ノートパソコンFreeBSD化計画

・・・インストール編



1999.2/11


話の概要

 先日、ふとしたことから、中古のノートパソコンを購入しました。
 いまさら、ノートパソコンのPC−UNIXによるモバイル化は珍しくも何とも ないのですが、今回の場合、止むを得ぬいくつかの事情で、やや特殊な条件下 でのインストールとなりました。
 その条件を簡単に列挙すると、
  ・CD−ROMドライブつきだがFDドライブなし
  ・Win95との共存が必要
です。
 これをみてすぐ、その難儀さに気づかれた方は、さすが、と申し上げます。 ネックは、なんといってもFDDのないことです。これは欠品の中古だったので 仕方ありません。
 しかし、必要は発明の母、この制約のおかげで、次のような作業に挑戦する ことができました。
  • FIPSの利用
  • ブータブルCD−ROM作成
 この記事では、こうしたことに関するTIPS(コツ)を紹介します。





○FDDがなければインストールできないWin95

 実のところ、ノートパソコンへのFreeBSDインストールは、これが初めて ではありません。会社で、業務の必要性から、これまでも何台かインストールして きた実績があります。
 いまでは当たり前のように使える、FreeBSDのラップトップ用 パッケージのPAOも、まだまだ不安定で組み込みも厄介だった頃からやって いますから、それに比べれば、現在の環境は雲泥の差です。

 しかし、これまでと決定的に違うところがあります。それが、FDDがないという ことです。
 今回のノートは、’97年夏のFMVのモデルなので、幸いなことにBIOSが CD−ROMからのブートをサポートしています(CD−ROMブータブルの 仕様は、1996年に、IBMを中心に策定された)。そして、インストールする FreeBSDのバージョン2.2.7RのCD−ROMは、ブータブルなのです。 したがって、FreeBSDをインストールすることには、何の問題もありません。
 しかし、家内との共同使用という目的から、Win95とのマルチブートでセット アップしなければならないのですが、そこに、非常な困難があるのです。 それは、Win95が、FDDなしではインストールできないという制約があることです。
 それがどうして問題か、以下、対策と共に一つずつ説明します。
 なお、参考までにいうと、今回のケースとは逆に、FDDはあるが、 CD−ROMドライブのないという、いまでも比較的一般的な構成のノート に、FreeBSDをインストールする手段は、様々なものが提供されています。
 DOS領域にインストールファイルをコピーしておく、最低限のファイルをFD のみでまずインストールする、LANやPPPなどのネットワーク経由でインス トールする、など、多様な方法が可能です。

○パーティションの切り直しができない・・・FIPSが使えるか

 ノートですから、内蔵HDDは、一つしかありません。サイズは1.3Gと、 お世辞にも大きいとはいえないものなので、全部の領域がWin95のC: ドライブに割り当てられていることはいうまでもありません。
 ここにWin95とFreeBSDを載せるには、当然、少なくとも二つの パーティションに切り分ける必要があります。それが何が問題だ、fdisk というものを知らんのか。いえ、知ってます。でもね、fdiskを 使って切り直すということは、まず今のパーティションを消去しなければならず、 インストール済みのディスク上のWin95を一旦チャラにしなければならない のです。ところが、Win95は最初にFDで起動してやらないとインストール できない・・・。
 ということは、なんらかの方法でFDDなしの起動方法を実現するか、 現在インストール済みのWin95を残したままでパーティションを切り直す ことができなければならないのです。
 実は、前者の方法についても、あとでなんとかなりそうだとわかったのですが、 それは次回の記事で紹介するとして、その時点でできそうだったのは、Win95を残す 方法でした。それができなければ、最悪、FreeBSDをあきらめなければ なりません。私がWin95を我慢して使うほうが、家内にFreeBSDを 教える(それ以前に使う気にさせる)ことよりずっと簡単ですからね。

 さて、今のWin95を残し、新しいパーティションを確保するために、 FreeBSDや、Linuxなどでも使われるFIPSというツールがあり ます。これは、既存のファイルをディスクの前のほうに詰めていき、後ろに できた空き領域と前の領域を別のパーティションに切り分けてくれる、という、 非常に便利なソフトです。
 しかし、これまで、このツールを使うことはおそらくないだろうと決めて かかっていたので知らなかったのですが、このツールで前詰めできるファイル システムは、従来FAT16のみで、FAT32には対応していないことが 分かりました。これは、FreeBSD2.2.7RのCD−ROMに収録されて いるFIPSでも同様。OSR2のプレインストールWin95は、当然 FAT32でフォーマットされています。早くもFreeBSDインストール 挫折の危機です。
 しかし、世の中は常に動いている、もしかして、最新のFIPSでは対応して いるのではないか、そう思い、インターネットで探してみると、何たる幸運、 FIPSのサイトに、FAT32対応のFIPS2.0が見つかったのです。
 すぐダウンロードしました。まったく、こういう目的において、インターネット ほど便利なものはありません。READMEなどをみても、今回の環境で問題なく使えそうです。

