March 25,1993 AM07:00
羽根の絵

ジョーの目覚め

 
「Joe, Can eat it!」

 ホームマザーの甲高い声が聞こえる。もうすぐ朝食だというのに、ジョーは部屋の中で写真を眺めていた。 写真のほとんどは、フレズノの景色を撮ったものだったが、その中にはスイスにいるフィアンセのもの、そして今日で別れてしまうルームメイトのものもいくつかあった。

 スイス人のジョーは半年前に、ここにやってきた。結婚を目前にしながら半年間だけ自由な時間をもらい留学してきたちょっと変わり種の人である。ロバートレッド・フォードの失敗作みたいな顔立ちで年は29才、外見がもっと若く見えるのは、学校でひと回り年下の友人たちと遊びほうけているからだろう。だが、その友人のほとんどとは、今日でお別れである。根がロマンチストなジョーは、写真を見ながら感傷に浸っていたのかも知れない。

 そういうわけで、今日はIEIの卒業式である。本当はジョーも今日で卒業する予定でいたが、フレズノの街が気に入ったので、もう一ヶ月だけ、IEIに通うことにしていたのだ。

 朝食を摂りながら、ジョーはホームマザーとルームメイトのチュリニーダに明日サンディエゴ旅行に行くことを告げた。

最近アメリカ滞在を伸ばしたばかりだというのに...

二人はお金のことを心配していたが、

「No problem」

ジョーは笑いながら言った。

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