ガバッ
ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・
ギプスもはずれ、大事をとっての自宅養療中だった恭也は
嫌な汗をかきながら目を覚ました
原因は夢だである
ただ、悪夢ではない
だがその顔には驚愕の表情しか見てとれなかった
「なんて夢を見てしまったんだ・・・」
そう・・・恭也の見た夢
それは、少しばかりHな夢であった
その中に出てきたのは、フィアッセやレンや美由紀ではなかった
まあ、この三人であっても彼なら悩むだろうが、今回はその比ではなかったようだ
「よりによって、なのはとは・・・」
恭也はしばらく自己嫌悪に陥っていた
そのころ
高町なのはは、家路についていた
学校が終わったあと、久遠と楽しく遊んだ帰りだ
だが、今日はちょっと悩み顔をしている
そして、ちょっと顔が赤く、なにやら表情が色っぽい
ほうっ、と甘いため息までついている
「くーちゃんがあんな夢みせたから・・・」
たぶん、遊び疲れて二人でお昼寝でもしていたのだろう
どうやら久遠の『夢移し』で夢を見せられたようだ
ちょっとモジモジしたように歩いている
(なんか変な気分・・・)
どうやら、Hな夢だったらしい
なのはは、未知の感覚にとまどっているようである
(やっぱり、ああいう風にすると男の人って喜ぶにかな・・・)
そうこうしているうちに、いつのまにか家についたようである
(おにーちゃんも・・・喜ぶかな・・・)
「かーさーん、美由紀ー、フィアッセー、レン、晶ー!」
シーン・・・
「誰もいないのか・・・」
恭也は、何か食べようとして探していたのだが
すぐに食べられそうなものはなかった
イヤ、食材はたくさんあるのだ
だが、まだ治りきっていない腕では、一人で食事するのがやっとだ
料理なんぞ出来たものではない
「むぅ・・・煎餅で我慢しておくか」
煎餅を探しにテーブルに向かう
すると、そこには一枚の紙が置いてあった
月村さんの家にお泊まりに行きます。食事は冷蔵庫にあります
レン 晶 美由紀
「・・・もう、昼に食べた」
少し、拍子抜けた恭也はポロッと、その手紙を取り落としてしまう
「んっ・・・と?」
それを拾おうとしゃがむと、別の紙が・・・この手紙と同じような紙・・・が目に入った
慰安旅行の日時を勘違いしてて、実は今日だったの
すぐに出発するから、晶、レンよろしくー!
母
みんな、おみやげ楽しみにしてね♪
フィアッセ
「・・・兵糧責めの訓練か?」
なにやら絶望的な状況に立たされた気分だったが
とりあえず、戸棚から発見した煎餅をほおばりながら
リビングのソファーに腰をかけた
体を休めると、気になっていることに意識は飛んでいく
さっきの夢・・・
欲求不満だったからしょうがない、夢だからどうでもよい
そういう風に恭也は考えられなかった
夢だったとしても
なのはを欲望のはけ口にしようとしたこと
それ以前に、女性として好きになること
それは・・・絶対に許されない
実際に血のつながっているのだ
・・・では、血がつながっていなければよいのか
血がつながっていなくても、妹であることに変わりはない
もちろん、許される物ではない
・・・では、もし全くの他人だったら
もし他人だったら・・・
そう考えると、自分の中に否定の感情が生まれないことに少し驚いた
生真面目な恭也の苦悩は、少し意外な結論に行き着いたようだった
女の子としてみたとき
自分は・・・なのはを嫌いではないのかな・・
そう思ってみると
なのはと言う存在は、ずいぶんあたたかく嬉しい物であった
その感情に、少し照れたように苦笑する
「あれ?おにーちゃん起きてたんだ」
突然声をかけられて恭也は驚いてそちらを向く
「・・・なのはか、おかえり」
「ただいまって言ったのに、返事がなかったから寝てるのかと思ったよ」
なのはの帰宅に気付かないとは
考え事にずいぶんと集中していたらしい
(不覚だな・・・)
「みんなまだ帰ってないの?」
「帰ってないというか・・・」
そういいながら、さっき見つけた紙を見せる
「と、言うことだ」
「あや・・・二人きりだね・・・」
なのははちょっと赤くなっている
「ああ、晩ご飯は店屋物でもとるか」
「ううん!なのはがつくる!」
「出来るか?」
「うん!」
「じゃあ任せた」
「待っててね、なのはおいしいもの作るから」
なのははその紙をほうり出し嬉しそうに台所に向かっていく
そんななのはを、これまでよりもちょっとだけ嬉しそうに
恭也は眺めていた
(でーきた♪)
約10分ほどで今日の晩ご飯は完成した
【冷蔵庫のワカメを利用したみそ汁】
【ごく普通の卵焼き】
【炊飯器の残りごはんの炒飯】
以上が今晩のメニューだ
それほど料理がうまい訳ではないが
それなりに食べられるように仕上がっている
献立としてはちょっとアンバランスだが
作れるものを作った結果なのでしょうがない
ま、恭也に対する愛情が溢れんばかりにつまっているので
これはこれで、いいかもしれない
お盆を持って、ちょっとよたよたしながら恭也のところに向かう
「はいどーぞ、おにーちゃん」
「ああ」
テーブルに料理が並べられ
二人とも席つく
「「いただきます」」
二人は律儀に”ペコリ”とおじぎした
一口、二口・・・恭也が口に運んでいく
一方のなのはは、それを食い入るように見つめている
「おにーちゃん、おいしい・・かな?」
