ATX電源改造
(元手ゼロで風量増加)
難易度:2(5段階評価)(レベル:電源を自分で交換できる)

 

口上:
クロックアッパー達にとって、放熱は避けて通れない道です。ここでは、元手をかけずにATX電源を加工し、電源の背面ファンの風量を増加させるという改造を紹介します。
私はTQ-700mkIIを使っていますが、TQ-700mkIIIやその他のATXケースでも、同じような構造をしていれば改造は可能かと思われます。
 

(1999/02/26 追記)

玄人会議場(暁のCeleron掲示板)にて、www.tomoya.comの、というより「TODAY'S REMARK - 今日の必ずトクするひとこと」でおなじみ?のやまもとさんより、「この改造ではスイッチングトランジスタの冷却が不足する可能性がある」とのご指摘を受けました。

現在検証(温度測定)中です。

このまま問題ないか、対策が必要かは、それに応じて当ページでご報告する予定です。少なくとも異常過熱するような、明らかな問題は発生しておりませんのでご安心ください。今しばらくお待ちください。

(1999/02/23 追記)

今回の改造のポリシーを以下に示します。
CeleronWorldにある玄人会議場(暁のCeleron掲示板)にいらっしゃる刹那さんのご指摘に因るものです。(刹那さんありがとうございます。)

(1)より多くの人が改造出来、かつ改造の効果が得られる方式にする。そのために完全に元の状態に戻せる「可逆改造」を行う。
(2)上記に付随して、過度の改造は行わない。例えば、電源ケースに加工がいるような改造(通風孔を追加するなど)は非可逆改造となり、また手間もかかるので、これを避ける。
(3)ファンを交換するなどの追加投資は行わない。

警告:
この改造を真似して、どんなトラブルが起きても知りません。
また、改造自体が成功しても、その影響で電源が壊れたり、寿命が短くなったりする可能性があります。
改造は個人の責任で行ってください。
用意するもの:
その1 : Seventeamの電源(ST-251HR)又は同等品
その2 : SONG CHEERのATXケース(TQ-700mkII)又は同等品
(1999/02/22 PRO2改)

それではどうぞ。

 

風量アップ改造

 

改造の概念と条件 (1999/02/24 updated)
power6.jpg (14279 バイト)
 
図にある通り、通常は背面の反対側のスリットからしか風が入ってきません。今回の改造で、下からも吸い出せるようになります。
 
改造前の確認ですが、当然電源下部のATXケース側に、空気が通るための穴が空いていなければなりません。Webmasterの所有するSong cheerのTQ-700mkIIは、約一年半前に購入したものですが、運良くこの穴が空いていました。しかし、この穴が無いと、改造の効果は半減以下になります。逆に、電源の周辺に全く何も無いケースの場合には、電源回路がむき出しになりますので、ショートの危険性が格段に増します。そのようなケースの場合はWebmasterは改造をお勧めしません。まずこの点を確認してください。
(TQ-700に近い形のケースで、上記のような穴が無い型のケースをお使いの方でも、その穴以外の隙間からも空気が入るようになるので、改造による効果がゼロ、ということはありません。)
 
百聞は一見にしかず。まずは下の画像をご覧ください。
 
 
power7-1.jpg (11120 バイト)
 
これはTQ700を横倒しにして、ケース内の天井(赤丸)を写した画像です。画面の右側がケース内の天井ですが、ほとんど穴が開いていません。(実は改造前の画像を撮り忘れたので、ペイントブラシで応急処置を施したフェイク画像です。実際は電源の底の部分で塞がれているはずです。ご自分のケースを覗き込んで確認してください。)
 
 
power7-2.jpg (11048 バイト)
 
これが改造後の画像です。何やら穴が開きました。どのくらい開いているのか、別の角度から見てみましょう。
 
power8.jpg (10782 バイト)

見事に大穴が開いています。電源のファンだけではなく、電源回路の一部も見えています。しかし、マザーボードがあるこちら側には何一つ突出していません。元々フタの中に収まっていた回路や配線ですから、当然といえば当然ですが、改造の手軽さを目指すWebmasterとしてはこの点は重要です。
 
