アルカリ電池を充電したい

1998.9/26


話の概要

 モバイルギアは、ノートパソコンなどと比較すると、圧倒的な電池寿命を誇ります。 が、それでもひんぱんに使っていると、消費する電池の本数はばかになりません。
 この記事は、何とかその電池代を節約したいと、アルカリ電池を充電することを 思い立ち、試行錯誤したドタバタについて書いてあります。
 結果は一応成功、ここでは、多少のノウハウも紹介しています。
 なお、この記事を読んで、充電を試みる方は、 あくまでオウン・リスクでお願いします。要領を誤ると、破損した電池で怪我 をしたり、火災になったりする可能性もあります。筆者は一切責任は負いません。



○チリも積もれば・・・捨てがたい電池の山

 いかにアルカリ単3が2本で30時間持つとはいえ、私のように使い倒していると、 モバイルギアの電池代は決してばかにならない。内蔵モデムを使うときなどは ACアダプタを利用する、蓋の開閉によるリジュームは避ける、ミーティング中でも、 記録の要のない話が続くときは一旦電源を切る、など節電には 心掛けているが、ざっとみて使用時間は、土日も含めた週平均で、一日あたり三時間 前後、だいたい十日で2本を使い切る計算である。(印象ではもっと早く、 だいたい五日から一週間でなくなっているような気がする。もしかしたら 三時間以上使っているのかも知れないと思う。)
 まあ仮に一本百円としても、一ヶ月で六百円なのだから、実用度からいえば、 まったく問題にすることはない(家内を連れて炉端にいけば一回で六千円だ)とも いえるが、たまに朝から晩まで使いっぱなし のときもあるし、また出張の際などやむを得ず電池でデジタル公衆電話やPHSに 繋いで通信することもある。こうなるとすぐに消耗し、ばかにならない。

 また、だいたいにおいてアルカリ電池のパッケージは、高級感のある金色の デザインで、もう使えないと分かっていても、これがごろごろしているのを見ると、 いかにも捨てるのが惜しい気がするのである。
 さらに電池といえば、ゴミ分別収集の筆頭に上げられるように、どうしても有害 廃棄物のイメージが付きまとうし、そうでなくも、資源保護からも、ただ捨てるの には忍びない。よく知らないが、おそらく回収した乾電池は、リサイクルされずに 破棄されているのではないかと思うので、なおさらだ。
 そこで考えたこと、それは、使用済み電池の再利用である。

○使用済み電池再利用法のいろいろ

 まず、飾りに使うとか重しとして使うとかいう、電池としての用途以外はここでは 除外する。
 もっとも簡単な再利用法は、あまり電池を食わない機器で余生を送ってもらうこと。 例えば、時計などは、もともと非常に消費電力が少ないので、モバイルギアで 使えなくなった電池でも、結構使えたりする。また、小型の携帯ラジオなども、 多少感度は落ちるかもしれないが、使えるものである。
 この利用法の難点は、次々に生産される使用済み電池を受け入れられるだけの機器が すぐなくなること、それと、モバイルギアにかかる電池代を節約するという 目的には全く役に立たないことである。

 もう一つ、簡単な方法がある。もうだめだ、と音を上げた電池を、しばらく寝かして から、もう一度モバイルギアに入れて使うのだ。モバイルギアでの利用、特に通信 などでは、短時間に大きな電流を流すため、電池が本来の出力を出し終える前に 電圧降下を起こしている場合がある。そこで、しばらく休ませると、ある程度復活 するのである。このとき、冷蔵庫などで冷やしておくとより良い、とか聞いた こともあるが、確認はしていない。ビデオや車のバッテリーは、だいたいにおいて 低温のほうが劣化するので、新品電池の保存方法としてはともかく、これは俗説 かもしれない。
 これも難点があり、当然復活後の寿命が短いので、ミーティングなどでは途中で ダウンして電池を交換する羽目になることがあるし、概してそれほど長くも使えない。 電池ごとに残使用可能時間が異なり、ものによっては全く使えないときもある。 さらに、同じ電池に繰り返して利用できる手段でもない。

 ・・・かくして、究極の手段、使用済みアルカリ電池の充電が登場である。

○乾電池充電器という製品

 乾電池を充電するには、乾電池の充電器という製品が売れられているので、これを 使うのが手っ取り早い。こういう製品は、実は随分昔から存在していた。私のわかる 範囲でも、私が中学生か高校生の頃には少なくともこういう製品はあったので、 二十年以上前からあったことになる。
 最近の製品は、いいものにはおそらくマイコン制御などが組み込まれていると 思うので、性能は当時のものよりずっといいと思う。 あるリポートによると、充電に二十時間かかるが、二十回も繰り返し充電して 使えるらしい。
 昔の機種の性能はどうかというと、マンガン電池とアルカリ電池の違いはあるが、 充電所要時間は同程度、可能充電回数は二、三回止まりということだったように 思う。ただし、充電後の寿命は、新品の二、三倍となる、という、本当かうそか よく分からないようなキャッチコピーの付いた製品もあった。