「うむ・・・まあまあだな」
その言葉を聞いて、なのはの表情がパッと明るくなった
普段から辛口な恭也なので、『まあまあ』と言うのは
けっこうほめている方だとおもってよいのだ
証拠に、喜んだなのはをみた恭也は
ちょっと照れたのか、むすっとした表情をしている
嬉しいときなど、顔に出さず逆に不機嫌そうな顔をする
これは恭也の悪い癖かもしれない
ただ、そこが『かわいい』ところでもある
しばらくして、二人とも食事を終えた
「「ごちそうさまでした」」
「お茶いれてくるね」
そういって、トタトタと台所の方にかけていく
(なかなかうまかったな)
恭也は一人、心の中で呟いていた
素直にほめてやらないところが恭也らしい
そのうちに、お茶をいれたなのはがもどってきた
「はい、おにーちゃん」
お盆に湯気の上るお茶をふたつ乗せ
さっきと同じようにちょっとよたよたしながら向かってくる
そのときだった
「あや!?」
足元にほうり出してあったフィアと桃子のメモ・・・
その上に足をおいてしまったなのはは
そのまま、スルッと足を滑らせてつんのめる
「・・・ッ!?」
そのまま前のめりになって、恭也の方に倒れ込んだ
「いたたた・・・」
「ッ・・・大丈夫か?なのは」
「うん、だいじょうぶ・・・おにーちゃんこそ大丈夫!?」
「ああ・・・大丈夫だ」
そうは言ったものの、先ほどまでお盆の上にあったお茶は
恭也のズボンをを直撃していた
熱湯からいれたばかりのお茶は、しゃれにならないくらい熱いはずである
「大丈夫じゃないよ!すぐに脱がなきゃやけどしちゃう!」
そう言うと、急いで恭也のズボンを脱がしはじめる
「ちょ、ちょっと待て、なのは」
恭也の制止は無視されて
あっという間に恭也の下半身に張り付いていた布は取り払われてしまう
そして、手近にあったおしぼりでお茶のかかった足を拭きはじめた
自分の身体の変化に気付いた恭也は困った顔をして、横を向いている
その顕著な変化は、今まで夢中で行動していたなのはにも解ったようである
なのはは顔を真っ赤にしながらもそこから目を離さない
そことは・・・つまり、その・・・恭也の暴れん坊である
このとき、なのはの頭の中では昼に見た久遠の夢のことが蘇っていた
そして・・・なのはは意を決した
「あのね、おにーちゃん・・・その・・・熱かった?」
まだ視線は恭也の「活性化したあれ」にそそがれている
「まあな・・・もう、大丈夫だぞ」
恭也は恭也で、この妙な状況にどうしたものかと困惑気味である
「熱かったよね・・・だから、なのはが気持ちよくしてあげる」
そう言うと、なのはは恭也のそれに手をかけた
「ダメだ!やめるんだなのは」
その瞬間、突然のことに混乱気味だった恭也は
我に戻っていた
そして、ゆっくりとなのはを引き離した
引き離されたなのはもハッとした表情である
自分のしようとしていたことにビックリしているようでもある
「どうしたんだ・・・突然?」
お茶をこぼしたのは不運な事故だ
ズボンを脱がしたまではいいとして
そのあとの行動は、恭也から見れば理解できなかった
「・・・おにーちゃんごめんなさい!」
突然そういうと、なのはは泣きそうな顔で自分の部屋へ駈けていく
「なのは!?」
恭也は、そのなのはを追いかけようとしたのだが
いかんせん、下半身が裸のままである
そのままで追いかけるわけにもいかないので、恭也も自分の部屋に戻ることにした
なんて事しちゃったんだろう・・・
部屋に戻ったなのはは落ち込んでいた
その場の勢いとは言え、あんな事をしようとしたのだ
おにーちゃんははどう思っただろう・・・
はっきりとした知識はなくとも
さっきのような事は、Hな事だとか、いけないことだとかいうのは
何となくではあるがなのはにも解っている
兄妹だと恋人同士にはなれないんだということも
どこかで聞いて知っている
そういうことをしようとしたのだ
もしかしたら、おにーちゃんは私のことを嫌いになったかもしれない
そう思うと泣きそうになった
兄妹・・・そんなこと関係ないくらい恭也のことが好きだから
なのはにとって嫌われたかもしれないと言う事が大きな悲しみだった
コンコン・・・
ノックの音が響く
「なのは、いいか?」
「・・・・うん・・・」
「さっきは・・・・なんであんな事を?」
「うん・・・」
「別に怒ってるわけじゃないぞ」
「・・・うん」
「だから、何かあるなら話してくれないか?」
「うん・・・・あのね・・・」
「ああ」
ぶっきらぼうな物言いだが純粋に心配してくれる
そんな恭也に
なのはは、意を決して言った
「あのね・・・なのはね・・・お兄ちゃんのことが好きなの!」
大きい声で、エイッと気合いを入れたような声でその言葉を伝える
「!・・・」
その言葉に、恭也はちょっとビックリしたようだ
「だから、あの・・おにーちゃんにもなのはのこと好きになって欲しかったの」
「そうか・・・」
「うん、気持ちいいことしたら・・・好きになるカモって思ったの」
「そ、そうか」
どこで、そんな知識を得たんだ・・・
そう思いながらもそれなりに恭也は納得していた
「なのは、おにーちゃんのこと大好きなの。世界の誰より一番好き!」
恭也は納得できたものの、新しく悩みも生まれていた
「・・・おにーちゃんは、なのはのこと・・・好き?」
なのはは真剣に想いを伝えてきた、それにイエスであれノーであれ
きちんと答えなくてはいけない
恭也は・・・