もう一つ、また別の角度からも見てみましょう。
 
power9.jpg (13807 バイト)
 
少し引いて撮った画像です。(1)が新しく空けた穴です。この改造をする前は、(2)の辺りから電源に元々あるスリットのみを通して空気が流れていました。ですから、これだけ大きな穴が出来ると、電源ファンも楽に排気できることが容易に想像できます。
さらに、通常ケース内は大気(便宜上部屋の空気も大気と思ってください)に対して負圧がかかっている(大気より気圧が低い)のですが、この改造によって、更に負圧が強まり、外部(主にフロントやケース下部)からの吸気も促進されると思われます。
なお、今回の改造を行う前に、BIOS設定画面にて、電源の各電圧(最低でも+12V,+5V,+3.3V)をメモしておいてください。なぜなら、改造前と改造後では、電圧は全く変らないはずなので、その確認用にメモしておきます。改造後に電源電圧が変化した場合には、改造を止めて元に戻すことをお勧めしておきます。(3.3V昇圧改造を行う方はこの限りではありません。)

それではさっそく始めましょう。

 

 

ATXケースをバラす
power5.jpg (12977 バイト)
まず、ACケーブルを抜いてください。また、作業性などを考慮し、必要に応じてケース内部側の配線も外してください。(Webmasterは面倒だったので、ACケーブルだけを抜きました。)
それから、ATXケースのフタを外してください。TQ-700シリーズは上面と側面のフタが三分割になっていますので、簡単に外せると思います。
次に、ATXケースの背面にある電源の固定ネジを外します。普通は4本のネジで留められています。

 

電源をバラす(1)
intel_100b.jpg (14796 バイト)
TQ-700の場合、ATX電源は三方がケースに囲まれていますので、そこから引き出します。
電源自体のフタは4ヵ所でネジ留めされています。上下どちらのネジを外すかというと、ケーブルが出ている側(上記写真では左側)のネジを外します。
ネジが外れると、フタが取れるようになるのですが、品質管理用のシールが貼られていますので、これを丁寧に剥がします。爪で剥がすと汚くなりますので、うまくフタと電源をずらして、キレイに剥がしてください。(電源の改造により保証の対象外となりますが、キレイに剥がすのはWebmasterのポリシーです)

 

電源をバラす(2)
power2.jpg (21554 バイト)
フタを取ると、見ての通り電源がむき出しになります。ただし、この時点でも背面とその反対側の面は残っています。
もし、あなたのお使いのマザーボードが、3.3vの供給を外部から受けるタイプのマザーボードの場合は、ここでついでに3.3vの昇圧を行うことが可能です。詳しくはこの次の項目をご覧ください。

 

ATX電源の3.3Vを昇圧する(別名喝入れ)
(注意:この改造は、本題の風量増加の改造よりもさらにリスクが高いですので、解る方のみ行った方が良いでしょう。解らない方は読み飛ばして次へ進んでください。)
350v.jpg (14816 バイト)
360v.jpg (12587 バイト)
詳しくは割愛しますが、SeventeamのST-251HRは電源内部の半固定抵抗を回すことで、3.3Vの電圧を昇降させることが出来ます。つまり元手ゼロ円で喝入れが可能です。ただし、独自にDC-DCレギュレータを搭載し、3.3Vを供給するタイプのマザーボードでは効果がありませんのでご注意ください。(例:ASUS P2B、ABIT BM6など)

(余談ですがASUSのP2B系はその独自の電圧生成機能を逆手にとって、最初から3.5V程度の電圧を供給するように設定されているそうです。P2B系が未改造である程度まで行けるわけがここにありそうです。)
上記画像は段階的に電圧を上げていった時の記録画像です。(それぞれ別の日に撮影)なお、わたしの電源は、半固定抵抗を一杯まで回しても3.65Vが限界でした。そこで上図のように3.60Vに設定しました。半固定抵抗を一杯まで回すのは精神衛生上も実際も良くないですので少し戻したわけです。また、目一杯まで回してしまうと、最悪異常な電圧が出力されて、マザーやメモリを破壊する可能性がありますので、それを回避する意味もあります。
(この改造は、動作中に電源内部にドライバーをさし込んだり、調整しながら電圧を測定したり、それなりのリスクを伴うので、あえて説明は控えます。例えばSCSIカードのクロックオシレータを40MHzから50MHzに自力で換装出来るような方でしたら、多分問題なく調整できると思います。ただし、これはあくまでも技術的な目安を言っているのであって、この文章を以ってしても、全く未保証であることには変りありません。また、改造自体が成功しても、その影響で電源が壊れたり、寿命が短くなったりする可能性があります。しつこいですが、改造は個人の責任で行ってください。