○思いのほか難しい充電・・・試行錯誤の日々

 さて、私の場合は、そうした製品の利用は、はじめから考えていなかった。もともと 発想がケチであるので、結構高いこうした製品を買うのは、ポリシーに反するのだ。 で、いわゆるジャンク屋で、可変電圧(3、4.5、6、7.5、9、12V)のアダプタを、 そして、パーツ屋で最大4本を直列に入れられるケースを買ってきた。経費は合わせて 千五百円ほど。充電は当然のことながら電流を電池に流し込むのだから、プラスの 出力を電池のプラスに、マイナスを電池のマイナスに繋ぐ。

 最初は、使い古しの電池がたくさんあったこともあり、四本まとめて充電すれば 効率的だと考えた。また、充電時間も短くできるように、と、7.5Vで加圧して 充電を試みた。
 たまにうまくいって、新品並みに復活したこともあったが、多くの場合、というより ほとんどの場合は、数時間で破裂して液漏れしたり、一向に電圧が復帰 しなかったり、電圧だけは高くなっても、十分電流が流れなかったりして、 歩留まりは極めて悪かった。液漏れしたときに接点に付着し、腐食して充電用 ケースをだめにしたりもした。

 結構根気強く試行錯誤したが、うまくいったときと同じ条件で充電しても 失敗することの方がむしろ多いのと、破裂するのはさすがに危険なので、充電電圧を 6Vに下げて充電するよう方針変更した。これにより成功率はいくぶん上がったが、 まだせいぜい五回に一回くらいで、充電時間も8時間以上かかり、満足できる ものではない。その間、過熱したり破裂したりしないか、監視しなければならない のだから。
 そのうちに、使い切った電池では、復活力も弱いのではないかということに 気づいた。それまでは、モバイルギアで、残量L0を示し、電源が自動的に切れるまで 使い切ってから充電していたが、これをL1の中間位で 充電する。また、使い古してからしばらくおいたものはだめで、 消耗したらなるべく早く充電してやる。この辺は、車などのバッテリーの、鉛 蓄電池と同じ発想である。
 これは結構有効で、かなり歩留まりが上がってきた。なぜ効果があるのかと 考えてみたが、おそらくは、使い切ったり、消耗して放置したものは、 放電による電圧低下だけでなく、電池の内部抵抗が大きくなってしまうのだと思う。 そうなると、うまく充電できなかったり、上にも書いたように電圧があがっても 電流が不十分となる。

 何度か続けて成功した結果、これでいける、と思った。ところがそう甘くはなく、 これもそのうちに失敗が多いことが分かってきた。なぜだ、そんなばかな、と、 いろいろ試行錯誤したが、かえってまだ数時間使える貴重な電池を何個も だめにしてしまったのがおちであった。ケチに徹するにはそれなりの 覚悟がいる。こんな些細なことでも奥が深いものだ。

 こうしてさらに経験的に分かったことは、性能やコンディションの異なる電池を 直列に繋いで充電してはならないということだった。そういえば、よく古い電池 と新しい電池を混ぜて使うなとか、種類の違う電池を一緒に入れるなとか、ちょっと みるとどうでもよさそうなことが説明書などに書かれているが、このことだった のかもしれない。
 おそらくこれも、電池の内部抵抗が関連しているのだろう。オームの 法則というやつでは、直列につながった複数の抵抗に電圧をかけると、抵抗値に 比例して電圧がそれぞれの抵抗にかかるが、内部抵抗の異なる 電池を直列に繋ぐというのはまさにそういう行為だ。さらに、各電池は、純粋電池と 抵抗の直列合成されたものと考えられるから、電流と電圧がそれぞれの要素に ややこしく作用しているだろうことを考えれば、理想的には市販の充電器のように、 直列にはせず、一つ一つの電池で充電するべきだろう。
 だが、残念ながら私の買ったアダプタは、最低でも3Vである。さすがにDC-DC コンバーターまで使う気はない。可能なことは、 次善の策として、できるだけ均質な電池、つまり同じパッケージで買い、一緒に 使った二本の電池を、セットにして、二本3Vで充電することである。これなら、 もうワンセットの使用済み電池ができるまで待って、四本セットにする必要が ない点、かえって好都合である。
 この方法は、さらに歩留まりを向上させた。4本から2本になることで当然 ばらつく可能性が低くなるし、さらにその2本が均質になるよう気を配っている のだから。
 しかし、である。まだうまくいかない場合が多い。新品の段階からほとんど同じ 条件で使用したはずの電池でも、依然として偏りが発生する。二回に一回以上の 頻度で、一方が復活する代わりに、他方はむしろ劣化した。そして、一度劣化すると もう復活しない。また、復活した電池も、二回目以降の充電では非常に 率が悪くなる。
 いよいよ万事休すか・・・。仕方ない、と、しばらくはこの件は忘れることにした。 ちょっとまとめて電池を買ったら、少し気分がリッチになったという、ケチ道に あるまじき堕落した思いも、危機感を薄めてしまった。

