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愛社精神で企業を成長させる社員。その企業がいつ絶頂期を迎えるか見定めようとし、他社に売却する機会をうかがう企業所有者。そんな冷たい関係が本シリーズ後半に表面化する。 大量の不良在庫を抱えた衣料部門はその事実を隠しとおそうとしていたが、銀行から転身した取締役の香嶋を欺くことはできなかった。だが、伊地村常務がその事実関係を知った時には事態は遅すぎた。店長とフロア長の自殺。対外的には事故死と言うことで決着したが、これによって香嶋と伊地村は団結、石栄ストアを立て直すことを決意する。 とまぁ、こんな感じで2人がいろいろと試行錯誤を繰り返して潰れかけたスーパーマーケットを救うというのが下巻の前半であるが、後半に入って雲行きが怪しくなってしまう。社長(オーナー)を迎えての飲み会の席で社員の一人が酔いに任せて会社再建のための粉飾決算の話を告げてしまう。事実を知らされていなかった社長は怒り、会社の売却を決断した。 (作中の)この時期、日本のスーパーマーケットと呼ばれる業種はどんどん成長を続けていたが、香嶋はまだ日本に本当の「スーパーマーケット」と呼ばれる業態は完成していないと考えていた。そして、それを初めて実現したのが彼の働く石栄ストアだと自負していた。が、社長はそれを理解せずに同社を同業他社に売却しようと話を進める。 この物語では確かに石栄ストアにチェーンストアとしてのスーパーマーケットが完成していた。それを中心になって開発したのが香嶋であり、伊地村であった。が、経営者はそんなことは関係ない。現時点で売上が出ていない企業など、ノウハウやシステムなどどうでも良く、いつ売却してしまうかしか念頭に持たない。社長は将来性を見ることが出来なかった。 最後に石栄ストアは他社に売却されてしまう。社員もその新しい親会社に引き継がれることになった。普通ならやる気を喪失する社員であるが、ここでは違った。彼らは親会社のスーパーを研究し、自らの優位点を見つけ出していた。自分たちが親会社を変えることが出来る。そんな勢いがあった。が、吸収された会社の社員にそんな改革を主張する時期は来るのか? そういう空しさを残して物語は終わる。 最近のベンチャー企業は特に、株価が上がった時点で売却を考えているケースが多い。だが、それはオーナーの勝手な金銭欲であって、社員が望むことではない。これを社員側から見つめた小説。だが彼らの立ち直りの早さにちょっと感動した。人間は強いものだなぁと。 (2002.09.16) 内容 |