 

電源の組み付け
power3.jpg (9866 バイト)
power4.jpg (7213 バイト)
図のようにケーブルの出口が下に来るような向きにして、再度はめ込みます。(図の中の白い矢印は、予想される追加の風の流れです。)
組み付ける際に、裸になった面(下と左右側面)において、ケースと電源の内部が接触しないことを確認しながら仮組みしてください。元々フタが付いた状態でも何処にも接触していないはずですので、問題なく収まるはずです。ここで何処かが接触する、という場合は、今回の改造を断念することを強くお勧めします。
また、このままだと電源ケーブルの取り出し位置(写真の赤丸の部分)が不安定になります。これは、本来は電源のフタと電源のケースとの間に挟み込んで固定されていたものです。Webmasterはとりあえず消しゴム(トンボ鉛筆PE-01A \60)が身近にあったので、それを電源の下にかまして固定しています。あまり大きなものをかますと、電源自体が上にズレてしまいますので、注意してください。(最終的にはATXケースの蓋によって電源とかましたモノの間にケーブルが挟み込まれた状態になり安定します。)
なお、この「挟み込み」処理を行わなくても動作しますが、普段の電源ケーブルの引き回しで、思わず引っ張ってしまうこともあると思います。そうすると電源内部基板が一緒に引っ張られてしまい、最悪故障の原因となりますので、この処理は必ず行った方が良いでしょう。

 

電源とATXケースを元に戻す
power5.jpg (12977 バイト)
後は最初とは逆の順序で、電源をネジ留めして、ATXケースのフタをネジ留めすれば完成です。
おもむろにACケーブルを挿して、背面の電源のスイッチを入れ、フロントパネルの電源ボタンを押して見てください。
ここでもし、なにかしらの異常(煙が出る、画面がでない、エラー音がする等)が発生した場合には、直ちに背面の電源を切り、ACケーブルを抜いてから、かかりつけの医者(サポートしてくれる身近な人)に診てもらってください。間違ってもそのままもう一度ためそうなどとは思わないで下さい。
うまく行けば、BIOS画面が立ち上がるはずです。そうしたらBIOSセッティングの画面に入って、最初にメモした電圧と同じかどうかを確認してください。3.3V昇圧改造を行った方は自分で設定した電圧になっているかどうかを確認してください。ただし、BIOS画面上の電圧表示は、正確でないことがしばしばあります。Webmasterの場合は約0.5V低く表示されていました。最初のメモと、3.3V昇圧改造後の電圧との差を覚えておくと、実際の電圧がどのくらいかを予測する手助けになるでしょう。もちろん実際にテスターで測定した方が良いことは言うまでもありません。

 

改造後のケア
改造がうまく行っても、その後は暫く電圧の変動に注意を傾けてください。もしかすると、時間が経ってから電源に異常が見つかるかもしれないからです。Webmasterはフリーのモニタリングソフトを使って、電圧ごとに一定の範囲を逸脱したら警告を発するように設定しています。こうすることで、万が一異常が見つかっても被害を最小限にとどめられる可能性がより高くなります。

 

最後に
いかがでしたでしょうか。世の中には「タダより高いものはない」という言葉があります。タダといっても苦労を惜しんではせっかくのタダも上手く行きません。その苦労のコストを考えて改造を行うようにしてください。もしかしたら、その分働いた方が収入が多くなって、ケースや電源にお金をかけることが出来、結局その方がスマートなのかもしれません。自分時間の価値を良く考えてから行動しましょう。

 

 

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