○やはり充電しかない

 この堕落した私に再びケチ道の精神を呼び覚ましてくれたのは、同じ単三アルカリ を、なんと四本も使用するデジカメの購入であった。
 デジカメのメリットは、フィルム代がいらない、すぐ見られる、不要なものは その場で消せる、パソコンにそのまま取り込める、撮った画像をモバイルで 送ることができる、テレビなどに写すことができる、など、上げればきりがないが、 忘れてはならないことは、電池をよく食うことである。特に、カラー液晶を ドライブすることが、あれだけ電池に高負荷をかけるものであることを、 今回初めて知った。
 さて、そうなると、やはり充電しかない。一度は放棄した、安定した充電 技術の確立に取り組まざるを得なくなった。

 しかし、私もだてに日々を過ごしていたわけではない。一旦あきらめてから それまでの充電期間(^^;;)に、実はそれなりのアイデアも浮かんでいたのである。 それは、3Vのままでいいから、一本ずつ、つまり直列に繋がずに充電するという 方法である。
 これは一見、無謀である。なぜなら、直列の充電を試みたとき、6Vの電池に 7.5Vという25%増しの電圧をかけただけで、破裂する電池が続出したのに、 今度は実に倍の電圧をかけることになるからである。
 しかし、すでにこれまでの試行錯誤から考察されるように、4本の電池を直列 に充電するという方法は、特定の電池だけに大きな負荷をかけていた可能性が高い。 つまり、ある電池には、3Vの電圧をかける以上の状況が発生していた のではないかと思う。
 また、電流値にもよるが、3Vというのは乾電池にとって、それほど破壊的な 電圧ではない。そもそも、私の使っている安物アダプターは、300mAの容量しか ない。充電時間を短く切り上げれば、それほど問題はないかもしれない。
 ということで、最後の手、1.5V電池に対する与圧3Vでの充電の試みが 始まった。

○なんとか充電方法開発完了

 途中で一旦放棄してから再開したこともあり、この記事も、予定よりずいぶん 長くなった。結論を急ごう。
 最終的に、この要領で、かなり歩留まりのよい電池再生が行えるようになったと 感じている。その要領を整理しておく。
 いずれにしても、この記事は、私の限られた環境での経験則であり、まったく 保証はない。繰り返すが、真似をされる場合は、各自の 責任において、また、各自の経験を反映した上で実施されたい。 特に、結果として貴重なデータや モバイルギア本体を損なうようでは、完全に本末転倒であるので、自信の ない方は、正規の充電電池を購入されるか、けちけちせずに新品の電池を買う ことをお勧めする。

○こんな手もある

 もしあなたの知人に、カメラ店の経営者か店員、あるいはバイトがいれば、新品 同様の電池を、ただで大量に手を入れる方法がある。それは、使い捨てカメラ (レンズつきフィルムと呼ばなければならないんだっけ)の現像で回収される、 大量のアルカリ電池である。
 これらは実際、せいぜい数十回しかストロボ発光していないものが、そのまま 捨てられる。実にもったいない話だが、だからといって新品の製品に入れて 再利用もできないのだろう。決して安価なものではないだけに、むしろ利用できる なら利用したほうが世のため人のため(?)だと思う。

○おまけ・ちょっとした感想

 もともとは、山と積まれた使用済み電池を見て思い立った充電だが、結果的に、 使い切った上に長期放置されていたこれらの電池を復活されると いうのは、どだい無理な相談だったということになる。
 いかに節約が目的とはいえ、やはり世の中そう甘くはなく、それなりに正当と 思われる投資(今回の場合、試行錯誤の多く時間と、何本もだめにした残量あり の電池)があってこそ、相応の成果が得られるものだという、 ある意味で至極当たり前の教訓を経験した。
 今、この記事は、一旦L1を示した消耗電池を、上記のように最終的に実現できた 充電方法で、一時間×2回充電して使用しながら仕上げている。すでに使用開始後 二時間以上経過しているが、依然バッテリーはフル容量を示しており、L2までも来ていない。
 使えないはずの電池を再生して使用する、そこには、錬金術のような、ケチ道を 満足させる充実感を感じる。しかし、失敗を繰り返したり、大事な機器を 壊したり、ましてや火事を出したりするくらいなら、けちけちせずに使い捨て した方がいいに決まっている。また、その人のライフスタイルに応じて、 充電池パックを購入するのが賢い選択の場合もあろう。
 今回の私の場合、電池の充電という行為そのものが目的化してしまい、そうした 評価は全く行っていないことをお断りしておく。
 いずれにしても、今回の投資が最低限取り戻せるよう、デジカメと併せ、せいぜい 活用していきたいと思っている。



メール neyubacca@yahoo.co.jp

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