さて、これから約15回ほどこの電子講座を開講するわけですが、この講座 の主な目的は、少しでも電気に親しんでもらうことです。ですからいわゆる 理論的で細かいことは出来るだけ触れずに行こうと思っています。その大ま かなところだけで実戦では十分役に立つと思います。実際私自身が理論的な ことをあんまり知らないと言う理由ももちろんありますが・・・。とにかく 電気を難しく考えないで、できるだけ肩の力を抜いて行きましょう。少しで も興味を持ってもらえれば言うことありません。
さて、いくら理論に触れずに・・・とは言っても最低限知っておいてほしい 法則があります。それはオームの法則です。改めて説明する必要がないほど 有名な法則だと思いますが、一応復習しておきましょう。式で書くと
ですね。一般に
電圧=電流×抵抗
電圧:E(V・ボルト)
電流:I(A・アンペア)
抵抗:R(Ω・オーム)
と書くことが多いので
または式を変形して
E=R・I
とも書けます。さて、ここで電圧、電流、抵抗という3つの物が出てきまし たが、これはいったいどういう物なのでしょうか?あえて言う必要もないか もしれませんが、電流とは電気の流れの強さ、電圧とはそれを流そうとする 圧力、抵抗とは電流の流れにくさのことです。これは電気を水にたとえると よく理解できるでしょう。底にパイプのついた、水の入った容器を考えてみ て下さい。当然パイプから水が流れ出しますよね。そしてその勢いは容器と 地面との距離が長い方が強くなります。このときの水位差に相当するのが電 圧です。そして水の流れに相当するのが電流です。さらにパイプのつまりが 抵抗です。電圧と電流はもっと厳密に定義しようと思えば出来るのですが、 ここでは難しいので割愛します。
I=E/R R=E/I
また、電圧と電流の積を電力といい、電気エネルギーが1秒間に行うことが 出来る能力を表します。単位はW(ワット)です。式で書くとですね。また電力はPと表せるので、
電力=電圧×電流 とも書けます。これを変形した
P=E・I というのもよく使われます。
P=I2R
注意:上で書いたことはすべて電気が直流の場合を想定して書いています。交流の場合はもっと複雑になりますので、ここでは割愛します。
先ほど電圧の単位はV(ボルト)、電流はA(アンペア)、抵抗はΩ(オーム)、 電力はW(ワット)であるという話をしましたが、実際には1,000,000Ωとか 0.0001Aというようにとても読みづらくなってしまう場合があります。この 不便さを解消するため、接頭語というものが使われます。これは別に難しい ものではなく、生活のなかでもkgとかmmとかと言ったときに使われてい る、k(キロ)やm(ミリ)の事です。以下によく使われる接頭語を並べて みます。
本当は、ヘクトとデシの間にデカ(da:10倍)というのが入るのですが、 ほとんど使われていないので省略しました。また、この上下にもまだ接頭語 があるのですが、今のところ必要ないと思います。別にこの表全部を覚える 必要はありません。出てきたときにこの表を参照する程度でいいと思います。
記号 読み方 かける倍数 T テラ 1,000,000,000,000(1012)G ギガ 1,000,000,000(109)M メガ 1,000,000(106)k キロ 1,000(103)h ヘクト 100(102)d デシ 0.1(10-1)c センチ 0.01(10-2)m ミリ 0.001(10-3)μ マイクロ 0.000001(10-6)n ナノ 0.000000001(10-9)p ピコ 0.000000000001(10-12)
あと補足ですがM(メガ)を抵抗の単位Ω(オーム)に続ける場合は、メガ オームではなく、メグオームと読むのが慣習になっています。
この表で注意しなければならないのは、記号の大文字・小文字の区別です。 k(キロ)までは小文字、それ以上では大文字が使われます。これははっきり させておいてください。
それではここから実際に使われる電子部品について見ていきましょう。まず は、受動部品と呼ばれる部品です。受動部品というのは縁の下の力持ちです。 エレクトロニクスというと半導体ばかりが注目されますが、この受動部品と いうものがなければ半導体を動かすことができません。これには主に3種類 の部品があります。抵抗・コンデンサー・コイルです。略してRCLと呼ば れることもあります。それでは順番に見ていきましょう。
3−1.抵抗(R:レジスタンス)3−2.コンデンサ(C:キャパシタンス)
図記号
抵抗は正式には抵抗器と呼ばれます。先ほど説明したように電気を通しに くくする働きがあります。言うまでもありませんが、抵抗値が高くなるほ ど電流が流れにくくなります。実際には使用目的によって精度の高いもの や大きな電力に耐えられるものなどを使い分けます。様々な種類がありますが その中でも一番よく使われるのは炭素皮膜抵抗(通称:カーボン抵抗)で す。それではよく使われる抵抗器と、その特性を見てみましょう。
名前 略称 特性 炭素皮膜抵抗 カーボン抵抗 誤差5%程度、定格電力1/8W〜1/2W 金属皮膜抵抗 金皮(キンピ) 誤差1%程度、定格電力1/8W〜3W、精度が必要な所で使われる。 酸化金属皮膜抵抗 酸金 金皮ほどの精度はいらないが、少し大きめの電力を消費する所で使われる。 巻線抵抗器 精密用と電力用があり、誤差は精密用で0.5%、電力用で5%ほど。高周波では使えない。 セメント抵抗 数W程度の大きな電力を消費する所で使われる。 可変抵抗 ボリューム 抵抗値を変えることの出来る抵抗器。いわゆる音量調節のボリュームなどに使われる。 半固定抵抗 抵抗値を微調整する必要のある所で使われる。
