余興
ちょっとした余興を準備しました。
どうぞご覧ください。
なお、このページの下の部分には解説がつきます。
(NOFRAMEでは、解説ページにリンクされます。)
※MLにこのお話の主人公が入ります。初心者がMLに入り込みやすいように、謎問いかけをします。その答えを引用させていただくこともありますけど、そのときは許可をお願いしますね。
一章 WeMail32
「ふう……やっと、おわったぁ〜っ」
少女はそういって、いすに背中をもたれかけさせた。
今、メールを振り分け終えたところである。
使用しているのはOutlook Expless。IE4.0にもついてきたし、特にエラーもないからと、標準のメーラーとして使っていた。他にいくつもメーラーがあるけど、特に使おうとも思っていない。
「うん、みんな整理されてて、気分いい」
少女は思わず、今までの苦労からくる達成感にひたって、感傷にふけるあまりつぶやいてしまう。
目の前のPC-98NXの画面を見ながら、インターネットっていろいろできていいなと、思っていた。
彼女がインターネットを知ったのは、同じ部活の人の恋人がやっていたのを見て。
そのことはとても仲のいい友達で、よく遊びに行ったりする。
そう、あの時は確か……。
「メイちゃん、今晩、彼のうちに行かない?」
部活を終えて、友人が少女に誘いをかける。
部室から出て、今いるのは校門の前。メイちゃんと呼ばれた少女は、そんな友達の積極性にどことなく妙な感覚になる。
「え?」
「え、って……あ、そうか、メイちゃんはじめてだもんね」
「そうじゃなくて、お邪魔するの悪いから……」
「なにいってんのよ。その当人がいいって言ってるんだから、遠慮することないの」
「でも……」
「でもじゃない。親友として、甘んじて受けなさい」
甘んじて?
なんか、拍子抜けしてしまう。
目の前の友人はそんな人ではないと、彼女は思っている。そんな気難しいセリフをはけるほど理知的な人ではなく、典型的なスポーツウーマンである。
ちなみに、部活は水泳部である。
「……いいの?」
念のため、確認する。
「いいに決まってるじゃない。ま、親にはあたしのうちに行くって言っとけば大丈夫」
「でも、電話したら一発でばれちゃう……」
「あそっか。……じゃああたしが親に、メイちゃんがいるように吹き込んどくね」
「ありがとう……じゃあ、ご好意に甘えて」
「それが礼儀よ。じゃ、今日の6時に、うちの前に来て」
「うん、わかった」
はじめは、こんなものだった。
家に帰る。今日は久しぶりにうちに両親がいる。
この東京に一戸建ての家を構えているのはうちぐらいなものだ。
父が小説家、母が漫画家で、共同して出した作品がばかうけしてしまったので、こんな家にも平気で住めるらしい。
まあ、昔は苦労だったから、彼女はこのお金にはさほどこまらない生活に自分自身をやつすことはない。
「ただいま」
居間にいる、両親に帰りを伝える。
「おかえり茗奈」
「おかえりなさい」
自身の性格は、この両親が移ったのだろう。
茗奈はそう自覚してやまない。父は礼儀正しくて律義。そのうえとても物知り。
母は思いやりが強く、また涙もろい。
この両方を自分にそなえているように思った。
「これから、なっちゃんちにいってくるけどいいかな?」
なっちゃんは、上記の友人の名前である。
「めしは食ってけよ」
父は、本気でのんきなことを言う。
自分の娘が、夜になろうという時に友人の家に行くのに。
茗奈は、居間の父の言うことにうなずいて、自分の部屋に荷物を置いてくる。
示し合わせたように、茗奈はなっちゃんと共に、なっちゃんの恋人の家に行く。
緊張が自分に押し寄せて止まらなくなりそうな時に、友はチャイムを押す。
本当に慣れた手つきで。
アパートの古いドアが開いて、20才くらいの青年が顔を出す。
「奈水(なみ)か。……で、そのこがメイちゃん?」
「はい、橘李 茗奈です」
好青年さに驚きつつも、茗奈はかしこまっておじぎする。
「はっはははは。かわいいこ。めずらしい」
そのかわいいとは、奥ゆかしさにあるのだろう。
それを茗奈は自覚していない。
「あ、あの……本当に、いいんですか?」
「ん?ああ、俺達の邪魔しないかってことか?そんなことないよ。いっつも奈水が話してるきみのこと、見てみたかったんだし」
茗奈はその一言に、すこし憤った。
興味本位で、呼んだということに。
でも、彼女はそんな憤りを見せはしなかった。
「ねえ、それよりも早く見せてよ。インターネット」
「はいはい、わかりましたよお嬢様。じゃあ、上がって」
青年は、2人を中に導いた。
「おじゃましま〜す」
奈水は本気で自分の家のように慣れた様子で部屋に入っていく。
「……おじゃまします……」
茗奈も、そんな友人の勢いに押されて、中に入る。
で。
さっそくFM/Vを立ちあげて、青年は2人の客人に対するもてなしの意味をこめ、ブラウザを起動させる。
茗奈は始めてみるその画面に、まだ疑心暗鬼。
