1回目の「あたり」から2回目までの時間と、2回目から3回目までの時間が、ループ運動であるゆえ、変わってくるからです。

叉、これらの塗り重ね回数を全方向的にシミュレーションするには、ガンの軌跡を数式でとらえる必要があります。
上のグラフの折れ線部がガンの軌跡と考えると、Y=ax+b,Y=−ax+c の式が当てはまります。
縦をレシプロ巾、横を塗装長(進行方向)として、レシプロ回数・コンベアスピード等がわかれば軌跡の式の係数(傾き:a)が決まってきます。
この式が決定する事によって各位置においてのパターン移動範囲がわかってくる事になります。
そのパターン範囲内の座標(ドット関数)に数値=1を入れていくことで、塗り重ね回数が算出されます。
叉、そこへ各位置に応じた膜厚指数を代入していく事により、ガンの移動全方向における理論的な膜厚分布指数がシミュレーション出来る事になります。
但し、これらはあくまでも理論値であり、レシプロが等速運動をしており、ガンの1パターンが平パターンであるとか、パターン巾の内以外のダスト等は無視するとか、そのパターンを逐次変化させるような要因(被塗物凹凸による変化等)は考えない等の条件はおのずと前提で入ってきます。
尚、理論的には、塗り重ね回数の偶数値(2,4,6、〜)では、どの位置をとっても同じ回数となり、塗り重ねとしてはバラツキが少なくて良好な条件となりますが、実際にはパターン変動要因等を考慮し、偶数に固執せず、塗り重ね回数の多い条件を選択する事が賢明です。
これらは、塗装ゲート1レシプロにガン2丁があるときにも活用でき、ベーシックプログラムによって、手計算不可能なものも、瞬時にシミュレーションが可能となりました。
次の頁に、そのシミュレーションの一部を載せておきます。(プリントをスキャンしたので見にくいですが.)
そして、先ほどの「ガンの1パターンの膜厚分布をインプットすれば、被塗物全体の膜厚分布をシミュレーションさせる事が出来るプログラム」も、DOS−BASICとVISUAL−BASICで作成しております。
興味おありの方はご相談お受けいたしますので、ご連絡ください。