大きな山を越えるとロサンジェルスが見えてきた。広大な夜景が前方に広がり、この国の大きさを肌で感じることができる。フリーウェイには日本のような渋滞はなく時速80マイルでとばすカローラは着々と目的地に向かっている。フミは騒ぎ疲れたのか眠ってしまった。フミが寝てしまうと車内には静寂が行き渡り、結構寂しく思ったりする。 ロスにはいると同時に雨が降ってきた。この地域では雨が降ることは驚嘆に少ないのだが、天気予報では3日間は雨の日が続くということを告げていた。今思えばこれはこの旅行の暗示だったのように思われる。
宿泊予定地はまだ先だったが、雨がひどくなってきたのでロスを少し越えた辺りでモーテルを探すことにした。アメリカなのだからどこでもモーテルがあると思うのは間違いでモーテル探しは結構たいへんだ。適当なところでフリーウエイを降りモーテルを探すがそれらしきものが全然見つからない。どうやらここはオフィス街のようだ。宿らしきものを見つけ入ってみるが会社専用だということで断られる。
再びフリーウエイにのり次の町へ。
雨はさらに激しくなる。地図を見ても宿の場所は乗っていないので、マサたちはレストランなどで宿の場所を聞くことになる。ジョーが聞きに行き、車を走らせるが迷ってしまった。さすがのジョーもこの雨の運転で疲れてしまったのだろうか。街のはずれまできてしまい宿はありそうもないので、中心街まで戻る。
今度はマサがピザ屋に聞きにいく。マサは紙切れに宿までの地図を書いてもらい、それをもとに場所を探す。やっと見つけたが、かなり高そうなホテルだ。ここは全員一致で見送りにする。全員といってもフミは寝ているのだが...
再び市内へ行き、今度はユーヤがリカーショップへ。ユーヤの指示通りジョーが車を走らせる。今度は手頃なホテルのようだ。全員一致でこのホテルに泊まることにする。
男女別々で二つの部屋を取った4人は、荷物を移動するため車に戻る。いまだ眠りの世界にいるフミをユーヤが起こし始めた。
「もうサンディエゴに着いたの?」
「ああ、サンディエゴ、サンディエゴ。だから早く降りろ」
マサはフミを引っぱり出した。フミは本気でサンディエゴについたと思っていたらしいが、ユーヤから本当のことを聞き愕然としていた。フミは舌を出し、かかんにマサを挑発していたが、だれに相手されることもなく、一同はそそくさと部屋へ荷物を運んだ。
マサが荷物を運んでいるとフミトが寄ってきた。
「マサの言うとおりだったよ。ユーヤって結構いい奴かもな。やっぱり話してみなければわからないね」
「だから言ったろ」
偉そうにマサは言ったが、ユーヤとはまだ一言も話していない。
「よしよし、フミトが仲直りできたから、その勢いでオレとも円満解決だな」
マサの頭の中ではユーヤと仲直りするための、ステキなシナリオができていた。といっても今思い付いたことなのだが...