「これから、インターネットを始めるんですか?」
茗奈は、静かな声で青年に聞く。
「ああそうだよ。今インターネットの上にあるホームページを見るためのソフトを立ちあげたんだ」
ホームページやソフトウェアの名前ぐらいは知っている。
ブラウザというのは、インターネットをする上で不可欠なものらしい。
新しいものすべてが、茗奈にとって新鮮なものだった。
「これから、何を見るんですか?」
「えっと、何かメイちゃんが調べたいものあるかな?」
「調べたいものですか?……えっと、じゃあ本のことについて……」
「本のどんな事かな?」
「え……」
パソコンが融通の気かないものであることは、茗奈には良く理解できていなかった。
何でもできる魔法の機械ぐらいにしか。
「パソコンは、情報が多いほうがより自分の調べたいものが見られるんだ」
「じゃあ……」
という感じに事が運んで、気がつけばインターネットの虜。
茗奈は、父が偶然パソコンを買うと言い出したので、自分のパソコンをねだり、……今目の前にある、98−NXというわけである。
スペックはPentium2の300、VS30CD1……1997年12月現在では恐ろしいくらいに性能のいいものである。
こんなものいつもほいほい買い与えるわけではないが、父は茗奈の留守番の頑張りをたたえるという名目で、一番欲しいものを買ったというのである。
まあ、あきは(秋葉原)まで行ったから、それなりに安く買えたのだが。(といっても、この機種はあきはでも40万以上はするはずだが)
茗奈は、その画面を見つつ、とりあえずメール差出人に返信のメールを書き始めた。
彼女のハンドルネームは「水の巫女」
これは水泳をしている自身のことをさす意味でつけたものだ。ハンドルネームは自分の持つ何かにちなんでつけられることが多い。彼女とて例外ではなかったということだ。
……で、返信する相手のメールを確認する。
同時に、レスを書き加えていく。
>水の巫女さん、こんばんは。
水の巫女です。>>messege-IDってなんですか?
>メールを識別するための番号で、メールヘッダにある、messege-IDという部分です。
>Outlook Explessで送られるこのIDは、一般には不正といわれています。
そうなの?
でも、なんでなのかな?
茗奈の頭には謎めいたことばかり。
なんで不正なのかわからない。
(作者の私もわからない。でも、これが理由でのりかえたわけじゃない。)
>ですから、なるべくならOutlook Expless以外のメールソフトに乗り換えたほうがいいと思います。
>とりあえず、私の使っているWeMail32はどうでしょうか?
>機能も多くて、使い勝手もいいですよ。
>サポートも早いから、安心です。
WeMail32?
そんなメールソフトがあるの?
茗奈はそれがいかなるものなのかもっと知りたかった。
さらに下のほうを見る。
>ここにそのソフトが置いてあるから、ダウンロードして、一度使ってみてください。
>愛称が合わなかったら、BeckyやAl-Mailもありますし。
>http://www.mesh.ne.jp/qsc/ntes/WeMail/
そうなんだ。
でも、こっちのメールには……。
と、別のメールを見るようにして……。
メールソフトは宗教色強いから、あまりこういう事は突っ込まないほうがいいんです。
どういうソフトがいいかは、個人で決めてください
って書いてあるし……。
まだインターネット1ヶ月の彼女には、知らないことが多すぎるのである。
とりあえず、さっきの返信メールをアクティブにして、返事を書き込んでいく。
>>messege-IDってなんですか?
>メールヘッダにある、messege-IDという部分です。
>Outlook Explessで送られるこのIDは、一般には不正といわれています。
わかりました。
でもどうして不正なんですか?
>とりあえず、私の使っているWeMail32はどうでしょうか?
>機能も多くて、使い勝手もいいですよ。
>サポートも早いから、安心です。
>ここにそのソフトが置いてあるから、ダウンロードして、一度使ってみてください。
>愛称が合わなかったら、BeckyやAl-Mailもありますし。
>http://www.mesh.ne.jp/qsc/ntes/WeMail/
私は初心者だから、使うのが難しいソフトはいやです。
WeMail32は、扱い方が簡単ですか?
さすがに、使い方が難しいソフトを使うわけにもいかない。
初心者が使うのにいいソフトなのだろうか。
でも、Outlook Explessが使えるから、不安はそう大きくはない。
彼女は、こうやってすべてのメールに対して返信を行っていった。
で。作業を終えて、メールを送信ついでに、IE4.0を立ちあげて、さっきのURLを入力する。
15万アクセスを達成しているWeMailのホームページから、彼女はWeMail32をダウンロードする……。
二章に続く。