可変抵抗の図記号はちょっと違います。
こういう風に矢印がつきます。
さて、セメント抵抗のような形の大きな抵抗ならば、直接本体に抵抗値が書いて ありますが、小さなものはカラーコードと呼ばれる色つきの帯で抵抗値が 表されているので、この読み方を知っていないと何Ωなのかがわかりませ ん。カラーコードの読み方も見てみましょう。
色 第1色帯 第2色帯 第3色帯 第4色帯(誤差) 黒 0 ×1 茶 1 1 ×10 ±1% 赤 2 2 ×102 ±2% 橙 3 3 ×103 黄 4 4 ×104 緑 5 5 ×105 ±0.5% 青 6 6 ×106 ±0.25% 紫 7 7 ×107 ±0.1% 灰 8 8 ×108 白 9 9 ×109 金 ×10-1 ±5% 銀 ×10-2 ±10% 無 ±20%
普通のカーボン抵抗なら金の帯を右にして最初の2つの帯を読み、それに 3つ目の倍数をかけます。たとえば黄紫赤金なら、黄は4、紫は7、3本 目の赤は×100なので、47×100=4700(Ω)=4.7(kΩ)、誤差5%となり ます。金皮は抵抗値が細かいので帯が5本あります。読むには最初の3つ の帯を読み、それに4つ目の帯の倍数をかけます。たいがい誤差は1%です。
抵抗値はよく使われるカーボン抵抗(一本5円ぐらい)でも1Ω〜10M Ωぐらいまでとりそろえられていて、まずは困らないと思います。だいた いカーボン抵抗が1本5円、金皮で1本10円が相場です。
図記号
いろいろな特性を持っていますが、とりあえず電気をためる、直流は通し にくく、交流は通しやすいという性質あたりを知っていればまず大丈夫で す(実際はもっと難しいのですが)。単位はF(ファラッド)。ただ、実際 にはこれでは単位が大きすぎるので、μF(マイクロファラッド)、pF (ピコファラッド)といった単位が用いられています。抵抗以上に種類が 多く、どれを使えばいいのかわからなくなりますが、一般的に言って、 1μF以下ならセラミックコンデンサー、それ以上なら電解コンデンサー を使うことが多いようです。これもどんな物があるのか見てみましょう。
名前 >略称 特性 セラミックコンデンサ セラコン 高周波特性が比較的良く、1μF以下では多用される。 電解コンデンサ ケミコン 小型・大容量が特徴だが、あまり諸特性は良くない。主に1μF〜10000μFで使われる。 タンタルコンデンサ ケミコンより諸特性が改善されているが、大容量になると高価。1μF〜100μFぐらい。 フィルムコンデンサ 様々な種類があり、特性もまちまち。主に1μF以下。 マイカコンデンサ 安定性に優れている反面、比較的高価。主に1μF以下。 電気2重層コンデンサ 超大容量が特徴だが、高周波では使えない。 0.1Fから10Fぐらい。 可変容量コンデンサ バリコン ラジオの同調回路などで使われる。可変範囲は0〜300pFぐらい。 トリマーコンデンサ トリマー いわゆる半固定抵抗のコンデンサ版。せいぜい100pF以下。
バリコンの図記号もやはり矢印がつきます。
ケミコン以外のコンデンサの容量は、3桁の数字で読みます。最初の2桁 は普通に読み、それを10の3桁目乗します。ほとんど抵抗と同じです。 誤差はその後のアルファベットで表されるのですが、5か10%がほとんどです。
コンデンサは電極の間に絶縁物を挟んだだけの構造ですから、本来極性 はないはずです。しかし、電解コンデンサは電解液を使用しているため、 極性があります。これを間違えて使うと破裂の危険もあるので注意しな ければなりません。また、タンタルコンデンサにも極性がありますので 注意しましょう。電解コンデンサ、タンタルコンデンサは極性があるこ とを表すため、図記号が少し違います。こんな記号です。
3−3.コイル(L:インダクタンス)
図記号
電線をグルグルと巻いた物です。コンデンサーとは逆に直流は通しやすく (そりゃただの電線ですから)、交流は通しにくいという性質があります。 これはコイルには電気を切ったり入れたりするときにそれとは逆の電流を 流そうとする働きがあるからです。これを逆起電力といいます。詳しい動 作原理は省略しますが、磁力と電力の関係でこうなります。
インダクタンスは交流の通りにくさを表し、単位ははH(ヘンリー)です。 コイルには様々な応用製品があります。それを見てみましょう。
名前 特性 チョークコイル 直流だけ通したいところで使用される。 バーアンテナ コンデンサとペアで特定の周波数を選択できる。ラジオで使用する。 トランス 電圧やインピーダンス(交流に対する抵抗)を変換する。 リレー 電磁石の働きにより、小さな電力で大きな電力をON/OFFする。
コイルにもインダクタンスを可変出来る物がありますが。あまり一般的で はないので、省略します。
しばらく回路の勉強をするとわかりますが、コイルは使うのが非常にやっ かいな部品です。出来れば避けて通りましょう(笑)。
- 電源10V、抵抗500Ωの時流れる電流は?またそのときの電力は?
- 抵抗やコンデンサなどは、一般に売られている抵抗値や容量がとびとびの値 (例えば1kΩの次は1.2k、1.5k、2.2kという具合)を取っています。これは どうしてでしょうか?
- 以下の抵抗値を読んでください(ただしカーボン抵抗)
茶黒赤金
赤赤茶金
緑茶橙金
青灰黄金
茶黒青金
茶黒金金
- 以下のコンデンサの容量を読んでください(単位はpF)
104
223
331
47
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