○インストール手順

 さて、根本的な問題は、この時点で解決しましたので、ここで、インストール手順 としてまとめます。
  1. FAT32対応FIPSの入手
     インターネットでダウンロードしました。上記サイト参照。
  2. ディスクの掃除
     必要でないWin95のアプリケーションをすべて削除し、ディスクの空き容量を増やします。
  3. パーティションの計画を立てる
     1.3Gのディスクを、Win95とFreeBSDに、それぞれどれだけずつ 割り当てるかを決めます。
     不要なアプリを削除した結果、Win95の領域は300M程度になりましたが、 まだNetscapeなどいくつか載せなければならないものがあることと、 FreeBSDではWin95の領域さえ十分であれば、それを共用すること ができますが、その逆は不可なので、Win95を多めにとることにしました。
      Win95=800M、FreeBSD=500M
    が決定した計画です。
  4. FIPSでパーティションを切りなおし
     いよいよFIPSの登場です。FIPSは、FDISKの機能を持っている わけではなくて、単にWinの領域を前詰めし、全体の領域のうちWin領域 として残すことに決めた領域より後を、空きパーティションとするだけです。
     問題なく、計画どおりの配分で切り直しできました。
  5. CD−ROMからのFreeBSDインストール
     FreeBSD2.2.7Rでは、6枚組CD−ROMのうち、少なくとも インストール用(Vol.1)と、ライブファイルシステム(Vol.2)は、 ブータブルとなっています。おそらく、PC98用のインストールディスクと、 3.0R−currentのインストールディスクもブータブルになって いるのではないかと思います。
     必要なことは、ノートパソコン(デスクトップも同様)のBIOSの設定で、 ブートメディアの設定を、少なくともCD−ROMがHDDより先になるように すること。あとは、CD−ROMをドライブに設定してからリブートするだけ。 まもなくFDからブートしたときと同様のインストール画面が現れます。
     BIOSの設定というのは、電源リセットして初期画面が出ているときに、 画面の指示にしたがって、キー入力をすればできます。私のノートの場合は F2キーを、デスクトップ機の場合はDELキーを、初期画面が表示されている 間に押します。詳しくは、それぞれのマニュアルを参照してください。
     後の手順は、FDからのインストールと同様です。
  6. PAOの導入
     なぜかCD−ROMの配布の中には、PAO単体のパッケージは含まれて いません。PAOをインストールするには、PAOインストーラFDを使って ここからインストールするか、別途PAOパッケージを持ってきて(ダウンロード して)展開するしかないのです。
     リリース3からはPAOが別パッケージとしてでなく、本体に取り込まれる 形で配布される予定だということですので、いずれはこうした煩雑さはなくなる のでしょう。
     FDからのPAOの導入は、以下のようなメリットがあります。
    • 起動時に、PCカードコントローラと、挿入されたPCカードの検出を 行うので、FreeBSDでそのパソコンのPCスロットとカードが利用可能か どうか最初に確認できる。
    • PCカード(ネットワーク・SCSI・HDDなど)からのインストールが できる。
    • 指示どおりインストールするだけでPAO環境が構築される。
     しかし、CD−ROMブートからのインストールでは、PAOでなく、標準の インストーラが起動しますので、この方法は使えません。実は、二度手間をいと わなければ、今回のような環境でもPAOインストーラによるインストールは 可能です。その要領については、次回の記事で紹介します。
     ともかく、私は別途PAOを入手する方法をとりました。

○X−Windowが動かない。

 今回買ったノートの液晶ディスプレイは、800x600、65000色表示で、 チップはTridentのTGUI9680というメジャーなもので、 ビデオRAMは2MBあり、外部ディスプレイにつなげば、1152x864で、 65000色の表示が可能なはずのものです。
 さて、最初、CD−ROMに付属のXF86−3.3.2をインストールし、 設定を試みました。しかし、どうもうまくいきません。たまたま 私が会社で使っているデスクトップのディスプレイカードも同じ石ですが、 サポート対象リストに上がっているにも関わらず、どうしても高解像度モードでうまく 動作せず、やむを得ずAccel-X(商用サーバ)を使っています。そのサーバにしても、 4MB搭載のはずのビデオRAMを、どうしても2MBしか認識してくれません。 どうも癖のあるチップのようです。
 それはともかく、X−Windowが動いてくれなければお話になりません。 設定をいろいろ調整してみる方法もあるのですが、まず、サーバーを最新のものに 変えてみることにしました。
 現在、利用可能な最新バージョンは3.3.3.1、TGUIチップのサーバは SVGAサーバなので、これをダウンロードしました。通常は、コマンドバイナリや ライブラリなど、すべてのセットを入れ替えるのが理想ですが、今回はこのサーバ と、セットアップユーティリティのみを入れ替えてみました。
 結果は、なんと一発でOK。Xサーバは、設定オプションディフォルトがリリース毎に 変更されたりするため、必ずしも旧サーバで動作させることができなかったとは いえませんが、少なくとも今回は新しいサーバを試してみたことは正解でした。
 以下に、今回のXF86Configファイルをリンクします。なお、生のXF86Configという名前では、 ジオのサーバーが受け付けてくれませんので、XF86Config.htmlという名前にしてあります。

   FMV-BIBLO NU13D TGUI9680用XF86Configファイル



メール neyubacca@yahoo.co.jp

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